2015年12月02日

仁奈「ちひろおねーさん、お誕生日っていつでごぜーます?」ちひろ「はい?」

【モバマスSS】です





――――11月25日 事務所





ちひろ「誕生日についてですか……一体どなたのを聞かれているのでしょう?」



仁奈「だからちひろおねーさんのお誕生日ですよ! 事務所で知ってる人だれもいねーでしたから、直接聞きに来たでごぜーます!」



ちひろ「それはそれは。ええ……千川ちひろ……の誕生日は11月28日ですが、それがどうかしましたか?」



仁奈「えっ!?」



こずえ「えー……?」



薫「えぇーっ!?」



ちひろ「あの、なにをそんなに皆さん驚かれているのでしょう?」



仁奈「だ、だって……た、大変でごぜーます……仁奈達全然プレゼントとか用意してねーですよ……!」



こずえ「……どうしよー……?」





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ちひろ「プレゼント……あの、そもそもどうしていきなりそういう話になったのでしょうか?」



薫「あのね! 今日は幸子ちゃんと瑞樹お姉ちゃんのお誕生日だったでしょ! それでみんなでお祝いしてたのっ♪」



こずえ「そのあとー……つぎにうまれたのは……だれーってなってー……」



仁奈「そしたらちひろおねーさんのお誕生日をお祝いしたことねーのに気づいたんでごぜーます!」



薫「でも誰もちひろお姉ちゃんのお誕生日を知らなかったから、こうしてかおる達が聞きに来ましたー!」



ちひろ「なるほど、事情は分かりました」



仁奈「でもちひろおねーさんのお誕生日がもうすぐだったなんて……今からじゃお祝いする準備が間に合わねーかもしれねーです……」



ちひろ「うーん、お気持ちはありがたいですが私もそれほど自分の誕生日は気にしていませんでしたし……祝ってもらう必要は」



薫「そ、それはだめだよ!」



こずえ「だれかにおいわいされるのー……とってもうれしいー……ぽかぽかするー……」





仁奈「そうでごぜーます! それにちひろおねーさんがプロデューサーにみんなのお誕生日お祝いするように言ってることは知ってるでごぜーます!」



ちひろ「どうしてそれを……」



薫「せんせぇが言ってたの! 『どんなことがあってもちひろさんが教えてくれるから皆の記念日を忘れずに済む』って!」



ちひろ(黙っていればいいのに律儀なんですから……)



仁奈「それにみんなちひろおねーさんにはずっと助けてもらってばっかりでごぜーます! だからお誕生日くらいちゃんとお祝いしてーです!」



ちひろ「そうですか……でも皆さん一つ大事なことを忘れていませんか?」



仁奈・薫・こずえ「「「?」」」キョトン



ちひろ「11月28日と29日に、皆さん大きなライブに出られるはずですよね?」



仁奈「あ……」



薫「シンデレラの舞踏会だね! ……って、それじゃあ」





こずえ「……ちひろをおいわいできないー……?」



ちひろ「そうなっちゃいますね。でも皆さんがライブに向けて一所懸命練習されていることは知っています。だからその頑張りを無駄にしないためにも」パチンッ



薫「わ……いきなりアメがでてきたっ!?」



ちひろ「はいどうぞ。これをあげますから、私の誕生日なんて忘れてライブに備えてください。お祝いのお気持ちだけ貰っておきますから」



仁奈「ちひろおねーさん……」



ガチャ



美優「仁奈ちゃん、そろそろ寮に戻らないと。ちひろさんから誕生日は聞けました?」



仁奈「あ、美優おねーさん。お誕生日は聞けたでごぜーますよ……でも」



あい「ならばもう帰る時間だ、薫も、こずえ君もだ。さっきまで誕生日パーティーをやっていたのもあってもう夜も遅いんだからな」



薫「あいお姉ちゃん!? ま、まって、まだちひろお姉ちゃんとお話することが……!」





あい「そうなのかちひろさん」



ちひろ「いえ、私の方で仁奈ちゃん達にお話することは全て話しましたので、どうぞ寮に送っていってあげてください」



こずえ「ちひろ……だめー……まだはなすのー……」



美優「そんなことを言っても皆明日もライブのリハーサルをしますから、これ以上の夜更かしはちょっと許せません」



あい「その通りだ。話は明日でも出来るんだから、今日はもう帰ろう」



薫「そんなぁ……」シュン



仁奈「……っ、ちひろおねーさん!」



ちひろ「なんでしょう仁奈ちゃん?」



仁奈「仁奈達、絶対ちひろおねーさんのお誕生日をお祝いするって約束するでごぜーます! だから、だから……まっててくだせー!」



ちひろ「……分かりました。でも、ライブに影響が出るようなことがあるなら無理しないでくださいね」





こずえ「むりしないー……するかもー……?」



ちひろ「それは困りますね……とにかく今日はもう休んで下さい。美優さん、あいさん、あとはよろしくお願いします」



美優「はい。それじゃあ皆行きましょう」



仁奈「わかったでごぜーます……」トボトボ



薫「うぅー……」トボトボ



こずえ「……ふわぁー……」トボトボ



あい「……そんなに困った顔をしないでくれ。帰る途中で相談に乗るくらいはしてあげるとも」



薫「ほんとあいお姉ちゃん!? それじゃあね――」



バタンッ





ちひろ(……ふぅ、帰られたみたいですね。しかし驚きました、皆さんが私の誕生日など気にされるなんて……)スッ



ちひろ(11月28日まであと3日……ライブの準備ばかりで自分の誕生日のことなんてすっかり頭にありませんでした……)カタカタ



ちひろ(まぁ、アイドルの皆の誕生日はともかく、私の誕生日なんて一円の利益も生みませんから当たり前ですが)カリカリ



ちひろ(それにしても『千川ちひろ』の、か……)カタカタ



ちひろ(書類の片付けの最中に話しかけられたものですから、少し油断しすぎましたかね……)カタカタ



ちひろ(……あ、この報告書、数値が間違ってますね……修正して……)カリカリ



ガチャ



ちひろ「あら仁奈ちゃん達、まだなにか――って、なんだプロデューサーさんでしたか」カタカタ



モバP「なんだとは随分なことだ。仁奈達となら途中ですれ違ったが、ちひろさんの誕生日のことで盛り上がっていたぞ」ゴソゴソ



ちひろ「そのようですね。コートは壁に掛けてくださいね」カタカタ





モバP「分かっている。それにしても流石に夜になると外は寒いな……」



ちひろ「熱いコーヒーでも入れましょうか?」カリカリ



モバP「ああ頼む。砂糖もミルクも入らないから」



ちひろ「分かっています」カタッ コポポッ



ちひろ「はいどうぞ。熱いですから気をつけてくださいね」コトッ



モバP「ありがとう。それにしても相変わらずちひろさんは私とだけの時でも、こういうことはちゃんと人のようにやるのだな」



ちひろ「慣れておかないと接待の時に困りますから。しかしもうすぐライブがあるのに、アイドルの皆さんは今日も誕生日パーティーを開かれていたそうで」



モバP「それがあいつらの良いところだ。誰かのおかげで芸能界の悪い部分を見ないで済んでいるというのも大きいだろうが」ゴクッ



ちひろ「……なんのことやら。ところでプロデューサーさんはちゃんと瑞樹さんと幸子ちゃんにお祝いしましたか?」



モバP「……ふぅ……美味い……それについては無論日が変わると同時にお祝いメールを送り、出会ってすぐにプレゼントも渡している」





ちひろ「どうでしたか? 私の勧めたプレゼントの内容は」



モバP「とても良かった、感謝している……で、二人の誕生日記念イベントの成果のほうはどうだった」ゴクッ



ちひろ「それはもうとても良い収益になっていますよ! 誕生日というのはこれだから好きです、どう転んでもお金になりますから」



モバP「まったく……もうすぐ自分の誕生日だというのにぶれない物だ、ちひろさんは」



ちひろ「ふふっ、でもその日はこのプロダクションにとって一年で一番盛り上がりお金になる日でもありますから」スッ



ちひろ「見て下さいこの資料。28日のライブで予想される観客動員数やグッズ販売数の予測などのデータをまとめたんですが、この」



モバP「まぁこれはいい。それよりも仁奈達に誕生日を祝ってもらえるんだぞ、そっちのほうで喜んだらどうだ?」



ちひろ「……それは……」



モバP「なんだ、その困ったような顔は」



ちひろ「いえ……ただ、私にとって誕生日というのは他人のそれを利用することで私が儲かる日でしかありませんでしたから」





モバP「くくっ……そうか、つまり自分が逆の立場になったことに気付いてどうしたらいいか分からないということか」



ちひろ「それもありますが、11月28日というのは私がプロデューサーさんのアシスタントとなり、千川ちひろと名乗った初めての日」チラッ



ちひろ「そしてこのプロダクションが本格的に動き始めた日でもあって、それら全ての理由を合わせて誕生日と結びつけました」



ちひろ「だから本当は私だけの誕生日として仁奈ちゃん達に祝ってもらっていい日ではありません。なのにあの子達の顔を見てたら強く言えなくて……」



モバP「……これは驚いた。あの千川ちひろが罪悪感を感じている姿を見れるなんて、今日はとても良い日かもしれん」



ちひろ「挑発してるならドリンク類の値段を10倍にしますよ?」



モバP「それは困るな……だが挑発しているわけではなく安心しているだけだ。やはりちひろさんは優しいとな」



ちひろ「私が……? 私がどういう存在かなんて、プロデューサーさんが一番良くわかっているはずですよね?」



モバP「ああ、それなりにはな。初めて出会って契約書にサインをさせられてしばらくの間はよくわからない奴だと思っていたものだ」



ちひろ「む……」





モバP「さらに時間が経つと恐怖やら疑念やらが合わさり憎たらしい女だと思うようにもなっていったが」



ちひろ「なかなか酷いことを言いますね」



モバP「それはそうだろう。だがそんな時アイドル達に話を聞いてみれば、誰からもちひろさんの悪い評価は決して聞こえてこなかった」



ちひろ「……」



モバP「時々無茶な頼みごとをされて大変だったという話も、その後のフォローがすごかったや貯金がすごく増えていたなどと誰も恨んでいない」



ちひろ「……私なりに正当な報酬を支払ったまでです」



モバP「まぁそういう部分が何者なんだとたまに怪しく思う点にもつながってるみたいだが。それをひっくるめても卯月や未央の評価はすごかったぞ」



ちひろ「評価?」



モバP「あぁ、ちひろさんは事務所の主役でアイドル達皆のアイドルなんだと」



ちひろ「……はぁ…………はい!? 誰が、なんですって?」





モバP「ちひろさんが皆のアイドルってことだ」



ちひろ「わ、私が……? あんなに可愛らしく綺麗な子達の……? 冗談ですよね……?」



モバP「冗談なものか。そもそもあれだけコスプレしていてそれが全て似合っている時点で正直私もその評価は妥当だと思ったがな」



ちひろ「コ、コスプレはその、楽しくて……というか似合ってると思ってたんですか」



モバP「うむ」グッ



ちひろ「っ……!」カァァァ///



モバP「今更照れるのか……今日はますます良い日だ。ともかく、アイドル達からそういう評価を受けるちひろさんは悪いやつじゃない」



モバP「そう思って接するうちに、ちひろさんは確かに誰よりも優しいと思うようになったわけだ」



ちひろ「……あくまでアシスタントとして振る舞うのに必要だから優しいだけだとか、そういうことは考えないのですか?」



モバP「そうしたら私の見る目がなかったってことだ。……プロデューサーとして致命的じゃないか、やはり優しいと断言はやめておくべきか……?」





ちひろ「……ふふっ……まったく、プロデューサーさんは。やっぱり今まで私が見てきた人間の中で一番おもしろい人ですね」クスクス



モバP「そう思うならドリンク辺りの値段をもう少し安くしてくれ」



ちひろ「それはお断りします」ニコッ



モバP「だろうな……ま、ともかくだ。祝われたことがないというなら、一度素直に祝われてみるといい」



ちひろ「しかし私は……それに皆さんライブに向けて練習が大詰めで忙しいはずですし……」



モバP「それでも誕生日を祝いたいくらい、あいつら全員が千川ちひろという女性を好きということだ。それに……」



ちひろ「それに?」



モバP「全員私とちひろさんで育てた最高のアイドル達だ。きっと、予想出来ないことをしてくれるさ――」





――――11月28日、ライブ後 宿泊先ホテル・ホール



ちひろ「では一日目無事終了を記念してささやかながらお祝いの料理をご用意しました。皆さん、好きだけ食べて明日も無事に乗り切りましょう!」



「「「「「「おーっ!!!」」」」」」



キィーン



モバP「えーテステス……あー、一応お酒も用意しました。呑みたい人は私の所まで。ただし自制出来ない人には呑ませないのでそのつもりで」



早苗「じゃーお姉さんは大丈夫ってことね!」



友紀「あたしも呑みたーい!!」



モバP「うん、ダメです」



早苗・友紀「「えーっ!!」」



モバP「まぁともかく、明日もライブだから皆急いで食事を楽しんで出来るだけゆっくり休んでくださーい」



凛「言ってること変じゃない?」



モバP「そうかな?」





茜「とにかく食べましょう! お腹が空きましたっ!!」



みちる「賛成です! ところでパンはどこですか!」



法子「ドーナツはないのかな?」



時子「あるわけな……あった……まったく、法子、ほら」グイッ



法子「モガッ……美味しい!」



みく「ふにゃあああ! どうしてみくにお寿司を持ってくるのにゃー!?」ダダダッ



七海「こういう時にこそ慣れるべきだかられすよ! まってー!」ダダダッ



李衣菜「七海ちゃん、あんまりみくをいぢめないでねー」モグモグ



ワイワイガヤガヤギャーギャードタバタ



ちひろ「皆さんあんまりはしゃぎ過ぎないようにしてくださいねー! ……全員まだあんなに元気だなんてすごいものです」



ちひろ(しかしやはり、皆さんライブで精一杯だったみたいですね。結局あの後、今日まで誰も私の誕生日のことを口にしませんでしたし……)チラッ



ワイワイガヤガヤ





ちひろ(まあ、それで良いわけですが。所詮アシスタントごときの誕生日など気にする必要はありませんし……けど、なんでしょうこの感じは……)



ちひろ(プロデューサーさんに言われて少し楽しみにしていたとかそういうわけでは決して無いはずなのですが……むぅ)



モバP「――楓さんもお酒はだめです。あなたも油断するとすぐ大量に呑むじゃないですか……」



ツンツン



モバP「はい今度はだ……仁奈か、どうしました?」



仁奈「あ、あの、プロデューサー。マイク借りてもいいでごぜーますか?」



モバP「マイク……? ……あぁ、どうぞ好きなように使ってください」



仁奈「ありがとーごぜーます! それじゃあみんな準備お願いするですよ!」



薫「任せて!」



こずえ「がんばるー……」



バタバタッ





未央「お、あの感じいよいよかぁ、ドキドキする!」



卯月「仁奈ちゃん達頑張ってましたけど、バレてないでしょうか……?」



凛「きっと大丈夫。皆で力を合わせたんだから」



キィーン



仁奈「あ、あー……あー! ちゅうもーく!! みんな少し手を止めてくだせー!」



ちひろ「あれ、仁奈ちゃん……? 変ですね、こんな予定はなかったはず……」



仁奈「今日はライブ楽しかったでごぜーます! 明日も楽しみですよ! けどその前に今日はもっと嬉しいことがあるでごぜーます!」



ちひろ(え……まさか)



仁奈「今日は! 今日は皆お世話になってるある人の誕生日なんでごぜーます! ちひろおねーさん!!」



ちひろ「は、はい!!」



仁奈「そこでよーく見ててくだせー! 薫ちゃん達、お願いするですよ!」



薫「いいよー! それじゃあ皆、せーので引っ張って! いくよー、せーのっ!!」



シュルシュル



ちひろ(天井から垂れ幕が……あれは……)





「「「「「「ちひろさん、お誕生日おめでとう!!!」」」」」」



パンッパンッパンッ



ちひろ「きゃっ!?」ビクッ



未央「おめでとーちひろさん!!」



卯月「おめでとうございます!」



凛「おめでとう……もしかして、驚いてる?」



ちひろ(【ちひろさんハッピーバースデー!!】と書かれた垂れ幕に、こんなクラッカーまで……用意してたことに気付けないなんて……)



仁奈「ちひろおねーさんが驚かねーとサプライズにならねーです! こういうのの用意はあやめおねーさんや頼子おねーさんがすごかったでごぜーますし!」



ちひろ(……なるほど、あの二人なら……しかしまさかここまで……)





仁奈「……あ、あれ……ちひろおねーさん、嬉しくなかったでごぜーますか……? さっきからなんにも……わわっ!?」



ちひろ「……驚きすぎて言葉が出なかっただけですよ。私がなにも知らないままこんなことをされたのは初めてですから」ナデナデナデナデ



仁奈「本当でごぜーますか!? ちひろおねーさん喜んでくれてるでごぜーますか!?」



ちひろ「えぇ……これが誕生日を祝われるということですか……そうですか……確かに、とてもいいものです」ナデナデ



ちひろ(本当にこれは、とても……)



仁奈「……や、やったー!! ちひろおねーさんに喜んでもらえたですよ! みんな、やったでごぜーます!」ギュ



薫「やったね!」ギュ



こずえ「ふわぁ……」ギュ



美優(良かったね仁奈ちゃん……ちょっと感動しちゃう……)



未央「よーし、仁奈ちゃん考案のサプライズが決まった所でプレゼントも渡すとしよう!」





ちひろ「プレゼント……? これだけでも十分なのにまだなにか……?」



未央「仁奈ちゃん達から相談されてなにがいいかなーって皆で考えたんだけど、時間もあんまりなくってさ。ちひろさんって貰って一番嬉しいものってなに?」



ちひろ「貰って……といいますか、手に入れて一番嬉しいのはやっぱりお金ですかねぇ……」



凛「予想通りの答えだった……」



未央「ま、まぁそんなところだろうとは皆思ってたんだけど、プレゼントでお金渡すってのはいくらなんでもないかなって思って」



卯月「代わりにきっと将来すごい宝物になりそうなものにしようってことになったんです」



ちひろ「なるほど……それは一体……」



卯月「仁奈ちゃん、どうぞ!」



仁奈「プレゼントはこれでごぜーます、ちひろおねーさん!」スッ



ちひろ「これは……本……? いや、サイン帳……?」



仁奈「中身を見てくだせー!」



ちひろ「……あ、皆のお祝いコメントとサインが書いてある……もしかして、全員分ですか?」パラパラ





未央「そう! 今をときめくアイドル達の直筆サインとそのコメント! きっと時が経てば貴重な物になってすごい価値になりますよ〜?」



ちひろ「…………」パラパラ



ちひろ(サイン帳の紙一枚一枚から皆の思いが伝わって……これが……誕生日……)パラパラ



ちひろ「…………ありがとうございます。これはずっと大切に、いつまでも私が持っておきます」ギュッ



仁奈(ちひろおねーさん……すごっく嬉しそうでごぜーます。仁奈まで笑顔になっちゃうですよ……)ニコニコ



モバP「そろそろいいですか」



仁奈「わっ! プロデューサー、なんでごぜーます?」



モバP「皆、ちひろさんへのサプライズ見事でした。本当ならもっとお祝いさせてあげたいんですが、これ以上はダメですね」



未央「えーなんで!!」



モバP「時計を見てください」





凛「……もう0時過ぎてる!?」



モバP「少し楽しみすぎたようです。明日のライブに支障が出ないよう、今日はこれで解散。後片付けはこっちでやるから全員部屋に戻ってくださーい」



「「「「「「えーっ!?」」」」」」



モバP「えー、じゃないです。明日はもっとすごい豪勢なパーティーを予定しているので今日の所は我慢してほしいんですが……」



早苗「しょーがいなか。ほらユッコちゃん、雫ちゃん、部屋に戻るわよ」



裕子「ま、まって下さいせめてあと一口……!」



雫「諦めてもどりましょうー」ズルズル



裕子「あぁチータラがーっ!!」



友紀「やだー、もっと呑むー!」



幸子「あ、いつの間にビールを! もう今日はだめって言われてたじゃないですか友紀さん!」



茜「とりあえず引っ張っていきますよー!!」ズルズル



友紀「ビールゥーッ!!!」



ガヤガヤザワザワ



未央「……ほんとにこれの後片付け任せていいの?」





モバP「問題ないです。皆も早く部屋に戻って休んでください。ライブの中核が当日倒れたりしたら私の首が飛ぶもんで」



凛「それ冗談に聞こえないから……。分かったよ、戻ろう皆」



卯月「今日はお疲れ様でした、おやすみなさい!」



モバP「お休み」



仁奈「ちひろおねーさん、今日はほんとに楽しんでくれたでごぜーます?」



ちひろ「はいとっても。短い時間だったのがもったいないくらいです」



仁奈「じゃあ来年はもっとすごいことをしてみせるでごぜーます! 楽しみにしててくだせー!」



ちひろ「はい、そうします。だから今日はもう休んでくださいね?」



薫「おーいもどるよー! 仁奈ちゃーん!」



仁奈「わわっ、ま、まってくだせー! それじゃあちひろおねーさん! プロデューサー! おやすみなさいですよ!」



モバP「うん、おやすみ」



ちひろ「いい夢を」





モバP「――……これで全員部屋に戻ったか。さてちひろさん、初めて誕生日を祝ってもらったのはどんな気分だ」



ちひろ「悪くありませんでした……誕生日を決めて良かったと初めて思うくらいには」



モバP「それは重畳。ならすまないがホールの片付けを……」



ちひろ「すぐに終わらせますが、その前に一つ。プロデューサーさんはなにもないのでしょうか?」



モバP「なにがだ?」



ちひろ「ですから、私の誕生日祝いですよ。アイドルの皆さんがあれだけしてくれたというのに、プロデューサーさんがなにもしないとは……」



モバP「なにもしないわけじゃない。そもそも今更、私からの贈り物が今日明日ですぐ渡せるほどの物ではつまらないだろう」



ちひろ「ではなにを?」





モバP「……新しい契約として一つ。千川ちひろが誕生日を迎える度、私は前の年よりさらに多くの利益を千川ちひろにもたらすこととする」



ちひろ「……いいんですか? 契約を守れなければどうなるか……」



モバP「契約は必ず守る」



ちひろ「……」



モバP「……」



ちひろ「……分かりました。プロデューサーさんが真面目なのは今に始まったことじゃないですから」



モバP「ああそうだ。だからこれからもずっと、よろしく頼むぞちひろさん」



ちひろ「ふふっ、ええ喜んで。こちらこそ、あなたが死ぬまで頼りにさせてもらいますね、プロデューサーさん♪」



〈終〉





23:30│千川ちひろ 
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