2015年10月09日

モバP「アイドル達にモテてつらいと言えないこんな世の中じゃ」

前作:モバP「アイドル達にモテてつらい」(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1435723686/)

別に前作を読まなくても話は問題なく理解できます









SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1442669569



P「うーむ」



美嘉「おはよー★……ってあれ、どうしたの? 腕組んじゃって悩み事?」



P「ああ。実は部長からお見合いを薦められたんだ」



美嘉「へえ、いいじゃん。前から彼女欲しい欲しいって言ってたんだし、一気にお嫁さんゲットのチャンスだよ?」



P「そうだな。確かにそうだ」



P「部長いわく、元気で強くてパートナーを引っ張ってくれるような女性らしい……うん」



美嘉「……なーんか嫌そうな言い方だね」



P「俺はどちらかと言うと守ってあげたくなるような女性が好みなんだ」



美嘉「そんなこと言って、ほんとは亭主関白になりたいだけだったりして★」



P「そんなことはないぞ。尻に敷かれたくないと思っているのは事実だけど」



美嘉「会う前から尻込みしててもしょうがないって! プロデューサーだって強いところ見せてあげればいいじゃん」



P「俺の強いところ?」



美嘉「そうだよ。個性派揃いのウチのアイドルをちゃんとまとめてるんだからさ★」



P「そうかな。俺、勝てるかな」



美嘉「大丈夫だって。ていうか、そもそも勝ち負けの話じゃなくない?」



美嘉「なんでそんなに弱気なのか知らないけど、もっとグイグイ行こうよ」



P「……そうだな。美嘉の言う通りだ」



P「俺、頑張るよ」



美嘉「その意気その意気!」



美嘉「ちなみに、そのお見合いの相手の写真とかないの? アタシ興味あるんだけど」



P「ああ、あるぞ。これだ」



美嘉「サンキュー。どれどれ……」



美嘉「………」



P「何か反応してくれないか」



美嘉「えっと、その……アレだね★ホント、強そうな人だね★」



美嘉「たとえるなら、そう、まるで――」





友紀「おはよー。あれ、美嘉ちゃん何見てるの?」



友紀「あ、この写真の人ブストスに似てる! 絶対スラッガーだよスラッガー!」



美嘉「プロデューサーが尻に敷かれるの恐れてた理由がわかった気がする……」







翌週





P「私より強い男でなければダメだと言われたので諦めました」



美嘉「あー、まあしょうがないね」



別の日





友紀「……しんみり」シミジミ



未央「プロデューサー。今日のユッキー、なんかいつもと違うね」



P「そうだな。いつもの友紀ならこの時間は持ち込んだスポーツ新聞に目を通している時間なのに」



未央「昨日キャッツがボロ負けしたとか?」



P「いや、昨日は勝ったぞ。まだまだ優勝争い中で、むしろ一番盛り上がりそうなところなのに」





友紀「ひとつの時代の終わりだね……ガッツもベンちゃんも西口さんもみんな引退かぁ」



P「ああ、なるほど。それでしんみりしてたのか」



未央「どういうこと?」



P「この時期恒例の選手の引退宣言ラッシュだよ。往年の名選手たちが現役をやめることになって、友紀も時の流れを感じているんだ」



友紀「プロデューサー……プロデューサーも一緒に、2000年代のプロ野球を語り合わない?」



P「気持ち的にはアリだが、これから会議に行かなきゃならない」



友紀「そっか。じゃあ未央ちゃん、お姉さんが全盛期のガッツ伝説を語ってあげるからこっちにおいでよ」



未央「ガッツって、ガッツ石松?」



友紀「違うよ。島国が生んだ和製大砲にしてラストサムライ、小笠原だよ」



未央「あ、なんかその選手聞いたことあるかも。教えて教えて」



友紀「いいよー。じゃあまずアマチュア時代の話から」



P「おーい。俺だけじゃなくて、君達もそろそろレッスンの時間なんだが」



友紀「あ、そっか。それなら仕方ないね」



P「珍しい。友紀が野球関連であっさり折れるなんて。いつもならあと5分だけ語らせてと言い出すところなのに」



友紀「引退した選手たちのぶんまで、現役アイドルのあたしが頑張らないと」



未央「おお、ユッキーの瞳が静かに燃えている!」



P「果たしてプロ野球選手とアイドルの間に関連性があるのかは不明だが……まあ本人がやる気ならいいか」



数時間後





紗南「あ、友紀さーん。パワプロ最新作来年発売だってさ」



友紀「マジ!? てっきりもう出ないものかと思ってたよ!」



友紀「こうしちゃいられないね。次が発売される前に栄冠ナインやり切っとかないと!」



P「この後撮影の仕事だぞ」



友紀「えー? そうなのー? ちょっとだけ待てない?」ブーブー



P「あっという間にいつもの友紀に戻ったな……」



P「という感じで、真面目な友紀は一瞬でいなくなってしまったんですよ」



麻理菜「はははっ、それは残念だったね」



心「人間、そんな簡単に変わるもんじゃないってことよ☆」



P「まあそんなもんですよね。友紀はああいう性格のほうが合ってる気がしますし」



麻理菜「にしても、和田選手とか谷繁選手とか、みんな引退しちゃうのね」



心「あれ、マリナル野球わかるの?」



麻理菜「たまーにテレビで試合見るから、ちょっとだけね。そういうにわかな人間でも知ってるレベルの選手なのよ」



P「そうですね。俺もショックですよ。特に和田さんの引退は」



心「ん? プロデューサー、その選手のファンだったの?」



P「はい。彼の活躍する姿に何度元気をもらったか」



P「俺も頑張らなきゃな、と思ったもんです。俺と彼は同じなんで」



麻理菜「同じ……あっ」



心「ほうほう♪それってなにかシンパシー的なものを感じたからとか?」



P「そうですね。地元が同じなので」



麻理菜「あ、そういう理由か」



心「むむ? マリナルはどんな理由だと思ってたの?」



麻理菜「えっ? いえ、別にたいした考えがあったわけではないから」チラ



P「なんで今俺の頭部に視線向けたんですか」



麻理菜「む、向けていたかしら」



P「………」ジーー



心「あっ、もしかして和田選手ってハ」



麻理菜「さて、そろそろレッスンの時間ね! 行きましょう心!」



心「あれ? ちょっとマリナル強引だぞ☆ 引っ張るなって☆」ズルズル









P「………」



仁奈「おはようごぜーます! ……P、どうかしたですか?」



P「大人ってずるいな。簡単に逃げることを思いつく」



仁奈「???」



P「前にも言ったが、俺の前髪は長打警戒のシフトを敷いているだけだ」



P「和田選手は人柄もよくてな。長い長い下積み時代を経て、才能が花開いたんだ」



裕子「努力の末のサイキック2000本安打ですね!」



裕子「それはさておきプロデューサー! 見せたいものがあります!」



P「見せたいもの?」



裕子「実は昨日、勉強の合間に『あいうえお作文』を気分転換にやっていたんです」



裕子「アイドルユッコをよりPRするために、『ほりゆうこ』であいうえお作文やってみました」



P「なるほど。それはなかなかいいアイディアかもしれない」



P「プライベートでそんなことをするとは、裕子もアイドルとしての自覚が強くなった証拠だな。偉いぞ」



裕子「えへへ、照れます」



裕子「では発表します!」



裕子「ほりゆうこの、ほ! 本当にサイキックなんです信じてください!」



P「のっけから全然信用できない雰囲気だ」



裕子「ほりゆうこの、り! 理想は高くエアーズロック!」



P「まあギリギリアリか」※エアーズロックの高さは約350メートル



裕子「ほりゆうこの、ゆ! 勇気と絆で世界を救う!」



P「スケールでかくなってきた」



裕子「ほりゆうこの、う! うまるちゃんと杏ちゃんちょっと似てますね」



P「途中でアニメ見始めてるぞ」



裕子「ほりゆうこの、こ! こ、小梅ちゃんそっちには誰もいないよ……?」



P「おい何があったんだ気になるぞ」



裕子「どうでしょうか!」



P「あとで居残りで一緒にやり直すぞ」



裕子「えー!?」



また別の日





薫「おとぉさん!」



P「ん?」



薫「あっ、まちがえちゃった。せんせぇ!」



P「はは。そういえば、小さい子はたまに、学校の先生をお父さんとかお母さんとか呼んじゃうらしいな」



薫「えへへ、しっぱいしっぱい」



P「これからは間違えないようにしないとな」



薫「うん!」



その後





薫「おかぁさん!」



早苗「うん?」



薫「あっ、またまちがえちゃった」



早苗「あはは、あたしをお母さんと間違えちゃったかー」



P「なかなか直らないな。この前は俺のことお父さんって呼んでたし」



薫「うーん」



早苗「ま、無理に直さなくてもいいんじゃない? 逆に愛嬌があってかわいさ5割増しだし」



P「それは言えてますが」



早苗「しかし、あたしがお母さんか」



早苗「28歳と9歳だから、まあ年齢的にはギリあり得るのよね。あたしも年取ったなあ」



P「そうですねー」



早苗「ちょっと、そこはお世辞でも『まだまだ若いですよー』とか言うとこじゃないのー?」



P「そうですか?」



早苗「そう!」



薫「早苗お姉ちゃん、若くてきれいだよ!」



早苗「ほら見なさい。小さい薫ちゃんですら言ってくれるのに」



P「はあ……まあ実際、早苗さん童顔ですから若く見えるのは事実ですよね」



早苗「ふふっ、ありがと、お父さん♪」



P「お父さん?」



早苗「あたしがお母さんでP君がお父さんだから、夫婦ね」



P「な、なに言ってるんですか急に」



早苗「あれれ? 顔が赤いぞ青年〜。ひょっとして照れてる?」



P「照れてないですってば」



早苗「そうかな〜?」



薫「かおるもいっしょにあそぶー!」ワイワイ







扉の隙間から覗く裕子「………」ジーー



裕子「サイキックアイドルは見た! 隠された親子関係!」



未央「いやそんなわけないでしょ」



光「Pとヒーローごっこをしに来たら親子ごっこが始まってた」



未央「じゃあ私達と一緒にやろっか」



光「え、いいのか?」



未央「うん! んじゃ私セクシーな悪の女幹部だから」



裕子「では私は超能力ヒーローですね!」



未央「フフフ、悪の組織ナンバー3の力を見せてやろう!」



光「あ、ちょっと! アタシを置いて始めようとしないでって!」

とある日曜日





仁奈「今日はお仕事が休みです」



仁奈「一日中おうちにいられるでごぜーます」



仁奈「………」



しーん……



仁奈「誰もいないからテレビでも見やがるのです」



仁奈「………」



ナンデヤネーン ワハハハ



仁奈「………」



ぐぅ〜



仁奈「もうお昼の時間です」



仁奈「おにぎり、おにぎり……」トテトテ



ピンポーン



仁奈「?」





友紀「やっほー仁奈ちゃん! 遊びにきたよー!」



友紀「いやー、家でキャッツの応援してたら隣にうるさいって言われちゃってさ! 仁奈ちゃんの家広いから、ここで一緒に応援させてよ!」



仁奈「……うん! 応援するでごぜーます!」



友紀「そうこなくっちゃ! あ、あとそこのお店でカツサンド買ってきたから食べよ?」



仁奈「わーい!」



同時刻 事務所





P「最近、友紀の影響でみんな野球に詳しくなり始めてる気がする」



藍子「ですね。私もこの前、キャッツの選手の紹介をしてもらいました」



P「興味ないなら断っていいんだぞ」



藍子「そんなことないです。今までプロ野球は見てませんでしたけど、いろいろ隣で説明してもらいながら見ると、面白かったですよ?」



P「ほー、そうか。ならいいんだが」



藍子「サッカーとかは、少し目を離しているとすぐに状況が変わってしまいますけど、野球は要所要所でプレーが止まってくれるので。私にはそちらのほうが合っているのかも」



P「ゆるふわだもんなあ」



夕方





裕子「プロデューサー! あいうえお作文完成しました!」



P「どれどれ……うん、これなら問題ないな」



裕子「数日かけたかいがありました!」



藍子「よかったですね。ユッコちゃん」



P「よし。頑張ったご褒美に、今日の晩御飯は俺がどこかに連れて行ってやろう」



裕子「いいんですか? ならお言葉に甘えちゃいます」



P「藍子もどうだ?」



藍子「私もいいんですか?」



P「いつも頑張ってくれてるからな。たまにはおごるくらいしないと」



藍子「そういうことなら……はい、お供させてもらいますね」



裕子「私、今日はラーメンが食べたい気分です」



藍子「ラーメンかぁ。私、いつも食べ終わる頃には麺が伸びちゃってて」



P「それはさすがにゆるふわしすぎだ」



そしてラーメン屋到着





P「ん?」



友紀「あ、プロデューサー」



仁奈「藍子おねーさんとユッコおねーさんもいるですよ」



裕子「これは思わぬ偶然ですね。お二人も晩御飯ですか?」



友紀「うん。今日はキャッツ勝ったから、お祝いにパーッとね!」



仁奈「パーッと、です!」



藍子「ふふっ。ふたりとも両手を挙げて、リアクションが同じです」



P「友紀。仁奈に変なこと教えてないだろうな?」



友紀「失礼な! プロデューサーはあたしをなんだと思ってるのさ!」



友紀「あたしだってちゃんとしてるんだから。今日だって、ほんとはたくさんビール飲みたいけど、仁奈ちゃんの保護者として酔っちゃダメだと自重してるんだよ?」



友紀「……と思ったけど、プロデューサーが来たんならあたしが保護者やらなくてもいいのか。すみませーん、生ビールひとつください!」



P「ひとりで勝手に納得して飲み始めたぞ」



藍子「任されちゃいましたね、Pさん」



P「別にそれはいいんだけどさ……まあいいや。俺達もさっさと注文してラーメン食べよう」



裕子「今日は味噌の気分……いや、やっぱり塩かな……むむむ、悩みます」



仁奈「仁奈は味噌ですよ」



裕子「んー、じゃあ私も味噌にします!」



帰り道





P「ほら、家に着いたぞ」



友紀「はれ〜? ここあたしのおうち〜?」フラフラ



P「そうだよ。まったく、なんで最年長の子が一番手間がかかるんだか」



友紀「みんなはー?」



P「もう帰ったよ。仁奈は一緒に家まで送ったんだが、覚えてないのか」



友紀「あー、そういえばそうだったかも〜」



P「お前に『今日はありがとう』って言ってたぞ」



友紀「えへへ、どういたしまして」



P「それを言う相手は俺じゃないけどな」



P「あとあんまり抱きつくな。さっきから胸当たってる」

友紀「それじゃプロデューサー、ばいばーい」



P「ああ、おやすみ。明日は午後からだけど、遅れずに事務所に来るんだぞ」



友紀「わかってるって〜」ヘラヘラ



P「激しく不安だ」









P「さて。友紀も無事家に送り届けたし、帰るか」



P「今日も平凡な一日だったけど、楽しかったな。パッション揃いのアイドルと一緒にいると退屈しない」



P「……明日も頑張ろう」





おしまい





17:30│モバマス 
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