2015年08月27日
P「やよいと過ごす、夏休み」
〜 765プロ事務所 〜
小鳥「…………あつい…………」
小鳥「…………あつい…………」
小鳥「汗が、止まらない……」ダラダラ
小鳥「というか、ちょっとでも気を抜くと意識が飛びそうだわ……」
小鳥「室内計は……」チラッ
室内計「36°C」
小鳥「…………」
小鳥「うん、見なかった事にしよう」
小鳥「はぁ……まさか、エアコンが壊れただけでこんなに地獄になるなんて」
小鳥「去年はここまで暑くなかった気がするんだけどなぁ」
小鳥「あ、そういえばプロデューサーさんは……」チラッ
P「」
小鳥「ぷ、プロデューサーさんっ!?」ガタッ
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小鳥「ちょっと、しっかりしてください!!死んじゃダメですよっ!!」ユサユサ
P「お、音無さん……」
P「俺は、もうダメです……限界です……」グタァ
小鳥「弱気にならないでください!!あなたが死んだら、あの子達は誰がプロデュースするんですか!!」
P「律子に……全て任せます……」
P「先立つ不幸を、許して…くだ……さ……」ガクッ
小鳥「プロデューサーさあああん!!」
…ガチャ
やよい「おはよーございまーす!!」
小鳥「あ、やよいちゃんおは……」
P「やよい!?」ガバッ
小鳥「きゃっ!?」ビクッ
P「おはよう、やよい。今日も元気だな!」キリッ
やよい「はい!夏休みに入ったので、わたし、うれしくって!」
P「そっかそっか。でも、熱中症には気をつけなきゃいけないぞ?」
やよい「そうですねー。テレビでもたくさんやってますよね。水分はしっかりとりましょうって」
P「うん。やよいが熱中症になってしまったら、きっと世界中の人が悲しむからな」
やよい「はーい!」
やよい「……あれ?そういえばプロデューサー、少しやせましたか?」
P「ああ、ちょっとダイエットをな」
小鳥(いやいや、さっきまで熱中症でぐったりしてたのはどこの誰ですか!)
P「よし、今日のレッスンも頑張っていこうな!」
やよい「うっうー!がんばりまーっす!!」
小鳥(さっきのやり取りは、いったいなんだったんだろう……)
〜 ダンススタジオ 〜
やよい「……ふぅ」
P「お疲れ様、やよい」スッ
やよい「プロデューサー!えへっ、ありがとーございます!」
やよい「コクッコクッ……」
P(ダンスレッスンを終えて汗だくになったやよい。顔もほんのり赤く蒸気しいてる)
P(そして、俺の差し出したスポーツドリンクを一心不乱に、飲む)
P(ペットボトルに吸い付く、やよいの小さくて瑞々しい唇、可愛らしく動く喉……)
P(うーむ、これは……)
P(……って、いかんいかん。何を考えてるんだ、俺は!)ブンブン
P(相手は大天使ヤヨエルだぞ?こんな事考えたら罰が当たる)
P(ああ、神よ。私の淫猥で最低な思考をどうかお許しください……!)
やよい「ぷはー!いきかえりますー!」
P「邪念よ去れ、邪念よ去れ……」ナンマンダブ
やよい「……プロデューサー?どうしたんですか?」キョトン
P「あ、ああ…………ちょっとお祈りをな」
やよい「おいのり……?」
やよい「もしかして、プロデューサーってクリスさんだったんですかー?」
P「クリスさん?」
やよい「あ、えーっと……」
やよい「わたしなんかが『クリスちゃん』ってよぶのは、ちょっとなれなれしいかなーって」
やよい「神さまを信じる人の事を、クリスさんって言うんですよね?」
P「…………」
やよい「あの、プロデューサー?」
P(小首を傾げながら、純粋な瞳で俺を見つめてくるやよい)
P(なんかもう、やよいの言ってる事も行動も、全てが眩しくて……)
P「ああ、そうだよ。やよいは賢いなぁ!」ナデナデ
やよい「えへへっ♪ 」
P(俺には、やよいの頭を優しく撫でる事しかできなかった……)
〜 765プロ事務所 〜
P「……ふむ、夏休みの自由研究か」
やよい「はい。ほかの宿題はおわらせたんですけど、自由けんきゅーだけ、どうしようか決まらなくて」
P「そっか」
やよい「何かいいけんきゅーざいりょーはありませんかー?」
P「んー、そうだなぁ……」
P「やよいの場合は、アイドル業もやりながらだからな。何か身近なものにした方が、やりやすくていいんじゃないか?」
やよい「身近なもの……」
やよい「うーんと、えーっと……」
やよい「あーでもない、こーでもない……」
P(眉間にシワを寄せて腕組みして考え込むやよい可愛い)
やよい「……」ポク
やよい「……」ポク
やよい「……」ポク
やよい「………………はっ!」ティーン!
P「お、何か思いついたか?」
やよい「……」じーっ
P「どうした、やよい。そんなに見つめて」
やよい「あのー……」
やよい「プロデューサーをけんきゅーたいしょーにしても、いいですかー?」
P「……えっ?お、俺を?」
やよい「わたし、思ったんです」
やよい「わたしにとって身近なものっていえば、やっぱりプロデューサーかなーって」
やよい「家だと、なんだかんだする事が多いですし、事務所にいるプロデューサーなら……」
やよい「そ、それに、プロデューサーといっしょにいられるのは、わたしも楽しいし……///」モジモジ
P「!!」
P(こんなの即答でOKなんだが、中学校で発表する自由研究でプロデューサーを研究って、アリなのか……?)
やよい「あ、あの……ダメ、ですか……?」ウルウル
P「う……!」
P(目に涙を溜めての上目遣い……)
P(今すぐ抱きしめ……じゃない、選択肢はひとつしか無いじゃないか!)
P(そうだ。俺なんかが、やよいの役に立てるならば……!)
P「何言ってるんだ、やよい。いいに決まってるじゃないか!じゃんじゃん俺を研究してくれ!」キリッ
やよい「プロデューサー!」パァァ
やよい「ありがとーございます!」
P(うんうん。やっぱりやよいは笑顔が一番似合うなぁ)
P「……でも、研究っていったい何をするつもりなんだ?」
やよい「えへへっ♪ 」
やよい「いろいろけんきゅーしちゃいますよー!」
P「色々か。よし、望むところだ!」
やよい「あ、それで、プロデューサーをけんきゅーするにあたって、ひとつお願いがあります」
P「ふむ。どんな?」
やよい「プロデューサーをけんきゅーするためには、プロデューサーとずっといっしょにいて、かんさつしなきゃいけないと思うんです」
P「うん。そうなるな」
やよい「だから、この夏休みは、プロデューサーといっしょにいろんなところへお出かけしたいなーって!」
P「……ひょっとして、それが目的だったのか?」
やよい「えへへ、じつはそーなんです!」
P「やよいは打算的だなぁ」
P「わかったよ。俺も、できる限りスケジュールを調整してみるよ」
やよい「うっうー!とーっても楽しみですー!」
〜 市民プール 〜
やよい「わぁ……人でいっぱいですねー!」
P(来て……しまった)
P(やよいと2人で、プール。これってデートなんだろうか……?)
やよい「プロデューサー、早く行きましょう!」グイグイ
P「あ、ああ、そうだな」
P(ダメだダメだ。俺なんかがやよいとデートなんて、おこがましいぞ)
P(…………やよいの手、小さくて柔らかいなぁ)
P「……じゃあ、着替えたら入口に集合しようか」
やよい「はーい、わかりましたー!」
やよい「……お待たせしましたー!」
P「やよい……!」
P(やはり、期待通りスクール水着だった)
やよい「あの、すみません、プロデューサー。わたし、かわいい水着とか持ってなくて……」シュン
P「何言ってるんだ!やよいのスクール水着、最高に興ふ……じゃなくて!」
P「とっても可愛いじゃないか!」
やよい「そうですか?ありがとーございます!」ニコッ
P「で、まずはどうしようか。流れるプールでも入るか?」
やよい「その前に、じゅんびうんどーが先ですっ!」
やよい「ちゃーんとからだをうごかさないと、たいへんな事になっちゃうんですよ?」
P「そ、そうだよな」
やよい「じゃあ、はりきってはじめましょー!」
やよい「いっち、にー、さん、しー……」ググッ
P「ごー、ろく、しち、はち……」ググッ
「まあ、可愛い!」
「あの子、元気だなー」
「兄妹かしらねー」
「俺もあんな妹が欲しかったなー」
P「なんか、注目されてる気がするな……」
やよい「……」
P「やよい?どうかしたのか?」
やよい「あ、いえ、別に……」
P「?」
P「はー……冷たい水が心地いいなー」プカプカ
やよい「えへっ、プロデューサー、おフロにつかってるみたいですー!」スイスイ
やよい「プールはおフロじゃないですよ?」
P「ああ、まあ……俺にとっては似たようなもんかなー」
やよい「そうなんですかー」バシャバシャ
P(やよいが俺の隣で楽しそうに泳いでいる)
P(……なんだ、ユートピアはこんなに身近にあったのか)
やよい「でも、この流れるプールってすごいですよねー!」
やよい「どうやって流れているんでしょう?」
P「それはな……」
やよい「それは……?」
P「忠誠心だ」
やよい「ちゅーせーしん?」
P「ああ。やよいに流れるプールを楽しんでもらうために、みんなが頑張って流れを作っているんだよ」
P「ある意味、世界の縮図だな。世界がやよいのために回っているのと、原理は同じだ」
やよい「えーっと……」
やよい「よくわかりませんけど、それはダメかなーって」
P「えっ?」
やよい「世界は、みーんなのものです。ひとりじめは、めっ!ですよ?」
やよい「だから、このプールもみんなで楽しまないとです!」ビシッ
P「やよい……」
P(俺は、間違っていた)
P(目の前にいるのは、大天使ではなく、女神だったんだ……)
やよい「……」
やよい「あの、プロデューサー?」
P「どうした?おしっこか?」
やよい「もうっ!ちがいますよぅ!」プンスカ
P「ごめんごめん。……で、どうした?」
やよい「わたしって、いもうとみたいですか?」
P「やよい……?」
やよい「さっき、じゅんびうんどーしてる時に、わたしたちがきょうだいみたいに言われてたので……」
P「そうだなぁ。やよいは妹みたいでとっても可愛いぞ?」
やよい「そう、ですか……」
P「あれ?妹はイヤか?」
やよい「い、いえ、そんな事はないんですけど……」
…スイー
P「あっ!」
P(やよいの後ろから、白いバナナボートが!)
P(このままじゃ、やよいにぶつかる!)
P「やよい、危ないっ!」グイッ
やよい「はわわっ……!」
「……あっ、すいませーん」
「もう、ちゃんと前見なきゃダメじゃん、冬馬君」
「んな事言ったってこのもやしボート、結構難しいんだぜ?」
P「……ったく、危ないなあ」
P「やよい、怪我はないか?」
やよい「あ、は、はい……それはだいじょーぶなんですけど……」
やよい「ちょ、ちょっとだけ、はずかしいかなーって……///」モジモジ
P(やよいは俺の腕の中で、恥ずかしそうに……)
P(……ん?俺の腕の中で……?)
P「わああっ!?」バシャッ
P「こ、これは決して下心があったわけじゃなくてだな!?やよいを守るために、とっさに……」
P「ああでも、やよいの身体はとても抱き心地良かったっていうか、いい匂いがしたっていうか……」
P「と、とにかく、すまんっ!!」バシャァン
やよい「はわわっ、プロデューサー!プールの中で土下座したらあぶないですよー!」オロオロ
P(なんという失態……)ゴポゴポ
P(やよいに嫌われてしまっただろうか……)
P(俺はなんてセクハラプロデューサーなんだ……!)
P(…………でも、やよいの身体、ふにっとしてて、もにゅっとしてて、柔らかかったなぁ)ゴポポッ
P「そろそろ昼だな。……やよいは何か食べたいものはあるか?」
やよい「わたし、ハンバーガーが食べたいです!」
P「やよいはハンバーガーが好きだなぁ」
やよい「はい!家族でプールに来た時も、お昼はハンバーガーって決まってるんですよ?」
P「そっかそっか。確かにウマいもんなー」
P(さすがやよい。ハンバーガー愛は誰にも負けてないな)
P(そうだ。日本人ならハンバーガーを食え!愛likeハンバーガー!!デュワ〜!!)
P「それじゃ、ハンバーガーを食べに行くか」
やよい「はーい!」
やよい「はむっ」
やよい「モグモグ……」
P(やよいは、小さな口をめいっぱい開けてハンバーガーにかぶりついている)
P(かなり食べにくいのだろう。口の周りはケチャップやらマヨネーズやらで汚れてしまっている)
P(それでも、やよいは一生懸命ハンバーガーを食べる)
P(まるで、小動物のように)
やよい「……プロデューサー、食べないんですか?」
P「ああ……」
P(やよいを見てるだけで、幸福感でお腹いっぱいなんだよな)
やよい「せっかくのハンバーガーが、さめちゃいますよ?」
P「そうだな。じゃあ、いただくとするか」
P「モグモグ……」
やよい「……」じーっ
P「モグモグ……」
やよい「……」じーっ
P「モグモグ……」
やよい「……」じーっ
P「……」
P「……どうした?あんまり見つめられると、食べにくいんだけど……」
やよい「はわわっ!す、すみませんっ」
P「ああ、そっか。俺のチーズハンバーガーが食べたいんだな?やよいのはチーズ入ってないもんな」
やよい「え、えーっと……」モジモジ
P「わかった。食べかけで良ければ、ホラ」スッ
やよい「!」
やよい「あ、じゃあ……」
やよい「い、いただきまーす……」
やよい「……」
やよい「……はむっ」
やよい「モグモグ……」
P「どうだ、うまいか?」
やよい「は、はい、おいしい……です……///」
P「うんうん。ゆっくり食べるんだぞ?」
P(ホントにハンバーガーが好きなんだな、やよいは)
P(やよいが喜ぶならば、ハンバーガーのひとつや100個、すぐに用意するつもりはある)
P(いや、この際だから765プロでハンバーガー屋を経営するって手も……)
やよい「プロデューサー。良かったらわたしのもどーぞ!」スッ
P「えっ……?」
やよい「プロデューサーのハンバーガーをいただいたので、おかえしです!」
P「ゴクリ……」
P(い、いいのか……?)
P(やよいの神聖な唾液が付着したハンバーガーを、こんな一般市民の俺なんかが食べても……)
やよい「あの、わたしの食べかけじゃ、イヤですか?」
P「そ、そんな事はない!断じてないぞっ!」
P「むしろ、やよいの食べかけを食べられるなんて、これ以上の幸せは無い!」
P「もう、死んでもいい!」
やよい「死んじゃダメです、プロデューサー!」
P「ぱくっ」
やよい「あっ……」
P「モグモグ……」
P「うっ……!」
P(うまい……!)ジーン
P(こんなにうまいハンバーガーには、この先もう出会えないだろう)ホロリ
P(この味を一生忘れないようにしよう)
やよい「……」
P「ん?どうした?」
やよい「……しちゃいましたね、かんせつキッス」
P「あ……」
やよい「……」
やよい「……えへへっ♪ 」
やよい「ちょっとはずかしいけど……うれしいかなーって」ニコッ
P「や、やよい……」
P(あれ、なんだろう。急に罪悪感がムクムクと……)
やよい「さあ、食べおわったら、こんどはスライダーやりましょう、プロデューサー!」
〜 ウォータースライダー 〜
P「……うわぁぁぁぁぁ……!」
……ザッパーーーン!!
P「はぁ、はぁ……」
やよい「うっうー!楽しいですー!」
P「あ、ああ、そうだな……」ドキドキ
P(たかが市民プールの滑り台だと舐めていた)
P(結構恐いじゃないか、これ)
P(高所恐怖症の俺には、キツいものが……)
やよい「プロデューサー!もう1回やりましょう!」グイグイ
P「お、おう!何回でも付き合うぞ?」ヘロヘロ
P(しかし、やよいが楽しいなら、続けるしかない!)
P(この笑顔を絶やさないために……)
P(俺は…………滑り台を、滑り続けるッ!)
P「うおぉぉぉぉーー!」
やよい「はわーーー!」
……ザッパーーーン!!
ーーーーーー
ーーー
P「…………ふぅ」
やよい「プロデューサー……」ギュッ
P「はは……大丈夫。ちょっとだけ休ませてくれな」
やよい「あぅ……すみません。わたし、プロデューサーといっしょだから、楽しくてつい……」ショボーン
やよい「プロデューサーがスライダー苦手だなんて、知りませんでした……」
P「心配するな、やよい。俺、こんなに楽しい市民プールは初めてなんだから」
P「全部、やよいのおかげだよ」
やよい「そ、そんなっ……///」カァァ
P(今更だけど、今日一緒に過ごしてみて、改めて確信した)
P(やよい自身はきっと気づいてないだろうが、やよいは……)
P(高槻やよいは、周りに笑顔と元気を与えてくれる)
P(やはり、やよいは女神だったんだな)
P「また来ような、やよい」ナデナデ
やよい「プロデューサー……!」
やよい「はいっ!」ニコッ
〜 765プロ事務所 〜
P「……というわけで、超楽しかったです」
小鳥「やよいちゃんは天使ですもんねぇ」
P「違います、音無さん。やよいは女神なんです!全然意味が違ってくるんですから、間違えないでください!」
小鳥「は、はぁ」
小鳥「それで、その女神様は今日は?」
P「もうそろそろ来ると思いますよ」
P「実は、レッスン終わったらまたやよいと出かけるんですが……」
P「ふふふ、どこに行くか知りたいですか?」
小鳥「はぁ……言いたいんですね?」
P「仕方ない、教えてあげましょう」
小鳥「仕方ない、聞いてあげましょう」
P「今日は、やよいと漫喫に行く予定なんです!」
小鳥「ま、漫喫……?」
小鳥「あの、プロデューサーさん?漫喫って、やよいちゃんのイメージからちょっとかけ離れてる気がするんですけど……」
P「敢えて、ですよ。漫喫とやよい、対極にあるこの二つが出会った時、果たしてどんな科学反応が起きるのか……」
P「興味ありませんか?」
小鳥「それは……確かに、興味深いですね」
P「でしょう?だから俺は、行動に移す事にしました」
…ガチャ
やよい「おはよーございまーす!!」
小鳥「あ、やよいちゃんおはよう」
P「おはよう、やよい!」キリッ
やよい「プロデューサー!今日もよろしくお願いしまーす!」
P「うん。じゃあ、張り切って行こうか!」ガタ
やよい「はーい!」
やよい「それじゃあ小鳥さん、行ってきまーす!」
小鳥「行ってらっしゃ〜い」フリフリ
小鳥「……ふぅ」
小鳥「漫喫かぁ……」
小鳥「あんなに狭い空間で、やよいちゃん、じっとしてられるのかなー」
小鳥「……ん?狭い空間に、プロデューサーさんとやよいちゃんが2人きり……」
モワンモワン…
『やよい、もっとこっち来いよ』グイッ
『はわっ、ぷ、プロデューサー……!?』ドキドキ
『ほら、こうしてくっついてると、安心するだろ?』
『は、はい……///』
『ずっと、やよいとこうしたかったんだ』サワッ
『そ、そんなとこさわっちゃ……ひゃぅっ!?』
『やよいは感じやすいんだな』
『ぷ、プロデューサー、えっちです……』
『……いやか?』
『そ、それは……』
小鳥「なーんて事に……!」ジュルリ
小鳥「……なるわけないか」
小鳥「プロデューサーさんにそんな度胸はないわよね、きっと」
小鳥「……」
小鳥「ない…………わよね?」
〜 漫画喫茶 〜
やよい「わぁ……!」
やよい「すずしいですー!」
P「クーラーガンガンだからな。逆に風邪引かないように気をつけないといけないぞ?」
やよい「はーい!」
P「あと、もう少しボリューム落とそうな?他のお客さんの迷惑になるから」
やよい「はわわ、す、すみませんっ」モゴッ
P(慌てて両手で口を抑えるやよい可愛い)
やよい「それで、ここは何をするところなんですかー?」
P「できる事は限られてるけど、何をするかはやよいの自由だよ」
P「好きなマンガを探して読むもよし、ゲームを借りるもよし、席に備え付けのPCでネットサーフィンするもよし……」
P「やよい、どうする?」
やよい「えーと、えーと……」
P「まあ、ゆっくり決めればいいさ。まずは、飲みものを取って来ようか」スッ
やよい「あ、買いに行くんですね?わたしも行きます」
ジャー…コポコポ
やよい「いろいろなジュースがあるんですねー」
やよい「わたし、何にしようかなー」
P「あ、ちなみにドリンクは飲み放題だ。好きなだけ飲んで構わないからな?」
やよい「え"っ!?」ガビーン
やよい「す、好きなだけ……?」
P「ああ。だから、片っ端から飲めばいいと思うぞ?」
やよい「ゴクリ……!」
P(やよいの目つきが……変わった!)
やよい「スキナダケ……!」グルル
P(飲み放題……やよいにとっては、ここは絶好の狩り場だろう)
やよい「ノミホウダイ……!」ガルル
P(……そう。高槻やよいは今……)
P(獲物を狩る、凶暴な獣へと変貌したのだッ……!)
やよい「……」スッ
やよい「えいっ」カシャッ
やよい「てやーっ」ポチッ
ジャー…コポコポ
やよい「うっうー!みっしょんこんぷりーとですっ!」キラーン
P(恐ろしい……やよいにかかれば、飲み放題など赤子の手を捻るより簡単な事……)
P(やよいは女神であると同時に、百獣の王でもあったんだな)
P(……あ、やよいにネコミミ付けたくなってきた)
P「……」ペラッ
やよい「……」ペラッ
P「……」ペラッ
やよい「……」ペラッ
P「……」ペラッ
やよい「……」ペラッ
P「……」ペラッ
やよい「……」パタン
やよい(なんだか、あんまり読む気がおきないかも……)
やよい(……あっ、ジュースがこぼれちゃってる)
やよい「……」ゴソゴソ
やよい「……」フキフキ
やよい「……ふぅ」
やよい「……」チラッ
P「……ふふっ」ペラッ
やよい(マンガよりも……)
P「……」ペラッ
やよい「……」じーっ
P「……」ペラッ
やよい「……」じーっ
P「……」ペラッ
やよい「……」じーっ
P「……やよい?もう読み終わったのか?」
P「なら、追加のマンガを取りに行くか?」
やよい「……」
やよい「あの、わたし……」
やよい「せっかくこうしてプロデューサーと2人きりなので、もっとプロデューサーとお話したいなーって」
P「やよい……」
やよい「マンガは家でも読めますし」
P「まあ、そうだな」
やよい「つれてきていただいて、こんな事言うのはダメかもしれないんですけど……」
やよい「わたし、こういうところは、ちょっとにがてかもです」
P「うーん……やっぱりそうかー」
やよい「あ、す、すみませんっ。プロデューサーといっしょなので、楽しいんですけどっ」
やよい「その……何をしたらいいかわからないっていうか……」
やよい「じっとしてるのは、あんまりとくいじゃなくて……」
P「あんまり難しく考える事はないんだぞ?」
P「ここは、ゆっくりと時間を過ごす場所なんだからさ」
やよい「ゆっくりと……?」
P「ほら、やよい、前に言ってたろ?家だとする事がたくさんあるって」
P「ここでは、ちょっとだけ時間を忘れてもいいんだ」
P「やよいにだって、ボーッとする時間は必要だと思うんだよ」
やよい「プロデューサー……」
やよい「……わかりました!わたし、プロデューサーの言うとおり、がんばってボーッとします!」グッ
P「いや、そこは頑張るとこじゃないんだけど……まあ、いいか」
やよい「……じゃあわたし、マンガを取って来ますね!」
P「うん。……あ、そうだ。似たような席ばかりだから、迷子にならないようになー」
やよい「はーい!」
やよい「えーっと……」キョロキョロ
やよい「……あ、あった」スッ
やよい「えへへ、実はこのマンガ、続きが気になりますー」
やよい(あとは、プロデューサーに飲みものを持っていってあげようっと)
やよい「ううっ……」ブルッ
やよい(ちょっとさむくなってきたかも……)
やよい(わたしは、あったかい飲みものにしようかな)
やよい(プロデューサーは、お砂糖もミルクもなしだよね。たしか)
ジャー…コポコポ
やよい(わたしは、何にしようかなー)
やよい(飲みほうだいってすごいなー。いくら飲んでも怒られないなんて)
やよい(あっ……なんだろう、これ)
やよい(うめ……ちゃ?うぅ、読めない……)
やよい(よくわからないけど、梅のお茶かなー)
やよい(どんな味かなー)
ジャー…コポコポ
やよい「いただきまーす……」
やよい「……ズズッ」
やよい「!」
やよい「しゅ、しゅっぱいれふー!」
やよい「でも、これってちょっとおいしーかも!」
やよい「そうだ、プロデューサーにもおしえてあげようっと!」
やよい「〜〜♪ 」
やよい「ただいまもどりましたー」
P「……zzz」
やよい「あれ……?プロデューサー、ねちゃったんですかー?」
P「……zzz」
やよい「……」
やよい(なぁんだ、ねちゃったんだ……)
やよい(でも、仕方ないよね。プロデューサーは休むヒマもないくらいお仕事でいそがしいもん)
やよい(それに、わたしがムリを言ったせいで、もっと負担をかけちゃってるだろうし……)
P「……zzz」
やよい「……」じーっ
やよい(マンガでも読もうかな)
やよい「……」ペラッ
やよい「……」ペラッ
やよい「……」スッ
やよい「……ズズッ」
やよい「ふぅ……」
やよい(この、梅なんとか茶、おいしい)
やよい(今度、雪歩さんに作り方を聞いてみようっと)
やよい「……」チラッ
P「……zzz」
やよい「ゆっくりとすごす、かぁ……」
やよい「たしかに、こんなにゆっくりしたのは久しぶりかも」
やよい「うん。たまには、こういうのもいいかな」
P「……zzz」
やよい(えへへ、プロデューサーの寝顔、かわいい♪ )
やよい「あ、そうだ。メガネしたまま寝たら、あぶないかも」
やよい「はずしてあげなきゃ」
やよい「失礼しまーす……」スッ
やよい「えへへ、プロデューサーのメガネ」スチャッ
やよい「はわわっ!?世界がぐにゃぐにゃですー!」アタフタ
やよい「はー……びっくりしたー」
やよい「目がわるい人はたいへんだなー。いつもこんなぐにゃぐにゃなのかなー」チラッ
P「……zzz」
やよい「あっ……」ドキッ
やよい(メガネをはずしたプロデューサー、初めて見たかも……)
やよい(なんだか、いつもよりやさしそうに見えるかなーって……)
やよい(もし……)
やよい(今、き、キス、とかしちゃったりしたら、どう……なるのかな……)ドキドキ
やよい(プロデューサー、寝てる……よね?)
やよい「……」ドキドキ
P「……zzz」
やよい「プロデューサー……」ジリッ
P「……zzz」
やよい「わたし、プロデューサーが……」スッ
P「……zzz」
やよい「……」
P「………………やよいぃ〜……」
やよい「ひゃうっ!?」ビクッ
P「…………むにゃ」
やよい「ね、寝言……?」ドキドキ
P「……がんばれ……やよいぃ……」
P「……ぜったい……とっぷ……あいどる……」
P「……zzz」
やよい(プロデューサー……!)
やよい(わたし……!)
やよい(わたし、がんばりますっ!)
やよい(ぜったい、ぜったいトップアイドルになりますっ!)グッ
やよい(それと……)
やよい(今はまだ、言えませんけど……)
やよい(いつかはこの気持ちを、ちゃーんとプロデューサーに言えたらいいなーって)
「ありがとうございましたー」
P「……不覚だ」
P「まさか、寝てしまうとは……」
やよい「……」
P「ゴメンな、やよい。ひとりだけ寝てた上に、膝枕までしてもらうなんて」
P(くそぅ……やよいに寂しい思いをさせてしまった)
P(どこかにスコップは無いか?)キョロキョロ
P(こんな甲斐性なしでダメダメな俺なんて、穴掘って埋まるべきだ!)
やよい「気にしないでください、プロデューサー!」
やよい「わたし、とーっても楽しかったですから!」
P「え?楽しかった……?」
やよい「はいっ!」
やよい「プロデューサーの言ってた、『ゆっくり時間をすごす』っていうのも、なんだかわかった気がするんです」
やよい「毎日はムリですけど、たまになら、こういう日があってもいいなって思いました」
P「でも、せっかく2人で来たのに……」
やよい「さみしくなんて、なかったですよ?」
やよい「わたし、ずーっとプロデューサーの寝顔を見てましたから!」
P「ず、ずーっとか?」
やよい「はい、ずーっとです!」
やよい「とにかく、今日はわたし、プロデューサーにたくさん元気をもらいました!」
やよい「明日からまたがんばりますので、よろしくお願いしますね、プロデューサー!」ニコッ
P「あ、ああ……」
P(なんだか、やよいが少しだけ大人びて見える)
P(子供の成長は早いっていうけど、やよいもあっと言う間に大人になってしまうのかな)
P(それは、色んな意味で寂しいけど……)
やよい「プロデューサー、早く行きましょう!」フリフリ
P(やよいがいつも通り元気でいてくれれば、それに越した事は無い、か)
P「おーい!待ってくれよ、やよいー!」
〜 765プロ事務所 〜
雪歩「多分それは、梅昆布茶だね」
やよい「梅こんぶ茶、だったんですねー」
やよい「さすがは雪歩さんです!」
雪歩「そ、そんな事ないよぉ」
雪歩「でも、梅昆布茶に目をつけるなんて、やよいちゃんもお目が高いね」
雪歩「梅昆布茶はね、日本人の舌にとっても合っているし、作り方も簡単なんだよ?」
雪歩「それに、ダイエットやアンチエイジングにも効果があるみたいで、女性にも人気の飲みものなの」
やよい「よくわからないですけど、すごい飲みものなんですねー!」
雪歩「うん」
雪歩「でも、ダイエットもアンチエイジングも、やよいちゃんには関係ないか」
雪歩「あ、そうだ。飲み過ぎると塩分を過剰摂取して良くないから、注意してね?」
やよい「わかりましたー!」
P「……おーい、やよいー!そろそろ出るぞー!」
やよい「あ、はーい!」
やよい「それじゃ、プロデューサーが呼んでるので……」
雪歩「うん。行ってらっしゃい。頑張ってね?」
やよい「はい!雪歩さんありがとうございましたー!」ガルーン
雪歩「……ふふ、可愛いなぁ、やよいちゃん」
雪歩「プロデューサーと2人きりでお出かけかぁ……」
雪歩「いいなぁ……」
小鳥「ねえ、雪歩ちゃん?」
あずさ「ちょっと聞きたいんだけど〜?」
雪歩「ひぅ!?」ビクッ
雪歩「こ、小鳥さんにあずささん!?いつの間に……?」
小鳥「さっきの、やよいちゃんに話してた……」
あずさ「梅昆布茶、だったかしらね〜?」
小鳥「アンチエイジングについて……」
あずさ「ダイエットについて……」
小鳥・あずさ「詳しく教えてもらえないかしら〜?」
雪歩「ふ、2人とも、なんだか恐いですぅ!」
〜 車の中 〜
ブロロロ…
やよい「みーどりーのなかをーはしりぬけてくまっかなぽるしぇ〜♪ 」
P「ひーとりーたびなのわたしきままにハンドル切るのー♪ 」グイッ
やよい「こーさてんからとなりのくるまがみらーこすーったと〜♪ 」
P「怒鳴っているからわたしもついつい大声にーなるー♪ 」
…チャラッ チャララッ♪
やよい「ばかにしないでよ〜♪ 」キリッ
P(……と、いうわけで)
P(俺たちは今、山へドライブに来ている)
P(ドライブといえば、ご機嫌な音楽は付きものだ)
P(ちょっと古いが、俺の大好きな音楽を選んだんだけど……)
やよい「それにしても、山口さんのうたはとーってもステキですー!」
やよい「わたし、山口さん大好きですー!」
P「まさか、やよいが山口さんを知っているとは」
P「やよいは物知りだなぁ」
「……三人〜模様の〜絶対絶命〜♪ 」
「さあさあ〜♪ さあさあ〜♪ 」
「はっきりかたをつけてよ〜♪ ……」
「やってられないわ♪ 」
「あの〜人〜とわた〜し〜の〜どちらを選ぶの〜♪ 」
P「……」
やよい「……」
P(まあ、中にはこういう気まずい空気になる歌もあるわけだが)
P「ちなみにやよいは、どの歌が好きなんだ?」
やよい「わたしですか?えーっとー」
やよい「よーごーれーてーもいい〜♪ 」
やよい「なーいーてーもいい〜♪ 」
やよい「あーいはーとーおーといーわ〜♪ 」
やよい「……っていううたが好きです!」
P「Oh……よりによってそのチョイスか……」
P「やよい。その歌はあんまり人前では歌うなよ?」
やよい「?……はい、わかりましたー」
P「それにしても、ゴメンな。こんなに夜遅い時間になってしまって」
P「家の方は大丈夫か?」
やよい「はい、へーきですっ!」
やよい「両親には話してありますし、最近は長介やかすみもがんばってくれてますので!」
P「そっか」
P(兄弟か。一人っ子の俺からすると、羨ましいなぁ)
やよい「でも、夏の夜っていいですよねー!なんだか、わくわくするっていうかー」
P「そうだなー。夏は夜祭りも多いし、薄着で出かけられるっていうのも、ポイント高いかもな」
やよい「お祭り!」
P「行きたいのか?」
やよい「はい!きっと楽しいですよー!」
P「わかったわかった。じゃあ、今度の○○川の花火大会、行くか?」
やよい「わぁ、ありがとうございますー!」
P「やよいは欲張りだなぁ」
P「……お、月が出てるな」チラッ
P「夏は夜。月の頃はさらなり……か」
やよい「あ、わたし、それ知ってますー!」
やよい「せいしょーなごんさんですよね?」
P「おお!やよいは物知りだなぁ!」
やよい「……まくらくさこさんのお友達の!」
P「……えっ?」
P「……あー、やよい?草子さんは納言さんの友達じゃなくてだな……」
やよい「も、もしかして、仲がわるいんですかー?」
P「いや、そうじゃなくて……」
P「枕草子っていうのは、清少納言の遺した文学作品の名前なんだよ。『くさこ』じゃなくて『そうし』って読むんだ」
やよい「え"っ……!?」
やよい「うー……わたし、てっきりお2人は大親友だとばかり……」
やよい「なごんさん、すみません……」シュン
P「大丈夫、なごんさんも気にしてないと思うぞ?」
やよい「そうだといいんですけど……」
P(学校の授業をしっかり聞いているようで実は早とちりしちゃってるやよい可愛い)
やよい「それで、プロデューサー。今日はどこへ連れてってくれるんですかー?」
P「ちょっぴり大人なところだよ」
やよい「大人なところ、ですかー」
キキーッ
P「……よし、到着だ」
やよい「わぁ、外はまっくらで何も見えませんねー」キョロキョロ
P「まあ、夜だし、こんな山の中だしな」スッ
やよい「プロデューサー?どうしたんですか?」
やよい「あれ?それって……」
P「やよい…………覚悟はいいか?」ニヤリ
やよい「ぷ、プロデューサー?」
やよい「はわわっ、プロデューサー……い、いきなりすぎですよぅ……!」ジタバタ
P「こら、暴れちゃダメだろ?」ガシッ
やよい「で、でもっ……あぅっ!?」ピクン
やよい「ひゃっ!?」ビクッ
やよい「そ、そんなところまで……?」
P「……」ドキドキ
P(ヤバい。やよいの反応が可愛い過ぎてやめられない……)
やよい「んっ……」ピクン
やよい「はぁ、はぁ……」
やよい「ぷ、プロデューサー……」
やよい「わたし、なんだかへんなかんじになってきちゃいましたぁ……」
P「…………」
P「仕方ないなぁ、やよいは」
P「ちゃんと虫除けスプレーしておかなきゃ、あとで辛い思いをするのはやよいなんだぞ?」
シューーッ
やよい「で、でも……これ、スースーして……ひゃぅっ!?」ビクンッ
P(他意はない。他意はないんだ……)
P(だけど、乱れたやよいを見てると、こっちまで妙な気分に……)
やよい「……お、終わりましたかー?」
P「ああ。……さて、俺もスプレーを……」
やよい「ダメですっ」パッ
やよい「今度は、わたしがプロデューサーに『して』あげる番ですよっ?」ニコッ
P「や、やよい?」
やよい「かくごしてくださいね、プロデューサー?」ワキワキ
P「だ、大丈夫、俺は自分でできるから……!」
やよい「うっうー!もんどーむよーですっ!!」ガバッ
シューーッ
P「いやぁぁぁぁぁーー!!」
P「ここから、少し歩くからな」
やよい「わ、わかりましたー」
P「えーっと、確かこっちだったかなー」
やよい「うぅ……まっくらでこわいですー……」
P「大丈夫だよ、やよい」ギュッ
やよい「あっ……」
P「ほら、こうして手を握っていれば、何も恐い事なんかないだろ?」
やよい「プロデューサー……!」パァァ
やよい「えへへっ♪ 」
やよい「ぜーったい、はなさないでくださいね?」
P「もちろん!」
P(……ていうか、むしろ俺の方がチビりそうだけどな……)
P(お化けとか、出ないよな……?)ドキドキ
「…………や…………」
P「!!」
やよい「!!」
やよい「ぷ、プロデューサー……今、声が……」
P「き、気のせいじゃないか……?」
「…………だろ…………」
やよい「はぅっ!?」ビクッ
やよい「ま、また……!」
P「お、お化けなんて、いるはずが……」ドキドキ
P「だだだ大丈夫だぞやよい!おおお俺がついてるからな!」ダキッ
やよい「は、はいっ!」ギュッ
「……はああぁぁぁんっ……!」
やよい「はわっ!?」
P「……あれ?」
やよい「お、女の人のさけび声が!」
やよい「ぷ、プロデューサー!」
P「……ちょっと待て」
「……もうこんなにして、いやらしい女だなぁ」クチュクチュ
「あンっ……だ、ダメぇ……!」
やよい「プロデューサー、男の人もいます!」
やよい「お、お化けが2人も……!」ガクガク
P「いや……」
P「……やよい。どうやらお化けじゃないみたいだ」
やよい「えっ?そ、そうなんですか?」
P「うん」
P(参った……。下手すりゃお化けより性質が悪いな、こりゃ)
P(暗くて何をしてるかまでは見えないのが、せめてもの救いだな)
「……ほら、これが欲しかったんだろっ!」
「はンっ……あ、あぁ……は、入って……っ」
やよい「あの人たち、何をしてるんでしょう?」
P「え、えーっと……」
やよい「女の人が、つらそうですー」
やよい「はっ!もしかして、男の人にイジめられてるんじゃ……!」
やよい「プロデューサー、助けないと!」
P「わああ、待て待て!」グイッ
P「あのな、やよい。あの人たちは多分恋人同士で、ケンカしたりイジめられたりしてるわけじゃないんだよ」
やよい「でも……なんだか女の人がかわいそうですー」
P「いや、きっと女の人は気持ちいいんじゃないかなぁ」
やよい「気持ちいい……んですか?」キョトン
P「ま、まあ、やよいも大人になればわかるよ」
P「さ、それより、早く行こう」
やよい「はーい」
P(やよいも、大人になればああいう行為を理解してしまうのだろうか)
P(実際にしてしまう日が、来るのだろうか)
P(なんだろう。胸の奥が、締め付けられて……)
P「ふぅ、ふぅ……」
やよい「プロデューサー、だいじょーぶですか?」
P「あ、ああ」
やよい「ハンカチ、使ってください。汗、すごいですよ?」スッ
P「ありがとう」
P「ふぃー……」フキフキ
P(まさか、こんな坂を登るのにも苦労するとはなー。学生時代には考えもしなかった)
P(運動不足って恐い)
やよい「わぁ、見てください、プロデューサー!月がとってもきれーですよー!」スッ
P「……本当だ」
P「貴音がいたら、喜びそうだなぁ……」
やよい「そうですねー!」
P(やよいと月見か。それもいいけど……)
P(本当に見せたいものは、別にあるんだ)
P「この坂を登りきれば、目的地だ」
P「あと少し、頑張ろう」
やよい「はいっ!」
P「はぁ、はぁ……」
やよい「プロデューサー、もうちょっとですよ!」ギュッ
P「よしっ」
P(俺のペースに合わせて、手を引いてくれる。やよいは優しいなぁ)
P(今は俺がやよいの優しさを独り占めしてるけれど、それはきっと、誰に対しても同じなんだよな)
P(だから、やよいは俺だけじゃなくて、みんなの女神なんだ)
P(でも……)
P「よっ……と」
P「ふぅ…………やっと頂上だ」
やよい「とうちゃくですー!」
P「あー…………しんど」ドサッ
やよい「おつかれさまです、プロデューサー!」スッ
P「ありがとう、やよい」
P「ゴクッ、ゴクッ……」
P(俺にスポーツドリンクを差し出してくれるやよい)
P(いつぞやとは、逆だなぁ)
やよい「いいうんどーになりましたねー!」
P「はは、そうだなー」
P「でも、この後同じ道を下らなきゃいけないと思うと……はぁ」
やよい「どんまいですよ、プロデューサー!」
やよい「じゃあ、少しきゅーけーしたら、行きましょうか?」
P「あ、ちょっと待った」
P「やよい、あっちを見てごらん?」スッ
やよい「へっ……?」チラッ
キラキラキラ…
やよい「…………わぁ…………!」
やよい「光が…………!」
やよい「とーっても、キラキラですー…………!」
P「ここは、知る人ぞ知る夜景スポットなんだ」
P「やよいにどうしても見せたくてさ。無理言って夜遅くに連れ回す事になっちゃったけど……」
やよい「すごーい…………!」
P「喜んでくれたみたいで、良かったよ」
やよい「プロデューサー、わたしっ…………!」ギュッ
やよい「かんどーしましたっ…………!」ウルウル
P「やよいは可愛いなぁ」ナデナデ
やよい「…………ぐすっ」
P「や、やよい?どうした?」
やよい「わ、わかり…ません……」ポロッ
やよい「わかりませんけどっ……!」ポロポロッ
やよい「うれし…くて、むねが…………ぐすっ」
やよい「くるしーんです……!」ポロポロッ
P「やよい……」
P「……」ポンポン
やよい「ぐすっ……ひぐっ……!」ギュッ
P「やよいは純粋なんだな。泣くほどに、この景色に感動しちゃったのか」ナデナデ
やよい「うぅっ……!」
やよい「あ、あの……たぶん、それだけじゃないかなーって……」
P「えっ?」
やよい「このけしきは、とってもきれーなんですけど……」
やよい「プロデューサーが、となりにいてくれたから……」
やよい「プロデューサーといっしょに、このけしきを見れたから……」
やよい「それがすっごくうれしくって、わたし……」
やよい「…………えへへっ///」
P「やよい……」
やよい「プロデューサー」クルッ
やよい「となりにいてくれて、ありがとうございます!」ニコッ
P「……」
P「……こちらこそ、ありがとう、やよい」ニコッ
P「綺麗だなー……」
やよい「きれーですねー……」
P「……」
やよい「……」
P「キラキラしてるなー……」
やよい「キラキラしてますねー……」
P「……」
やよい「……」
P「トップアイドルのステージって、きっとこんな感じだと思うぞ」
やよい「そーなんですかー……」
やよい「じゃあわたし、もっともーっとがんばらないとですねー……」
P「ああ。もちろん、俺も頑張るからな」
P「……」
やよい「……」
やよい「……あの、プロデューサー?」
P「……なんだ?」
やよい「プロデューサーって、高いところがにがてなんですよね?」
P「そうだけど……いきなりどうした?」
やよい「体力も、あんまりないですよね?」
P「いや、これでも学生時代はだな」
やよい「それでー、お化けもにがてなんですよねー?」
P「そ、それは……やよいだって同じだろ?」
やよい「えへへ、そうでした……」
やよい「……」
やよい「でも……にがてなのに、わたしに付き合ってくれる」
やよい「そんなやさしいプロデューサーが……」
やよい「…………わたしは、大好きです!」
P「……!」ドキッ
P(薄々は、気づいてた)
P(もしかしたら、そんな風に思ってくれてるんじゃないかって)
P(でも、やよいの好きは……俺の好きとは違うだろう)
P(それに、これからの事もある)
P(ここで選択肢を間違ったら、きっと大変な事になる)
P「…………やよい」
やよい「は、はいっ!」
P「やよいは、俺にとって……とても大切なアイドルだ」
やよい「!」
P「これからも、一緒に頑張って行こうな!」
やよい「……」
やよい「……はいっ!」ニコッ
P(……良かった。いつも通りのやよいの笑顔だ)
P(俺は、間違えずに済んだみたいだな)
P「……さて、そろそろ帰るか」
やよい「そうですねー」
やよい「…………」
P「……やよい?どうした?」
やよい「あっ……い、今行きます!」
P「暗いから、足元に気をつけるんだぞー」
やよい「はーい」
〜 高槻家前 〜
P「今日は楽しかったな」
やよい「…………」
P「……やよい?なんか元気ないな」
やよい「あっ……」
やよい「そ、そんな事ありませんよっ?わたしは、いつだって元気いっぱいです!」
P「そっか、良かった」
P「夜遅くに出かけたから、風邪でも引いちゃったのかと思ったよ」
やよい「えへへ、心配かけて、すみません」
P「もし、やよいが風邪を引いてしまったら、きっと世界中の人が悲しむからなー」
やよい「…………」
やよい「…………じゃあ」
やよい「プロデューサーは、かなしんでくれますか?」
P「えっ?」
やよい「わたしがかぜ引いちゃったら、プロデューサーは、かなしんでくれますか?」
P「そんなの当たり前だろ?やよいは俺の大切な……」
やよい「アイドルだから、ですか?」
P「や、やよい……?」
やよい「…………もしも、わたしが……」
やよい「……すっ、すみません、プロデューサー!今のは、わすれてください!」
やよい「えへっ、わたし、ちょっとつかれてるかもです!」
やよい「明日からまた、がんばっていかないとですよねっ!」
P「う……うん。そう……だな」
やよい「…………」
P「…………」
P(なんか、気まずい……)
P(今までやよいといて、こんな空気になった事はないのに……)
やよい「……そ、そうだプロデューサー!いつもの、やりましょう!」
P「あっ…………そ、そうだな!明日からまた、気合いを入れるためにも」
P「やよいは機転が効くなぁ!」
やよい「えへへっ、じゃあ、いきますよー?」
P「よ〜し、来い!」
やよい「はい、た〜っち!」パァン
やよい・P「いぇいっ!」
やよい「…………」
P「…………」
P(あ、あれ……?)
P(やよいの伝家の宝刀でも、空気を変えられないのか……)
やよい「……そ、そろそろわたし帰りますね?」
やよい「プロデューサー、送ってくれて、ありがとうございましたー!」
P「う、うん。ゆっくり休むんだぞ?」
やよい「はーい!それじゃあ、おやすみなさーい!」フリフリ
P「おやすみ、やよい」
P(…………やよい、どうしたんだ?なんだか変なテンションだった気がする)
P(ハイタッチも、あんなに乾いた音だったっけか)
P(…………いやいや)ブンブン
P(また明日から頑張ろうって、やよいも言ってた)
P(俺も、気持ちを切り替えないとな)
〜 765プロ事務所 〜
小鳥「〜〜♪ 」
…ガチャ
P「おはようございまーす」
小鳥「あ、プロデューサーさん、おはようございまーす!」
小鳥「やっと地獄から抜け出せましたねー」ルンルン
P「……はい?何を言っているんです?」
小鳥「やだなぁ、エアコンですよ!ほら、すっごい涼しくないですか?」
ブォォ…
P「あ、ホントだ………修理、来たんですね」
律子「直ったからって、調子に乗って温度を下げ過ぎないでくださいよ、プロデューサー?」
P「うん、気をつけるよ」
律子「……?」
律子「なんか元気ないですね、プロデューサー」
小鳥「そうですねぇ。せっかくエアコンが直ったのに、嬉しくないのかなぁ」
小鳥「こないだは、あんなに死にそうだったのに……」
律子「どうしたのかしら……?」
P「ふぅ……」
P(結局、昨日はほとんど寝れなかったな)
P(別れ際のやよいの様子が気になって、同じ事をグルグル考えてた)
P(2人で夜景を見る時までは、確かに問題なかったはずなんだよな)
P(……って、また、昨日と同じ事を考えてる)
P(やよいに直接聞けば、解決するよな、きっと)
P「……とりあえず、仕事でもするか」
律子「……せいっ!」ベシッ
P「あいたっ!?」
律子「なーにが『仕事でもするか』ですか!まったく」
P「り、律子……」
律子「気合いが足りませんよ?プロデューサー!」
律子「『みんなまとめてトップアイドル』はどうしたんですか」
律子「そんなんじゃ、私たちにも勝てませんからね?」
P「ああ、ごめん……」
律子「むぅ……」
律子「あ、そういえば最近、やよいと仲良しみたいですね。小鳥さんに聞きました」
P「ああ、まあ、そう…………かな」
律子「私が事務所にいない間に、やよいに変な事してないでしょうね?」
P「ば、バカっ!そ、そんなハレンチな事、やよいにできるわけないだろ!?」
律子「……あれ?私、変な事、としか言ってませんけど?」
P「あっ」
律子「どーしてあなたはすぐ、そういう発想に至るんですかっ!」グニグニ
P「い、いひゃいいひゃい!」
P「うぅ……俺のほっぺがぁ……」ヒリヒリ
P「千切れたらどうしてくれるんだよぉ!」
律子「千切れるわけないじゃないですか……」
律子「はぁ……少しは元気出ました?」
P「あ……」
律子「何があったか知りませんけど、あなたが暗いと、あの子たちまで暗くなっちゃいます」
律子「元気、出してくださいね?」
P「律子……」
P「すまん。ありがとう、律子」
P(律子って…………やっぱ姐さんだよなぁ)
P(気合い、入れなきゃ)
〜 ダンススタジオ 〜
真「……ほっ、よっと!」
キュッ キュッ…
P「いいぞ、真!」
千早「ふっ……!」
キュッ キュッ…
P「千早、素敵だ!」
雪歩「うぅっ……えいっ!」
キュッ キュッ…
P「雪歩、頑張れ!」
響「自分にはこんなの、楽勝だぞ!」
キュッ キュッ…
P「響、なんくるないさー!」
春香「よーし、私だって!」
キュッ キュッ…
P「春香、足元に気をつけ……」
春香「あっ……」ズルッ
ドンガラガッシャーン!
P「……うん、春香もいい調子みたいだな!」
P「よし、みんな。少し休憩にしようか」
5人「はーーい!!」
トレーナー(私のやる事がない……)
春香「なーんか今日のプロデューサーさん、気合い入ってるよねー」
千早「目が、輝いているわね」
雪歩「確かに。何かいい事あったのかなぁ」
響「プロデューサーがテンション高いと、自分もやる気が湧いてくるぞ!」
真「そうだね!よーし、この調子で頑張ろう!」
春香・響「おーー!!」
P(よしよし。午前組のレッスンは順調だな)
P(午後組は……)ペラペラ
P(貴音、美希、真美、やよいか)
P(個性的なメンバーが集まったけど、まあ、大丈夫だろう)
P(女神やよいが、しっかりみんなを導いてくれるはずだ)
P(でもまずは、午前組のレッスンに集中しないとな)
ブーッ ブーッ
P「……ん?着信?」ゴソゴソ
P「事務所から……音無さんかな」
ピッ
P「お疲れ様です」
P「……ああ、音無さん。どうしたんですか?」
P「…………えっ!?」
P「やよいが、休み……?」
真「……ほっ、よっと!」
キュッ キュッ…
P(やよい……どうしたんだろう)
千早「ふっ……!」
キュッ キュッ…
P(まさか、本当に風邪引いちゃったのか……?)
雪歩「うぅっ……えいっ!」
キュッ キュッ…
P(も、もしかして、すごい高熱で苦しんでるんじゃ……?)
響「ふふーん!簡単簡単!」
キュッ キュッ…
P(ああ、心配だ……!)
春香「よーし、今度こそ私だって!」
キュッ キュッ…
…ピタッ
春香「…………で、できた!」パァァ
春香「プロデューサーさん!今の、見てくれましたかっ?」クルッ
P「……」ドヨーン
春香「…………あ、あれ?」
春香「なんか、プロデューサーさん、すっごい落ち込んでない?」
千早「目が、死んでいるわね」
雪歩「確かに。何か嫌な事あったのかなぁ」
響「プロデューサーがテンション低いと、自分も暗くなっちゃうぞ……」
真「おかしいなぁ。さっきはあんなに元気だったのに……」
真「ねえ、プロデューサー。何かあったんですか?」
P「やよいが……やよいがぁ!」ガバッ
真「うわぁっ!?」
春香「ちょ、ちょっと、落ち着いてくださいっ!」ガシッ
千早「高槻さんに、何かあったんですか?」
P「やよい、今日はお休みだって、さっき……」
響「えっ?そ、それだけ?」
P「心配になるじゃないか!」
P「もしかして、大きな病気にかかってしまったんじゃないか、とか、交通事故にでもあったんじゃないか、とか……」
響「プロデューサー、考えすぎだぞ」
響「だって、今日一日だけなんでしょ?だったら、ちょっと風邪引いちゃっただけだって!」
雪歩「もしかしたら、お家の事情とかかもしれませんし……」
P「でも……」
春香「……とにかく、元気出してくださいね?午後も、美希たちのレッスンがあるんですよね?」
P「うん……」
真「やよいは大丈夫!いいですか?」
P「うん……」
響「もう、そんな暗い顔しないの!」
P「うん……」
雪歩「プロデューサー、飴、どうぞ」スッ
P「うん……」
千早「じゃあ、私たち、もう行きますから」
P「うん……」
5人(…………なんか、子供みたい)
プルルル…
ガチャ
『うっうー!高槻やよいですっ!ご用の方は、はっしんおんのあとにめっせーじを入れてくれたらうれしいかなーって!』
P「……」キュン
プツッ
P「んー、出ないかぁ……」
P(あまりの可愛さに、最後まで聞いてしまった)
P(……って、それは置いといて)
P(午前のレッスンでは、醜態をさらしてしまった)
P(午後は、気持ちを切り替えて行かないとな)
真美「ねえ兄ちゃーん。どうすんのさー?」
貴音「やよいは、今日はお休みなのですか?」
美希「……あふぅ」
P「うん。そうなんだ」
真美「えー、やよいっち、来ないのー?」
真美「亜美はいそがしーから、やよいっちにゲーム手伝ってもらおーと思ったのになー」
美希「ねえ、プロデューサー。全員そろってないなら、今日のレッスンお休みでいいよね?」
美希「ミキ、おうち帰ってお昼寝するの」スッ
P「こ、こらこら、帰っちゃダメだ」ガシッ
P「今日は、3人でレッスンしよう」
美希「え〜、めんど……じゃなくて、やよいがいないから、気合いが入らないの」
真美「ミキミキ、今おもいっきし『めんどくさい』って言おうとしたっしょ……」
美希「だってミキ、昨日は12時間しか寝てないんだよ?寝不足もいいとこなの」
P「いや、それはおかしいだろ」
貴音「そろそろ始めないと、時間がおしてしまいますね」
真美「真美はいいんだけど、ミキミキが……」チラッ
美希「かーえーるーのー!」ジタバタ
P「お、おい美希、あんまり困らせないでくれよ」
真美「こりゃー、兄ちゃんもタイヘンだねぇ」
貴音「…………」
貴音「美希。わがままを言うものではありません。ぷろでゅうさぁ殿も、困ってらっしゃるではありませんか」
美希「だって、やよいだけずるいの。きっと家でお昼寝してるんだよ?」
美希「だから、ミキも帰って寝るの!」
P「美希、ダメだって……」
貴音「ならば、こうしてはどうでしょう?」
貴音「今日のれっすんを頑張れば、ぷろでゅうさぁ殿からわたくしたちに、ご褒美が頂ける、と」
美希「……」ピクッ
真美「おお!ごほーび!」
真美「お姫ちん、ナイスアイディアだよー!」
美希「……」
美希「………………ごほうびって、何がもらえるの?」
貴音「そうですね……。何か美味しいものをご馳走して頂ける、とか」チラッ
P「…………うん、まあ、それくらいなら全然問題ないよ」
真美「やったぁー!」ピョン
貴音「ありがとうございます」
貴音「どうですか、美希」
美希「む〜……仕方ない、イチゴババロアに罪は無いの」
美希「そうと決まったら、さっさと終わらせてイチゴババロアを食べに行くのー!」
美希・真美「おーー!!」
P「貴音、ありがとな。助かったよ」
貴音「いえ、わたくしは何も……」
貴音「それよりも、何を食べに行きましょうか……」ジュルリ
P(やばい。この子、本気だ……)
〜 やよいの部屋 〜
やよい「……」
やよい「……」
やよい「……」
やよい「…………はぁ」
やよい(わたし、わるい子になっちゃった……)
やよい(ずる休み、しちゃいました……)
やよい(明日からまたがんばりましょうって、プロデューサーと約束したのに……)
やよい(プロデューサー、怒ってるかな……)
『やよいは、俺にとって……とても大切なアイドルだ』
やよい「…………」
やよい(プロデューサーは、アイドルのわたしを大切だって言ってくれました)
やよい(でも、じゃあ、アイドルじゃないわたしは……?)
やよい(わたしは、どんなプロデューサーも好きなのに……)
やよい(どんなプロデューサーでも、ずーっといっしょにいたいのに……)
やよい(プロデューサーは、アイドルのわたししか見てくれないんでしょーか……)
やよい「……」ゴロン
やよい(プロデューサーが見せてくれた夜景がとってもきれいで、うれしくなって、つい言っちゃったけど……)
やよい「わたしの『大好き』は、プロデューサーにはめーわくだったのかな……)
やよい「……ぐすん」
やよい「うぅ……昨日もたくさん泣いちゃったのに……」ジワッ
やよい「わたし、こんな泣き虫じゃないのにっ……!」
…ボフッ
やよい「〜〜〜〜!」
やよい「……」
やよい「……」
やよい「……」
やよい「……」
チカチカ…
やよい「…………あれ?けーたいが光ってる……?」スッ
やよい「えーっと、『チャクシンアリ』って書いてあるけど、何の事だろう……?」
やよい「うぅ……けーたいってやっぱり、むずかしーですー」
やよい「…………あっ」ガバッ
やよい「それより、浩三のおしめ替えなきゃ」
…コンコンッ
ガチャ
長介「…………やよい姉ちゃん?」
やよい「長介?どうしたの?浩三のおしめなら、今から……」
長介「……もうやったよ」
やよい「そうなんだ。ありがとう」
やよい「……そうだ、晩ごはんの用意しなきゃだね!」スクッ
長介「姉ちゃん、ぐあいわるいんだろ?それくらいオレとかすみでやっとくからさ」
やよい「でも、昨日もやってもらっちゃったし……」
長介「夏休みくらい手伝わせてよ。いつもやよい姉ちゃんに全部やってもらってるんだし」
やよい「長介……」
長介「……それでさ、買い物、おねがいしてもいいかな?」
やよい「えっ?」
長介「ほら、今日はもやしパーティの日だから。オレ、やよい姉ちゃんみたいにいいもやし買えないかもしれないし……」
やよい「うん、わかった。お姉ちゃんにまかせてっ!」
やよい「それじゃ、いってきまーす!」
長介・かすみ「いってらっしゃーい!!」
かすみ「……長介も、不器用だねぇ。『外の空気を吸ってきなよ』って、素直に言えばいいのに」
長介「う、うるさいなぁ」
長介「男は多くをかたらないんだよっ!」
かすみ「えへへ♪ 長介はやよいお姉ちゃんが大好きなんだねー」
長介「っ……///」カァァ
長介「そ、そんな事より!ほら、かすみ!ごはんの用意するぞっ!」
かすみ「もぉ、わたしの方がお姉ちゃんなんだからね?」
長介「長男の方がえらいって、この前テレビでやってたし!」
かすみ「はいはい……」
長介「……やよい姉ちゃん、少しは元気になってくれるかなぁ」
かすみ「わかんないけど……長介の気持ちはとどいてるんじゃないかな……」
〜 スーパー 〜
やよい「えーっと、もやし、もやし……」キョロキョロ
やよい「あ、あった」
やよい「うーん、でも……」スッ
やよい「いつもより、ちょっとだけ高いかなーって」
おじさん「……やあ、やよいちゃん!」
やよい「あっ!半額シールのおじさん!」
やよい「こんにちはー!」ガルーン
半額おじさん「こんにちは。いつも元気だねぇ!」
半額おじさん「よし!今日もやよいちゃんに半額シール、オマケしちゃうよっ!」ペタッ
やよい「わぁ、ありがとうございまーす!」
半額おじさん「あ、それと……」ゴソゴソ
半額おじさん「よかったら、これも使ってよ」スッ
やよい「?……これは?」
半額おじさん「今度のお祭りの、焼きそば無料券だよ」
やよい「む、無料!?い、いーんですかっ?」
半額おじさん「やよいちゃんにはいつもお世話になってるしさ。それに、その店はおじさんが出店するんだよ」
やよい「ありがとうございますー!ぜったいに、行きますねっ!」
〜 商店街 〜
やよい「えへへっ、今日は得しちゃった〜♪ 」ルンルン
やよい「でもこれ、どこでやるお祭りなのかなー」スッ
やよい「えーっと……○○川花火大会……?」
やよい「あれ、これって……」
『わかったわかった。じゃあ、今度の○○川の花火大会、行くか?』
『わぁ、ありがとうございますー!』
やよい「…………」
やよい(プロデューサー、おぼえてるかな……)
やよい(でも、わたし、わるい子だし……)
やよい(きっとプロデューサー、怒ってるよね……)
やよい「…………はぁ」
トボトボ…
〜 ファミレス 〜
真美「ん〜、おいち〜!」
真美「やっぱ、働いたあとのデザートはサイコーだねっ!」モグモグ
美希「うん!ミキもそう思うな!」モグモグ
P「はは、喜んでもらえて、俺もうれしいよ」
P(はぁ……これで給料日まで、辛い日々が……)
真美「そりゃそりゃ〜!」ドバァ
美希「ま、真美?……何してるの?」
真美「何って、プリンにしょうゆかけてるんだよん」
真美「やよいっちが言ってたんだ。プリンにしょうゆをかけると、ウニになるって!」
真美「ミキミキも食べる?」
美希「え、エンリョしとくの」
美希「っていうか、そんな真っ黒なプリン、もはや食べ物って言えないって思うな……」
P(やよい……)
貴音「……」じーっ
P「……貴音?何を読んでるんだ?」
貴音「めにゅーを見ていたら、この様なものが……」スッ
P「○○川花火大会、開催間近!フランクフルト無料券プレゼント……か」
貴音「確か、この辺りで催される縁日でしたね」
P「ああ、そうだな」
P(この花火大会って……)
『わかったわかった。じゃあ、今度の○○川の花火大会、行くか?』
『わぁ、ありがとうございますー!』
P「…………」
P(やよい、覚えてるかな)
P(でも、もしやよいの体調が悪いなら、無理に誘うのも……)
P(はぁ……)
貴音「ぷろでゅうさぁ殿?……どうかしましたか?」
P「い、いや、なんでもないんだ」
貴音「そう、ですか?」じーっ
P「そ、それより、貴音はもういいのか?」
貴音「ふふ、舐めてもらっては困ります。ここまでは、単なる準備運動に過ぎません」
真美「……って言っても、お姫ちん、さっきラーメンとカツカレー大盛り食べてたけどね」
美希「食に関しては、貴音に一般常識は一切通用しないの」
貴音「ここからが……」ゴゴゴ
貴音「四条貴音の、真髄です!」カッ
P(あ、俺のサイフ終わったかも)
貴音「店員殿、よろしいですか?」スッ
店員「お伺いしまーす!」
おわり
19:30│高槻やよい