2016年01月28日

佐藤心「ちょっと聞きたいんだけど」 二宮飛鳥「うん?」

12月31日





心「プロデューサーってさ、お正月はひとりなのかな?」





飛鳥『……今年最後の夜にいきなり電話が来たかと思えば、開口一番がそれかい』



心「あ、ごめんごめん……ちょっと焦ってた♪ 今、話せる時間ある?」



飛鳥『そうだね。夕食を終えて、今は殺風景な自分の部屋で時間を潰しているところだ』



心「静岡の実家に帰るのってお盆以来だよね? どう? 居心地は」



飛鳥『この家に住んでいた頃と変化はないさ。父がいて、母がいて、そして娘のボクがいる。それだけ』



心「懐かしいとかは?」



飛鳥『ないね』



飛鳥『そのうち、そういった感慨を覚えることもあるのかもしれないけど……それはきっと、ボクとこの家の距離がもう少し離れた時のことになるだろう』



飛鳥『まだボクにとって、この場所は実家ではなく家……非日常ではなく日常だ』



心「つまり、まだそこで暮らしていた時の気分が抜けきってないってこと?」



飛鳥『簡潔に言うとそうなるかな』



心「へえ、そんなもんか♪」



飛鳥『心さんは里帰りしないのかい』



心「先月長野でお仕事したでしょ? あの時に顔出したし、今回はいいかなって☆」





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飛鳥『なるほど。……それで、Pの正月に関する話だったか』



心「はっ、そうだった! つい話が脇道に☆」



心「プロデューサー、明日暇かなーと思ったんだけど……」



飛鳥『三が日はほぼ予定なしと聞いてるね』



心「ほんと? じゃ、じゃあ初詣もひとりでいくのかな?」



飛鳥『確かそうだったはずだけど』



心「そ、そっか……ふ、ふふふ」



飛鳥『………』



飛鳥『今さらだけど、なぜそれらの質問をボクにするの?』



心「え? だってあの人のことなら飛鳥ちゃんに聞けばだいたいわかるって梨沙ちゃんが」



飛鳥『なんだそれは。ボクはPの母親でもなんでもない』



心「でも現に答えられてるじゃん♪」



飛鳥『……まあ、それはそうだが。別になんでも知っているわけじゃないさ』



飛鳥『自分自身のことすら理解(わか)らないのに、他人のすべてを知ることができる道理はないからね』



心「でね、もうひとつ聞きたいことがあるんだけど」



飛鳥『(完全にスルーされた……)』



飛鳥『……それで、聞きたいことって?』



心「その。はぁとが初詣に誘っても、迷惑じゃないかなぁって」



飛鳥『誰が』



心「プロデューサー」



飛鳥『切ってもいいかい』



心「わー、待って待って! こっちは大真面目に聞いてるんだから!」



飛鳥『はあ……それは本人に聞けばいいと思うし、そもそも本人に聞く以外に答えを知るすべもないと思う』



心「そうだけどさあ……ほら、わかるでしょ。誰かに確認したいこの気持ち」



心「わかるだろっ☆」



飛鳥『……説明を半ば放棄して同意を求めるのはどうかと思うが。推測できるのは、電話越しのあなたが顔を赤くしていることくらいだ』



心「うっ………正解」



飛鳥『つまり、誰かに背中を押してほしいということでいいかい』



心「んー……まあぶっちゃけるとそうなんだけど♪ でもただ励ましてほしいってわけじゃなくてー、なんかこう勇気をもらえるようなー♪」



飛鳥『そろそろお風呂に入りたいから切っても』



心「わー、待って待って! めんどくさいこといってごめんなさい!」



飛鳥『……結局どうしてほしいの? 誘うだけなら今から誘えばいいじゃないか』



心「だから……そのぅ」



心「簡単なことでもなかなか踏み出せない乙女心がね? ね?」イジイジ



飛鳥『(もう26なのに……)』



心「あー、今歳がどうとか思っただろ! 20代後半だろうがなんだろうが、女の子はいつでも乙女なんだからな☆」



飛鳥『そうなの?』



心「そうだよ♪ 飛鳥ちゃんも25くらいになったらわかるんじゃないかな」



心「その時はぁとの言う通りになったら、ご褒美になんかおごってね♪」



飛鳥『11年後にこの口約束をどちらか一方でも覚えている可能性が、いったいどれだけあるんだろうね』



心「いーじゃんいーじゃん☆ もし覚えてたらなんかロマンチックだし♪」



心「はぁとはその時37でしょ? まだまだ記憶力には自信が……」





心「………37かぁ………」ハァ



飛鳥『自分で言い出して勝手に落ち込むのはよくないよ』



心「そだね」



飛鳥『話を戻すけど』



心「あ、また横道にそれてた♪ てへぺろ☆」



飛鳥『……ボクから言えるのはこれだけ』



飛鳥『スケジュール的に無理がある場合でない限り、Pは担当アイドルからの誘いはほぼ断らない。以上だ』



飛鳥『それじゃあ、よいお年を』



心「え、ちょ」



ブツッ





心「……わあ、マジで切られた」



心「………」



心「まあ、飛鳥ちゃんなりの『さっさと勝負決めろ』という激励かなぁ」



心「よし……いくぞ」



心「……いくぞっ!」



Prrrrrr





心「ぷ、プロデューサー?」



心「グッドイーブニング☆ あなたのアイドルしゅがーはぁとだよぉ☆」



心「………え、用件? あ、はい。今言います」



心「その、今日は大みそかだよね? で、明日は元旦」



心「………あ、うん、そうだね。年明けまで5時間切ったね……じゃなくて」



心「あ、あのですね。本日はひとつお聞きしたいことがありまして……」ドキドキ



1月4日





梨沙「へえ。じゃあハートさんはプロデューサーと初詣に行ったんだ」



心「おう♪ はぁとが誘えばプロデューサーもイチコロよ☆」



心「一緒におみくじ引いたりお守り買ったりして楽しかったぞ☆」ワハハハ



梨沙「ふーん。アタシもパパと一緒に行ったから楽しかったわよ」



飛鳥「(やはり、誘ってしまえばどうということはなかったみたいだね。あの日の態度はどこへやら、だ)」



梨沙「お守りってどんなの買ったの?」



心「交通安全☆」



梨沙「コメントしづらいわね……出世のお守りとかにしなかったの?」



心「それは自分の力でなんとかできるし! 多分!」



飛鳥「クールだね」



梨沙「ところでハートさん」



心「うん?」



梨沙「お正月といえばさー。ほら、なんとか玉をあげたくならない?」ニコニコ



心「なんとか玉? あっ、そうだ」ポン



梨沙「うんうん♪」



心「ほいミルキー」



梨沙「そうそう……って違うわよ! 飴玉じゃないし! もらうけど!」



心「梨沙ちゃん卓球好きだっけ?」



梨沙「ピンポン玉でもないし!」



心「てめー調子乗ってんじゃねーぞコノヤロー!」



梨沙「大目玉でもないわよっ!」



飛鳥「キミ達、事前に打ち合わせでもしていたのかい」



梨沙「してないってば」



心「いやー、アドリブで鋭くツッコめる梨沙ちゃんはさすがだわ♪」





心「というわけで、ご褒美にお年玉をあげよう☆」



梨沙「あ、ほんとに用意してくれてたんだ。半分冗談だったんだけど」



心「たまには大人らしいこともしないとね♪」



心「はい、飛鳥ちゃんにも」



飛鳥「いいのかい?」



心「この前のお礼も兼ねて、ね☆」



飛鳥「……そういうことなら。ありがとう」



梨沙「ありがと♪」



心「ちなみにポチ袋の中身は、梨沙ちゃんが1200円で飛鳥ちゃんが1400円です」



飛鳥「年齢にかけているのか」



梨沙「アタシのほうが少ないのー? これは値上げ交渉ね!」



心「抗議は一切受け付けておりませんので」



梨沙「む……ま、もらえるだけありがたいわよね」ウンウン



心「そうそう。てゆーかキミらのほうがアイドルとしては先輩だし、はぁとより儲けてるよね?」



梨沙「アタシ子どもだからよくわかんなーい」



飛鳥「いつもは子ども扱いするなと言ってなかったかな」



梨沙「それはそれ、これはこれ」



心「その図々しさは嫌いじゃない☆」



梨沙「まあ、もらいっぱなしっていうのもアレだし……明日くらい、お返しにアタシがお雑煮作ってあげるわ!」



梨沙「ここの事務所、ちょうど料理できるようになってるし」



心「おおーっ! って、作れるの?」



梨沙「今年のお正月、ママと二人で作ったのよ。パパもおいしいって言って食べてくれたし」



飛鳥「なら今回はボクが手伝おう」



梨沙「できるの?」



飛鳥「キミのお母様には及ばないだろうけどね」



梨沙「チャーハンのもととか入れたりしない?」



飛鳥「するわけないだろう……」



心「期待して待ってるぞー♪ ……っと、そうだ。忘れてた」



梨沙「なに、まだ何かくれるの?」キラキラ



心「これ以上ははぁとの財布にちょっち響いちゃうぞ……そうじゃなくて」



心「ラインで送っただけで、顔を合わせては言ってなかったから……」



心「二人とも、今年もよろしく☆」



梨沙「そういえばそうだったわね」



梨沙「うん、よろしく! 仕事で足引っ張っても、少しくらいならアタシがフォローしてあげるわ」



心「よろしくお願いします、先輩☆」



梨沙「………」チラ



心「………」クルッ



飛鳥「………」



飛鳥「……あぁ」



飛鳥「……よろしく」



心「って、なにちょっと照れてるんだおまえー♪」ウリウリ



飛鳥「し、心さんがそれを言うのかっ。Pを初詣に誘うだけで恥ずかし――」



心「わーっ! それ言っちゃらめぇ〜!」



梨沙「なになに? 初詣がどうかしたの?」



心「なんでもないぞ☆」



梨沙「怪しいわねえ」



ガチャリ





P「おはようございまーす……ん?」





梨沙「飛鳥、何があったか教えなさいよ」



心「なんでもないぞ☆」



飛鳥「大みそかに心さんから電話が」



心「なんでもないぞ☆」



梨沙「ハートさんちょっと黙ってて。あと間に入らないで」



心「ディーフェンス☆ ディーフェンス☆」



梨沙「子どもか!」







ハクジョーシナサイ!

フンフンフンフンフンフンフン☆







P「……年が明けても仲良しだな、あのメンバーは」ハハハ







おしまい



おまけ





梨沙「学校の宿題で書初めがあるのよ」



梨沙「アタシひとりでやるのもつまんないし、みんなでやらない?」



心「懐かしいからやる♪」



飛鳥「仕方ないな……」









梨沙「書けた!」





『楽 し む !』



梨沙「どんな仕事でも、嫌々やるのはサイテーだし!」



飛鳥「いい心がけだね」



心「梨沙ちゃんらしいな♪」



飛鳥「うん、できた」





『セカイに何かを刻みこもぅ』





心「ちょっと長くない?」



梨沙「ていうか、最後の『う』が入らなくなってちっさくなってるじゃない」



飛鳥「少し失敗した」



心「よし、はぁとも書けたぞ☆」



梨沙「どれどれ」











『        心か        』





梨沙「字ちっさ! どんだけスペース余らせてるのよ!」



心「『ハートの大切さ』と『自分の名前』と『慎ましやかな姿勢を忘れない』という三つの意味がこめられてる、ふかーい書初めでしょ♪」



飛鳥「余白の美だね」ウム



梨沙「絶対納得するところじゃないわよ、飛鳥!」





おまけおわり





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