2016年01月22日

白菊ほたる「君は100%」




―――――白菊ほたる・自室―――――







白菊ほたる「はぁ……」



ほたる(また失敗しちゃった……)



ほたる(これでもう何回目だろう?)



ほたる(撮影に行こうと思ったら車が故障して……)



ほたる(電車は遅れて道は工事中で……)



ほたる(いざ着いたら機材は故障して……)







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ほたる(プロデューサーさんやスタッフさんは「君のせいじゃない」って言ってくれたけど……)



ほたる(もし愛想を尽かされちゃったら……)



ほたる(アイドル……やっぱり向いてないのかな……)









ほたる(……)



ほたる「……テレビでも見よう…………」



ピッ



司会『はい!それでは本日は、大人気幸運アイドル!鷹富士茄子さんの魅力に迫りたいと思いまーす!』



司会『本日はよろしくお願いします』



鷹富士茄子『はーい♪よろしくおねがいしますね』



ほたる「あ……茄子さん……!」









司会『―――――――?』



茄子『―――――――。―――――♪』



ほたる(茄子さん……最近よくテレビに出てる……すごいなぁ……)



ほたる(美人さんだし……なんでもできて……)



ほたる(それにやっぱり……)









茄子『はいっ!そうしたら偶然、1等が――――』



司会『へぇ〜!』



ほたる(「強運の才女」「幸運の女神」……)



ほたる「いいなぁ……」ボソッ









司会『おっと!そろそろ時間のようですね……鷹富士さん、ありがとうございました〜』



茄子『ありがとうございました〜』フリフリ



ピッ



ほたる(明日は朝からレッスンだからもう寝なきゃ……)



ほたる「おやすみなさい……」









―――――翌日・事務所―――――





ほたる(レッスン、うまくいかなかったな……)



ほたる(こんなんじゃトレーナーさんにも……)



ほたる「はぁ……」



「ため息すると幸せが逃げちゃうよ?」



ほたる「ひぃぃ!?」ビクゥ



「そ、そんなにびっくりしなくても!」



ほたる「す、すいません、朋さん」



藤居朋「いちおう部屋に入るときにあいさつしたんだけどね〜?」









朋「ほたるちゃんは私なんて眼中にないと……」シクシク



ほたる「ええ!?い、いえ、そんなことないです!気づかなかっただけで……すいません……」



朋「……」



朋「もー!冗談よ!冗談!」









朋「それより今、お昼の番組に茄子さんが出てるんだって!一緒に見よ?」ピッ



ほたる「は、はい……」





茄子『こんにちは〜!本日は、○○県××市に来ています!』



茄子『あっ!美味しそうな匂いが―――――――――』





ほたる「……」



朋「いやぁ〜最近茄子さん凄いわよね!まさに引っ張りだこ!」



ほたる「はい……本当に……」









朋「あたしもすぐ茄子さんくらいの人気者になってやるんだから!」



朋「ほたるちゃんも、ねっ?」



ほたる「は、はい」



ほたる「……私も……茄子さんくらい運がよくなれたら……」



朋「……」









朋「……ほたるちゃん」



ほたる「って、私なんかじゃ無理ですよね……生意気なことを言ってしまいました……すいません……」



朋「ほたるちゃん!」



ほたる「は、はい!」



朋「それは違うんじゃないかな?」



ほたる「え……?」









朋「確かにあたしは茄子さんに憧れてるよ?」



朋「でもそれは、人気に対してなの。運のよさにじゃなくってね?」



朋「あたしはほたるちゃんが運がよくないって知ってるし、あたし自身、そんなにラッキーな人間じゃないから気持ちはわかる」



朋「だけど、そもそも幸運な人生は幸福なのかな?」



ほたる「……!」









朋「……茄子さんってさ、いつも成功してるけど、だからといってレッスンに手を抜くのをみたことある?」



ほたる「……ないです」



朋「そうよね。かくし芸とか多芸で多才だけど、事務所ではちゃんと練習してる姿をいっつも見かけたわ」



朋「でも、みんな成功してる場面だけ見て『さすが茄子さん』『さすが幸運』って……」



朋「努力は見せるものじゃないけど、きっとミスしたらみんな『ちゃんとやれ』『練習してないんじゃないか』って茄子さんに言うと思うわ」



ほたる「……」









朋「“100%うまくいく人生ってどんなものだろう?”って、誰しもが考えると思うの」



朋「もちろんあたしも。でも、それは、みんなが思ってるほど最高なものじゃないと思うのよ」



朋「『成功するのが前提。失敗するなんて誰も思ってない』……それってすごいプレッシャーなんじゃないかな?」



ほたる「そう……ですね……」









朋「って!なんかお説教みたいになってる!?ごめんねほたるちゃん!」



ほたる「い、いえいえ!お話ししてくださってありがとうございます」



朋「何が言いたいかって、“運なんて気にせず毎日がんばろー!”ってだけだから!」



ほたる「はい……!」









朋「それに、茄子さんがこの前言ってたの。『ビンゴ大会とかじゃんけん大会とか、私がいっつも勝っちゃうから申し訳なくて』って」



朋「つまり、茄子さんといるからこそ不幸になっちゃうパターンもある!」



朋「つまりつまり、ほたるちゃんのおかげで誰かが幸福になることもあるかもしれない!!!」



ほたる「な、なるほど……?」









朋「そうそう!それに、失敗するからこそ、次の成功が嬉しくて楽しくてたまらないんじゃないかな?」



ほたる「それは……そうかもしれません……」



朋「茄子さんはそれを味わえないんだから!味わえるあたし達は幸福で、むしろ茄子さんは不幸なのかもよ!」



ほたる「私が……幸福……」



朋「うんうん!」









「それで、誰が不幸なんですか?」



朋「もう!聞いてなかったの?茄子さんが不幸なのかもって言った……じゃ……ん」



鷹富士茄子「ふむふむ……なるほど……それで?」



朋「」



茄子「……」



ほたる「……」オロオロ



朋「な、な〜んちゃって……?」









茄子「ふふっ。冗談ですよ」



朋「びっくりした〜!さっきほたるちゃんをからかった罰ね……」



茄子「それはそうと朋ちゃん、プロデューサーさんが呼んでましたよ?」



朋「え?」



朋「あっ、そうだ!このあと打ち合わせだった!!」



朋「茄子さんありがとう!ほたるちゃんもじゃあね!いってきまーす!」パタパタ

ガチャ



ほたる「お、お気をつけて……」

茄子「いってらっしゃい〜♪」









ほたる「あ、あれ?茄子さん……○○県にいるはずじゃ?」



茄子「ああ、これは録画なんですよ」



ほたる「な、なるほど……」









ほたる「……」



茄子「……」ニコニコ



ほたる「あ、あの……」



茄子「はいっ!」



ほたる「いきなりで……申し訳ないんですけど……」



ほたる「茄子さんは幸福ですか……?」









茄子「はい!もちろんです!」



茄子「プロデューサーさんがいて、ファンの皆さんがいて、頼れる先輩がいて、こうして頼ってくれる後輩もいる……とっても幸せですよ?」



ほたる「そう……ですよね」



茄子「ほたるちゃんは幸福じゃないんですか?」



ほたる「……わかりません」









ほたる「私は……運も悪いし……みなさんに迷惑ばかりかけて……」



ほたる「そんな私が幸せなんて……」



茄子「……」









茄子「ほたるちゃん、よく聞いてください」



ほたる「はい……」



茄子「幸運と幸福は違います」



ほたる「……え?」



茄子「同じように、不運と不幸は違います」



ほたる「……」









茄子「私は、“幸運”で“幸福”なアイドルです」



茄子「ほたるちゃんは確かに“不運”なアイドルかもしれません」



茄子「でも」



茄子「誰がほたるちゃんのことを“不幸”なアイドルって決めつけることができるんでしょうか?」



ほたる「……!」









茄子「別に“不運”で“幸福”なアイドルがいてもいいじゃないですか」



茄子「きっとその“不運”で“幸福”なアイドルさんは、私とは全く違った輝き方ができるはずです」



ほたる「茄子さん……」









茄子「きっと、この先、ほたるちゃんはいろんな壁にぶつかります」



茄子「その度に、自信が、元気が、決意が、ボロボロと削られていってしまいます」



茄子「でも、それでも、最後まで残ったなにかが、きっとほたるちゃんをキラキラと輝かせてくれる“ほたるちゃんらしさ”のはずですよ」



茄子「ほたるちゃんよりもちょっとだけ、長く生きているカコおねーさんからのアドバイスです♪」



ほたる「ありがとう……ございます……!」









茄子「ふふっ。でも、なんだか話していたらお腹がすいてきましたね……」



茄子「ほたるちゃん、一緒にお昼でもどうですか?」



ほたる「あ……はいっ!ご一緒します!」



茄子「そんなに硬くならなくていいんですよ〜?」



ほたる「い、いえ……」









ガチャ

P「ほたるいるかー?」



ほたる「!は、はい」



P「お、よかった。昨日できなかった撮影、先方が明日にやらせてくれないかって連絡してきたから、明日は頼んだぞ」



ほたる「え……でも、なくなったはずじゃ?」



P「どうしてもほたるがイメージにぴったりだからって先方が。よかったな、ほたる!」



ほたる「は、はいっ!」



茄子「……」ニコニコ









P「先方がいろいろな衣装を持ってきてくれるそうだ。楽しみだな」



ほたる「わぁ……!本当ですか……!」



P「あと……まあ大丈夫だとは思うが……遅刻とか故障とか、万が一のための心構えは」



ほたる「大丈夫です……!」



P「!」



P「心強いな」



ほたる「はい!だって……」













ほたる「それも私らしさですから」







おわり











22:30│白菊ほたる 
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