2016年02月01日

美玲「みんな! まゆから逃げるんだ!!」 まゆ「ふふふ……」ヒタヒタ

深夜――

1階廊下――









まゆ「逃げる悪い子は……」



まゆ「 だ あ れ ? 」











美玲「こっちだ!」



幸子「早く逃げますよ!」



乃々「ヒィ……ハァ……!」











まゆ「こんなに必死に走り回って……」



まゆ「これはもう……」



まゆ「『お仕置き』が必要ですかねぇ……?」ニコォ...











輝子「ひぇっ」



小梅「振り返っちゃダメ……!」ギュッ



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幸子「この部屋に隠れましょう!」



小梅「分かった……!」



輝子「い、急げ……!」







パタン!







幸子「……!」ハァ...ハァ...



幸子「みなさん……全員いますか?」



小梅「だ、大丈夫……」



輝子「うぅ……まゆ、どうして……!」



幸子「今は自分の身を優先してください!」



幸子「きっと捕まったら最後、眠らされてしまうでしょう」



輝子「ううぅ……」ガクガク



小梅「よしよし……」ナデナデ



美玲「……オイ、乃々はどこだ?!」



幸子「部屋にいない……まさか……」











乃々「ひえぇええぇ〜……!!」











幸子「乃々さんの声です!」



小梅「ウソ……!」ガクガク



美玲「乃々……乃々ぉ!」ガラッ

小梅「そんな……!」



美玲「あぁっ……乃々ぉ!」











まゆ「『そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!!』」



乃々「グー……」ムニャムニャ...











輝子「お、遅かった……!」



幸子「お気に入りの少女漫画を良い声(CV:牧野由依)で読み聞かされています……!」



小梅「それも、膝枕までしてもらって……!」



美玲「ダメだ……もう乃々は手遅れだ!」



美玲「オマエら早くここから逃げるぞ!」







乃々 脱落

1階階段――







小梅「階段があったよ……!」



美玲「でかした!」



幸子「で、でも、この先に逃げ場があるかどうか――!」











まゆ「逃げてもムダですよぉ……」コツン...コツン...











美玲「言い争ってる場合じゃないぞ! 早く!」バシバシ



幸子「いたた! 背中叩かないでください!」タッタッタッ...



美玲「輝子も小梅も! 急いで!」



小梅「う、うん……!」タッタッタッ...



輝子「急げ……!」タッタッタッ...











まゆ「そっちですかぁ」ヒタヒタ...











美玲「くっ! 逃げるぞ!」タッタッタッ

中二階――







幸子「ヒィ……ハァ……!」



小梅「か、階段は苦手……!」



輝子「頑張れ……!」



美玲「早く逃げないと……!」チラリ











まゆ「そこですねぇ?」タンッタンッタンッ!











美玲「は、早い?!」



輝子「み、見ろ、あの足を……!」



小梅「ウソ……!」



幸子「なんてことでしょう……!」











幸子「階段を……二段飛ばしでのぼっています……!!」ガクブル

小梅「私たち、小柄だから……」



小梅「一段飛ばしでも、精一杯、なのに……!」



輝子「足の長さが、ち、違う……!」



小梅「ダンスレッスンによって引き締まった、それでいてスラリと長い足で、確実に私たちを追いつめる……!」



小梅「これが……読モ出身の力……!」



幸子「ダメです! 追いつかれます!」



美玲「もうすぐだ! もうすぐ上の階につくから!」



小梅「到着……!」スタッ



輝子「フヒー……!」スタッ



幸子「美玲さん早く!」スタッ



美玲「……よし! ウチもとうちゃk――!」











まゆ「そこまでですよぉ」ガシィッ!!











美玲「うわぁ!!」



幸子「み、美玲さん!!」



小梅「きゃっ……!」



輝子「美玲が、う、腕を……!」



輝子「ふ、振り切れ……!」

美玲「くぅ……だ、ダメだ……!」ジタバタ



美玲「まゆの白くてキレイな手が、アザがつかないよう柔らかくかつウチが振りほどけない程度の絶妙な力加減で、ウチの手首を掴んでいる!」



美玲「お、オマエら、逃げろぉ!」



幸子「そんな! 美玲さんを置いて逃げられません!」



小梅「そ、そうだよ……!」



輝子「乃々は、へ、平然と置き去りだったけど……!」



幸子「ボクたちは、五人揃ってカワイイクインテットじゃないですか……!」



輝子「乃々は犠牲になったのだ……」



美玲「オマエら……!」ウル...

美玲「っ……!」



美玲「ダメだ! すぐに逃げろ!」



幸子「でも美玲さんは――!」



美玲「ウチらユニット・カワイイクインテットを世に広めるのは、誰の仕事だ!!」



幸子「……!」ハッ



美玲「ウチに構わず早く行けぇ!」











まゆ「友情ごっこはそこまでですよぉ?」グイッ



美玲「わぁあぁぁ!?!?」ドサァッ











小梅「あぁ……!」



輝子「くっ……!」



幸子「美玲さん!!」

小梅「そ、そんな……!」



輝子「む、むごい……!」



幸子「美玲さんが……!」











まゆ「ゆっくり休んでいいんですよぉ」ナデナデ



美玲「グー……」スヤスヤ











小梅「顔を、む、胸に埋められてる……!」



輝子「しかも、なでなでつき……!」



幸子「あんな風に、綺麗な声(CV:牧野由依)で囁かれつつ優しく甘やかされたら……!」



小梅「お……堕ちる……!」ゾク...



幸子「……ボ、ボクたちまでああなってはいけません!」



幸子「早くここから逃げますよ!」ダッ



小梅「うん……!」ダッ



輝子「美玲……ゴメン……!」ダッ







美玲 脱落

2階廊下――







輝子「ま、また廊下の直線コース……!」



幸子「安心してください!」



幸子「まゆさんは廊下を、歩くよりはずっと速いけれど走っているとは言いにくい絶妙の速度でしか歩けませんから!」



小梅「は、早く行かないと……!」ダッ



幸子「廊下の端まで行きましょう!」ダッ



輝子「お、おう……!」ダッ











まゆ「今そっちに行きますねぇ……」コツン...コツン...











幸子「ひいぃ!!」



小梅「に、逃げなきゃ……!」



輝子「走れ走れぇ! ヒャッハー!!!!」











幸子「輝子さんうるさい」



輝子「す、すまん……」

小梅「あぅっ!」コケッ



幸子「あぁ! 小梅さんが転んだ!」



輝子「そ、そのすぐ後ろには……!」











まゆ「あらぁ……小梅ちゃん……」コツ...コツ...



まゆ「ケガしてませんかぁ……?」コツ...コツ...











小梅「あ、あぁ……!」ガクガク...



幸子「腰が抜けて動けないみたいです!」



輝子「っ……小梅ぇ!!」ダッ!!



幸子「ちょっと、輝子さん?!」

輝子「わ、私が相手だ!!」バッ



まゆ「ひゃっ?! ……なんだ、輝子ちゃんじゃないですか……」



輝子「ま、まゆ! どうしてこんなことをするんだ!」



まゆ「すべてはPさんのためですよぉ?」



輝子「う、ウソだ! 親友が、こ、こんなひどいことを……望むハズが、な、ない……!」



まゆ「ウソもなにも、ホントのことなんですけどねぇ……」











幸子「ダメです! 話が通じません!」



幸子「輝子さん! 小梅さんを連れて早く逃げてください!」



小梅「ご、ゴメンなさい……腰が、まだ……!」



小梅「このままじゃ、二人とも……!」



輝子「私は、だ、大丈夫……」



輝子「今のうちに、逃げて……」



小梅「輝子ちゃん、まさか……!?」











輝子「わ……私が、囮に……なる……!」ドン!!

小梅「で、でも……輝子ちゃんを置いていくなんて……!」



輝子「私たちには、大事な目的が、あ、ある……」



輝子「早く幸子の画像を、日本中に送信する、使命が……!」



幸子「輝子さん……」グ...



輝子「足……そろそろ動けるハズ」



小梅「う、うん……なんとか……」



輝子「さぁ、早く! 急ぐんだ二人ともぉ!! ヒャッハー!!」



幸子「分かりました!」



幸子「小梅さん、早く!」ダッ!



小梅「ご、ゴメンね、輝子ちゃん……」



輝子「ありがとうって……言ってほしいな」



小梅「ありがとう……輝子ちゃん」キュン...











小梅「でもうるさい」タタタ...



輝子「ゴメン……フヒ……」

まゆ「小梅ちゃんに逃げられちゃいました……」ハァ...



輝子「さぁ……まゆ! 私と勝負だぁ!!」



輝子「言っておくが! 貴様に屈する私ではなぁい!!」



まゆ「それでは、お手柔らかに……」











輝子「ふ、ふわあぁ〜……!!」











幸子「な、なんですか今の叫び声は?!」クルリ



小梅「輝子ちゃん……何をされたの……?!」クルリ



幸子「うっ!!」



小梅「これは……!!」

幸子「ウソでしょう……?!」



小梅「あの輝子ちゃんが、いとも簡単に……!?」











まゆ「あなたはだんだん眠くなる〜」



輝子「グー……」ムニャァ...











幸子「糸にキノコをぶら下げて、振り子のように揺らしているなんて……!」



幸子「しかも甘い声(CV:牧野由依)で脳まで揺さぶっています!」



小梅「アレ、ホントに効果あったんだ……」



幸子「ご丁寧に、輝子さんの大好きなキノコを用意しているという、とても女子力の高い気配りまで見せるなんて……!」



幸子「これ以上接近すると、ボクたちまでヤバイです!」



幸子「早くどこかに隠れましょう!」ダッシュ



小梅「うん……!」スタタッ







輝子 脱落

ロッカー室――







幸子「まゆさんは……いませんね」チラリ



幸子「ここに隠れましょう!」



小梅「ロッカーがたくさん……」



幸子「ここならすぐには見つからないでしょう」



幸子「ところで……別々に隠れますか?」



小梅「……」ギュ...



幸子「ですよね、ボクも同じ気持ちです」ギュ



幸子「この大き目のロッカーに隠れますよ!」











まゆ「も〜う い〜い か〜い?」ヒタ...ヒタ...











幸子(……)



小梅(……)











まゆ「も〜う い〜い か〜い?」ヒタ...ヒタ...











幸子(音が離れていきますね……)



小梅(これで一安心……)

幸子「まさか、こんなことになるなんて、思ってもみませんでした」



幸子「ボクたちは、ただ楽しんでいただけなのに……」



小梅「でも、Pさんの残留思念に囚われ、まゆさんがあぁなったのは本当のこと……」



幸子「ボクたちだけで、この夜を乗り越えられるでしょうか……?」



小梅「乗り越えよう……? 取り残された三人のためにも」



幸子「えぇ、そのつもりですよ……」











小梅「それにしても」



小梅「夜にこうやって隠れているなんて……」



小梅「なんだかお化けになったみたい」フフ



幸子「や、やめてくださいよ……」ドキィ!!



小梅「ふふふ……冗談」クスクス



小梅「大丈夫」ギュ



小梅「なにか出てきても、私が追い払ってあげるから……」



幸子「……まだ13歳の小梅さんに慰められるなんて」



幸子「ボクもまだまだですね」クス...

幸子「また音が近付いてきましたね……」



幸子「まあしばらく静かにs――」



小梅「う、ぐぅ……!」



幸子「小梅さん……小梅さん?!」



幸子「どうしたんですか、しっかりしてください!?」



小梅「ま……まゆさん、が……」ビクンビクン!



幸子「まゆさん? まゆさんが原因なんですか?!」



幸子「ちょ、ちょっと待ってください! 様子を見に行きますから!」ガチャリ



幸子「一体まゆさんは、何を……?!」チラリ











幸子「そ、そんな……?!」

幸子「まゆさんが、まさか……!!」











まゆ「摩〜訶〜般〜若〜波〜羅〜蜜〜多〜心〜経〜……」











幸子「まゆさんが般若心経を、幼さの残る愛らしい声(CV:牧野由依)で唱えています!」



幸子「小梅さんのために、ポケット般若心経を持ち歩いているという噂は、本当だったんですね……」



幸子「怖いのを我慢してでも趣味に付き合おうとする、一途で友達想いな面が、ここで発揮されましたか……!」



幸子「――!」ハッ



幸子「まさか……これのせいで小梅さんが?!」



幸子「『幽霊になったみたい』と言っていましたが……まさか本当に幽霊に?!」











小梅「聞きなれたお経……優しい声……」



小梅「ダメ……眠くなってきちゃった……」



幸子「それはまるで子守唄を聞かされた赤子のよう!!」

小梅「ゴメンね……私、幸子ちゃんを守れない、みたい……」



小梅「あの画像を……早く、外に……」



小梅「ぅっ……」ガクッ...



幸子「こ、小梅さーん!!」











まゆ「うふ……」カタッ











幸子「くっ……ここに隠れるのも、限界みたいですね」



幸子「ゴメンなさい小梅さん! ボクはもう逃げます!」



幸子「絶対……絶対やりきって見せますから……!!」ダッ











まゆ「あらぁ……おねんねしちゃったの……」クスクス



小梅「グー……」クゥ...







小梅 脱落

2階廊下突き当り――







幸子「とうとう、ボク一人になってしまいました……!」タッタッ



幸子「乃々さん、美玲さん、輝子さん、小梅さん……!」タッタッ



幸子「ボクに……力と勇気を……!」キキッ



幸子「ハァ……ハァ……!」



幸子「とうとう、着きました……」



幸子「この扉の向こうに、屋上が――!」ガチャッ











扉『閉まってるに決まってるっしょ』ガチャガチャ!











幸子「そ……そんなぁ!?」ガチャ...



幸子「ここは屋内じゃ電波が届かないんですよ……?!」ガチャガチャ



幸子「ここまで来たのに、こんなのヒドイです!!」ガチャガチャガチャガチャ











幸子「はっ」















まゆ「 見 ぃ つ け た ぁ 」















幸子「ひぃ!?!?」



まゆ「ダメですよぉ……夜中に騒いじゃ……」



まゆ「Pさんも言ってましたよねぇ?」



まゆ「なのに、どうして? なんでPさんの話を無視するんですかぁ?」



まゆ「なんで?」











まゆ「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」











幸子「うわああぁあああぁぁぁぁ!!!!!!!!」

幸子「ぼ、ボクに脅しは屈しません!」



幸子「みなさんの想いを、ムダにできませんから!」



まゆ「そんなことはどうでもいいんですよぉ」



まゆ「幸子ちゃんたちを捕まえるだけですからぁ」



幸子「ボクを眠らせるつもりですか! みなさんみたいに!」



幸子「それならムダですよ!」



幸子「ホラ! 見てください、この体の震えを!」ガクガク



幸子「緊張していますからね! 絶対眠ったりしませんから!」



まゆ「そうですかぁ……」フゥ...











まゆ「……き……に……がさん……」ボソボソ



幸子「な、なんですか……?」



まゆ「……が15匹……16匹……」ボソボソ



幸子「羊を数えているんですか?」



幸子「普段のボクならイチコロですが、今日は無理ですよ!」











幸子「……え」



幸子「うそ、ウソですよ……そんな……!!」

幸子「ま、まゆさんが――!!」











まゆ「……カワイイが73匹……カワイイが74匹……カワイイが75匹……」











幸子「か……カワイイを数えている……!!」ガクガクブルブル!!

幸子「や、やめてくださいまゆさん!」



まゆ「カワイイが282匹……カワイイが283匹……」



幸子「そ、その透き通った瞳で見ないでください……ボクを、惑わす気ですか……?!」



まゆ「カワイイが1627匹……カワイイが1628匹……」



幸子「聞き慣れたカワイイで、ただでさえリラックスしてきているのに……!」



まゆ「カワイイが2551匹……カワイイが2552匹……」



幸子「もし5432(コシミズ)匹までカワイイ声(CV:牧野由依)で数えられたら……!」



まゆ「カワイイが4098匹……カワイイが4099匹……」



幸子「ボクは、ボクはぁあぁぁ……!!」



まゆ「カワイイが5430匹……カワイイが5431匹……」



















まゆ「カワイイが5432匹」



















幸子「グー……」フフーン...













まゆ「さぁ……みなさんといっしょに……」



まゆ「ぐっすり眠りましょうねぇ……」ニタァ...







幸子 脱落

二0一号室「鶴の間」――







まゆ「……」ス...



まゆ「……」フトンヲカケテ...



まゆ「……ふぅ」



















幸子「むにゃ……」



美玲「ぐがー……」



小梅「くぅ……」



輝子「ひゃっはー……」



乃々「ぅるさい……ぐー」



















まゆ「……」クス



まゆ「ようやく寝ましたねぇ……」ニッコリ

客足賀遠野板旅館――

二〇二号室「亀の間」――







P「お、まゆ、お疲れ様」



まゆ「Pさんの約束通り、しっかり寝かしつけました」



まゆ「五人とも、元気いっぱいでしたよ」



P「今度のドラマ撮影の下見も兼ねて、撮影現場に泊まるまでは良かったんだが……」



P「まさかあいつらが、こんな夜更けになるまで眠らないとは……」



P「いくら俺たちしか客がいないからって、騒ぐのはマナー違反だろ……」



まゆ「いつも仲良しですから、楽しみだったんですよ」



まゆ「その証拠に……ホラ」



P「これは……幸子のスマホ?」



P「この画面は……Twitter!」



P「しかもこれは、五人一緒に撮った画像じゃないか!」



まゆ「幸子ちゃんたち、それを送信したかったみたいです」



P(それであいつら、あんなに反発したのか……)

まゆ「……他の撮影スタッフの皆さんは?」



P「二〇三号室の『闇の間』だよ」



P「この部屋は、荷物置き場兼スタッフ詰所ということになっている」



まゆ「……ふふふ、そうなんですか……」



まゆ「へぇ……」



















まゆ「 そ う な ん で す か ぁ 」ニタァ

まゆ「Pさぁん……」ギュ...



P「お、どうしたまゆ? 俺みたいなおっさんに、あすなろ抱きなんかしちゃって」



まゆ「まゆの考えてること……分かってるハズですよぉ?」



まゆ「こんな時間に、二人きりの空間を作るなんて……」



P「俺は仕事があるから、ここにいるんだけどな」



P「そういうまゆも、もう寝る時間だろ」



P「ホラ、幸子たちと一緒に寝たらどうだ?」



まゆ「いいえ……今夜は離れたくない気分なんです……」



まゆ「どうですか、Pさん? 私、今夜はとても機嫌が良いんですよぉ?」



まゆ「まゆの体……隅々まで味わってみませんかぁ……?」ニッコォ...



P「まゆ……」











P「ダメに決まってるだろ」キリッ

まゆ「……やっぱり、そうですよね……」



P「そりゃそうだ」



P「まゆだって、本当は分かってるハズだ」



まゆ「うぅ……」



まゆ「それでもまゆ、諦められなくて……」

P「まゆも大人なら、諦めなくちゃいけないんだ……」



















P「俺には、美玲という許嫁がいるんだから」



まゆ「それは……そうですけど……」シュン...

まゆ「Pさんだって知っているハズですよ」



まゆ「まゆがどれだけPさんを愛しているか……」



P「もちろん知っている」



P「でも、美玲がどれだけ俺を愛しているか……」



P「まゆだって知っているはずだよな?」



まゆ「……」ムー



まゆ「はい……」



P「事実をしっかり受け止められるのは、大人の証だ」



まゆ「Pさんに褒められるのは嬉しいですけど……今は複雑です」

P「それに俺たちは、もう6年以上も交際を続けているんだ」



P「ハッキリ言うが、まゆが取り入る隙は無いと思うぞ」



まゆ「そうですねぇ……」



まゆ「先日、肉体関係も持たれたようですし」ジィ...



P「ちひろさん以外誰も知らないその情報を知っているとは……さすがまゆだな」



P「それで、それを世間に公表するか?」



まゆ「……」



まゆ「Pさんの意地悪……」



まゆ「私がPさんにヒドイことできないのは、知ってるハズですよ……」



P「そうだな。だから安心している」



まゆ「ハァ……これが『惚れた弱み』なんですね……」ヨヨヨ...

P「一応言っておくが、俺はまゆに言い寄られるのが嫌だとは、微塵も思っていない、むしろ嬉しい」



P「俺は遊び人じゃないから、まゆと火遊びする気はサラサラ無いって話なんだ」



まゆ「はい……分かっています……」



P「ただ――」











P「美玲が、まゆが俺の愛人になっても構わないと言った場合……」



P「それは話が別だな」



まゆ「……えっ?」



P「なにせ美玲本人のお墨付きなわけだからな、そりゃ問題も何も無いだろう」



P「その代わり、まゆに対する美玲の信愛度がMAXじゃないと話にならないだろうな」



P「どうだ? 一つ挑戦してみるか?」



まゆ「……」



まゆ「どうして……どうしてまゆに、チャンスをくれるんですか?」



P「理由か……そうだな」



P「まゆは、あの五人と仲良しだからだ」

まゆ「美玲さんたちと――ですか?」



まゆ「……まぁ、仲はいい方ですけど……」



P「あいつら、まだ中学生なんだよ」



P「なのに、仕事のために寮に入って、一人暮らししてさ」



P「凄いよな……俺が同じ年の頃は、まだバカやって町内を走り回ってたもんだ」



P「だからまゆには、みんなのお姉さんになってほしいんだよ」



P「男の俺とは違う、安らげる場所に……さ」



P「まゆ……頼めるか?」











P(美玲は俺の家で同棲してるけどな……)



まゆ(美玲ちゃんはPさんの家で同棲してますけどね……)

まゆ「フフ……Pさんは本当にヒドイ人ですねぇ……」



まゆ「そんなの聞いたら、頑張りたくなっちゃうじゃないですか……」フフ...



P「まゆの優しさに付け込んでいるのは知ってる」



P「だけど俺は謝らない」



P「そうしてまゆが素敵な女性になるって、俺は信じてるから」



まゆ「Pさん……」キュン...











まゆ「謝りはしないんですねぇ?」



P「絶対に謝らない」



まゆ「それでこそ私のPさんですよぉ……」



P「まゆのじゃないけどな」

まゆ「分かりました」



まゆ「『Pさんのために』美玲ちゃんと深い仲になります」



P「強調するねぇ」



まゆ「あくまでPさんと結ばれるためですから」



P「まゆが自分を曲げないか……」



P「それとも、美玲の魅力に骨抜きにされるか……」



P「どっちに転んでも俺は高みの見物だな!」ウッヒョー



まゆ「もう、Pさんってば……///」

P「おっそうだ」ティン



P「まゆも覚悟を決めたことだし、今度俺の家に来いよ」



まゆ「え、良いんですか?」パァ...!!



P「良いよ良いよ、美玲も喜ぶだろうから」



P「俺から誘うなんて滅多に無いんだぞ、光栄に思えよ?」



まゆ「はい、喜んで!」



P「えっと……住所は知ってるよな?」



まゆ「はい、何度かお邪魔しましたから」



P「なら道は大丈夫か。日時は今度メールで送るからな」



まゆ「ずっと待ってますよぉ?」











P「うん! 何も問題は無いな!」











P「無いよな?」

P「……おっと、忘れてた」



P「ちょっと、美玲のところに行ってくる」スク...



まゆ「どうかしたんですか?」



P「いやなに、美玲におやすみのキスするの忘れてたから」



まゆ「もう寝てますよ?」



P「それでもするってルールだから」



P「明日もし美玲が不機嫌だったら、まゆの方からも言ってやってくれないか?」



P「俺がちゃんとおやすみのキスしたってことをさ」



まゆ「はい、頼まれました」



P「まぁすぐ戻ってくるよ」パタン



まゆ「いってらっしゃいませ」フリフリ

まゆ「……」



まゆ「……」











まゆ「勝てない……」グス...



終わり



08:30│佐久間まゆ 
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