2014年04月07日

荒木比奈「かえりびな」


比奈「…」ボー…



比奈「へー……」





P「?」



P「おーい。食べ終わったなら食器もって来てくれー」



比奈「あ、それはまだでース」モグモグ



P「まだなのかよ。いや、べつにいいんだけど…」カチャカチャ…



P「俺コーヒー飲みたいから、食器洗い終わったら、そのまま比奈のぶんも一緒に淹れていいかな」



比奈「あ、はい。それまでには片付けまスね」パクパク



P「うん。ゆっくりでいいよ」



比奈「はーい」







・シリーズ

・前回:モバP「あらしのまえの」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395909189/

(時系列的には今回が、過去の話になります)





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396288882





P「なにか面白いことでもやってたのか?」コト



比奈「どもども」



比奈「面白いってほどのことでは…いや、面白いかな…」



P「ほう。面白い話か。聞かせてくれ」



比奈「と、いやいや」



比奈「話の方向性が面白可笑しいというベクトルなだけで、ネタ自体の質を保証するものではないっスよ…」



P(面白可笑しいベクトルって。言いたいことは分かるけど自信満々にしか聞こえないな…)ズズ…



比奈「かえりびなって、プロデューサー知ってまスか?」



P「かえりびな?」





P「かえりびな…還り雛か」



P「うん。聞いたことくらいは…どこでもやる風習ではないんだっけ」



比奈「みたいでスね」



比奈「最近は震災で、『還る』に、またべつの想いを合わせて還り雛が作られてるって。そんなお話でス」



P「へえ…」コク…



P「で、そのかえりびながどうかしたのか」



比奈「ああいや、ぜ、全然大したことないんでスけど…」



比奈「ひな祭りもだじゃれみたいなことだったし、いろいろ考えてるうちに」



比奈「なんだか私も楓さんみたいだなーって、おかしくなっちゃって。えへへ」ニヘラ



P(なにそれ平和)





P「それはまあ…よかったな」



比奈「はい。えへへ。ごはんを食べるあいだはあれこれ考えててなんだか夢中でした」フンフン



P(よく分からんが可愛い)



比奈「あ、コーヒーいただきまス」



P「うん。熱いから気をつけてな」



比奈「はーい」





P「ふーん」



P「ところで、雛祭りは比奈祭りってもじったりしたけど」



P「かえり比奈だとどうなるんだ?」



比奈「ふふん。よくぞ聞いてくれたっス」



P(めがねが光った)



比奈「まずはおかえり比奈っスね!」



P「えっなにそれ」



比奈「おかえりする比奈ちゃんでスね!かんたんに言うと奥さんでス!」



P「アイドルがそういうこと簡単に言わないで」



比奈「…アイドル…私が…て、てれまス」



P「いまさらそこで照れないで。というかそこ以外に照れるところあるだろ」





P「というか…おかえり比奈だと俺がおかえりを言う側みたいだな…」



比奈「こまかいことはいいんでスよぅ」ブー



比奈「ふふー。ということでかえり比奈バージョンいちはおかえり比奈!若妻っスよ!これは萌えまス!」フフーン



P「自分だけどいいのか」



比奈「こまかいことはいいんでスってばー」



P(そこ細かいかな…)





P「…」



P「えっいまバージョンいちって言った?」



比奈「とりあえずやってみましょう!」



P「え、なにを」



比奈「ほらほらプロデューサー。はやくはやくー。一旦出てくださいっ」グイグイ



P「わ、ちょ、まっ…せめてマグカップを置かせて…」ドタドタ





バタンッ





P「……」



P「…う…三月はまださむいって…」





P(…勝手に入っちゃだめなのかな、これ…)





<モウハイッテイイデスヨー





P「お。はいはい」



P「…」ガチャ



比奈「えへへっおかえりなさい!」パッ



P「…」



P「…エプロン着けたんだな」



比奈「はい。に、似合いまスかねー?」



P「…」コクコク



比奈「よかった」ニコ



比奈「えへへへー」くるくるっ



P(可愛いな)





比奈「おかえり比奈でしたー」ペコ



P「けっこうなお手前で」



比奈「どもども。けどなんスかそれ」クス



比奈「…せっかくなので、もう片方もやっておきたいっスねー」



P「?もう片方って」



比奈「私がおかえりって言われるバージョン!」



P「…、ああ、俺がおかえりって言えばいいんだな」



比奈「ですでスっちょっと出て来るのでよろしくでスよっ」パタパタッ



P「おー」



パタン



P「…」



P「…あ、俺もエプロンは着けた方がいいのかな…」







ガチャ





比奈「ただいまー」



P「おかえり」



比奈「…」ブッ



P「…」



比奈「…ぷ、プロデューサー、…どうしてその可愛いエプロン着けてんでスかっ…!」プルプル…



P「…一応な」



比奈「ふ、ふふっ…か、かわいい、でスよ。似合ってまス…」



P「どうも」



P「…ごはんにしますかお風呂にしますか」



比奈「」ブフッ



P「笑うことないだろ」



比奈「…っ…」プルプル



P(四つん這いになって笑うほどか…)



比奈「や、だってぷろ、プロデューサー…真顔なんだもん…あは、あはは」



P「真顔を笑うってなおさらひどいような…」



比奈「ご、ごめんなさい。ひぅ…えへへ」グイ





比奈「はー…笑った…」



P「…楽しんでいただけたようで」



比奈「は、はい。…はー…」



比奈「…。ふふふ」ズリズリ



P「?」



比奈「えいっ」ポスッ



P「…どうした」



比奈「顔を笑ったのは、ごめんなさい」



比奈「でも、こうやってだれかが待ってくれてるのは、いいなーって」



P「…かえり比奈?」



比奈「ただいま比奈でスかね。ふふ」



比奈「うんうん。こっちもありだなー」エヘヘ



P「…さいですか」ナデナデ



P「それはよかった」



比奈「よかったでス」ニヘラ





P「…」



比奈「…」



P「なんか玄関の床に座ったまま落ち着いちゃったな」



比奈「私はプロデューサーにもたれかかってまスけど」



P「それ以前に比奈の家に週何度か飯を作りに来るのが当たり前になったなぁ」



比奈「なりましたねぇ」



P「なんだろうなぁ」



比奈「なんでスかねぇ」





P「…」ナデナデ



P「…ついでにこのまま、べつのかえり比奈も聞こうか」



比奈「…あー、バージョンつーでスか」



P「うん。あるんだろ?」



比奈「あ、あるにはあるっスけど…」



P「?」



比奈「ちょっと…てれくさいというか」



P「お前から言って来たのにかよ」



比奈「そ、そうでスけど。…なんかいろいろあるじゃないっスか!もー!」



P「いていて。なにその理不尽な怒り方」





ピンポーン





比奈「」ビクッ



P「ん」





比奈「ひぅ…び、びっくりしたっス…」



P「よ、よしよし。…もう来たのか。早かったな」



P「すまん。どけるぞー」



比奈「あー」ころん



比奈「来たってだれがでス?」



P「柚と仁奈と楓さん。…あれ、俺比奈に言ってなかったっけ」



比奈「…聞いてないでス」



P「あ、悪い。言い忘れてた。というか比奈がシャワー浴びてるあいだに電話したんだったか」



比奈「……」ブスゥ



P「な、なんだよ…」



比奈「…いえ…べつに」





比奈「…」ムスー



P「よっと」



P「お前も、俺と二人よりみんなと一緒の方がいいだろ?」



比奈「…」



比奈「まあ。ぼちぼち」



P「…ぼちぼちってなんだよ」



比奈「みんなといる方がいいでスけどプロデューサーにそう言われるのは」



比奈「なんというか…しゃくというか」



P「しゃくって」



比奈「ていっ」ペチ



P「いたいっ」





比奈「お前が言うなっス!」ビシッ



P「えっ」



P「お、お前って」



比奈「言うなっ」ペチ



P「いて……すいません」



比奈「はい」



比奈「ふーんだ。もー。私がみんなにスリッパとか出してますから…」



比奈「プロデューサーは、お茶の用意でもしておいてくださいっス」



P「…了解」トボトボ…



比奈「……」フシュー



比奈「……」



比奈「……」グ





ぽんっ



比奈「プロデューサー」



P「ん?」



比奈「かえり比奈」



比奈「孵り雛、でス。ずっと羽ばたけなかったけど、私に色々気づかせてくれて」



比奈「変えてくれて、可愛くしてくれて、育ててくれたのは、プロデューサーでスよ」ニコ



P「……、ひ」



比奈「だ、だからっ…」



比奈「…っ??…な、なんでも、ないでス!以上っス!」パタタ…



パタンッ



P「……」



P「……」



P「お茶淹れるか」







ガッ



比奈「…」ハー…



比奈「…はふ…ふふ」



比奈(あとは言わなくても…プロデューサーに、私の想いが…届いてると良いな…と)



比奈(みんなといるのだって、そりゃ楽しいでスけど…私が最後にかえりたいのは、いつだって、きっと…)



比奈「…え、えへへ」



ガ゙チャ



柚「おっ開いたっ」



柚「比奈サンおそいよー」



比奈「ごめん」



柚「待ちくたびれちゃったよ♪」パコン



比奈「どう見ても待ちくたびれてないっス」クス





仁奈「比奈おねーさん!どうもおはよーごぜーます!」パッ



比奈「はい。仁奈ちゃんは今日ももふもふでスねー」モフモフ



仁奈「おお。さすが比奈おねーさんよくお気づきでやがります!」モフニパー



楓「おはよう比奈ちゃん。今日はせっかくなのでいいお酒を…」ガサ



比奈「楓さんも今日ももふもふでスねー。寝ぐせついてるっス」ナデナデ



楓「あ、あら…ありがとう。ふふ…」



柚「比奈サンおはよー!」



比奈「うん。おはよ」



柚「せっかくだからこのまま柚とバドミントンしよー!」パコッ



仁奈「ああっ不意打ちはひきょーでごぜーます!わわあ」



比奈「こんなところで騒がないの。危ないし、お隣さんに迷惑でスよ」ペチ



仁奈「もふ」モフン



柚「あうっ。ごめんなさい…じゃーあとで公園に行きたいナ!」



比奈「うん…それなら。この季節ならとけたりしないでスし…ふふ」ニヘラ



柚「い、いつでもとけたりはしないと思うけどナー」



仁奈「わーい。公園にお出かけでやがりますかー」



楓「わーい。おでん屋さんいるかな…ふふ…」





ワイワイ





P「…」ウン



P「やっぱり…楽しそうだな」



P「…あ、写真とっとこ」







・・・・おしまい





17:30│荒木比奈 
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