2015年12月29日

加蓮「12月…か」

一人、夜の街を歩く。



吐く息の白さ、イルミネーション、デコレーション、クリスマスソング…



『恋人達の季節』…か。





行き交う人、皆ニコニコしてて幸せそうで。



……バッカみたい。 なんて。



そう思ってた時期もあったなあ…昔、小さい頃の話だけど。







SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449424335



P「悪い、遅れた! 大丈夫か加蓮、寒くないか⁉︎ 俺のコート着るか⁉︎」



加蓮「んー、確かに寒いけどコートはいいかな。それ取ったらプロデューサーさんがかわいそうだし」



P「いやいや、待たせたのは俺の方なんだから……」



加蓮「いいの! …こうやって寒いって感じるの、悪くないって思うしさ」



P「……加蓮?」



加蓮「……病室ってさ、暑くも寒くもないんだよね」

P「あ……」



加蓮「何ていうか、こうして寒さを肌で感じて……生きてるよね、って感じ? …そんな深刻な顔しない。もう身体は大丈夫だってば」



加蓮「でも…昔は、クリスマス…嫌いだったなぁ…って」



P「…それも、やっぱ身体の事があって、なのか」



加蓮「うん。……クリスマスってさ…『希望の日』でしょ?」



加蓮「私には、希望なんてなくて…って言うか、同じ毎日の繰り返しで」



加蓮「…別に、だからって絶望してたわけでもないんだけどさ。ただ…」



加蓮「みんなで幸せな食卓を囲んで…プレゼント貰ったりしてさ、あったかい気持ちになれるような…」



加蓮「そんな日を、夢みてたのかなぁ…なんて。…実際には、ぼんやり冬の空を眺めてたくらいしか記憶に無いんだけどね」



P「…なら、叶えよう、それ。」



加蓮「え…?」

P「加蓮の夢を、さ。アイドルになるって夢は叶ったんだ。…もう一個叶えたって、バチは当たんないって思うけどな」



P「プレゼント交換とか、みんなでケーキとかも食べてさ、そんで…クリスマスソングなんか歌ったりしてな」



P「そんで…加蓮が笑ってられるような、そんなクリスマス。…どうかな?」



加蓮「………どうかな?って…でも…そんな都合よくみんな集まるわけ…」



P「ん、凛と奈緒と…奏、それに美嘉もOKか…お、藍子と菜々さんも大丈夫だって」ピポパ…



加蓮「ちょ⁉︎ もうみんなに話したの⁉︎」

P「善は急げって言うだろ? …それに、辛そうな加蓮見てんのは、俺も辛いから、さ」



加蓮「……もう…ばか…」



P「馬鹿で結構。さて、クリスマスまではまだ日があるしな…あったかいものでも食いに行くか…ほれ」



加蓮「あ…手…」



P「肌で温度を感じるって言うならさ。何も寒くなくたっていいだろ。」



加蓮「…途中で離さないでよ? 離したりしたら死んじゃうからね。」



P「物騒な事言うなっての…言われなくたって離すもんかよ。…ほら、じゃあ行くぞー」



加蓮「……ふふっ。……あ。」

ーーーねえ、あの頃のアタシ。不思議だよね。



何ていうかさ。本当、笑っちゃうくらいバカみたいなんだけどさ。



加蓮「……私、今……笑ってた」



P「ん?」



加蓮「…ふふ、あははっ!」





なんか悔しいから、プロデューサーさんにはヒミツってことで。…いいよね?



ーおしまいー



12:30│北条加蓮 
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