2015年12月18日

岡崎泰葉「出発の一歩」

P「…………」



泰葉「…………」



P「…………」





泰葉「ええと、ここの台詞がこっちに繋がってて……?」



P「…………」スピー



泰葉「…………」



P「…………」



泰葉「そうだ、今度監督さんに聞いておかなきゃ……」



P「…………ンガッ」



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P「――ッ!」ガバッ



P「泰葉!ソロライブ決まった、ぞ……って、あれ?」



泰葉「あ、Pさん。おはようございます」



P「ん、ああおはよう……。どのくらい寝てた?」



泰葉「20分くらい…だと思います。すみません、ホン読みに集中してたので……」



P「そうか」



泰葉「はい」ニコ

P「……あ、そうだ。ソロライブ……」



泰葉「はい聞いてますよ。そのために、ここの所ずっと頑張っていただいてたんですよね」



P「っと、悪い。それで他の仕事おざなりにする訳にもいかないよな」



泰葉「いえ。頑張るためには、休憩も必要…ですよね?」



P「……はは、それを泰葉に言われるなんてな」



泰葉「これもPさんが教えてくれたことですから。ふふ」

P「ああそうだ、それでソロライブ決まったんだけどさ……」



泰葉「ふふっ、何度言うつもりですか? ちゃんと全部、聞いてますから」



P「ああいや、流石にもう寝ぼけちゃいないって」



泰葉「冗談ですっ」



P「……ああ、そうか。冗談、か」



P(いつからそういうことが出来るようになったっけかな……じゃなくて)



P「ライブの終盤に、一曲カバーソングを入れるって言ってたよな? 何の曲かまだ教えてくれないのか?」

泰葉「それは…内緒、です」



P「そう言われてもだな…。一応俺が今回の責任者なんだが……」



泰葉「大丈夫ですよ。他のスタッフさんには話を通してありますから」



P「ううむ、セトリで伏せる分には構わないんだがなあ…。なんで俺に隠す必要がある?」



泰葉「聴いた時に分かっていただけると信じてますから」



P「……参ったな。泰葉にそう言われると何も言い返せない」



泰葉「ごめんなさい。とても大切だから」



P「……」



P「分かった! 企画に影響が出ないようならいいだろう。俺も仕事に戻らなきゃな」



泰葉「はいっ。楽しみにしていてください」

P「さて、っと。マズい、ちひろさんにどやされるぞこりゃあ……」



泰葉「頑張ってくださいね?」



P「おう。えんやこらってな」



泰葉「では私も……」





――――――







P「……」カタカタ



泰葉「……」ペラッ



P「……」カタカタ



泰葉「……」エート・・・



P「……」カタカタ



泰葉「……」



P「……」チラッ



泰葉「……」ムーッ





P「……」



コトッ





泰葉「……」ンー・・・



P「……」



泰葉「……」ムー・・・



P「……」カタカタ



泰葉「……」ンーッ・・・



P「……」カタカタ



泰葉「……」ンー・・・?



P「……」カタカタ



泰葉「……」クンクン



P「……」カタカタ



泰葉「あ……」

泰葉「ココア……」



P「……ん?」カタカタ



泰葉「気付かなくてすみません」



P「いえいえ。温め直すか?」



泰葉「大丈夫だと思います。頂きますね……」



P「おう。多分いい所のやつだ」



泰葉「……」コクコク・・・

泰葉「……」ホウ・・・



P「ん。美味かったみたいで何よりだ」



泰葉「顔に出てました?」



P「はっはっは、すっかり正直者だな」



泰葉「すっかりってそんな…。昔は違ったみたいに――」





――――――――――――――――





『大丈夫、一人で出来ますから』





――――――――――――――――





泰葉「いえ、そうですね…すっかり正直者です」

P「うちも色々アイドルいるからな。いつの間にか給湯室に高級品やレア物が並んでる」



P「って、そりゃアイドルとは関係ないな」



泰葉「ふふっ、そうですね。普通の芸能事務所じゃそんなこと起こりません」



泰葉「……ほんと、不思議な事務所」



P「で、そこの事務所にすっかり馴染んでるワケだ。俺はプロデューサーだ、結構偉いんだぞ?」



P「その上司のこんなすぐ側でホン読みに勉強だからな」



泰葉「とても落ち着くんです。安心して集中できるんですよね」



P「ああ。そう思ってもらえるのが嬉しくてしょうがないから何も言わない。常識なんて知ったもんかってな」

泰葉「このココアもそうです…」



P「?」



泰葉「とても、高級なものなんでしょうけど…それだけじゃなくて」



泰葉「Pさんらしい味です。やさしくて、安心出来る味……」



P「お、おう……なんか照れるな」



泰葉「こういうことは、まっすぐ伝えないとって。後悔だけはしたくありませんから」



P「……そっか」



P「じゃあ俺も思ったようにするかなあ。オイラ仕事なんてうっちゃって泰葉眺めとくんだ」



泰葉「もう、茶化すんだから……」



――――――――





P「泰葉、ライブの衣装デザイン決まったぞー」



泰葉「あ、はい。確認ですよね」



P「おう。これと、これと……」



泰葉「わ、こんなに……。やっぱりソロライブってすごいですね」



P「おう。そんで……これがクライマックスのところで着るやつの予定なんだが……」



泰葉「クライマックスの、ですか」

P「ああ。曲に合わせたデザインにしなきゃならないんだが…ここばっかりはな」



P「一応事情を聞いてるっていうスタッフさんと打ち合わせして決めたんだが、早めに確認しておいてほしくてな」



泰葉「えっと……これですか?」カチッ



P「どうだろう。大丈夫だとは思うんだが……」



泰葉「――! これって……!」



P「ああ、うちに来て最初に選んだ衣装だよ。正確にはそれをベースにまた新しく起こしたやつだが」

P「『ピュアドロップ』と迷ったがな。泰葉が少しずつ変わり始めたのはこの衣装の頃からだった」



P「大事な曲だって言うからさ…なら、これが一番かなって」



泰葉「これ…ありがとうございます……!」



P「そうか、よかった。なら大丈夫ってことだな」



泰葉「はい、それはもちろんっ」



P「さ、この後もレッスンみっちり入ってるからな。行ってこい」

泰葉「では、また」ペコリ





テッテッテ・・・



バタム





P「……変わり始めた、な」



――――――――――







『子どもの頃からずっと芸能界で生きてきたんです。だから華やかなだけの世界じゃないって分かってる…でも私たちならやれますよね。』





『その、私に興味を持ってほしいな…』





『私、昔より弱くなったかもしれません。でも…こうしてみんなと笑うあえるっていいですね』





『さて、頑張りましょう。…一緒に』









『これからも、もっと楽しいアイドルを続けたいです…!』









『星の海でも、もう私の光は消えたりしません。これからも…』





『昔より笑ってることが多いと言われました。…そう…かな?』





『…ふぁ……あ、大丈夫です!』





『葵さんも悠貴さんもすごいです。私も負けてられません…!』









『私…実は…普通に楽しんでるだけですけど…いいんですかね?』



――――――



――――――――





P「――っと、感傷に浸るのはライブの後だな」



P「泣いてる場合じゃない。こっちもライブに向けてスパートだ……!」





そして――――





テッテッテ・・・





泰葉「着替え、終わりました」





P「」ブワッ



ちひろ「ちょっ泣くの早い泣くの早い」



泰葉「もう…ふふっ、クライマックスはここからですよ?」



P「ああ、悪い……もう涙腺がどうかしちまってんだ……」グスッ



悠貴「わっ凄く綺麗ですねっ」ヒョコッ



P「のわっ」



清美「うわー…流石ですね」



葵「へっへー、当然っちゃ!」



P「なんだなんだぞろぞろと」

周子「やっほー」



P「まだいた! って周子!?」



周子「あっはっはPさん号泣じゃん! 写メ撮ろう写メ。もちろん泰葉と2ショットー」



泰葉「つ、2ショット!?」アワワ



P「お前よく来れたな! 仕事は!?」



周子「合間縫ってなんとか来たよ。長くは居られないけどねー」



乃々「もりくぼは居ませんけど……」



P「おわぁい!?」

泰葉「ふふっ…でも丁度良かったです。次の曲、皆さんにも聞いていただけるなんて」



悠貴「って、そうですよねっ! もう次の曲に入るなら席に戻らないとっ」



清美「あっ走っちゃダメですよ走っちゃ!」



P「席取って見に来たのか!? 会場混乱しないだろうな……」



葵「そのあたりは大丈夫! ちひろさんに相談したら関係者席空けてもらえたけん問題なしっちゃ!」



悠貴「凄いんですよ関係者席っ! 特等席ですっ」



周子「あ、あたしは袖で見とくよ。ここも特等席だしね」



乃々「あの大勢の中に飛び込むのはちょっと…うぅ、G級なんですけど…」



周子「じゃ、そういう訳でねー」

P「泰葉、時間だ」



泰葉「はい、行ってきます」



周子「楽しみにしてるよー」



乃々「無理だと思ったら戻ってきていいですからね……」



泰葉「ふふっ、それは出来ません」ニコ







テッテッテ・・・





――――――――





ワァァァアアァァァ・・・





泰葉「ステージからでも、皆さんのことがよく見えます」



泰葉「驚きました。だって、子役時代からずっと応援してくれてるファンの方が目に入ったんです」



泰葉「これもアイドルとして……握手会や、バレンタインイベントで皆さんとふれあえたからこそ分かったんですよね」



泰葉「そしてもちろん、アイドルとしての私を見に来て頂いた方も…みんな、みんな……ここから見えています」



泰葉「皆さんの声が、強く届くんです」

泰葉「アイドルになって……歌と、音楽と向き合って知りました」



泰葉「思いを込めるために整えられた形が歌なんだってこと。もやもやとして形にならない思いの正体に気付かせてくれるのが、歌なんだってことに」



泰葉「私の思いを響かせてくれる言葉を、メロディーを、勝手ながらもこの歌に託そうと思ったんです」



泰葉「偉大な……『大先輩』の歌に」





ワァァァアアァァァ・・・





泰葉「――スゥ」







『ずっと伏せたままの 写真立ての二人』





『笑顔だけは 今も輝いている』





『DEPARTURES』





『いつの日から細く長い道が始まる』



『出発の日はなぜか 風が強くて』







『どこまでも限りなく 降り積もる雪と あなたへの想い』



『少しでも伝えたくて 届けたくて』



『そばにいてほしくて』

『行ったことがないね 雪と遊びたいね 会いたくて会えなくてあこがれている』



『夜が やけに長くて 冬のせいかもしれない』



『だけど春は明るく 陽ざし浴びたい』







『永遠に続く道 それはあなたへの想いがきっと』



『降り積もる雪とともに 深く強く二人を支えていた』





〜♪





P「これが……泰葉の隠してた……」



周子「なんていうか、泰葉らしいね」



P「『DEPARTURES』…出発、か」



乃々「…………」



乃々(もしこれが『特定の個人』に向けられたとしたら…まるでこくh…いえ、もりくぼは何にも気付いてません)



乃々(気付いてませんけど……あぅ)

『優しさも わがままも 温もりも 寂しさも』



『思いやりも全てを 全部あずけた』







『愛が夢を邪魔する』





『夢が愛を見つける』





『やさしさが愛を探して』





『あなたが 私を』









泰葉『――選んでくれたから』













ワァァァァァァァアアアアア・・・!!





『どこまでも限りなく 降り積もる雪とあなたへの想い』



『少しでも伝えたくて 届けたくて そばにいてほしくて』





『凍える夜 待ち合わせもできないまま 明日を探してる』



『いつだって想い出をつくる時には あなたと二人がいい』







『あなたと二人がいい』









泰葉「ずっと、言いたかったんです…」



泰葉「みんな、ありがとうございます! この光景は、絶対忘れません!」



泰葉「アンコールまで一生懸命、歌います!」



泰葉「だから、楽しみましょうねっ!」





ペコリ





――――――――





P「泰葉、お疲れ様……っと!」



泰葉「……っ」フラッ





ぽすんっ





泰葉「私……やりきりました……」クタッ









周子「さーて忙しいから帰らなきゃー」スタコラ



乃々「Coはクールに去るんですけど……混まないうちにぃ……」サッサ

P「どうした、泰葉。ライブの余韻はいいのか…?」



泰葉「…………すぅ……すぅ……」







P「……お疲れ様、全部届いた。いや、とっくの昔に届いてたかもな」



P「…………」













P「さて、今のうちに号泣するか」





おまけ







まゆ「……」



智絵里(あ、まゆちゃんだ……)



まゆ「……ふん、今日のところは見逃しておいてあげましょう」



まゆ「一つ貸しですよ」



クルッ



スタスタ・・・



智絵里(なんかすごくライバルキャラっぽいこと言ってる)





20:30│岡崎泰葉 
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