2015年12月01日

幸子「ボクは忘れませんよ」




*







「さて輿水さん、まずはおめでとうございます。数日後の誕生日も含めて」





幸子「ありがとうございます! カワイイボクがまた一つ大人の魅力を上げてしまいますねぇ」





「そうですね、最近は輿水さんも随分大人っぽくなったようで」





幸子「フフン、そうでしょう」





「でも、身長は変わらないですね」





幸子「うっ……いずれ伸びますよ!」





「……何年か前にも同じ言葉を聞いたような」





幸子「やめてくださいよ!?」





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「さ、本題に移りましょう」





幸子「はい……」





「今回は舞台に初挑戦ということで」





幸子「えぇ! バラエティ、ドラマ、映画とそつなくこなしてきたボクですが、初めての舞台でした」





「それも主役」





幸子「そうなんです。いや〜監督さんにボクの魅力が届いた証ですね!」





「監督は演技力を重視したと仰っていましたが……」





幸子「あ、そうなんですか…………って、それはそれで嬉しいじゃないですか!?」







幸子「まぁ、ボクの演技力も日に日に向上しているということです!」





「ということは、やはり今回も自信があると」





幸子「当然です! 自信無くして輿水幸子じゃありませんから」





「今のメモっておきますね」





幸子「さすが分かってるじゃないですか」





「こうして輿水さんにインタビューするのも数回目ですから」





幸子「いつもありがとうございます」





「いえいえ、こちらこそ」







「こういった舞台での主役に限らず、輿水さんを見かける機会が多くなってきましたが」





輿水「フフン♪」





「やはり生活なども変わったのでしょうか? 気になりますね」





輿水「生活ですか? まぁ、さすがにこれだけお仕事を頂いていると、その……豊かにはなりますけど」





「やはり」





輿水「でも、基本的なことは変わらないですね」





「ほう」





輿水「事務所の仲間が増えることはあれど、昔からの人たちは今でも一緒ですし」





「星さんと白坂さん、随分と大人っぽくなりましたね」





輿水「えぇ!! ボクに負けず劣らずカワイイです」





「身長も伸びましたし」





輿水「泣きますよ」







輿水「それに、私生活に至ってはお仕事お仕事の働きづくめで何の変哲もありません」





「人気の証ですね」





輿水「そうですね! でも、少しだけ余裕が無いですね……楽しいですけれど」





「近頃の休暇はありましたか?」





輿水「えーと、そうですね……たしか一ヶ月近くは……」





「うん、お疲れ様です」





輿水「ありがとうございます……でも、その貴重な休暇はとても楽しいですよ!」





「ほう。ちなみにどう過ごしましたか?」





輿水「あのときはー……そうだ、つかささんと一緒にお出掛けしたんです!!」





「あぁ、桐生さんと」





輿水「はい! 久しぶりに会えて、とても充実した一日でした!」







「さて話は変わりますが、輿水さんには”夢”がありますか? もしくは、ありましたか?」





輿水「そうですね、今の夢は、今以上の活躍です!」





「なるほど」





輿水「もっともっと、どこまでもボクの可愛さを広めないといけませんから! みーんなにです」





「輿水さんらしいですね、素敵です」





輿水「フフーン! あ、あと……」





「はい」





輿水「昔、アイドルになる前は他の夢もあったんですけど……」





「おっ、とても気になります」





輿水「えー、と……んー……あぁー………ぅー…………やっぱりダメです!」





「えぇっ!」





輿水「これだけは言えません。危ない危ない……」





「そんなぁ」







「それにしても、輿水さんの昔の夢がアイドルでは無かったことに驚きましたね」





輿水「どうにかしてボクの可愛さは広めようと思っていましたけどね」





「幼少期から……!」





輿水「もちろんです! 生まれた時からボクはボクなんです」





「……もしかして産声がフフーン?」





輿水「さすがにそれはないですよ! ……ないはずです」





「ありえそうですね」





輿水「……後日確認してみます…………大丈夫ですよね……?」







「そろそろお時間も迫ってきましたね」





輿水「もうそんな時間ですか」





「はい。それでは最後の質問を」





輿水「はい」





「ズバリ、輿水さんがご自身を”カワイイ”と言い続ける理由を教えてください」





輿水「……今までで初めて聞かれましたね」





「意外なことに」







輿水「ちなみに、記者さんはどう考えてたりします?」





「私はですね、やはり輿水さんの圧倒的自信からくる自分の可愛さを広めたいという気持ちがあるのではないかと」





輿水「そうですね、それもありますけど、一番じゃないんです」





「え?」





輿水「単純なことですよ。昔言われたんです、友達に」





輿水「いつまでも金ピカのままで、って」







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――――――――――

―――――





「幸子さん、この前の記事届いてますよ」





幸子「はい!」





「先に読んじゃいましたけど、意外だったな〜」





「何がですか?」





「いやーあたしも記者さんと同じ考えしてたので」





幸子「あぁ、あれですか」





「はい、じゃあお仕事戻りますねー」





幸子「はーい」







パラ







『単純なことですよ、昔言われたんです、友達に』





『いつまでも金ピカのままで、って』





『金ピカ?』





『はい、さちこちゃんはかわいいね、って。たぶん、いつまでも輝いていてね、とかそういう意味だったのかなと』





『なるほど』





『小さいころでしたから、上手い言葉が出てこなかったんでしょうね』





『そのお友達、今は……?』





『小さいころですよ、もうお互い何処にいるかも知りません』





『ふむ』





『まぁあの時はどういう意味だろう?って思いましたね』





『あー』





『あれはあのこなりの愛情表現だったのかなーと。今やっとあの言葉が理解出来ますね』









―――――

――――――――――

―――――――――――――――





「さちこちゃん」





「はい?」





「あ、あのね」





「どうしました?はやくかえりましょうよ」





「え、えっと、さちこちゃん、さちこちゃんはかわいいね」





「へ? ありがとうございます」





「わたしね、かわいくて、えがおがすてきなさちこちゃんのこと、とてもそんけいしてる」





「え、えへへ……ぼく、かわいいですか?えへへ、ありがとうございます!」





「うん! さちこちゃん、わたしとおともだちになってくれて、ありがとう」





「ぼくもありがとうございます!」





「だから、さちこちゃん、いつまでも、えっと…………きんぴかのままでいてね!」





「きんぴか……? よくわからないですけど、わかりました!」





「えへへ」





「えへへ、さぁかえりましょう!」





「うん!」







―――――――――――――――

――――――――――

―――――





幸子「…」





幸子「…………今、なにしてるだろう」







「幸子ー、仕事行くぞー!」







幸子「はーい!」





パタン





幸子「……ふふん!」





幸子「ボクは忘れませんよ」





幸子「あなたが、いつまでも金ピカのままでって言ってくれたこと」











おしり



22:30│輿水幸子 
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