2015年12月24日

十時愛梨「半殺しにしましょう♪」

幸子「いやあ、今日のレッスンでもボクはかわいかったですね!」フフーン!



小梅「う、うん……幸子ちゃん、ビジュアルレッスン、すごい、よね……」



輝子「だ、だな……すごい……」





幸子「それほどでもありませんよ!お二人もボクほどではありませんがすごくカワイイから、もう少しどうどうとすればバッチリですよ!」



輝子「そ、そうかな……?」



幸子「そうですよ、カワイイボクが言うんだから間違いありません!ふぅ、それにしてもここの廊下、ちょっと長いですよね」



小梅「う、うん。部屋が多い、から……」



幸子「レッスン場から戻るまで遠すぎますよね……うん?あれは……」



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P「」キョロキョロ



愛梨「」ニコニコ





幸子「あれは……Pさんと愛梨さん?」





P「」ガチャッ



愛梨「」パタンッ





小梅「会議室に……入っていった、ね……」



輝子「ふ、二人きりでな……」



幸子「な、中で何をしてるんでしょうか……」

幸子「す、少し聞き耳を立ててみましょうか……」



輝子「え……そ、それはダメじゃないか……?」



小梅「よ、よくないと、思うよ……?」



幸子「……って言いながら、お二人もドアに耳をピッタリつけてるじゃないですか……」



輝子「き、気になるからな……」





愛梨「……お母さんが……を送ってくれて……」



P「なら後は……そうだな、道具も……」





幸子「な、何の話なんでしょう……?」





P「……と、ガスと……鶏肉……」



愛梨「……お野菜も……」





小梅「りょ、料理の話かな……?」

P「……あと、やっぱり舞茸……」





輝子「」ピクッ



幸子「あっ」



小梅「あっ……」

輝子「ヒャッハー!水臭いぜ親友ゥーッ!」バターンッ!



P「うわっ!?輝子!?」



輝子「キノコの話なら私も混ぜ……あっ……」



愛梨「   」ポカーン



幸子「あー……」



P「幸子に、小梅もいたのか?」



輝子「フヒッ、あっ、あのっ、そ……ご、ゴメン……」

幸子「P、Pさんはこんなところで何してるんですか!」



P「何って……まあ、話し合いだな。なあ?」



愛梨「はいっ!今度Pさんとお鍋を食べるんです。えへっ」



幸子「お、お鍋?そんな話をするためにわざわざ会議室に?」



P「あー、話聞くと食べたいって言う子が出ると思ってな。3〜4人ならともかく大人数になると用意できんから、できるだけ聞かれないようにしてたんだ」



愛梨「あっ、そうだ!幸子ちゃん達も食べますか?人が多い方が楽しいですよ♪」



P「……うん、愛梨は際限なく人を呼びそうってのもあってな」



幸子「そ、そうだったんですか」



愛梨「ちひろさんも来るから、事務所で食べるんですよ。あっ、でも準備があるので今日はやらないです。えーっと、予定だとー……」



P「あー、そこらへん調整して連絡するから大丈夫だ、心配するな」



愛梨「そうですか!なら安心ですね!」

幸子「……Pさん、なんで愛梨さんとお鍋なんて話に?」



P「今年は忙しくて誕生日祝ってやれなかったんだよ。ようやく手が空いてきたからその埋め合わせにな」



幸子「あー……なら仕方ないですね」

数日後





幸子「……というわけで、今日が鍋パーティーの日なわけですが」



輝子「テーブルの上には特に何もないな……」



小梅「Pさんと、愛梨さん、鍋の準備するって言ってた、けど……」



ちひろ「うーん、本当にガスコンロとか準備しなくてよかったんですかね?」



小梅「そういえば、何の鍋にするかって聞いてない、ね……?」



輝子「舞茸と……あと、鶏肉が入ってるってことくらいしかわからないな……」



幸子「Pさんはできてからのお楽しみだと言ってましたが……」



ちひろ「……ちょっと調理場、覗いてみちゃいましょうか?」



小梅「え……?い、いいのかな……」



幸子「できてからのお楽しみって驚かせる気まんまんですから見ちゃうのは悪いですよ。あっ、でも聞き耳を立てるくらいならいいんじゃないですか?」



輝子「フヒ……デ、デジャブ……」

ソーッ……





愛梨「……お米炊けてますよ……」



P「そうか……こっちももう出汁を……」



愛梨「じゃあこれは……半……」



P「いや、全……」





幸子「うーん、ちょっと聞き取りづらいですね」





愛梨「えー……がいいですよ……」



P「でも皆に……こっちのほうが……」





ちひろ「……ドア、ちょっとだけ開けちゃいましょうか♪」キィッ



小梅「えっ……」



幸子「ちょ……」



ちひろ(しーっ。覗くわけじゃないですし、静かにしてればバレませんよ♪)

愛梨「半殺しにしましょうよ♪」



P「全殺しの方がいいだろ?」





ちひろ「   」



幸子「   」



輝子「   」



小梅「   」





ちひろ「」パタン

ちひろ「……今、すっごく愛梨ちゃんからは不似合な言葉が……」



幸子「きっきききき気のせいですよ!愛梨さんがあんなこと言うわけないじゃないですか!」



小梅「プ、プロデューサーも言ってた、よ……?」



幸子「いやーあれはPさんの冗談ですね!さすがPさん冗談がヘタですね!あはは!」



輝子「も、もうちょっと話を聞いてみよう……」キィッ

P「わかった、半分は半殺しにして半分は全殺しにしよう」



愛梨「あっ、それいいですね!楽しめそうです♪」





輝子「   」



ちひろ「   」



幸子「   」



小梅「   」





輝子「」パタン

輝子「は、半殺しにして……楽しむって……」



小梅「半分は……全殺し……」



幸子「や、やですよもう!きっと何かの比喩ですよ!だいたい半分ってなんですかもう!」



ちひろ「……私たち4人のうち2人を半殺しに、残り2人を……」



幸子「ヒイッ!そそそそんなことありえるわけないじゃないですかぁ!」



小梅「も、もうちょっと話、聞こう……」キィッ

P「しっかり潰さないとなぁ」



愛梨「じゃあ私は押さえておきますね♪」



P「おー、頼むぞ」





小梅「   」



輝子「   」



ちひろ「   」



幸子「   」





小梅「」パタン

小梅「潰す……あ、頭……?」



輝子「愛梨さんが……取り押さえて……?」



ちひろ「その間に……プロデューサーさんが……頭を……?」



幸子「あああもうやめてください!やめてください!」



幸子「何言ってるんですかみんなしてもう!もうちょっと話を聞けば誤解だってわかって……」キィッ



幸子「……えっ?」クルッ

P「何やってんだ皆」



幸子「   」



小梅「   」



輝子「   」



ちひろ「   」





幸子「」パタン



P「いや何扉閉じてるんだ幸子」ガチャッ





ちひろ(キャアアアアア!!!)



幸子(キャアアアアア!!!)



小梅(ぼ、棒持ってる……鈍器?)



輝子(あれで潰すのか……)

愛梨「Pさーん、だまこ半殺しにしないんですかー?」ヒョコッ



P「あー、ちょっと待っててくれ」



愛梨「はーい」



幸子「……だまこ?」



P「ああ、ちょっと待ってろ、すぐにできるから」



輝子「な、なあ親友……」



P「ん?」



輝子「だまこ、半殺しにする……って、どういうことなんだ?」



P「あー、まあそりゃ知らないよな……後で説明するから待っててくれ。アツアツのうちに半殺しにしたいから」



小梅「???」

しばらく経って





愛梨「はーい、みなさんお待たせしましたー♪」



幸子「えーっと、このお椀に入ってるお団子みたいなものは……?」



愛梨「だまこ鍋ですよー♪」



P「またの名をだまこ汁だな」



愛梨「ふふっ、すっごく久しぶりにだまこが食べられますー♪」



小梅「ちょ、ちょっと表面がぶつぶつしてる……?」



P「ああ、お団子みたいにツルツルじゃないのはな、米の食感を残すためにわざと荒く潰してるんだ」



P「で、その中でも特に荒くしてるのを『はんごろし』、お団子に近い状態のを『ぜんごろし』って呼ぶんだ」



ちひろ「あっ、じゃあさっき半殺しがどうこう言ってたのは……」



P「だまこの潰し方の話ですね。……あーなるほど、それだけ聞けば物騒な話してるようにも聞こえますね」

愛梨「だっまこっ♪だっまこっ♪」



輝子「や、やけに嬉しそうだな……」



P「こっちにいるとなかなか食べないが、愛梨の故郷の秋田県だとけっこう食べるもんだからな」



幸子「あ、そういえばこれどこかで見たことあるかもって思ったら、前に写真で見たきりたんぽ鍋に似てますね」



P「秋田の家庭じゃきりたんぽよりこのだまこの方がよく食われるんだぞ。きりたんぽとほとんどおなじものだが、こっちのほうが焼いたりしないぶん手間がかからないからな」



小梅「ね、ねぇ、Pさん、詳しいけど……」



P「あーうん、俺も秋田出身なんだよ」

ちひろ「あ、美味しいですねコレ……」モグモグ



P「でしょう?愛梨のお母さんから送ってもらったあきたこまちに、比内地鶏も使ってますからね」



愛梨「おいしーですー♪」モグモグ



P「な?めべ?もっとけ」



幸子「……!?」



小梅(ほ、方言かな……?何て言ってるんだろう……?)



愛梨「はーい♪」

輝子「な、なあ親友……これ、作り方、教えてくれないか?」



P「お?」



輝子「お、おいしいから……お隣さんとか、みんなと食べたいなって……だ、ダメか?」



P「いや、別にダメってことはないが……だまこ潰すのってけっこう力を使うから、一人だと大変だし疲れるぞ?」



愛梨「そうなんですよねぇ。だから一人だとなかなか作ることがなくて」



小梅「じゃ、じゃあ、私たちが輝子ちゃん、手伝う、よ……」



幸子「そうですねぇ、たまたま居合わせたボク達だけがこんな美味しいもの食べるなんて、ちょっとずるいですしね」



P「おお……おまえら本当良い子だな。よーしわかった。だまこの潰し方のコツから汁の味付けまで、全部教えるよ」

そして数日後





輝子「フ、フヒ……みんな、よく来てくれたな……」



乃々「お、およばれしましたけど……」



美玲「鍋やるって?準備は終わってるのか?」



まゆ「手伝いましょうかぁ?」



輝子「う、ううん。大丈夫だ。小梅ちゃんと幸子ちゃんに手伝ってもらってるし、後はメインのとこだけだから……」



美玲「ふーん」



輝子「じゃ、じゃあちょっとだけ待っててくれ……」

まゆ「何のお鍋なんでしょうねぇ?」



美玲「きの子のことだからなっ!きっときのこ鍋だぞ!」



乃々「と、鶏肉は大丈夫かって聞かれたから……きっと鶏肉のお鍋かと……」



美玲「ふーん、鶏肉かぁ」



まゆ「まあ、もうすぐできるみたいですし……」





幸子「やっぱり半殺しですよ!」





乃々「!?」



美玲「!?」



まゆ「!?」

幸子「半殺し独特の食感は一度味わうべきですよ!」



小梅「う、うん、私もそれがいいと思う、よ……」



輝子「じゃ、じゃあ……半殺しにして、入れるぞ……」







まゆ「えっ、半……な、なんですかぁ……」



美玲「半殺し……?」



乃々「とりにくの、おなべ……」

―――――



幸子「ほらっ、死なない程度に痛めつけないとダメですよ!」



鶏「ピヨッ!?ピヨ、ピヨー!」



小梅「これで痛めつければ大丈夫……」ゴンッ!



鶏「ビゲッ!?ピ、ビヨ……」



輝子「ヒャッハー!こんなものでくたばってんじゃねぇ!そのままグツグツの鍋にボチャンだあ!」



鶏「ビギャー!!!」



―――――





乃々「……って……こと……です……か……」



まゆ「   」



美玲「   」

輝子「で、できたぞ……」





美玲「急用を思い出したぞっ!」ダッ!



まゆ「プロデューサーさんにお弁当作らないとぉ!」ダッ!



乃々「むーりぃ!」ダッ!





輝子「えぇ……!?」ガーン







20分後、あの子の説得により誤解をとき、美味しいだまこ鍋をみんなで食べました。



終わり



20:30│十時愛梨 
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