2016年01月04日

周子「Pさんち行っていい?」


・塩見周子ちゃんのSSです



・以前書いたもの(周子「あーたーらしーいーあーさがきたーん♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437565952/)の続きですが、これ単体でも読めます





・イチャコラ注意







SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1450705157





周子「う〜……さむさむ……」



モバP(※以下表記P)「まぁ目の前に冬が来てるからなぁ」



周子「ひとりじゃ耐えられない絶妙な寒さだよね。人肌恋しくなるというか」



P「だから周子は俺の左腕を掴んでピッタリ寄り添ってるってわけか?」



周子「せいかーい♪」





周子「正解者のPさんにはシューコちゃんのキッスをプレゼントしちゃうよー」



P「そりゃ嬉しいなー。でも今歩いているところかどこなのか理解して欲しいなー」



周子「愛の巣までの帰り道でしょ?」



P「俺んちな」



周子「知ってるよ?」



P「周子の家は?」



周子「京都」



P「違う。今住んでるとこは?」



周子「Pさんとこ」



P「んー?」



周子「まーまー。細かいこと気にしてちゃダメだって」





P「いや、周子もだいぶ顔が売れてきたんだから、こういうことを堂々とやっちゃいかんとおもうわけですよ」



周子「こういうことって、どういうこと?」ギュッ



P「柔らかいものを押し付けるのは言語道断だよね?」



周子「Pさん、あたしのおっぱい嫌いなんだ……」



P「……大好きです」



周子「へへっ、知ってるよーん」



P「人目がなければ今すぐに触ってるくらい好き」



周子「もう、そういうのは帰ってから。ね?」





P「というか、車で買い物に行けばもっと早く帰れたよな」



周子「わかってないなー。車だとこうやってイチャイチャしながら帰れないやん?」



P「運転中になんかされたら勢いで事故りかけんからな」



周子「そーそー。それに夜の散歩って気持ちいいじゃん」



P「まぁな。周子と一緒に歩くと片腕も気持ちよくなるし」



周子「もしかして溜まってる?」



P「アイドルがそんなこと言わないの」



周子「言わせたのはPさんでしょー」



P「言ったのは周子だろ」



周子「ぶーぶー」





周子「んー」



P「どうした?」



周子「アイス食べたくなった」



P「寒いのに?」



周子「甘いなぁ、Pさんは。かな子ちゃんの作ってくるケーキ以上に甘いよ」



P「はぁ」





周子「夏はあっついから冷たいものを取りたくなる。これはわかるよね?」



P「うん」



周子「これからの季節は?」



P「……寒い?」



周子「そーそー。暖房つけて部屋をあったかくするじゃん。んでアイスは冷たいじゃん。おいしいじゃん?」



P「……うん」



周子「あれ、わかんない? 実際に一番売れるのは冬なんだよ」



P「へぇ、としか言いようがない」





周子「カラダの相性はバッチリなのに、こういうとこは合わないよねー」



P「アイドルがカラダの相性とか言ってて担当プロデューサーはヒヤヒヤものですよ」



周子「だいじょーぶだって。誰にも言ってないし、こういうことつぶやくのもPさんの前だけだし」



P「普段から言ってると不意に出るぞ」



周子「そんときは見せつければいいんじゃない?」



P「そんなことで週刊誌デビューは嫌だな」



周子「そうなっちゃったらアイドル引退して、Pさんに責任とってもらわないとね」



モバP「スキャンダルの有無に関係なく、俺は責任取るつもりだけど?」



周子「え?」





P「担当アイドルかつ、未成年に手を出しちゃってるんだからなー。これ冷静に考えなくても各方面に土下座もんだよ。まぁその覚悟があるからこうやって付き合ってるんだけどさ……周子?」



周子「……バカ」



P「顔真っ赤だけど、霜焼け?」



周子「もー、ほんまこういうときのPさんいけずでイヤやわ」



P「じゃあ離れよっか」



周子「やっ!」ギュゥゥゥ



P「周子はわがままだなぁ」





周子「お、コンビニ」



P「コンビニだな」



周子「うん。コンビニ」



P「……」



周子「……」ソワソワ



P「……なんかアイス食べたくなってきたな」



周子「でっしょー♪ 買おう買おう♪」



ラッシャーセー





P「はぁー……ハーゲンダッツってこんなに種類があんだなぁ」



周子「みたらし団子のとかあったよ。紗枝ちゃんが『これほんまおいしいわぁ』って言ってちびちび食べてた」



P「へー、さすが高級アイス」



周子「シューコちゃんは庶民派だからねー。ハーゲンダッツよりあずきバーかガリガリ君」



P「ゴールドあずきバーにガリガリ君リッチ? 知らない間に上位種みたいなのが出てんだな」



周子「ナポリタン味とかあったねー」



P「アイスでナポリタン……?」



周子「うん。パスタの」



P「バオバブペプシ並にわけわかんねぇ……」



周子「さすがのシューコちゃんでも買うのをためらったよ」





P「あー、刺激物欲しくなってきた……コーラでも買うか。なんか欲しいものある?」



周子「ん、取ってくる」



P「ゼロカロリーばっかだなぁ……ジュース飲むのにカロリー気にしてどうすんだよ……」



P「食パン、コンビニのが安いじゃん……あ、でも賞味期限が近いのか」



周子「じゃ、これよろしく」



P「おう、じゃあレジ行く、か……」



周子「どしたの? 早くしないとアイス溶けちゃうって」





P「……これはいったいなんだろう」



周子「ゴム」



P「……」



周子「またの名を近藤さん」



P「……」



周子「ダメ?」



モバP「……まぁ、必要なもんだしな」



周子「ねー♪」



P「エロ本買うより恥ずかしい……」





周子「……そういうの店で買うんだ」



P「まぁな……」



周子「ふぅーん……」



P「なんだよ」



周子「べっつにぃ」



P「含みのある返事だな」



周子「……ほら、早くレジ行く」













ガチャッ



P「あーさむさむ」



周子「……」



P「周子? どうした?」



周子「……ただいま」



P「あぁ、おかえり」



周子「……寒い」



P「そりゃあ帰ってきたばっかだし、外でアイスも食べたしな」



周子「……」



P「どうした?」



周子「……寒いの」



P「風邪か? なんか着るもん持って……」





ギュッ



P「お、おい、本当に大丈夫か?」



周子「……にぶちん」



P「え?」



周子「シューコちゃんが寒いって言ったときはあっためてってことなんだよ」



P「初めて聞いたぞ、それ」



周子「だから早くPさんがあっためて」



P「あっためてって……」



周子「そういうのも女の子から言わせるの?」



P「……わがままだな」



周子「彼女の特権!」



P「はいはい」





周子「んふふ〜このぬくもりもあたしの特権〜♪」



P「こたつ入った方が絶対あったかいって」



周子「その発言は先生関心しないなー」



P「なんだよ先生って」



周子「んー……女教師プレイ?」



P「周子が教師か……」



周子「好きでしょ? そーいうの」



P「……なんのことだかさっぱり」



周子「それはこっち見て言って欲しいよねー」



P「ヨ、ヨクワカリマセーン」



周子「ま、いいんだけどね。男の人ってそういうの大変そうだし」





P「理解していただいて非常に助かります」



周子「あたしってば心が琵琶湖並みに広いから」



P「……それは広いのか?」



周子「そりゃもーめちゃくちゃ広いって。琵琶湖がどれほどのものかよく知らないけど」



P「なんだそりゃ」



周子「あたしより胸大きい娘のページがやけに開かれたあとがあっても気にしないよ?」



P「い、いや、あれはですね」



周子「あれは?」



P「あ、あれは……うん、ごめんなさい……」



周子「別に怒ってないんだけどね。怒ってないよ?」



P「……ハイ」





周子「腕が下がってるよ。ホラ、ぎゅっとして、ぎゅーって」



P「ハイ……申し訳ありません……」



周子「いいよ。あたしもからかいすぎたかなって」



P「自己嫌悪に押しつぶされそうだ……」



周子「行動で示せばいいんだよ。簡単でしょ」



P「行動、か……」



周子「例えばさ」



P「……例えば?」





周子「中からあっためてくれるとか」



P「……中?」



周子「うあー、やっぱりちょっと寒いかな」



P「あのー、寒いのになんで服めくってるんですかね」



周子「気にしない気にしない」ヌギヌギ



P「ここ玄関だぞ?」



周子「下脱いだらすっごいスースーするね」



P「……」



周子「しょうがないなーPさんは。はい、脱ぎたて」



P「……」



周子「ここは素直じゃーん♪」



P「……男ですから」













藍子「周子ちゃんってプロデューサーと付き合ってるんですか?」



周子「げほっげほっ!」



藍子「だ、大丈夫ですか?」



周子「ん、ん゛ん゛っ……いきなりなに言い出すんかと」



藍子「ご、ごめんなさい」



周子「あ、いや、責めてるわけじゃなくて、いきなりでビックリしただけだから」



藍子「えっと、ふと気になって。2人共仲良いなぁって」



周子「そっかなー、藍子ちゃんとこと一緒だよ?」



藍子「そうなんですか? 確かに仲はいいとおもいますけど、周子ちゃんのところは特別距離が近く見えて」



周子「ふーん……」





藍子「純粋に羨ましいです。お互いのこと、信頼してるんだなぁって」



周子「そっか。うん、そっかー……」



< アイコー



藍子「あっ、ごめんなさい。このあとお仕事でした!」



周子「うん、いってらっしゃい。がんばってねー」



藍子「はいっ、いってきます」



周子「……」













フレデリカ「ねぇねぇ、シューコちゃん」



周子「なに?」



フレデリカ「シューコちゃんってプロデューサーと仲いいよねぇ」



周子「……そっかなー」



フレデリカ「うんうん。こないだなにかおもしろいことないかなーってフレ散歩してたんだけどね」



周子(こないだ……最近なにかしたっけ)



フレデリカ「いつものコロッケ屋に行ったらなんと! 新製品が出てたんだよー!」



周子「うん」



フレデリカ「できたてを食べさせてもらってね、甘くてホクホクしてて……」



周子「うん……」





フレデリカ「すっごくおいしかったんだよー。今度一緒に行こうねぇ」



周子「うん……?」



フレデリカ「どしたの?」



周子「いや、なんでもないよ」



フレデリカ「そういえば、新しいパピコおいしかった?」



周子「え?」



フレデリカ「プロデューサーと一緒に食べてたやつ」



周子「あ、あー、えー……うん、おいしかったよ」



フレデリカ「そっかぁ。今度、奏ちゃんに買ってきてってお願いしよ〜♪」



周子「……」













夕美「シューコちゃんってプロデューサーと仲いいよねっ」



歌鈴「しゅ、周子ちゃんってぷろりゅー、ふぎゅっ! はうぅぅ〜舌かんりゃった〜……」



ありす「周子さんはプロデューサーと仲いいですよね。いえ、うらやましいなんておもってないですから」



春菜「こないだの眼鏡、ナイス眼鏡でしたよ!」



楓「周子ちゃんはプロデューサーと仲がよろシューコとで……ふふっ」





紗枝「最近、周子はんはプロデューサーはんと仲よろしゅうて、うちさみしいわぁ」



輝子「周子さんはプロデューサーと仲良くて……ど、どうやったらちゃんとコミュニケーションがとれるのか、教えて欲しい……」



柑奈「周子ちゃんとプロデューサーはラブ&ピースって感じですよね!」



柚「周子サン、ヒマー、かまってー」



奏「周子はプロデューサーとキスくらいはしたの? ふふっ、冗談よ」



周子「……」













周子「あたしはここに来るの、控えた方がいいのかもしれない」



P「……ゲームやりながら言うセリフか?」



周子「そこそこ顔も知られてきてるし、もうちょっとちゃんとしないとなーって」



P「そうだな。今更な発言だけど気付いてくれて嬉しいよ。しかしいきなりどうした?」



周子「いや、みんなにPさんと仲いいねーってさ」



P「うん」



周子「一部はなんとなーく察してるなーっておもってさ」



P「だろうなぁ」



周子「だからシューコちゃんは決めたのです」



P「なにを」





周子「しばらくPさんと距離を置く!」



P「……別れ間際のカップルみたいだな」



周子「距離を置くっていうか、もうちょっとコソコソするっていうか。別にキライになったわけじゃないから浮気しないでよ、ダーリン」



P「するかよ」



周子「ホントにぃ? 事務所にはカワイイ娘いっぱいいるし、シューコちゃん心配ー」



P「する気がない。周子しか眼中にないからな」



周子「……っ」



P「なんだ?」





周子「卑怯やって、そんなん……」



P「結構言ってるとおもうけど」



周子「Pさん、いっつも急やもん」



P「顔真っ赤」



周子「もうっ、指摘せんでって!」



P「かわいいって」



周子「う゛〜……」ジタバタ



P「色白いからすぐわかるんだよな」



周子「……キライっ! Pさんキライなった!」



P「そっか」



周子「えっ」





P「ごめんな、からかってばっかで」



周子「……」



P「こうなるキッカケも褒められたもんじゃなかったし、なんだかんだで家あげてるのは俺だしな……」



周子「……」



P「距離が近すぎたな。周子の枷にはなりたくないしいいタイミングなのかもしれない」



周子「……ストップ」



P「どうした?」



周子「それ本気で言ってる?」



P「さっきの発言はな」



周子「……どういうこと?」





P「……恥ずかしいけどさ。こうやって周子とグダグダ過ごす日常が当たり前になってたから」



周子「……うん」



P「ちょっと、いや、かなり寂しいなって気持ちがある」



周子「……」



P「……なんだよ」



周子「かわいいなぁって」



P「どう見えてるかわからないけどめちゃくちゃ恥ずかしいからな」



周子「めっちゃ顔赤なってるよ」



P「指摘すんな」



周子「さっきの仕返し」



P「……じゃあ俺も仕返し」





ドサッ



周子「押し倒されちゃったーん」



P「ベッドに座ってる周子が悪い」



周子「誘ってるように見えちゃった?」



P「違うのか?」



周子「んー、どうだろ」



P「じゃあキスしても平気?」



周子「それはやってみないとわかんないよね」



P「こういうときまでわがままだな」



周子「ふふ、そうかもね」



P「それが聞けるのも俺の特権か」



周子「そーいうこと……んっ……」





周子「……不意打ちはズルいって」



P「俺も周子に負けないくらいわがままで自分勝手だから」



周子「うちらお似合いやん」



P「そうだな」



周子「……Pさんはさ」



P「ん」



周子「ガマン、できる?」





P「無理」



周子「即答やん」



P「周子は?」



周子「無理」



P「なんだよ、それ」



周子「でもなにかあって別れるのはもっと無理」



P「……あぁ」



周子「だからしばらくガマンする。なにもこれっきりってわけじゃないんだし」



P「俺もわがまま言えないな」





周子「ホントにガマンできるー?」



P「やるときはやる男だって知ってるだろ」



周子「男の人は大変だって?」



P「……ガンバリマスヨ?」



周子「ふふっ、そーいうのを禁止するわけじゃないし、そこはPさんの裁量次第ってことで」



P「……いけるとこまで」



周子「だからさ、いっこお願いがあるんだけど」



P「無理難題じゃなければどんとこい」





ギュッ





周子「今日は空っぽになるまで楽しも♪」













夕美「シューコちゃん」



周子「んー?」



夕美「Pさんとなにかあった?」



周子「いきなりだね」



夕美「ちょっとだけ前より距離感があるかなぁって。なんとなくなんだけど」



周子「別になにもないよー。なにも」



夕美「ならいいんだけど……なんだかシューコちゃんも元気ないかなって」



周子「あたし? 風邪もひいてないし健康そのものだよ」





夕美「ふとしたときに寂しそうな顔になって、私の勘違いだったらいいんだけど……」



周子「あー……あれかな。重い日とかはさすがのシューコちゃんも曇っちゃうから」



夕美「そっか……うん、ごめんね。変なこと聞いて」



周子「ホントだよ。すっごい真剣な顔してさー、なに言われるんだろってドキドキしたよ」



夕美「もし悩みとかなら友達としてなにかできないかなって。杞憂に終わってよかった」



周子「ありがと。なにかあったとき相談させてね」



夕美「うんっ、私でよければいつでも聞くからね」













周子(あれから4週間くらいかな。私がPさんとこに行かなくなって)



周子(意外となんとかなってる。毎日顔合わせてるわけだし、Pさんも移動の空き時間とかでいろいろ付き合ってくれてる)



周子(仕事が終わってからのぽっかり大穴ができちゃった予定は、夕美ちゃんや奏、フレちゃん志希ちゃんたちと遊ぶようになってなんとなーく埋まったけど……)



周子(一度ゼイタクをおぼえちゃうと代わりのものじゃ満足できなくなっちゃう)



周子(……なんとかなってるって言ったけど結構、かなりギリギリ。Pさんが平気そうに見えちゃうのが余計そうさせるのかな)













P「……」



周子「……」



志希「ん〜……はぁー……おちつくにゃ〜……」



P「……なぁ、志希」



志希「なにー?」



P「離れてくれませんかね……?」



志希「充電中だからムリ〜♪」



P「なんのだよ……」



志希「キミのにおいを定期的に摂取しないとダメなんだよねー。だからアタシの充電」



P「そうだとしても離れてくれなきゃこっちはなにもできない」



志希「ぶーぶー!」



P「わがまま言うな」





志希「じゃあさじゃあさ。離れるからキミの上着、貸してよ」



P「なにに使う気だ」



志希「嗅ぐだけ嗅ぐだけ♪」



P「……汚すなよ」



志希「わーい♪ ハスハス……ハスハス……あー、これこれ。キミのにおいに混じって除湿剤のにおいがほのかにするのがいいスパイスになってる〜」



P「そんなににおう?」



志希「人間誰しも体臭はあるし、キミのは迷惑になるようなものじゃないから大丈夫。ただ最近ちょーっと変わったんだよねー」



P「もしかして加齢臭……」



志希「んー、そういうのじゃなくて、キミのにおいが強くなってるの。前はもうちょっと……他の誰かのにおいがあったから」





周子「……」



志希「シューコちゃんも嗅いでみる?」



周子「……いいよ」



志希「そう? 絶対に好きだとおもうんだけどねー。ガマンは体に毒だよ、ホレホレ♪」



周子「いいって」



志希「じゃあ志希ちゃんひとりで楽しんじゃおーっと」





P「やっと解放された……」



周子「……あたし帰るね」



P「あ、送ってくよ」



周子「いいよ。忙しそうだし」



P「それくらいは大丈夫」



周子「いいって言ってるじゃん」



P「いや、もう夜だし車出すから」



周子「いいって! しつこい!」





周子「……ごめん。ひとりで、ひとりで帰るから」



P「周子」



周子「いい」



P「周子」



周子「ほっといてよ! 志希ちゃんとよろしくしてればいいじゃん!」



P「周子! ……あぁ、もう!」



志希「……」





志希「ひとりになっちゃったにゃー」



志希「クンカクンカ……んーこれは……」





志希「嫉妬のにおい、かな?」













P「周子! 待てって!」



周子「……」



P「聞こえてるだろ、待ってくれってば」



周子「……しつこい」



P「そりゃしつこくもなるよ」



周子「なんで追いかけてきたん」



P「はぁ? 心配だからに決まって……」



周子「恋人だから?」



P「それもそうだし、様子もおかしかったから」



周子「……」



P「理由があるなら言ってくれ。じゃないとどうしようもないだろ」





周子「……Pさんはさ、いま楽しい?」



P「楽しいって……どういう」



周子「あたしはね、キツイよ。しんどい」



P「……現状が?」



周子「うん」





周子「最初のうちはいけるかなっておもってたけど、予想以上につらいもんだね。ちょっと前までの当たり前がなくなるってこと」



周子「予定は埋まるんだよ。まだまだ遊びたい盛りだし、寮だから誰かしらいるし」



周子「でもそれだけ。どれだけ笑っても、楽しくても、なにか足りない。なんだか苦しくて、せつなくて、わけわかんなくなっちゃって」





周子「Pさんはどうだろう、あたしと同じなのかなって見てみると、こんなに苦しんでる自分がバカみたいでさ。あぁ、大人ってすごいなーって」



周子「……さっきだってただの嫉妬。あたしの前で、見せつけるようにするんだもん。こっちはガマンしてるのにさ。ひどいよね、八つ当たりだよ?」



周子「覚悟はあったはずなのになー、足りてなかったみたい。あたしはまだまだ子供で、Pさんの隣にいるには全然ふさわしくないね」





周子「だからさ、こんなとこで言うのはなんだけど……」



P「言いたいことはそれだけか?」



周子「え?」



P「……ちょっと来い」



周子「来いってどこに……」



P「いいから」グイッ













周子「非常階段って、寒いじゃん……」



P「周子」



周子「は、はい」



ドンッ



周子「……えっ?」





P「……4週間……もしくは1ヶ月くらいか、もう」



周子「う、うん」



P「……キツイよ」



周子「キツイって……」



P「目の前にメシ出されてるのに待てって言われ続けてる犬の気分だ」



周子「……?」



P「触れられる距離にいるのになにもできない」



周子「うん」





P「俺はおそらく一般的な成人男性で」



周子「……」



P「人並みに性欲もある」



周子「……」



P「……わかるよな」



周子「うん……」





P「ここでかっこつけてもしょうがないから言うけど、この前打ち合わせ中に手が触れたの覚えてるよな」



周子「シャーペン取ろうとして」



P「そう。あの瞬間、おもわず反応してしまった」



周子「……」



P「あっ、周子の手ってこんなに柔らかかったんだなって」



周子「どう反応していいのかわかんないよ……」





P「移動中の車内での話なんだけど」



周子「まだあるの……」



P「前日夜更かしして眠いって言って軽く寝たときあったろ?」



周子「それって結構前の話じゃないかな」



P「2、3週間前だな。まぁそれはいいんだ。問題は周子が寝たあとなんだけど」



周子「うん」



P「ふと横に目をやると、シートベルトがな、ちょうど2つの丘の間を走っていてさ」



周子「……」



P「アクセル空ぶかしだよ」



周子「車内だと日があたるから着込んでなかったんだよね」



P「頭の中じゃ車が横転しちゃって大惨事だよ」





周子「えっと……これは喜んでいいのかな」



P「それは俺にもわからない。ただひとつ言えるのは、この状態でもいっぱいいっぱいってことだ。なんたってかわいい周子が目の前にいるんだからな」



周子「え、えへへ……それはちょっと嬉しいかも」



P「……我慢は体に毒か」



周子「志希ちゃんはわかっててやってたのかもね」



P「否定できないのがあいつの怖いところだな……それにしても寒いな」



周子「上着ないからやない?」



P「……すぐ追いかけたからなぁ、忘れてた」



周子「ならさ……えいっ」



ギュッ





周子「シューコちゃんがあっためてあげよう」



P「……上着も忘れてみるもんだな」



周子「ほら、Pさんもあたしをギュッとして、ギュッと」



P「久しぶりの感触だな、これ」ギュッ



周子「心臓がくっつきそうだね」



P「顔あっつい」





周子「やっぱりダメみたいだね、あたしたち」



P「本当にな……」



周子「ふたつでひとつ、みたいな?」



P「それが正しい表現なのかはわかんないけど……まぁ、いいか」



周子「もういろいろ元気になっちゃってるし、これどうする?」



P「……1回離れて様子見ようか?」



周子「いーや♪」ギュゥゥ



P「うっ、胸を押し付けるなって! 女性の想像以上にデリケートな生き物なんだぞ、男は!」



周子「しーらない♪ ふふっ」



P「まったく……」





周子「ねぇ、Pさん」



P「なんだ?」







周子「今日、Pさんち行っていい?」







おわり





21:30│塩見周子 
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