2015年11月30日

渋谷凛「犬だよ、犬」

まゆ「プロデューサーさん」



モバP「何?」



まゆ「何で、プロデューサーさんの自宅に凛ちゃんが居るんですかぁ?」





モバP「えーっと……それは……その」



凛「犬だよ。室内犬」



モバP「犬……そうだ、犬だよ」



まゆ「犬…ですか」



モバP「俺のペット、飼い犬だ!俺の家族みたいな存在。いや、家族だよ!愛しい飼い犬だよ、まゆ」



凛「わんわーん、ね?」



まゆ「そうですか」



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プロデューサーに対する情念において、事務所一と自負する佐久間まゆ。



彼女の発するプレッシャーに臆することなく、プロデューサーに"犬"と



呼ばせる渋谷凛の胆力は、シンデレラガールのみが持つもの。





まゆ(流石はシンデレラガールですねぇ)

モバP「ほら、犬!ワンちゃんだよ」



まゆ「野良犬ですか?随分と汚い野犬を拾ったんですねぇ。まゆが保健所に通報してあげますよ」



凛「あん?」



まゆ「は?」



凛「その辺の雑種とは違うよ!血統書付きだよ」



モバP「そうだぞ?血統書付きだぞー………多分」



凛「保健所に通報するなんて、もっての外!」



モバP「血統書付きなら、保健所に通報するのは、やめたほうがいいな」



まゆ「プロデューサーさんが、そう仰るならやめておきます」

凛「そうだよ。ところでプロデューサー、アイス食べていい?」



モバP「もう、袋を開けてアイス食べてるじゃん」





渋谷凛は、自己を犬と言い切った後、他人の冷凍庫を開けアイスを器用に食べた。



犬がアイスを食べることは、不可能。



しかし、アイドルの中のアイドルにとっては、造作もないことであった。

凛「美味しい」



まゆ「本当にそれは犬なんでしょうか?器用に自分でアイスの袋を開けて」



まゆ「プロデューサーさんの横でアイスクリームを貪っている……本当にそれは犬なのでしょうか」



凛「まゆ」



まゆ「何でしょうかぁ。異論でも?」



凛「くどい」

凛「れろれろぺろぺろ」



モバP「美味しいかい?よかったねぇ」



まゆ「話は変わりますが、一つ質問なんですけど……」



凛「まだ何かあるの?」



まゆ「もしも…ですよ?万が一、渋谷凛に見えるソレが犬だとしたら」



凛「ご馳走様。アイスはラクトアイスより、アイスクリームに限るね」



まゆ「何でプロデューサーさんのボクサーパンツを穿いているのでしょうか?」

モバP「それは……ほら、アレだ。愛犬に服を着せる人いるでしょ?」



まゆ「ああ、そういう趣味の人は存在しますね」



凛「下着の代えが無かったからだよ」



凛「下着を持ってくるのめんどくさいし、プロデューサーのパンツでいいんだよ。3枚480円だけど、なかなか良いよ?」



モバP「まゆ、納得した?」



まゆ「いいえ。納得できません」



凛「新品のプロデューサーのパンツがあるから、まゆに1枚あげるよ」

渋谷凛は、佐久間まゆにボクサーパンツを投げた。これは無礼な行為であり



アイドルの間で決闘が開始されてもおかしくなかったであろう。



しかし、プロデューサー愛を随一と自負する、佐久間まゆにとっては……。





ドクン ドクン





プロデューサーのパンツを手に取った佐久間まゆは、全身の血流が促進され



心拍数が上昇し、心の中が清く正しい尊い”何か”で満たされるような気分であった。



人はこれを、恋心という。

まゆ「ええええええええええええええええパパパパパ、パンツを頂けるんですかあああああああ」





彼女の股座から尿のような物が溢れた。





凛「声が大きいよ、まゆ。ご近所迷惑だよ」



まゆ「ありがとうございます!!ジップロックに入れて、持ち帰ります!!」



モバP「そこまでしなくても……」



まゆ「ハァハァ…そ、それでででまゆは、帰りますね!!失礼しまままますッッッッッ!」



凛「まゆ、お疲れー」



モバP「お疲れ様」





ガチャ

凛「ふぅ…何とか誤魔化せたね」



モバP「まゆ、嬉しそうだったな」



凛「顔が真っ赤だったね」



モバP「あいつ、下着に困ってるのかな」



凛「おかずにするんじゃないのー」



モバP「え?」



凛「ああ、何でもない。それよりプロデューサー、晩御飯まだ?」



モバP「よーし!バイソンの肉を焼くか」



凛「えー、またそのメニュー?」



モバP「肉を食べなきゃ。ステージで頑張れないよ」



凛「それなら、食べようか」



―――――





ありす「プロデューサーさん」



モバP「何?」



ありす「何故、プロデューサーさんの自宅に桃華さんがいるのでしょうか」



モバP「えーっと……それは……その」



ありす「プロデューサーさん、ここに桃華さんが存在する理由を答えて下さい」

桃華「ATMですわ」



ありす「ATM?」



モバP「え!?ATM!?」



桃華「橘さん、聞こえませんの?ATMですわ」



ありす「意味がわかりませんね。人間ではないと言いたいのですか」



桃華「ねぇ、Pちゃま?わたくしは、何でしょう」



モバP「………」



桃華「Pちゃま、これを受け取ってくださいな」



櫻井桃華は、プロデューサーのパンツに札束を入れた。



このような行為を"男気"と芸能界では表現する。



しかし、櫻井桃華からは"男気"とは違う、一部の貴人のみが



持ち合わせる"気高さ"を、橘ありすは感じ取った。

ありす「さ、札束ッ…!?」



モバP「ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!AAAAATTTTTMMMMMMMMMMMMMMM!」



ありす「なッ…!?言いきった!?」



モバP「そうだよ、ATMだ!間違いなくATMだ!俺の現金自動預け払い機!俺だけのAutomated teller machineだよ」



桃華「ふっ…ただの普通のしがない、何所にでもあるATMですわよ?」



ありす「………」



モバP「ATMなら仕方ないよねーアハハ」



桃華「仕方ありませんわねーウフフ」



ありす「ぐぬぬ」



モバP「フッハハハ」



桃華「ふふっ」



ありす「実弾を使うとは……どこかのモグリの名医のようですね」



デジタル家電を使いこなし、ユビキタス社会に生きる346プロの麒麟児、橘ありす。



彼女の追求をかわし、笑顔で白を切る櫻井桃華のタフネスは



一流の家に生まれた者のみが持つ才能である。これは、平民に生まれた者が持たない才能であった。





モバP「まぁ、この家は桃華の援助で住めているわけだしね」



ありす「え?」



モバP「プロデューサーの収入で、こんな都会のマンションに住めるわけないでしょ」



桃華「Pちゃま、やめてくださる?公にせぬと約束したではありませんか」



モバP「ごめんね」



ありす「衝撃ですね」



モバP「車とスーツ、時計のアクセサリーは桃華と琴歌からのプレゼント」



ありす「そう言われると、プロデューサーさんの衣服だけ、一流のオーラが…あるような、ないような気がします」



モバP「俺という人間は一流ではなく、二流だと言いたそうだね」



ありす「社会人として二流です。ほとんど、アイドルのヒモというか飼い犬ですからね」



モバP「へへっ」



ありす「笑いごとではありません」

桃華「Pちゃま、将来は楽しみですわね。後、十年もすれば櫻井家の一員ですわ」



モバP「ん?」



ありす「何を言っているのでしょうか?。プロデューサーには"待って"もらいます」



ありす「しかし、その"待て"は貴女のための"待て"ではありません」



ありす「全ては、私のための"待て"です。プロデューサーは私のために待つのです」





飼い犬に待てを命じるが如く、プロデューサーに待てと言い切る、橘ありす。



橘ありすの脳内の計画では、両名は既に夫婦であった。

モバP「な、何だってええええええええ!?」



桃華「勘違いなさらないでくださる?わたくしは、Pちゃまが誰と夫婦となろうと構いませんわ」



ありす「そ、そうですか。安心しました」



モバP「君達、おませな事ばっかり言って…びっくり!フフフハハハ」



桃華「もしも、明日にPちゃまがアイドルの誰かと結婚しても、よろしくてよ?」



ありす「ふっ……」



モバP「プロポーズしてないのに、遠まわしにフラれた感じだな」



桃華「わたくしは、何も異論はありませんわ」



ありす「直球でフラれましたね」



モバP「むむむ……ありす、嬉しそうだな。馬鹿にするな」

このとき、橘ありすは勝利を確信した。プロデューサーと計画通りに結婚し、プロデューサーの子を宿し



プロデューサー家と橘家、どちらも繁栄させていくという、壮大な野望。



『オギャオギャオギャ』



『元気な5000gの男の子ですよー』



『ありすさん』



『お義母様。20人目の子が産まれました!』



『ありすさんって毎年妊娠してるけど、健康は大丈夫なのかい?』



『お父さん!嫁であるありすさんに向かって何と言うことを…!本心でも口に出してはいけません』



『ごめんね』



麒麟児の脳裏には、鮮明なる結婚生活の幻が浮かんだ。



ありす(私の計画に狂いはありません)ポワワ

桃華「わたくしが婚姻可能な年齢になるまで、ご自由に結婚してくださいまし」



ありす「え?」



桃華「結婚しても、何度でも10回でも1000回でも、Pちゃまが死ぬまで離婚の手続きは可能ですわ」



ありす「り、離婚…!」



桃華「何度でも構いませんのよ?」



モバP「そう言われると……確かに。何度でも離婚できちゃうね」



ありす「感心しないでください。反論しましょうよ」



桃華「この世の中に、犬が食べられる無料の餌なんてありませんわよ」



ありす「餌…!!衣食住を提供し、プロデューサーさんを飼いならしている…とでも言いたげですね」



モバP「そうやって罠にハメるなんて、桃華は賢いなぁ、ハハハ!」



ありす「否定してください。断固として否定してください!」



モバP「桃華の犬か…まぁ、それも悪くないかな」

―――――





凛「何で、プロデューサーのベッドに周子がいるの」



モバP「え…あーそれは…その……」



凛「答えてプロデューサー」



周子「野生動物保護やろ」



モバP「野生動物!?…え…あ、ああ!そうだ。保護したんだ」



周子「絶滅危惧種は、保護するでしょ?ソレと同じやん」



凛「へぇー……」

周子「プロデューサーが、住みかを(両親から)追われた可哀そうなしゅーこを保護したんだよ。わかるかな?」



凛「一人暮らししても、家賃を滞納してアパートを追い出されたんでしょ」



モバP「ハハハハ……マジで!?」



周子「ハハハ、ノーコメント」



凛「プロデューサー、捨ててきなよ」



モバP「うーん、捨てるのは可哀そうじゃないかな」



凛「ダメ。元に居たところに返してきてよ。駆逐してよ」



周子「絶滅危惧種でデリケートなしゅーこちゃんを、駆逐するなんて外道がやることだよ」



モバP「え?絶滅危惧種なの?それは保護しなきゃ、うん…守らねば」

凛「プロデューサー、周子に騙されてるよ」



モバP「絶滅危惧種らしいしゅーこを駆逐するのは、いかがなものだろうか」



凛「プロデューサー、よく聞いて。コレは絶滅危惧種でも、血統書付きでもない、ただの野生動物だよ」



モバP「な、なんだってえええええええ!!!」



周子「は?」



凛「あん?」



周子「絶滅危惧種だってば。ジャジャーン!ほら、胸から豆大福が出てきましたー」



モバP「おおお!」



周子「お次は……苺大福!!」



塩見周子が胸元より、取り出したのは豆大福と苺大福である。



通常の和菓子である大福と、酸味を併せ持つ苺大福を、用意する知略。



この知略こそは、塩見周子が4代目シンデレラガールに輝いた原動力。





モバP「ううううおおおおお!!すげええ」



周子「どや?はい、あーんして」



モバP「あーん」



周子「美味しいね」



モバP「モグモグ…うん、美味しい」

凛「プロデューサーを食べ物で手なずけるなんて…まるで、犬に行う餌付け」



モバP「すげええええええ、凄いな周子。いいじゃないか、絶滅危惧種!これなら最高だ、いつでも和菓子が味わえる」



周子「でしょー?」



モバP「この種は絶やすことまかりならない。保護しなければ、愛情をもって手厚く保護しなければならない!」



モバP「神が、仏が、南無八幡大菩薩が、父祖達が、言っている!保護して、繁殖しろと言ってる!!」



凛「な…!! 正気?」





3代目シンデレラガールである渋谷凛の迫力に対し、意見を貫き通せるのは芸能界広しといえども



4代目シンデレラガール塩見周子のみである。懐に豆大福を忍ばせ、さらに奥の手として苺大福まで用意する。



"現"シンデレラガールである塩見周子に、一切の死角はない。

凛(3代目シンデレラガールの私に抵抗できるなんて……シンデレラの正統な後継者)



凛(4代目シンデレラガールなだけのことは、あるね)





周子「ふっはははは、やったねー保護される権利ゲットー♪」



凛「プロデューサーを誑かすとは……やってくれたね、周子」



おわり



17:30│渋谷凛 
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