2014年04月15日

藤原肇「お久しぶりです」

モバマスSSです



よろしくお願いします



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「えー、最後に。この講義は出席点を取ります。出席点5割、中間2割、期末3割」



藤原肇「(うーん、とすると私はなかなか難しいのかなぁ)」



「なので、きっちり授業にくること! 逆に言えば、出てれば単位は余裕で出すぞー」



肇「(ごくごく普通の学生には易しい授業ってこと…か。興味ある講義なのになぁ…)」



ヴィーン、ヴィーン、ヴィーン



肇「(あ、メール……Pさんからだ)」



P『暇なときに電話ください』



肇「えっと、『わかりました、あと30分くら』」



「はい、今日はガイダンスだから、まだ早いけどここまで! 履修希望者は紙に学籍番号と名前書いて提出してから帰ること」



肇「(っと、打ちおわる前に終わっちゃいましたね)」



ガタン ゴトン



肇「(川沿いの桜も緑が増えてきたなぁ…)」



肇「(それにしても、あの人はいつも私を捕まえてうまい)」





P『お、すぐかかってくるってことは、タイミングよかったのかな』



肇『ちょうど講義が早く終わったんです。ふふっ』



P『なんか嬉しそうだな』



肇『春ですから。…それで、ご用件は?』



P『ちょっと肇と話したいな、と思ってな』



肇『ふふっ、どうしたんです?』



P『春だからかな』



肇『便利ですね、春。どこに行けばいいですか?』



P『場所はこれからメールで送るよ』



肇『わかりました、では、後ほど』



P『おう』



肇「釣れますか、お客さん」



P「それが全然。でも」



肇「でも?」



P「今、大物が釣れた」



肇「ふふっタイミング良くエサをまかれたので」



P「お隣にどうぞ」



肇「釣れない場所を勧めるんですか?」



P「その方がゆっくり話はできるさ」



肇「なるほど…この釣堀、ドラマで良く使われてますよね」



ガタン ゴトン ガタン ゴトン



肇「あんな感じに黄色い電車が通って」



P「そんで男が糸垂らしてるんだよな。明らかに釣れてなさそーな雰囲気だして」



肇「ふふっ まさにドラマのワンシーンですね、Pさん。

 

 いいんですか? こんなところでのんびりしてて」



P「いいんだよ。今日の営業成果はもう十分。こうやって手を抜くのが長く働くコツ」



肇「Pさんにレッスン見てもらいたい子もいるんですよ?」



P「俺はそっちは素人だからな。トレーナーさんたちにお任せ」



肇「薫ちゃんが言ってましたよ。プロデューサーが見てくれなくて寂しいって」



P「薫もせんせぇって言わなくなっちゃったなぁ。俺は今、そこに寂しさを感じてるよ」



肇「もう六年生ですもんね。時間が経つのは早いものです」



P「そうだな…本当に」



肇「寂しい、ですか?」



P「もちろん。でも、ありがとう。おかえり、肇」



肇「ただいま戻りました、Pさん」







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P「年内で引退、したい?」



加蓮「うん…Pさんには本当に感謝してるよ?



こんな私を輝かせてくれて、本当に本当に楽しい時間をくれて…」



P「…ならなんで」



加蓮「私、病気がちで、ずっとくすんだ生活してた。でも、Pさんに出会って、アイドルになって、変わった。



もうすぐ、高校も卒業でしょ? 高校卒業したら、今度は普通の女の子として、きらきらした生活送ってみたいんだ」



P「…そうか」



加蓮「ごめん…なさい…」



P「…いや、いいんだ。今の加蓮なら、どこにいても輝ける



これまでありがとう。引退までの花道は俺に任せろ」



加蓮「Pさんっ」ガバッ



P「……」ナデナデ







肇「寂しくなりますね」



P「あぁ…」



肇「泰葉さん、加奈ちゃん、智恵理ちゃん」



P「みんないなくなっちゃったな」



肇「高校卒業で、アイドルも卒業か…」



P「人生の分岐点だ。みんないろいろ考えるさ」



肇「そう…ですね」



P「肇は、どうするんだ?」



肇「…正直、まだ、わかりません。」



P「そうか…ゆっくり、じっくり考えなさい。俺に言えるのはそれくらいだ」













P「卒業、おめでとう」



肇「ありがとうございます。



でも、あんまり実感ないですね。こっちに来てから、あまり学校に馴染んでいませんでしたし」



P「そう思ってさ」ペラッ



肇「これ…新幹線のチケットと、CD」



P「岡山で仕事だ、肇。場所は、お前の母校。日にちは来週土曜、卒業式の日だ」



肇「え…?」



P「アイドルになる前に一緒に過ごした友達を、見送ってこい」





P「そして、それがお前の卒業ライブになっても構わない」



肇「どういう、ことですか?」



P「まだ、答を聞いてなかったな



この仕事を、卒業式のライブにするのも、卒業ライブにするのもお前の自由だ。



当日は俺も聞きに行く。答えは会場で聞かせてくれ」











肇「(正直、答を出せないでいた。



みんながやめていくなか、残らなきゃ、という思いもあったし、でも、寂しさや不安もあった。



地元に戻りたいな、って思いも正直言えばあるし、アイドルを続けたい気持ちもある)」





肇『Pさんは…あなたはどう思っているんですか』



P『俺が何か言えば、肇はそれに影響される』



肇『…ズルいです。こんなチケット押し付けて』



P『ごめんな』





肇「(あの人が一言、一緒に頑張ってほしいって言ってくれたなら)」



肇「(…私はいつからこんな甘えん坊になってしまったんですかね)」





何でもない 毎日が本当は 記念日だったって



今頃気づいたんだ 今頃気づいたんだ





P『このCDをよく聞いて、これを歌って送ってやってくれ



きっと、みんなの心にも、肇の心にも響くと思う』







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「今日の卒業式には、1年生のころまで一緒に過ごした仲間が来てくれています!」



ザワザワ ザワザワ



「藤原肇さんです!」



キャー!! オオォー!!





肇「みなさん、お久しぶりです。みなさん、ご卒業おめでとうございます。



私は、先週みなさんより一足先に高校を卒業しました。



でも、まだまだ、卒業した先、どうしていいのかわかりません。



不安もいっぱいです。でも、みなさんと過ごした時を頼りに、頑張りたいと思っています。



この曲を、みなさんに送ります。サラバ青春」











思い出なんていらないって つっぱってみたけれど



いつだって過去に勝てやしない



あの頃が大好きで 思い出し笑いも大好きで





肇(みんなで過ごした日々は、本当に楽しくて



加蓮ちゃんのお見舞い、智恵理ちゃんとのクローバー探し、一緒にライブして、泣いて、笑って)







真っ暗闇に僕一人ぼっち





もう空は飛べなくなっちゃうの





肇(…みんないなくなってしまった)





肇(でも、みんなそうなんだ)





肇(ここにいるみんなも、これから先は一人で進んでく)





肇(みんなの青春はここで、私の青春はあの事務所)





何でもない 毎日が本当は 記念日だったって





肇(きらきらした日々。本当に毎日が記念日だった)





今頃気づいたんだ 今頃気づいたんだ





サラバ青春









ワッーーー!!!!





肇(みんな、寂しい思いを抱えて、次に進んでくんだ



みんなと過ごした日々は、楽しくて、楽しくて、引き込まれそう



でも、それを糧に前を向かなければ)







肇「みなさん、ありがとうございました。

 

ここでの青春は、今日で終わりかもしれません



でも、まだまだ春は続きます



私はこれからの毎日を記念日にできるよう、これからも頑張ってみようと思います!



ご卒業、おめでとうございます!」









肇「とんぼ返り、ですか」



P「あぁ、あっちで仕事があるからな。



 肇、ありがとう。アイドルを続ける決意をしてくれて」



肇「ふふっ これからもよろしくお願いします。でも、Pさん」



P「ん?」



肇「やっぱりズルいです。歌でなく、Pさんの口から、本音を聞きたかった」



P「ごめんな。正直に言うと、自信がなかったんだ。



改めていうよ、これからも俺と一緒に頑張ってほしい」



肇「はい!」













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肇「3月いっぱい暇をいただきまして、もう元気いっぱいです」



P「それはよかった」



肇「Pさんが帰ってしまったあと、おじい、祖父になんで家に呼ばなかったんだって怒られたんですからね」



P「ハハ…大学生活はどうだ?」



肇「…そうやって話を逸らす…ようやく授業が始まって、大学生になったんだな、って気がしてます」



P「ちゃっかり推薦で受かってるんだもんなぁ。びっくりしたよ」



肇「路頭に迷いたくは…なかったので」



P「しっかりしてるよ、肇は」



肇「ありがとうございます。仕事はいつからですか?」



P「GWの特番に向けて、来週あたりからかな」



肇「わかりました」







肇「Pさん



改めて、これからもプロデュース、よろしくお願いしますね」



P「おう、こちらこそ」





おわり



20:30│藤原肇 
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