2015年10月29日

小梅「魂くれないと……」輝子「半殺しにしてやるぜェェーッ!!」

【モバマスSS】です





――――事務室





幸子「……なにをいきなり物騒なことを言っているんですかお二人共」



小梅「あ、幸子ちゃんだ……」



輝子「フヒ……? い、いつからそこに……」



幸子「いま来たばっかりです。まったく、扉を開けたら輝子さんの叫び声が聞こえて何事かと思いましたよ」



輝子「ゴ、ゴメン……」



幸子「まぁ謝らなくていいです。それよりもあんな物騒な台詞を言うなんてどうしたんですか?」



小梅「え、えっとね……今度行うライブで、開幕をなんて言おうか輝子ちゃんと相談してたの……」





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幸子「なるほど、ライブの開幕を……いやいや!? じゃああんな物騒な台詞ダメですよ!」



小梅「え、だ、だめかな……?」



幸子「当たり前です! ファンの皆さんと最初に盛り上がる大事な場面で魂くれないと半殺しとか脅しもいいところじゃないですか!」



輝子「そ、そうかな……じゃあやっぱり、もう一つのほうがいいかもしれない」



小梅「そうだね……幸子ちゃんにも怒られちゃったし……」



幸子「なんだ、ちゃんと別の案も用意してるんじゃないですか。だったらそっちにしましょう、さっきの半殺しのはボツです、ボツ!」



輝子(……半分だから大丈夫だと思うんだけどな……)



幸子「それで、もう一つの開幕台詞はどんな感じのを用意してるんですか?」





輝子「あ、き、聞いてみる……?」



幸子「是非とも。一応確認しておかないとお二人のことですから物騒な内容のままという可能性もありますし」



小梅「つ、次のは大丈夫……だと思う」



輝子「フフ……とにかく、幸子ちゃんに聞いてもらおう」



小梅「う、うん……それじゃあ輝子ちゃんから……」



輝子「わ、分かった……よし」スゥ



輝子「『フハハハ! よくきたな……! これから行われる儀式、その生贄にお前らを選んだ!』」



小梅「『生きてる人も、そうでない人も……大丈夫、任せて……みんなに素敵な夢、見せてあげるから……!』」





輝子・小梅「「……どうかな?」」



幸子「…………あの、本当に今のをライブの開幕で使うつもりですか?」



輝子「え、こ、これもダメなのか……?」キョトン



小梅「す、すごく良いと思うよ……?」キョトン



幸子「いやそんな信じられないという顔をされましても……まず輝子さん!」



輝子「フヒッ!?」ビクッ



幸子「なんですか儀式や生贄って! これもファンの皆さんに言うには十分物騒な単語じゃないですか! 何をする気なんです!?」



輝子「え、そ、それはライブ……」





幸子「でしたらもうちょっとカワイイ単語使いましょうよ! 輝子さんはアイドルでしょう!?」



輝子「で、でも私のライブに来てくれる人達は……『ここら一帯地獄に変えてやるぜぇーっ!』や『閻魔様にかわってあの世に送ってやらァァ!』とか」



輝子「あ、あと『私達が地獄だァアアーッ!!』……な、なんて言うとスゴイ盛り上がってくれる……」



幸子「えぇ……あー……輝子さんの場合は特例だと思います。でも今回は小梅さんも一緒なんでしょう? でしたらもう少しカワイイのを……」



輝子「か、可愛いなんてそんな……わ、私には難しくて……」



幸子「輝子さんはボクと同じくらいカワイイんですから自信持ってくださいよ! まったく……それに小梅さん!」



小梅「は、はいぃ……!」



幸子「生きてる人も、そうでない人もってこの部分どういうことですか、怖いじゃないですか!? もうちょっとホラー要素薄めましょうよ!」





小梅「で、でも……ホラー要素薄めちゃったら……今度のライブの雰囲気に合わない、から……」



幸子「ライブの雰囲気? ……そういえば、まだ肝心なことを聞いていませんでしたけど、今度のライブって一体どういうことなんですか?」



小梅「えっと……10月31日に……仮装したファンの人達の前で歌うの……」



輝子「フヒヒ……よ、ようするに、ハロウィンライブだな……私達もそれ用の衣装を着るぞ」



幸子「そ、そういうことでしたか。納得しました、ハロウィンのライブならホラー要素も必要ですね!」



小梅「ふふ……だから、頑張って台詞考えたの……」



幸子「ならさっきのボクの発言は取り消します。もー、ライブのことをもうちょっと早く聞いておくべきでした、ボクとしたことが」



輝子「そ、そういえば……幸子ちゃんはハロウィンライブに参加しないのか……?」





小梅「こ、この前の、打ち合わせの時もいなかったし……もしかして、私達とは別でプロデューサーさんと計画してることがあるの……?」



幸子「いいえ? そもそも、今度ハロウィンライブが開催されることも今お二人から聞いて知りましたよ?」



輝子・小梅「「え」」



幸子「しかしプロデューサーさんも悪い人ですねぇ。そんな大事な話をしないなんて、お二人がライブをするならボクも必要でしょうに」



小梅(しょ、輝子ちゃん……これって)ヒソヒソ



輝子(フヒッ……や、やな予感がするな……)ヒソヒソ



ガチャ



モバP「――というわけで、計画の方はこのまま進行で。ちひろさんは他のスタッフに通達をお願いします」



ちひろ「分かりました」





幸子「おや、丁度良いところでプロデューサーさんが戻ってきましたね! プロデューサーさん、ちょっといいですかー!」



輝子「あ……」



小梅「ま、待って……!」



モバP「おぉ幸子か、おはよう。今日もカワイイな」ナデナデ



幸子「ふふーん当然です。それはともかくプロデューサーさん、酷いじゃないですか!」



モバP「ん、なにがだ?」



幸子「なにがって今度のハロウィンライブのことですよ! 輝子さんと小梅さんには話をしておいて、ボクを忘れるなんて!」



モバP「ふむ、そのことを誰から聞いたんだ?」





幸子「もちろんあそこのお二人からですよ。で、プロデューサーさん、ボクにはいつそのライブのことを話してくれる予定だったんです?」



モバP「あー……幸子、なにか勘違いしているようだが」



幸子「?」



モバP「今度のハロウィンライブはNiGHT ENCOUNTERのライブだから、残念ながら幸子の出番はない」



幸子「え……」



小梅「あちゃー……」



輝子「や、やっぱり、そうだったか……」



幸子「え……あ……う、嘘ですよねプロデューサーさん……? そ、そんな……また……?」





モバP「またと言われても、NiGHT ENCOUNTERのハロウィンライブは今回が初のはずだが」



幸子「そ、そういうことじゃないですよ! ここ最近ずっと輝子さんと小梅さんはNiGHT ENCOUNTERとしての活動ばかりじゃないですか!」



モバP「いやそんなことはないはずだ。小梅は蘭子やアーニャ達とも活動してるいるし、輝子も森久保やまゆ、美玲達とも……」



幸子「そういうことじゃありません! 輝子さんと小梅さんが初めて組んだ時、ボクが一緒にいたユニットがあるってことを言ってるんです!」



輝子「カワイイボクと……」



小梅「142's……」



幸子「そうです! ボクと同じ身長で同じ左利きで、年齢も小梅さんが13歳のボクが14歳で輝子さんが15歳の並びのよさ!」ドヤァ



幸子「そして何より皆がボクと同じくらいカワイイこんな素晴らしいユニットがあるんですよ!」ドヤァ





モバP「うむ、カワイイボクと142'sが素晴らしいユニットだということは知っている」



幸子「だったらどうしてそこからボクだけ外したNiGHT ENCOUNTERなんてユニットを作ったんですか! しかもお二人共カッコイイなんてズルイです!」



モバP「どうしてって言われてもな……まず衣装の関係だな、輝子と小梅にはハロウィンとナイトメアという同じテーマの衣装が2つある」



幸子「ぐぬぬ……そ、それならボクだって……衣装を用意してもらえれば……」



モバP「他にも二人の性格の噛み合い具合やイベントの演出に必要なものを一致させやすいとか、色々だな」



幸子「うぐっ……」



モバP「あとは単純にカワイイに全力な幸子では出来ないことが輝子と小梅ではできるっていうのが大きい」



幸子「」





モバP「まだあるとすれば――」



輝子「プ、プロデューサー……そ、それ以上は言っちゃ駄目だ……」



小梅「幸子ちゃんが……」



モバP「ん……? あ」



幸子「ふ、ふーん……なんですか、そうですか、ボクは邪魔なんですか。だったらはじめからそう言えばいいじゃないですか……」グスッ



幸子「どうせボクはカワイイだけですよ……でもだからって遠回しに必要ないって示さなくてもいいじゃないですか……」グスッ



モバP「いやまて幸子、それは違うぞ。必要ないなんて誰も……」



輝子「で、でもプロデューサーのさっきの言い方だと……そういう風にも聞こえた……」





小梅「うん……いくらなんでも幸子ちゃんに酷いかな……」



モバP「ぬうう……すまなかった幸子、本当にそういうつもりで言ったんじゃないんだ。ただやはり仕事を取るとなるとNiGHT ENCOUNTERのほうが……」



幸子「それじゃあ結局ボクは必要ないのと一緒じゃないですか!」バンッ



モバP「うぐっ……ち、違うんだ幸子……! こ、困った、どうしたら……」



輝子「……なぁプロデューサー、こ、今度のハロウィンライブ……今からでも幸子ちゃんを参加させられないか?」



モバP「え? い、いやそれは……」



小梅「わ、私も……輝子ちゃんと二人だけもいいけど……やっぱり幸子ちゃんにいて欲しい……」



輝子「二人だけでライブしてて思ったんだ……トークやアドリブは、幸子ちゃんがいないと全然駄目だって……」





小梅「私達も頑張ってるけど……やっぱり、幸子ちゃんはすごいなって……」



幸子「輝子さん……小梅さん……」グスッ



モバP「確かにお前たちだけだとアドリブが発生した時に弱いのは分かってはいたが……今から幸子をイベントに組むこむなんて……」



ちひろ「出来ますよ」



4人「「「「え?」」」」



ちひろ「ですから、今から幸子ちゃんをハロウィンライブに参加させるとした上での計画変更は出来ますよ?」



モバP「ちひろさん、話聞いてたんですか」



ちひろ「お仕事に関わる内容でしたからね。今度のライブに幸子ちゃんも急遽出演となれば特別ゲストを呼んだ形となって盛り上がると思います」





モバP「しかしライブの演出や進行手順、衣装のほうまですでに段取りが決まっていてこれをあと二週間足らずで修正はスタッフ達にも迷惑が……」



ちひろ「その程度の問題は私に任せてください。それにプロデューサーさんはこのまま幸子ちゃんを悲しませたままでいいんですか?」



モバP「それはないです」



ちひろ「だったらやることは一つじゃないですか。今が無理する時ですよ、そのためのドリンクもお安くしておきます」ニコッ



モバP「……そうですね。自分の力不足をアイドルに押し付けるのは最悪だ、幸子!」



幸子「……なんですか?」



モバP「遅ればせながら今度のハロウィンライブ、参加してもらえるな?」



幸子「……ふ、ふふーん! ま、まったくプロデューサーはほんとにダメな人ですね! このボクをこんなに待たせるなんてっ!」





モバP「あぁ悪い、本当にダメな奴で」



幸子「ですが良いですよ、ボクはとっても優しいのでダメなプロデューサーさんでも許してあげます!」



モバP「……ありがとな」ナデナデ



幸子「♪」



輝子「ど、どうやら丸く収まったみたい、だな……フヒッ」



小梅「よ、良かった……」ホッ



幸子「そうと決まれば早速打ち合わせと練習ですよ! カワイイボクが出る以上最高のステージにする必要がありますからね!」



小梅「そ、そうだね……あ、でもその前に決めなくちゃ……」



幸子「なにをです?」





小梅「ユニット名……もうNiGHT ENCOUNTERのハロウィンライブじゃなくなったから……」



モバP「む、それもそうか。しかしだとしたらどういう名前にしたものか」



幸子「迷う必要なんてありませんよ! ユニット名はカワイイボクと142'sで決定です!」



小梅「で、でもカワイイボクと142'sのハロウィンライブって……文字にした時ホラーっぽくない、よ……?」



幸子「う……そ、それを言われるとちょっと困っちゃいますね……うーん、ならどうしましょう」



輝子「フヒッ……私達三人のユニット名なら……もう一つ良いのがあるじゃないか……」



小梅「……あ、もしかして、あれ?」



輝子「そ、そう、あれ」





幸子「ちょ、ちょっと、お二人だけで納得しないでくださいよ! ボク達にふさわしいもう一つのユニット名ってなんですか!?」



輝子「ほ、ほら、久しぶりに三人が揃ったお仕事だったツアーの時に考えた奴……」



モバP「お、あれか、いいんじゃなか?」



幸子「……ツアーの時……ふふーん、なるほど、確かにあの時のユニット名ならハロウィンライブのボク達にもぴったりですね!」



輝子「だ、だろう……? あの名前、結構気に入ってたんだ……」



小梅「あのツアー、すごく楽しかったね……」



幸子「今度のライブはそれよりもっと楽しくなりますよ! というわけで決定です! ボク達の今度のユニット名は――」





――――10月31日、ライブ会場



輝子「ヒヤハッッハアアアーッ!! お前らァアア!! 首を洗って待ってたかぁーーーッ!?」



観客達「「「「「ウオォオオオオオオオッ!!!」」」」」



小梅「みんな、いろんな姿で……今日のパーティーは、盛り上がれそう……! い、いっぱい……楽しもう……ね?」



観客A「輝子ちゃーん! 小梅ちゃーん!」



観客B「俺たちを眷属にしてくれー!」



観客C「下僕にしてえーっ!」



観客D「たべてくれぇえええー!」





小梅「ふふ……そ、それじゃあまず一曲目……の前に、この会場……出るって噂なんだ……」



輝子「地獄からの飛び入り参加って奴がなァアーッ!」ジャララララ



観客E「なんだ、輝子ちゃんが鎖を引っ張って……」



観客F「ん……ありゃ棺桶だ! ステージのど真ん中から棺桶が出てきよったぞ!」



ガコンッ



小梅「み、みんな驚いてる……きょ、今日は、ハロウィンで、誰でも歓迎してるの……それにこんなに賑やかだから」



輝子「騒ぎを聞きつけて私達の仲間がもう一人来ちまったってわけだァー!」ドンッ



棺桶「フギャー!?」





輝子「あ、ゴメン……」



観客D「俺も棺桶に詰められて輝子ちゃんに踏んづけられてぇー!!」



観客A「ん、今の声……まさか!」



小梅「だ、誰だろうね……ドキドキする、ね……!」



輝子「さぁその地獄の棺桶が今開いたァ――」



棺桶「いきますよー!」ギギギ



輝子「パカッ!!!」



幸子「――ふふーん! 世界一カワイイ幸子の登場ですよー!!」ドヤァ





観客達「「「「「ウォオオオオオオオオッ!!?」」」」」



観客B「す、すげえサプライズだ……」



観客G「こんなことって……やったぁー!」



幸子「……さて、もう輝子さん! カワイイボクが入った棺桶なんですから優しく扱ってください! あとパカって、パカって」



輝子「フヒヒ……テ、テンション上がっちゃって……本当にゴメン」



小梅「幸子ちゃん、だ、大丈夫……?」



幸子「まぁ問題ないですよ、ボクはカワイイので! それよりもファンの皆さん、驚きましたかー!?」



観客達「「「「「驚いたァアーッ!!」」」」」





幸子「そうでしょうそうでしょう。なんたってこのボクが予告なく登場ですからねぇ!」



輝子「か、棺桶から出てきたし……」



小梅「パカッ」



輝子「……そ、それはもう許して……」



幸子「と、とにかく今日はこのカワイイボク達三人……そう、『闇のアンデッド』が皆さんに最高の時間をプレゼントしますよっ!!」



輝子「三人いるからな……もっと派手に行くぜェ! ブラッディパーティーの始まりだァァアアーーッ!!」



小梅「生きてる人も、そうでない人も……!」



幸子「みんなボク達の虜にしてあげますからねーーっ!!」



――その後、輝子、小梅、幸子は久しぶりに三人で大きな舞台に立てた充実感を味わいながらステージをこなし、見事闇のアンデッドの

ハロウィンライブを成功させるのだった。



〈終〉





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