2014年03月24日

千早(あ、これって……)カシャ やよい「?」

初SSなので下手な部分は眼をつぶってくれるとありがたいです



短いのですぐ終わります











平日の昼下がり事務所近くの公園にて



千早「……まあまあね、ちょっと光がたりないけれど」ピピッ



やよい(千早さん、最近よく外で写真とってますー)



やよい(なにとってるんでしょーか)



やよい「ちはやさーん!」テクテク



千早「あら、高槻さんこんにちは」



やよい「さっきはなにをとってたんですか?」



千早「えっ、ああ、それを」



やよい「?」



やよい「このベンチをとってたんですかー?」



千早「いえ、その下にあるものよ」





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1395417479



やよい「!」



やよい「わー、これって泥団子ですよね?すっごいぴかぴかですー!」



千早「三つも一緒に置いてあるってことは、きっと誰かがつくって育てているのね」



やよい「そだてる?」



千早「そうよ」



千早「お団子にして、いったん乾燥させてから布で磨くとぴかぴかになるの」



やよい(そういえば長介も、昔お団子大事にしてたかも)



千早「そうやってコツコツ磨いていく課程を私は[育てる]って呼んでたわ」



やよい「そーなんですかー!でも千早さんが泥団子つくりに詳しいのは意外ですー」



千早「結構手間がかかるのだけれど、楽しいのよ」

千早「作っていたのはもう、随分昔の話だけど……」



千早「優がね、光るお団子好きだったから。一緒に作ってるうちに私の方がはまっちゃったのよね」クスッ



やよい「そうだったんですかー」



千早「で、久しぶりに見かけたからつい懐かしくってカメラに収めてしまったのよ」



やよい「あ!そうだ、そういえば千早さん、最近カメラに凝ってますよね!」ティン



千早「凝ってるってほどでもないのだけれど……///」



やよい「私も何か新しいこと始めてみたいんです!よかったら写真とりはじめたきっかけ、教えてくれないかなーって」



千早「きっかけ……そうね」



千早「私、今までずっと自分には歌しかないと思っていたの」



千早「それぐらいしか取り柄がない、それをとったらなにも残らない。そして、なにより歌以外のことにうつつを抜かす如月千早を私自身が許せなかったのよ」

千早「高槻さんも覚えてるでしょう?あのときの私。自分でも、すごく感じが悪かったと思うわ」



やよい「感じ悪いなんて……千早さんは、えーっと[すといっく!]だっただけだってプロデューサーも言ってましたよっ!」グッ



千早「そんなに一生懸命フォローしなくてもいいのよ。事実なんだから」タカツキサンカワイイ



千早「でも、プロデューサーや春香、高槻さん、事務所の皆と出会って、私は自分を縛ってきた過去にお別れを言えた……」



千早「いいえ、別れるのとは違うわね、なんというか……そう、仲直りができたのよ。

嫌いだった私と、仲間に出会って少しずつ変わっていった私、ずっと昔のまだ小さかった私」



千早「ちぐはぐでバラバラな自分の心の姿のーーその全部が私だって受け入れられたの。

随分時間がかかってしまったけれどね」



やよい(ちょっとむつかしいけど何となくわかりますー)コクコク



千早「それまではずっと先の先にある結果のことしか見ようとしていなかった私だけれど

こうして自分との折り合いがついてからはそんな考え方をしていた時間がもったいなくて仕方ないって思うようになったのよ」



千早「目の前の事に自分の感性をしっかりと向けて生きていたいって」



千早「歌って音符だけじゃないでしょう?

歌詞の中身だって感情だったり情景だったり台詞だったり様々だし、同じ曲でも歌う人によって聞こえ方はまるで違う。

同じ人が同じ曲を歌うときだって、そのときの体調や気持ちで全く別物になるわ」



千早「今この時間、瞬間が私を、ひいては私の歌を作ってる」



千早「そう思ったら[今]をとても大切なものだって感じる様になったのよ」



千早「それで私なりにどうしたらもっと意識的に今を大切にできるか考えた結果が写真だったの」



千早「ちょっと理屈っぽすぎるかしらね。言ってて恥ずかしくなってきたわ……///」



やよい「うっうー!そんなことないです!わたし、千早さんが最近すっごく楽しそうな理由、わかった気がしますー!」



千早「でもやっぱりこういう話はちょっとくすぐったいわね」クスッ

千早「……」



やよい「……」



千早「……」ジー



やよい「?」



千早「あの……高槻さん、一枚だけ、とらせて貰ってもいいかしら?」



やよい「ええーっ!?わたしをですかー!?」



千早「ええ、一枚だけ、お願い。高槻さんの笑顔にはすごく元気をもらえるから」



やよい「ううー、ちょっと恥ずかしいですけど、そういうことなら一枚と言わずいっぱいとってくださいっ」ガルーン



千早「それじゃあお言葉に甘えさせてもらおうかしら」ニコッ



――カシャカシャカシャ







やよい「あ、そうだっ!千早さんは素敵な今を写真にとっていってるんですよね?」



千早「まあ、端的に言えばそうなるわね」



やよい「今までとったもの少し見せてもらってもいいですか?」



千早「ええ、どうぞ」スッ



やよい「ありがとうございますー」ピッピッ



やよい「うっうー!いい写真ばっかりですねー」



やよい(でもーー)



千早「ふふっ、ありがtーーパシャ



やよい「今の千早さんもすっごく素敵な顔、してるかなーって」



千早「ちょっーー高槻さんっ///」



やよい「消したらだめですよー、千早さんもとったんだからおあいこです!」



千早「……もうっ///」







やよい「今の写真は事務所に置いていってくださいね。そしたらちょっとの間くらいならわたしもみんなも寂しくないです」



千早「……そうね」



――あと半年もしない内に私は日本を離れることになる。



人物は正直まだ撮りなれていないけれど、みんなには付き合ってもらおう。



大丈夫。今の私なら。



少しわがままを通したって、きっと罰はあたらない



おわり





17:30│如月千早 
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