2015年10月16日

響「おーいハム蔵ー! どこだー!」




……

−公園







響「出てきてよー! ハム蔵のごはん食べたのは謝るからー!」



響「ハム蔵ってばー! ……おかしいな、どこ行っちゃったんだろ」



響「いつもならすぐ戻ってくるのに……心配だぞ……」





「おーい!」



響「! この声は」







青年「よっ!」



響「…………誰!?」









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青年「ひどいな響ちゃん、オレだよオレ」



響「オレオレ詐欺か? 残念だけど自分完璧だからそーいうの引っかからないぞ」



青年「そもそもオレオレ詐欺が何か分かってんの響ちゃん」



響「うがー! バカにしないでよ!! ……って、この感じ……」



青年「やっと気づいてくれた?」



響「で、でも……いや、そんなまさか……」



青年「そ、…………オレ、ハム蔵」











響「……」



青年「あ、なにその怪訝な眼差し。信じてないな?」



響「当たり前でしょ!」



青年「なら証拠を見せてやる……これだ!」サッ



響「それはっ……! ヒマワリの……種!!」



青年「そう、そしてこれをムシャムシャムシャ」バリバリモグモグ



響「なんだお前!!?」



青年「ゴクン……どう?」



響「ハムスターのエサをバリバリ食べるなんて絶対普通じゃないぞ……頭おかしいんじゃないか!?」



青年「……」



響「そうか分かった! 変質者だな!! 通報してやる!!」



青年「人間の姿になった途端に事案とは、世知辛いね」











青年「ならこれでどうかな。響ちゃんが下着を収納してるのはタンスの〇段目。きれーに折りたたんで柄ごとに並べてある」



響「」



青年「お気に入りは中でも水色のテカテカしたやつだけどちょっとエッチかなと思うと人前で穿く勇気が」



響「わぁああああああ!! やめろぉおお!!!」



青年「ちなみにオレは、あれ寝心地悪いから好きじゃない」



響「人のパンツを寝床にしないで!!!」







青年「で、分かってもらえたかな?」



響「分かったぞ……さてはストーカーだな!!?」



青年「……」



響「自分も最近よーやくアイドルとして人気が出てきたからな。ファンになってくれるのは嬉しいけど、パンツを暴くなんて変態行為はやめるさー! 変態ストーカー!!」



青年「……ちなみに今日は白。ワンポイントでリボンがついていて、通称ハルカパンツと」



響「やめろぉおおおお!!!」ドガッ



青年「ぐはぁっ動物虐待!!」



響「人聞きの悪いこと言わないで! 自分みんなを叩いたことなんてないでしょ!」



青年「でも今ぶったじゃ」



響「それは、でも……人間だし」



青年「人間が響ちゃんのパンツを子細に知るものかよ! 一枚一枚シミの度合いまで」



響「うぎゃぁあああああああああ!!!」ドガァッ!



青年「ぐほぁっ!」











青年「ぅ……に、二度もぶった……親父にもぶたれたことないのに!」



響「殴ってなにが悪い!! よくもズケズケと人のパンツの中に入る……恥を知るさこの変態!!」



青年「……くやしいけど、オレは男なんだな」



響「だから問題なんでしょ! もう!」











響「とにかくもう通報するからね。話は署で聞くさー」スッポパピ



青年「やめろぉ!!」ガシッ



響「う、うわっ離して!」



青年「埒があかないから拉致しよう。話は事務所でね」ズルズル



響「引っぱらないでよ! このっ……誰かー! 助けてー!!」











……

−事務所





美希「むにゃむにゃ……」



伊織「はぁ、まったく。だらしない顔で寝ちゃって。この」ツン



美希「んむぅ……? むにゃ……あむ」パクッ



伊織「ひゃっ!? こ、こら私の指」



美希「むにゃ……ぃおにぎり」



伊織「おにぎりじゃないわよ! ったくもう。……ふふっ」





ガチャッ



響「は、はいさーい、伊織」



伊織「おおおはよう響」ササッ



響「ん? なに指を隠してるんだ?」



伊織「べべ別になんでもないわよ! それよりあんた元気ないじゃない、どーかした?」フキフキ







響「いや……それが」





青年「おはよーーいしょっと」タタッ……ポス



美希「……んっ?」ムニョン



響「なんだこいつ流れるような動きで美希の谷間に顔突っ込んだぞ」



伊織「」





美希「んー……だぁれ?」



青年「ふぁむふぉう(ハム蔵)」



美希「そっか……じゃあいいや。おやすみー」



伊織「よくないわよ!!!」



青年「……」モミュモミュ



美希「んっ……やぁん、ハム蔵のえっち」



響「ハムぞぉおう!!!」











青年「いやなんかいつもと違って安定しなくてさ。っていうかなんでまたぶたれたの」ヒリヒリ



伊織「当たり前よ!! この変態! ド変態!! 変態ハムスター!!」



響「ハムスターってことは認めちゃうのか……」



伊織「なによ、あんただってハム蔵って呼んだじゃない」



響「それは……そうだけど。でもとりあえず他に呼びようがないからで……」



伊織「とにかくこれがハム蔵なら、しつけるのはあんたの責任でしょ。なんとかしなさいよね」



響「えぇ……」





ガチャッ



やよい「うっうー! おはようございまーす!」ガルーン



響「あ、おはようやよい」



伊織「ちょっとやよいダメよ、今事務所に変な」



青年「おはよー!」サッ



やよい「!」





やよい・青年「「ハイ、ターッチ!」」パシンッ



やよい「いぇい!」



伊織「」











伊織「手を出されたからってナチュラルにハイタッチしないで。知らない人と」



やよい「う? なに言ってるの伊織ちゃん。知らない人じゃないよ?」



伊織「え?」



やよい「あ、まだ時間あるし、事務所のお掃除しちゃいますねー」



伊織「ちょっと」



青年「手伝うよやよいちゃん」



やよい「ありがとーハム蔵ちゃん」



伊織「」











響「伊織さっきから白目剥きすぎだぞ」



伊織「剥いてないわよ! 変なこと言わないで!」



響「でもだって目の中真っ白で……」



伊織「少女漫画的表現だって分かりなさいよね!」





青年「はい、ほうきとちりとり」



やよい「ありがとー」



青年「じゃあオレはいつも通り狭い隙間をぞうきんで……」ギュムッ





青年「お、おかしいな……入れないぞ」グイグイ



やよい「う?」



響「当たり前でしょ!! もう!!」



伊織「っていうか、いつもそんなことしてたの……」











青年「いやーここ来てすぐの頃、事務所の隅に別荘作ってたら、掃除してるやよいちゃんに見つかちゃってさ。反省のしるしに掃除手伝って、それ以来ずっと」



やよい「とっても助かってますー」



響「そ、そうだったのか……」



伊織「あんた飼い主なのに知らなかったの」



響「いや、でも……自分まだこれをハム蔵だって認めたわけでは」



やよい「ハム蔵ちゃんはハム蔵ちゃんですよー?」



青年「ありがとうやよいちゃん!」ペロペロ



やよい「あはは! くすぐったいよー」



伊織「」











青年「ほーれここがいいんだろぅ」ペロペロペロ



やよい「あっあ! だめっハム蔵ちゃんそこはっ……あー!」



伊織「殺す! もうこいつがハムスターでも人間でもなんでもいい!! 殺してハム酢豚にしてやる!!」ジタバタ



響「落ち着くさー! 伊織!!」ガシッ











青年「またぶたれた」ヒリヒリヒリ



やよい「伊織ちゃん! なんでひどいことするの!?」



伊織「え、ちがっ私は」





やよい「めっ!!」



伊織「」



響(また白目剥いてる……)











……



やよい「……つまり、この子がハム蔵ちゃんだって分かればいいんだよね?」



響「この子って言い方に違和感しかないぞ」



伊織「早く目を覚ましてやよい」



青年「でも何言っても全然信じてもらえなくて……どうしたら」



やよい「うー…………あ! そうだ!」





やよい「いつもみたいに鳴いてみたらどうかな?」



青年「なるほど。理屈ではなく感覚に訴えるわけか……よし!! よく聞いとけよ響ちゃん!」



響「まぁ、一応聞いてはみるけど」



やよい「うっうー! それじゃ、いい声で鳴いてくださーい!」







青年「ぢゅ……ぢゅい!(低音)」



響「……」



伊織「……」



やよい「……」



青年「…………ぢゅい(低音)」











青年「ぢゅい! ぢゅぢゅい!(低音)」



やよい「もやし(裏声)」



伊織「似てないわね……」



響「春香のが似てるぞ」



青年「ぢゅいいいーー!!!(低音)」



美希「ちくわ大明神(裏声)」



響「誰だ今の」



美希「ミキだよ?」











青年「でゅ……でってぃう」



やよい「あ、今のは似てました!」



伊織「なんによ」



美希「ハム蔵かどうか、確かめればいいんだよね?」



響「うん、そうだけど」



美希「ならカーンタンなの!」







美希「ハム蔵が響に、キス、すればいいって思うな♪」



響「」











美希「姿が変わる呪いは、キスでとける! これはもうジョーシキなの!」



響「はっ離せぇ!!」ジタバタ



やよい「うー大人しくしてくださーい!」



美希「さ、ハム蔵! ぶちゅーっと濃厚なの、一発かますの!」



響「やめろぉおおお!!」





青年「……」



美希「? どうしたの、ハム蔵?」



青年「オレには……できないよ。響ちゃんが嫌がることなんて……」



やよい「ハム蔵ちゃん……」



響「最初の嫌がらせはなんだったの」











青年「それにオレは……ただ、これを渡しに来ただけだから」スッ



響「え……これ、って」



青年「それと…………一言、伝えたくて」







青年「……ハッピーバースデー、響ちゃん。…………今までありがとう」



響「え、あ……い、いきなりなに言って」



青年「大丈夫……また、すぐ会えるから」



響「は、ハムぞ」



青年「っ……」ダッ



ガチャッ



タッタッタッタッタ



響「なっ……どこへ!?」



美希「響……」



響「……」



伊織「……行きなさい。もう分かってるんでしょ」



響「っ……!」ダッ



ガチャッ



タッタッタッタッタ











伊織「これで、良かったのかしら」



美希「響が前に進むためには……必要なことなの」



やよい「……響さん、毎日ハム蔵ちゃんを探して、とってもつらそうでした……」



伊織「そうよね……私たちにできるのは、これぐらいだもの。あとは……」













……

−公園



響「はぁっ、はぁ……ハムぞぉーーー!!」





響「…………どこ行ったんだよ……出てきてよ……」



響「ハム蔵……」グスッ





??「響ちゃん」



響「ハム蔵!? どこだ!? どこにいるんだ!?」



??「……誕生日プレゼント、渡せてよかった」



響「ハム蔵…………自分の誕生日……」







響「明日なんだけど……」



??「…………」





??「アディオス!!」ダッ



響「あっハム蔵! ハムぞぉおおーーー!!」











……数日後

−事務所





響「はいさーい! みんなおはよう!」



やよい「あ、響さん。おはようございまーす!」



P「おう、おはよう。今日は響メインのミニイベントだから、ゲネは午後からだけど、早めに会場入りして準備とか確認しとかないとな」



響「うん! あれ? やよいとプロデューサーだけ?」



P「美希がそこで寝てるよ」



美希「むにゃむにゃ……」



やよい「あ、それと、」



美希「むぅ……?」ムニョン



ハム蔵「ヂュイ!」ヒョコッ



響「………………えぇえぇえええええええ!!!???」











響「へは!? ハム蔵!!? ハム蔵なんで!?」



ハム蔵「ヂュヂュイ!」



響「いや確かにすぐ会えるとは言ったけども……」



ハム蔵「ヂュイ」



響「いやそんなこと言われても全然納得いかないぞ。なんで何日も行方不明だったの」



ハム蔵「ヂュイ、ヂュイヂュイ」



響「……まさかよそで彼女作ったのか?」



ハム蔵「ヂュヂュ!? ヂュヂュヂュイ!!」



響「ふぅん…………言いたくないならいいけど。じゃあ代わりにさ」



ハム蔵「?」



響「これ」ピラッ



ハム蔵「!!?」



響「このスケスケレースの黒いパンティ。どーいうつもりでくれたのか、説明してくれる?」



ハム蔵「ヂュ!? ヂュヂュヂュイィ!!」



P「……」



響「こら逃げるな! 待てぇーー!!」ダダダダ



ハム蔵「ヂュイィイイ!!」タタタタ











P「ほんとに穿いてきたのかぁ……ハム蔵にもいい誕生日プレゼントになったな」



P「さて、そろそろ行くか。おーい響! いつまでもハム蔵とじゃれてないで」



響「あっ待ってよプロデューサー! ハム蔵のやつひどいんだぞー聞いてよー」



ハム蔵「ヂュイヂュイ!」



P「はいはい。二人共ケンカするなよー」





ワハハ

ダゾー

ヂュヂュイー





??「待ちなさい!!」



響「だ、誰だ!?」







少女「私? 私はね……」



少女「スーパーペットいぬ美ちゃんよ」



響「」









おわり。











22:30│我那覇響 
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