2015年12月04日

凛「あれ、プロデューサー、そのマフラー……」

――事務所



P「ん、どうした凛?」



凛「いや……普段見ないマフラー巻いてきたなって思って」





P「あ、あー……いや、まあ新しいのを買ったんだ、うん」



凛「ふーん……」



凛(違う……)



P「っと、ちょっとこれから○○局に行かなきゃならないんだ。また後でな」ガチャッ



凛(あの灰色のマフラー……手編みだ)



凛「そう、いってらっしゃい」





……パタンッ





凛(一体誰がプロデューサーにマフラーを……ああいうのはまゆが作ってきそうだけど、紅色じゃないし……)



凛(この事務所のどのアイドルがプロデューサーに……)ギリッ!





……

…………



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――○○局



P「まゆー、迎えにきたぞー」



まゆ「Pさぁん♪ 待っていまし……」ピタッ



P「どうした?」



まゆ(そのマフラー……手編みですねぇ。一体誰から頂いたのでしょうか……まさか……)



まゆ「Pさん、そのマフラー……」



P「ん、あ、ああ……まゆも凛と同じこと聞いてくるのか……いや、寒くなってきたから新しいのを買ったんだ」



まゆ「……っ!」



まゆ(凛ちゃんじゃない……? それじゃあ一体……)



P「今日は結構冷え込むからな……早く車に乗って事務所に戻ろう。寒くて仕方が無い」



まゆ「……はぁい」



まゆ(事務所でPさんにマフラーを贈りそうな人……結構いるように思えますけど、まゆのPさんに一体誰が……)ハイライトオフ



……

…………



――事務所



P「ただいま戻りましたー」ガチャッ



智絵里「あ、お、おかえりなさい……」



P「お、智絵里が来てたか……レッスンはどうだった?」



智絵里「き、今日は……ダンスで躓いていたところが、上手くできるようになりました……もうちょっとで一通り踊れる……かも……」



P「そっか。今度智絵里がレッスンしているときに見させてもらうよ。楽しみにしてる」ポンポン



智絵里「は、はい……えへへ……」



P「さて……今日はもうこの後は予定はないよな? 冷えてくるみたいだから早めに女子寮に戻っておいたほうがいいぞ」



智絵里「そ、それじゃあ……あ――」ピタッ



P「どうした?」



智絵里(Pさんの、そのマフラー……手編み、だよね……)



智絵里「Pさん……そ、そのマフラーって……」



P(またか……)



P「寒くなってきたからな。迂闊に風邪も引けないし防寒用に買ったんだよ」



智絵里(買った……ううん……嘘、きっと誰かから……)



P「智絵里も風邪には気をつけるんだぞ。それじゃあ俺はトレーナーさんに話しがあるからレッスン場に行ってくるよ」ガチャッ



智絵里「……はい」



パタンッ



智絵里(綺麗に編まれたマフラー……編み物は藍子ちゃんや、美波さんとかが得意そう……私のPさんに……)ハイライトオフ





……

…………



――レッスン場





みりあ「レッスンも終わったし、帰る準備もできたー!」ピョンピョンッ!



裕美「あ……みりあちゃん、そのミトン、可愛い……」



みりあ「えへへっ!みりあのお気に入りなんだー」ニコニコ



美波「私たちも着替えたら帰れるから、みんなもうちょっと待っててね」



藍子「すぐ更衣室から戻ってきますから――」





ガチャッ





P「ん……もうレッスンは終わったのか」



みりあ「あっ、プロデューサーだー!」ヒラヒラ



P「おう、レッスン終わったみたいだけど、まだまだ元気一杯って感じだな」



裕美「私はちょっと疲れちゃった……」



美波「どうしたんですかPさん、なにか用事が……」ハッ



P「ちょっとトレーナーさんとな……こっちの用事は済んだから、このあとスタジオに行くことになってるが」



藍子「大変ですね……今日は外も寒いですから、体調も……」ハッ



美波(Pさんが巻いているマフラー……)



藍子(手編み……)

P「申し訳ないけど、2人はみりあを送ってあげてくれないか? 外も寒いし、タクシー代は出すが」



美波「……いえ、大丈夫です。みりあちゃんはちゃんと送りますから」



藍子「……みりあちゃんを送った後で……3人で女子寮に戻ってます」



P「悪い、2人も無理しないで、もし交通機関を利用したら領収書切っておいてくれ。後で払うから」



美波(私でもまだ……Pさんにしっかりとした贈り物を渡せていないのに……贈り物をするほどPさんと仲の良い人が……事務所の中に……?)



藍子(近いうちにPさんを誘って、お散歩のついでに冬着を買いに行こうと思っていたのに……)



P「それじゃあ俺はもう行くよ。みりあ、裕美、2人とも美波たちの言うことは良く聞くんだぞ」ガチャッ



みりあ「はーい!」



裕美「うん」





パタンッ……





美波(私のPさんに擦り寄ろうとする子がいるなんて……)ギリッ!



藍子(Pさんに……誰が……)ハイライトオフ





……

…………



――△△スタジオ



美嘉「今日蘭子ちゃんが付けてるバレッタ、作りも細かいし結構カワイイよね★」



蘭子「クックック……我を象徴とする王家の証よ」(最近のお気に入りなんです♪)



莉嘉「リボンのフリルがメッチャ豪華だよねー! これ結構イイヤツなんじゃない?」





ガチャッ





P「おっ、3人とも収録終わってたか。お疲れさん」



莉嘉「あっ! Pくんだ☆」



蘭子「創造主の降臨!」(Pさん来てくれたんだ!)



美嘉「もー、遅いっ! アタシたち結構待ってたんだよ?」



P「悪い悪い。トレーナーさんと今後のレッスンの方針について話してたんだが、長引いちゃってな……」パサッ



美嘉「ホントに……ん?」ピタッ



美嘉(Pさんのマフラー……)



P「さて、それじゃ車に乗って……どうした?」



美嘉「……プロデューサー、そのマフラーって……」



P「ああ……寒いからな。新しく買ったんだが……美嘉はそんな薄着で寒くないのか?」



美嘉「ア、アタシはいいの! ギャルは寒くてもオシャレするもんなんだから!」



P「それもそうか……おっさんの俺には縁の無い話しだ……」



美嘉(誰に貰ったんだろ……彼女、かな……Pさん、彼女いるのかな……)



莉嘉「ねえPくーん、早くいこー! アタシちょっとお腹空いちゃった」グイグイッ



P「腹減ったって……んー……後は事務所で書類置いていけば俺も上がりか……それじゃあファミレスでも行くか」



莉嘉「やったー☆」



蘭子「血肉の祝福が……身を貫く寒さから我を癒す……」(外は寒いから……暖かいハンバーグが食べたいな)



P「はいはい……それじゃ近いトコで食って帰るか。明日はみんな集まってのレッスンだし、遅くならない程度にな」



美嘉(Pさん……やっぱり編み物とかが得意な女の子が好きなのかな……そりゃあアタシは見た目だってギャルだし……)ブツブツ



P「ん、どうした美嘉、早く行くぞ」



美嘉「う、うん……」



美嘉(Pさんの彼女……一体誰……だけど、アタシだって……)ハイライトオフ



……

…………



――事務所



ガチャッ!



P「ふう……寒かった」





文香「……」ペラッ……ペラッ……



P「お……文香、事務所にいたのか」



文香「……はい」ピクッ



P「外は寒いぞ。夜になるともっと気温が下がるみたいだし……早めに帰りなさい」



文香「私は……Pさんを、待って……」ボソボソ



P「ん、なんだって? おお寒い寒い……」ガタガタッ



文香「……いえ、何でも……ありません」



P「よし、書類も仕舞ったし帰るか……文香、明日は全体レッスンだろう?車で送ってあげるからそろそろ帰ろう」



文香「はい……あっー―」ピタッ



文香(あのマフラーは……)



文香「Pさん……その、マフラー……」



P「これか、これは――」



文香「何方からの……贈り物でしょうか……」



P「い、いや、ちゃうっ、違う、ぞ……うん、これは買ったものだよ」ビクッ!



文香「ですが、それは……」



P「何でもないよ。ほら、車出すから準備しておいてくれよ」タタタタッ



ガチャッ……バタンッ!!





文香(Pさん……何故、隠そうとしているのでしょうか……)



文香(まさか……この事務所に……あのマフラーを贈ったアイドルが……)ゴゴゴゴゴゴ……





……

…………

――翌日、事務所





凛「……」



まゆ「……」



智絵里「……」



美波「……」



藍子「……」



美嘉「……」



文香「……」



凛(この中の誰が……)



まゆ(Pさんにマフラーをプレゼントしたんでしょうかねぇ……)



智絵里(抜け駆けしようとする泥棒……)ギリッ!



美波(Pさんに手を出そうとする意地汚い子は誰なんでしょうかね……)



藍子(私がPさんにマフラーをプレゼントしようと思っていたのに……)



美嘉(みんな編み物とかやってそうだし……きっとPさんと隠れて付き合ってる子が……)



文香(私たちの目を盗んで……一体誰が……)



ガチャッ!!





「「!!」」ビクッ!



P「おはようみんな。今日は早いな……まだ来てないのはみりあと蘭子たちか……」ガサッ!



凛「……おはよ」



P「ん、どうした? 心なしか事務所の中が外よりも冷え切ってる感じがするが」



美波「……気のせいだと思いますよ」



P「そうか? 暖房の温度上げておくか……」ピッ!





ガチャッ!!





ちひろ「おっはよーございまーす!」



藍子「おはようございます。ちひろさん」



ちひろ「あらみなさん早いですね。おはようございます……あっ、そうそうプロデューサーさん!」ガサゴソッ



P「どうしたんです……おっ、もしや」



美嘉「うん?」ピクッ





ちひろ「うぇへへへ……じゃっじゃーん! 見てください、マフラーできましたよ!!」





「「!?」」





P「お、おー……緑の毛糸ですか。結構綺麗に編めてるじゃないですか」



ちひろ「ふふふ……前のよりは頑張って作りましたからね! ということで、Pさんにはこれをあげます!」ファサッ……



P「……うん、硬く編まれてもいないし、いい感じじゃないですか」



ちひろ「でしょー? 結構苦労したんですから――」





凛「貴様かちひろおおおおおおお!!!!!!」





ちひろ「ひいいいいいいっ!?」ビクゥッ!!



美波「ちひろさん……Pさんに何をしているんですか……?」ギロッ



ちひろ「えっ? 何って、マフラー編んできたのでお渡ししようかと……」



文香「私たちの目の前で……堂々とそんな行為に及ぶとは……」ゴゴゴゴゴゴゴ……



智絵里「許せない……」



まゆ「どうやら……死にたいようですねぇ……?」ニッコリ





ちひろ「えっ……あ、あの、みなさん……?」





凛「さて……この寒空の中東京湾にでも沈めるか――」





ガチャッ!





蘭子「煩わしい太陽ね」



みりあ「おはよー!」



裕美「おはようございます」

美波「蘭子ちゃんたち……」



まゆ「3人とも、ちょっと席を外してもらえますかぁ? いま大事な――」



みりあ「あー! ちひろさんマフラー出来たんだー!」



蘭子「新たなる創造主の誕生か!」(今度は上手くできましたか?)



ちひろ「え、ええ、前に失敗したヤツよりはかなり上手く出来ましたよ」



裕美「前のマフラー、ガッチガチに編んでたもんね……」





凛「……ん?」



美嘉「ちょ、ちょっとみりあちゃんたち……ちひろさんがプロデューサーにマフラー編んでたこと知ってたの?」



みりあ「うん、結構前からやってたんだよ?」



蘭子「試練の幕開け!」(大変そうでしたよ!)



美波「それを知ってて私たちに黙っていたなんて……」



P「ああいや、それはだな――」



裕美「うん、だって……」



みりあ「ちひろさん、プロデューサーから編み物教えてもらってたもんね!」







智絵里「え……」





「「ええええええええっ!?」」





……

…………



凛「……つまり、いまプロデューサーが使ってるマフラーは自分で編んだ物ってこと?」



P「まあ……そうだよ、うん」



文香「それでしたら……どうして、既製品を買ったという嘘を……」



P「いや、なんかさ……男が自分で作ったマフラー使ってるとか……ほら、最近の若い子にそんなの知られたら、なんか恥ずかしいじゃん」



ちひろ「自分で編めば毛糸代だけでマフラーが出来ますからね! コスパも良さそうなのでプロデューサーさんから編み方を教えてもらってたんですよ」



美嘉「なんだそんなことだったんだ……紛らわしいんだから……彼女でもいたのかと思った……」ブツブツ



藍子「みりあちゃんたちはどうして知ってたんですか?」



みりあ「事務所でプロデューサーがちひろさんに編み方を教えてもらってるところ見かけたんだもんねー」



裕美「……もしかして、最近みりあちゃんが使ってるミトンって」



みりあ「うん! プロデューサーが作ってくれたんだよ!」



蘭子「我の魔法具も創造主により賜れた物!」(私が最近付けてるバレッタもPさんに作ってもらったんです♪)



智絵里「そ、それもPさんが作ったもの……」



P「たまにはちょっと違う物も作ってみようと思ってな。思ったより簡単だったし」



まゆ「まさかPさんにそんな趣味があったなんて……」



美波「……あれ? それじゃあちひろさんはどうしてPさんにマフラーをプレゼントしたんですか?」



ちひろ「あ、それはですね……私もプロデューサーさんと同じで、自分が作ったものをそのまま身に着けるのが何となく恥ずかしくてですね」



ちひろ「なので、プロデューサーさんとお互いマフラーを作り合って交換しようって話してたんですよね!」



P「そうそう。あ、ちひろさん、それじゃ俺がいま使ってるこのマフラーあげますよ。灰色ですけどいいですかね? あとみりあには昨日出来た帽子を……」ガサガサッ





「「!!!!?!?!?!」」







みりあ「うわー! キレイなしましま模様だー!」



蘭子「いいなぁ……」



P「蘭子にもまた何か作るか?」



蘭子「ほぇっ!?」



P「そうだな……防寒具じゃないけど、今度はヘッドドレスでも作ってみるか?」



蘭子「暗黒の衣! 聖なる力を取り込まん!」(ヘッドドレス! ほしいです!)



P「はは……素人が作るものだからあんまり期待しないでくれよ?」



凛「プ、プロデューサーと……」



文香「手作りマフラーを……交換……そんな……」



まゆ「なんて罪……い、いえ、それ以上に……」





(((う、羨ましい……!!)))





……

…………



――その後



藍子「Pさん、私もマフラー編んできましたよ!」



美波「私はセーターを編みました! 私にもPさんのマフラーを……!!」



智絵里「わ、私……その、ニット帽、作ってきて……」



まゆ「Pさぁん……まゆがプレゼントした手袋、ちゃんと使ってくれていますかぁ……?」



凛「プロデューサー、毛糸のパンツ編んできたから使ってよ。それでしばらく使い込んだら私に返してね」



文香(私も早く……マフラーを編めるようにならなければ……本を読みつつも、手順をまだ覚え切れていない状態……)



美嘉(うううう……早く編み物できるようにならないと、みんなPさんに色んな物渡しちゃってアタシが作ってあげれるものなくなっちゃうよぉ……)







ちひろ「……なんだか最近、事務所では編み物が流行ってますねぇ?」



裕美「確かにもう冬だし、みんなそういうのが好きなのかな……?」



蘭子「我も創造主となるべく盟約を結ぼう!」(私も自分で小物が作れるようになりたいから、Pさんに色々教えてもらおうっと♪)



P(どうしよ……これだけの人数分何か作らなきゃならないとか、面倒くさいんだが……)









23:30│モバマス 
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