2015年11月09日

緒方智絵里「愛してるの響きだけで」

独自の解釈や設定、妄想を多分に含みます

苦手な方はブラウザバック推奨です



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緒方智絵里「お、おとうさん……あのね、今日」





緒方父「智絵里、すまないが帰ったらにしてくれ。仕事に遅れる」



智絵里「……はい。いってらっしゃ」



緒方父「ああ、行ってくる」ガチャッ



智絵里「…………」



緒方母「あら、智絵里。今日は学校休みなのに早いのね?」



智絵里「あ、おかあさん。えっと、あのね」



緒方母「ごめんなさい智絵里、今日は私も大事な会議があってもう出なくちゃいけないの」



智絵里「そ、そう……なんだ」



緒方母「ほんとにいつも苦労かけてごめんなさいね、智絵里」



智絵里「ううん、大丈夫」



緒方母「それじゃあ行ってくるわね」ガチャッ



智絵里「いってらっしゃい」

ピリリリリピリリリリ



智絵里「あ……アラーム。……もう、行かなくちゃ」



ピンポーン



智絵里「あ、はい!」



モバP『朝早くに失礼いたします。CGプロのPです、智絵里さんのお迎えに参りました』



ガチャッ



智絵里「お、おはようございますプロデューサーっ!」



P「おはようございます、智絵里。お一人なのですか?」



智絵里「あ……はい」



P「日曜日の朝だというのに、ご両親も大変なのですね」



智絵里「……2人とも、会社の役員さんですから……」



P「そうだったのですか」



智絵里「で、でもおかげでこうしてアイドル、できてますから……」



P「そう、ですか。……では、行きましょうか。現場でちひろさんが待っていますし」



智絵里「はい」

P「ところで智絵里」



智絵里「なんですか?」



P「今日はプレゼントがあるんです」



智絵里「えっ!? ぷ、プレゼントですか?」



P「大したものではないのですが、車内においてありますので。ほら、乗ってください?」ガチャッ



智絵里「は、はいっ!」ドキドキ



P「よいしょ、と。……はい、これです!」



智絵里「わぁ……! あ、開けてもいいですか?」



P「ええ、もちろん。かなり遅くなってしまいましたが、智絵里、デビューおめでとうございます」



智絵里「クローバーの、ネックレス……!」



P「いつかの栞のお返しのようなものです。喜んでいただけました?」



智絵里「……はいっ! すごく、すごくうれしいですっ!」

P「その笑顔なら、今日の撮影は大丈夫そうですね」



智絵里「あ、あぅ//////」



P「それじゃあ、車出しますから、シートベルトしてくださいね?」



智絵里「あ、ま、待ってください」



P「はい?」



智絵里「ネックレス、着けるので……ちょっとだけ待ってもらえますか?」



P「……ええ、もちろん」



智絵里「んっ。えと、似合って……ますか?」



P「とても、似合っています。可愛らしいですよ」



智絵里「えへへ////// シートベルトもおっけー、ですっ」



P「ふふっ、じゃあ出しますよ」



智絵里「はいっ」

〜 フォトスタジオ 〜



P「智絵里、あまり緊張することありませんよ?」



智絵里「う、うぅ……」



P「雑誌のグラビア撮影とはいえ、素の智絵里のままで良いんです」



智絵里「そ、それでもやっぱり緊張しちゃいます……」



ちひろ「どうしますか?」



P「どうと言われましても……水着やなんかではないので恥ずかしがらずに、としか」



智絵里「あぅぅ……ごめんなさい」



ちひろ「あ、そうだ」



P「??」



ちひろ「智絵里ちゃん、これ」



智絵里「缶、ジュース?」

P「!? だ、ダメですちひろさん! エナドリはダメです!!」



ちひろ「えぇ〜、ダメですか? 飲むとすっきり気分爽快、やる気が満ち満ちてきますよ?」



P「飲んだら丸々2日は眠気が吹っ飛ぶような飲み物出さないでください! 私はそれにアブないものが入ってないかと危惧してるんです! 私が飲む分にはまだしも大事なアイドルになんて飲ませられませんよ!!」



ちひろ「良い案だと思ったんですが……」



P「寝言は寝て言いやがってくださいこの蛍光緑の悪魔め」



ちひろ「蛍光緑だなんて心外です!」



智絵里「ふふっ」



P・ちひろ「あ!」



智絵里「ふぇ?」



P「やっと、笑ってくれましたね」



ちひろ「智絵里ちゃん、今の笑顔です」



智絵里「あ、ありがとうございます」



ちひろ「その笑顔なら、とびっきりの良い写真が撮れますよ。ね、プロデューサーさん?」



P「はい。期待しています」



智絵里「がんばりますっ」



スタッフ「緒方さ〜ん、撮影入りますよ〜!」



智絵里「あ、はい! よろしくお願いしますっ」スタタタッ

ちひろ「……ところでプロデューサーさん?」



P「……………………」



ちひろ「悪魔、ですか……?」ニッコリ



P「た、た、たたた、たた、大変申し訳ございませんでした」



ちひろ「今日は書類仕事、手伝ってあげませんからね」



P「…………はい」



ちひろ「それにしても智絵里ちゃん、大丈夫なんですか?」



P「と、言いますと?」



ちひろ「アイドルとしての素養は十分とは思います。ですが……」



P「自信がなさすぎると?」



ちひろ「ええ」



P「そこは活動をこなしていけば自然とついてくると思います、心配することではないでしょう」



ちひろ「私には、もう少し根の深い事のように思えるんですが……」



P「…………根の深い、ですか」



ちひろ「でもプロデューサーさんがそう仰るなら、私もプロデューサーさんが信じる智絵里ちゃんを信じてみようと思います」



P「ありがとうございます」



ちひろ「智絵里ちゃんのこと、しっかり支えてあげてくださいね」



P「肝に銘じておきます」

〜 その日の夜・緒方家 〜



智絵里(おとうさんもおかあさんも、遅いなぁ。もう10時過ぎちゃった……。せっかく作ったのに、ごはん、冷めちゃうなぁ)



オーネガイシーンデレラ♪



智絵里「あ、メールだ」



緒方父《連絡が遅くなってすまない。天辺越えになりそうなので、先に寝ていてくれ。食事は済ませて帰る》



智絵里(そっか、おとうさん今日も遅いんだ)

ガチャッ



緒方母「ただいまー」



智絵里「あ、おかあさん! お帰りなさい!」パァ



緒方母「ただいま、智絵里。お父さんは?」



智絵里「今日もお仕事で遅くなるってメール来てたよ?」



緒方母「あら、そうなの。智絵里はもうご飯食べた?」



智絵里「うん。あ、でも――」



緒方母「よかったわ! 私もう食べて来ちゃったから心配してたのよ」



智絵里「え……」

緒方母「どうかしたの智絵里?」



智絵里「う、ううん、大丈夫。……あ、おかあさんお風呂沸いてるよ?」



緒方母「あら、ありがと智絵里。じゃあお風呂頂いてくるわ」



智絵里「じゃあわたし、もう寝ちゃうね」



緒方母「わかったわ、おやすみなさい智絵里」タタタッ



智絵里(…………お母さんがお風呂入ってる間にごはん、捨てちゃおう……)グスン

〜 飲み屋 〜



ブルーアワーニイノーリーヲー♪



楓「あら? これって」



P「……メールの着信音にさせていただいてます、まさか本人の前で鳴るとは思いもせず……。あぁ、えっと、見ても大丈夫ですか?」



楓「ええ、どうぞどうぞ」ニコニコ



P「ありがとうございます」



智絵里《今日はありがとうございました。明日もまたよろしくおねがいします》



P「うーん《お疲れさまでした。次回も今日のような良い笑顔でがんばりましょう》……返信はこんなもんで良いかな……よしっ」

楓「誰からだったんですか?」



P「担当アイドルの緒方智絵里さんからですね。今日撮影にちひろさんと一緒に付き添ったのですが、お礼のメールでした」



楓「あら、律儀な子なんですね」



P「礼儀正しいし慎み深いですし、少し経験を積めば一人でも安心して現場に遅れます」



楓「……智絵里ちゃんって、あのツーサイドアップの髪の子ですよね?」



P「そうですが、面識が?」



楓「まぁ同じ事務所ですし、レッスン場も同じですからね」



P「たしかに言われてみればそうですね」

楓「智絵里ちゃん、一目……いえ、一聞きでビビっときましたよ! すっごく良い歌を唄う子だなぁって」



P「楓さんがそんに褒めてたなんて言ったら智絵里、卒倒しちゃうかもしれませんね」フフッ



楓「……でも、本当に自信なさそうなんですよね。もったいないです」



P「場数を踏めば自信もついてくるとは思うのですが。……はぁ」



楓「溜息なんて、らしくないですよ?」



P「……ちひろさんに彼女の自信のなさは『根の深い問題』だと言われてしまいました」



楓「そうだったんですね」



P「もしそうだとしたら、なにをしてあげられるんだろう、と考えてしまって」



楓「考えすぎ、なんじゃないでしょうか?」

P「いや、でも、たしかに。……うーん、鍵っ子、っていう感じがするんです」



楓「鍵っ子」



P「たまたまかもしれませんが、撮影後にお送りした際もご両親は不在でしたし……」



楓「複雑、なんですね」



P「悔しいですが、我々にはどうしようもない部分です……。でも、せめてもう少しだけでも自信を持ってくれれば」



楓「智絵里ちゃん、良い歌を唄える子なのに、本当にもったいないです。あの子の『ハミングが聞こえる』、かわいくてとっても良かったですから」



P「ふふっ、ありがとうございます。私も智絵里のあの曲はお気に入りです」



楓「あら、妬けちゃいますね?」



P「もちろん楓さんの歌も大好きですよ?」



楓「お世辞が下手ですねぇ」



P「いえいえ、本心です。…………せめて智絵里が自信をつける手伝いでもしてやれればいいんですが」



楓「あ、それなら私に少し考えがあるんですが」



P「え?」



楓「智絵里ちゃん自身の力で自信をつけてもらいましょう!」



P「はい?」

〜 翌日・事務所 〜



智絵里・ちひろ「コーラスのお仕事ですか?」



P「ええ」



ちひろ「いい考えだとは思いますが」



智絵里「い、いきなり楓さんのバックでなんて……」



ちひろ「理由を聞かせていただいても?」



P「そうですね。細かな理由はいくつかあるのですが、大きい理由は2つです」



智絵里「な、なんでしょうか?」



P「1つはお金の問題ですね」



ちひろ「と、言いますと?」

P「ちひろさんはご存知とは思いますがウチは慢性資金不足です。楓さんと夏樹におんぶにだっこ状態ですからね。なので、1ヶ月後に控える楓さんのライブでバックコーラスを雇えるだけの余裕がありません」



ちひろ「もっと規模の大きいライブなら否が応でも雇わなきゃいけないですけど、200人規模の箱ですからね。たしかに若干厳しいかもしれませんね」



P「そこで、所属しているアイドルの中では声の質感が比較的近くて歌唱力のある智絵里にサポートをお願いしたいという事です」



ちひろ「まぁ理に適ってはいますね」



P「そして2つ目ですが、ぶっちゃけるとこちらが本題ですね」



智絵里「はいっ」



P「楓さんが『どうしても智絵里ちゃんに一緒にステージに上がってほしい』と仰っていまして」



智絵里「?! え、えぇ?!」

P「お嫌ですか?」



智絵里「え、あ、はい……じゃなくて、いえ! で、でもなんでわたしなんか……」



P「智絵里、以前レッスン場で楓さんと会いましたよね?」



智絵里「え? はい、ボーカルレッスンが押してしまったときに、少しだけ。……で、でも、なんでプロデューサーが?」



P「楓さんに聞きました。そこであなたが歌っていた『ハミングが聞こえる』が素晴らしかった、と」



智絵里「そ、そんな全然わたしなんて//////」



P「少なくとも、楓さんにはそんなに卑下するようなものには聞こえなかったようですよ?」



智絵里「あぅ//////」

P「私は――」



智絵里「は、はい」



P「私は、良い機会だと思います」



智絵里「…………」



P「楓さんほどのアイドルと共演する場は望んでもそうそうありません。そんな人が貴女の歌が自分のステージに欲しいと言ってくれている。胸を借りてみてはどうでしょうか?」



智絵里「あの……少し、考えさせてください」



P「ええ、もちろん。ですが、なるべく早めにお返事いただけるとありがたいです。出演されるのであれば特別レッスンも組まないといけませんから」



智絵里「はい。じゃ、じゃあ、失礼します」ガチャッ

P「…………ふぅ」



ちひろ「嘘、ですね? プロデューサーさん」



P「半分は本当ですよ?」



ちひろ「さすがにそこまで資金不足じゃありませんよ、心外です」



P「そっちじゃありませんよ……。でも他に良い理由が思いつかなくて、すみません」



ちひろ「でも、じゃあ楓さんの希望というのは本当なんですか?」



P「ええ。一目惚れならぬ一聞き惚れだったそうで。それに、あの感じ、見ていると移籍したての頃の自分を思い出して放っておけないんだそうです」



ちひろ「そう、なんですね。でもたしかに、力はあるのに自分に自信がなくて引っ込み思案なところは、昔の楓さんに似ているかもしれません」



P「そうでしょう?」



ちひろ「……それで、もう一つの本当の理由は?」



P「智絵里に、自信を持ってほしいだけです。『自分は輝けるんだ』っていう自信を」

〜 事務所・屋上 〜



木村夏樹「あきらめないでどんな時も♪」ガチャッ



智絵里「あ……」



夏樹「君ならできるんだどんな事も♪ ……って、あれ?」



智絵里「あ、ご、ごめんなさい」



夏樹「いやいや、なんで謝るのさ。つーか、こっちこそごめんな? 入りづらかったろ?」



智絵里「あ、いえ……」



夏樹「ほら、こっち来いよ」



智絵里「でも」



夏樹「ははっ! 屋上に『用事』ってわけじゃないんだろ? 遠慮すんなって、アタシも暇してたんだ」



智絵里「はい」



夏樹「ほら、座んなよ」



智絵里「は、ハンカチなんて敷いてもらわなくてもっ」アタフタ



夏樹「どーせ安物さ、気にすんなって」



智絵里「あ、ありがとう、ございます」エヘヘ

夏樹「アタシは木村夏樹、アンタは?」



智絵里「お、緒方智絵里ですっ」



夏樹「うっし、よろしくな智絵里!」



智絵里「は、はい、よろしくお願いします木村さん」



夏樹「ハハハハッ! 木村さんって柄じゃねぇって、夏樹でいい」



智絵里「じゃ、じゃあ、夏樹さん」



夏樹「おうっ! よっしゃ折角だ、同じ事務所のアイドル同士、メアド交換しようぜ?」ピピッ



智絵里「い、いいんですか?」



夏樹「ったりまえだろ、智絵里。……ほれ、これQRな。QR読めるケータイ?」



智絵里「あ、はい大丈夫です」ピッ

夏樹「よっしゃ、じゃあ後でメールでもしてよ。あぁ〜……ところでさ、歌っても良い?」



智絵里「は、はいっ。もちろん、聞きたいです」



夏樹「……」スゥ



夏樹「どんなに打ちのめされたって♪ 悲しみに心を任せちゃダメだよ♪」



………………



夏樹「君なら出来ない事だって出来るんだ本当さ嘘じゃないよ♪ 今世界にひとつだけの強い力をみたよ♪ アイワナビーア君のすべてッ!!♪」



智絵里「…………」ポロポロ

夏樹「!? お、おい、どうした? 大丈夫か智絵里!?」



智絵里「あ、ち、違うんですっ」ゴシゴシ



夏樹「え?」



智絵里「すごく……良い歌だな、って」ニコッ



夏樹「……あぁ、そう言ってもらえると嬉しいよ」ニカッ



智絵里「え、えと、用事を思い出したので、失礼してもいいですか?」



夏樹「大事な事なんだろ?」



智絵里「はい」



夏樹「サンボマスターの『できっこないをやらなくちゃ』って曲だよ。……がんばんな!」



智絵里「はいっ!」タタタタッ



夏樹「緒方、智絵里ね……。良い顔、するじゃん?」フフッ

〜 2日後・レッスン場 〜



マスタートレーナー「よし、2人ともそろってるな」



智絵里・楓「はいっ」



マストレ「それじゃあレッスンを始めるぞ!」



楓「よろしくね、智絵里ちゃん」



智絵里「は、はいっ! よろしくおねがいしまひゅっ! ……あぅ//////」



楓「うふふっ。緊張、してます?」



智絵里「えっと、あの、はい……」



マストレ「それでいい」



智絵里「え?」

マストレ「適度な緊張こそがパフォーマンスを発揮する上で最も必要だ。それに、緒方はまだまだ新人、緊張するなと言ってもかえって硬くなるだろう? 緊張して当たり前、それ受け入れることから始めると良い」



楓「そうですよ〜? 『硬く』なると実力も発揮し『難く』なっちゃいますからね」



マストレ「高垣ぃ……お前は少しは緊張感を持てッ!」



楓「ごめんなさぁい」



智絵里「ふふっ」



マストレ「……ふっ。さて、お前たちが演る曲は4曲だったな? ライブまでは約1ヶ月――およそ4週間だ。週に1曲のつもりでキッチリ仕上げるからな!」



智絵里・楓「はいっ!」

〜 1ヶ月後・ライブハウス 楽屋 〜



智絵里「…………来ちゃった」



P「おや、なにがでしょう?」



智絵里「あ、あの、本番が」



P「ふふふっ、わかっています」



智絵里「あ、あぅ……意地悪しないでください……。ごめんなさい、あの、き、緊張しちゃって」



P「大丈夫ですよ智絵里。……あのネックレス、持っていますか?」



智絵里「は、はいっ」



P「四葉のクローバーは幸運の証。でもそのネックレスは違います」



智絵里「え……?」

P「その四つ目の葉、それは私やちひろさん、そして楓さんからの『信頼』です」



智絵里「信、頼……」



P「貴女の努力を、貴女の直向きさを、貴女の笑顔を、そしてなによりもあなた自身を、我々は信頼しています」



智絵里「…………」



P「私たちが信頼する智絵里を信じてあげてください」



智絵里「……はい」



P「さぁ、もうすぐ本番です。私はフロアから見守っていますからね」



智絵里「はいっ!」



アイワナビーアキミノスベーテ♪



智絵里「あ、夏樹さんからだ……!」



夏樹《客席から見てる。応援してるからな!》



智絵里「ありがとう、夏樹さん……!」

楓「あら、智絵里ちゃん良い笑顔だわ」



智絵里「わわっ! 楓さん!」



楓「うふふ、せっかくのライブですもの。今夜は楽しまナイトいけませんよっ?」



智絵里「はいっ!」



楓「じゃあ、行きましょうか――」



〜 数日後・事務所 〜



P「さて、この間のライブは本当にお疲れさまでした」



智絵里「ありがとうございます」



P「ライブに来てくださったお客様からもかなりの好評のようですよ、良かったですね」



智絵里「ほ、ほんとですかっ!?」



P「ええ、もちろん! 楓さんとのユニット活動はしないんですか、なんて問い合わせもあったくらいですからね」



智絵里「夢……みたいです」



P「ふふっ、夢ではありませんよ。これは智絵里が勝ち取ったまぎれもない今です」



智絵里「……はいっ//////」

P「そこで!」



智絵里「ひゃいっ!?」



P「我々としてはこの機を逃す手はないと思いまして……」



智絵里「は、はい」



P「来月末に、同会場で智絵里のソロライブを開催しようかと思っています」



智絵里「え……?」



P「貴女のデビューシングルの楽曲も上がってきましたし、タイミング的にはばっちりです。どうでしょうか?」



智絵里「で、でも……(来月の真ん中には中間試験が……)」



P「智絵里? どうかしましたか」

智絵里「…………やります!」



P「言いましたね?」



智絵里「はいっ! やらせてくださいっ!」



P「良い返事です! これから1ヶ月、忙しくなりますよ?」



智絵里「の、望むところですっ!」



P「あははははっ! 本当に良い返事をするようになりましたね智絵里」



智絵里「えへへ//////」

〜 ソロライブ2日前・緒方家 〜



智絵里「明後日、かぁ……。ふふっ、雨、止んでたらいいなぁ」



コンコン



智絵里「はい?」



緒方父「智絵里、入るぞ」



ガチャッ



智絵里「おとうさんどうしたの?」



緒方父「……智絵里、これはどういうことだ?」ピラッ



智絵里「え、あ、それは……」

緒方父「お前が学校のテストでこんな点数を取ってくるのは初めてだな?」



智絵里「…………」



緒方父「これは、どういうことだ?」



智絵里「ごめんなさい」



緒方父「謝らなくていい。……どういうことかと聞いている」



智絵里「…………」



緒方父「最近は帰りも遅いな?」



智絵里「…………」



緒方父「勉学とアイドル活動、両立できるといったのはお前だ」



智絵里「……はい」

緒方父「これでは、アイドル活動など認められない」



智絵里「っ!」



緒方父「アイドルなぞいつまでもできる事ではない。そんなことよりもしっかりと勉強をして――」



智絵里「……そんなこと?」



緒方父「?」



智絵里「アイドルが……『そんなこと』……?」



緒方父「……そうだ」

智絵里「――ッ!! おとうさんなんかにそんなこと言われたくないッ!!!」



緒方父「ち、智絵里?」



智絵里「やっと見つけたことなのにっ……! やっと見つけたわたしの夢なのに……!」



緒方父「…………」



智絵里「わたしのこと何時もほったらかしのくせにッ!! 興味なんかないクセにッ!!!」ダッ



緒方父「……ち、智絵里ッ!! 待ちなさいッ! 智絵里ッ!!」

〜 事務所 〜



ガチャッ



P「あー、ちひろさん? コーヒーをお願いできますか?」カタカタカタ



智絵里「ぴ、Pさん……っ」グスン



P「え……っ! ち、智絵里?! こんなにビショビショで、いったい……!」



智絵里「Pさぁん! うわぁぁぁん!」ギュー



P「……智絵里? 泣いているのですか?」



智絵里「Pさん……! Pさぁん……!!」



P「大丈夫、大丈夫です。私はここにいますから」ナデナデ



智絵里「Pさん……」



P「どう、したんですか?」



智絵里「……あの――」

〜 ソロライブ当日・ライブハウス 〜



ちひろ「プロデューサーさん、大丈夫なんですか?」



P「大丈夫とは、言えませんね」



ちひろ「……智絵里ちゃん、あんな状態で歌えるんでしょうか」



P「………………わかりません」



ちひろ「プロデューサーさん、昨日もこんな大事な時に丸一日も智絵里ちゃんをほったらかしにして……なにしてたんですか……!」



P「……秘策です」



ちひろ「え?」



P「そろそろ、来てくれるはずなんですが」



ちひろ「まさか……」

ブゥーン ガチャッ スタタッ



緒方父「……どうも」



緒方母「こんばんは」



P「来て下さって、うれしいです……!」



緒方父「……智絵里は」



P「楽屋へご案内します。こちらです」

〜 楽屋 〜



智絵里「……大丈夫……大丈夫……だいじょうぶ……」



コンコン



P「智絵里、入りますよ」



智絵里「っ! は、はい!」



ガチャッ



緒方父母「…………」



智絵里「……っ!?」ガタッ



緒方父「ま、待ってくれ!」

智絵里「……」



緒方父「智絵里」



智絵里「……」



緒方父「本当に、すまなかった……」ペコリ



智絵里「……え?」



緒方母「私も、ごめんなさい」ペコッ



智絵里「え、あの……」

緒方父「智絵里、お前のプロデューサーから懇々と諭されたよ……。お前が、どれだけアイドルというものを……。それを、私は……」



緒方母「私も、もっとあなたのこと見ていてあげなくちゃ、守ってあげなくちゃ、分かってあげなくちゃいけなかったのに………。ごめんなさい」



智絵里「…………」



緒方父「寂しい思いをさせて、すまなかった……」



緒方母「でもね、智絵里、これだけはわかってほしいの」



智絵里「……」

緒方父「私は、私たちは……お前のことを、愛している。それだけは、信じてほしい」



緒方母「……それじゃあ、私たち、客席で見てるわね?」



緒方父「…………応援しt……いや……がんばれっ! 智絵里!」



緒方母「がんばってね! 智絵里!」



智絵里「………………うんっ!」

〜 ステージ 〜



智絵里「みなさん! 今日はわたしのライブに来てくれてありがとうございますっ!」



ワァー!チエリーチャーン!!



智絵里「続けて2曲聞いていただきました。えと、1曲目は『ハミングが聞こえる』でした! えと、先月の楓さんのライブに出させていただいたんですが、見に来てくれた方っていますか?」



チエリチャーン!!ワタシハイッショニイマシタヨー!



智絵里「うふふっ、ありがとうございます。実はこの曲が、私と楓さんを繋いでくれた思い出の曲だったんです。そして、2曲目は楓さんのコーラスのお仕事を頂いたとき、不安で悩んでいた時に出会った、私の背中を押してくれた曲『できっこないをやらなくちゃ』でした!」



チエリー!!サイコウニロックダゼー!!

智絵里「いつか、この曲を教えてくれた木村夏樹さんとも一緒にライブしてみたいです! ……そして、これから歌う3曲目」グスン



チエリー!!ガンバッテ!!!



智絵里「……わたし、引っ込み思案で自信がなくて、アイドルなんて夢みたいだって思っていました。でも、いつも応援してくれる人がいたから、支えてくれる人がいたから、守ってくれる人がいたから、わたし、ここまで来られました」グスン



ガンバレェー!!!チエリィー!!!

智絵里「…………おとうさん、おかあさん、私を愛してくれて、ありがとう。そんな気持ちを込めて歌います。……聞いてください。緒方智絵里で『チェリー』♪」



おわり



17:30│緒方智絵里 
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