2016年02月08日

モバP「凛とまゆが応接室にたてこもった!?」

P(電話)「ど、どういうことなんですか!?」



千川ちひろ「どうもこうも言葉通りです」



ちひろ「何か不満があるのか聞いてみたんですが、プロデューサーさんに話さなければ意味が無いと……」





P「つまり、俺に何か不満があると?」



ちひろ「さあ、そこまでは……何か心当たりあります?」



P「うーん、急に言われても……」



ちひろ「そうですか、とにかくこちらでも説得してみますから」



ちひろ「なるべく早く戻ってきてください」



P「分かりました」





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ちひろ「プロデューサーさん、連絡つきました」



川島瑞樹「原因に心当たりは?」



ちひろ「急には思いつかないみたいですね」



瑞樹「凛ちゃん、まゆちゃん。聞こえる?」



佐久間まゆ「はい、聞こえますよぉ」



瑞樹「何か不満があれば教えてくれないかしら」



まゆ「さっきも言いましたが、他の人には関係ありません。ごめんなさい」



渋谷凛「プロデューサーと私達だけの問題だから」



瑞樹「せめて理由だけでも教えて。事と次第によっては協力するわ」



まゆ「……待ってください、相談します」

ちひろ「ナイスです」



瑞樹「なんだかんだ言ってもまだまだ子供よね、人生経験が違うわ」



瑞樹「さくっと情報引き出して説得するから」ドヤッ



まゆ「川島さん」



瑞樹「理由を話してくれる?」



まゆ「その前に一つ確認させてください」



まゆ「『の』で始まる言葉、と聞いて最初に思い浮かぶのは?」



瑞樹「『の』? な行五番目の『の』?」



まゆ「そうです」



瑞樹「えーと……」



ちひろ(ゴクリ……どう答えるかで理由を話してくれるか決まる気がします)



凛「深く考えないで。パッと思いついたものを答えてくれればいいから」

瑞樹「の……海苔の佃煮」



まゆ「これ以上話すことはありません」



凛「プロデューサーが戻ったら教えて。それまでは何をしても無駄だから」



瑞樹「ああっ、ごめんなさい……っ」



ちひろ「し、仕方ないですよ。ノーヒントであれは難しいです」



瑞樹「どう答えれば良かったのかしら。分からないわ……」



ちひろ(自信たっぷりのドヤ顔があっという間に落ち込んでしまいましたね……)



ちひろ「えーと。二人から情報を引き出せないなら、私達で考えてみましょうか」



瑞樹「そう、ねぇ……」

瑞樹「あの二人の共通点というと……プロデューサーくん大好きってことかしら」



ちひろ「まゆちゃんは分かりますけど、凛ちゃんもですか?」



ちひろ「どちらかと言えば好きでしょうけど、異性としてよりビジネスパートナーとしてのような」



瑞樹「甘いわよ、ちひろちゃん。バレンタインデー覚えてる?」



瑞樹「二人とも手作りチョコ渡してるんだから」



ちひろ「……じゃあとりあえずそういうことにしますけど」



ちひろ「だとしたら凛ちゃんとまゆちゃんは恋のライバルってことになります」



ちひろ「対立することはあっても、手を組むことはないと思うんですが」



瑞樹「それは……あれよ、ほら…………」



瑞樹「『私達のどっちが本命なの!?』って。他の人には関係ないでしょ?」



ちひろ「確かにそうですが……『の』で始まる言葉っていうのは?」



瑞樹「特に関係ないとか」



ちひろ「そうですかねぇ……?」

瑞樹「じゃあちひろちゃんはなにか思いつく?」



ちひろ「うーん……あ、森久保『乃々ちゃん』」



瑞樹「それなら『も』で始まる言葉じゃない?」



ちひろ「そうですね……他に何かあります?」



瑞樹「の……の〜みそこねこねコンパイル」



ちひろ「なんですか、それは?」



瑞樹「私もよく知らないけど、プロデューサーくんがそんな話してたような」



ちひろ「の〜みそこねこねコンパイル」ポコン



ちひろ「えーと、ゲームメーカーのキャッチコピーみたいですね」



瑞樹「ちょっと待って、今何やったの?」



ちひろ「何って……ああ、スマホの音声認識機能で検索したんです」

瑞樹「今そんなこと出来るの? すごいのねぇ……私のケータイでも出来るかしら」



ちひろ「ガラケーは無理じゃないですかね……」



瑞樹「ちょっと見せてもらえる?」



ちひろ「ええ、どうぞ」



瑞樹「やだなにこれ。ち○ちんこねこねコンパイルだって」



ちひろ「か わ し ま さ ん ! !」



ちひろ「アイドルがそんな言葉口にしちゃいけません!」



瑞樹「別に良いじゃない。生娘じゃあるまいし。それともちひろちゃんって処女なの?」



ちひろ「そういう問題じゃありません! とにかく二度と言わないでくださいね」



瑞樹「はぁーい」



ちひろ(黙ってれば美人なのにこの人は……)



櫻井桃華「これは何の騒ぎですの?」



瑞樹「あら桃華ちゃん」





かくかくしかじか……





瑞樹「というわけでなんとか説得しようとしてるんだけど、一筋縄じゃいかないのよね」



桃華「あのお二人が……よっぽどのことですわね。わたくしも説得してみていいかしら」



瑞樹「ええ、もちろん。あっ、『の』で始まる言葉を聞かれても海苔の佃煮は不正解よ」



桃華「はあ? はあ……じゃあ正解はなんですの?」



瑞樹「それが分かれば苦労しないわ」



桃華「良く分かりませんが……覚えておきますわ」

桃華「まずわたくしだけ中に入れて、理由を話してくれるそうです」



瑞樹「なんでよっ!」



桃華「わたくしに言われましても……」



ちひろ「『の』で始まる言葉を正解したとか?」



桃華「いえ普通に、理由を話してくださいと丁寧にお願いしただけですわ」



瑞樹「私と何が違うの……? 年齢? やっぱり年齢なの!?」



ちひろ「年下のお願いだから! きっとそれだけですよ!」



桃華(フォローになってるか微妙ですわね……)



瑞樹「まあ……いいわ。とにかく扉が開いたら三人がかりで取り押さえましょう」



桃華「いえ、それはいけませんわ。お二人はわたくしを信頼して話してくれるのです」



桃華「なのに話を聞かず取り押さえたら余計こじれてしまいますわ」



ちひろ(桃華ちゃんって川島さんより……)



瑞樹「今、桃華ちゃんって私より頼りになるって思わなかった?」



ちひろ「思ってません!」

桃華「理由を聞いてきましたわ」



ちひろ「なんだか不機嫌そうですね」



桃華「プロデューサーちゃまがあんなこと言うなんて……失望しましたわ」



瑞樹「よっぽど二人にひどいこと言ったのね?」



桃華「そうではありませんわ。お二人を冒涜するような発言ではないのです」



桃華「でも、むしろそのほうが良かったかも……」



ちひろ「どういうことなの?」



桃華「場合によってはもっと大勢を怒らせるのですわ。それも万単位で」



桃華「つまりこういうことなんですの」

〜少し前〜



凛「お疲れ様です……え?」



P「……」



まゆ「うう……ぐすっ」



凛(まゆが泣いてる?)



凛「まゆ、どうしたの? どこか痛い?」



まゆ「凛……ちゃん」



凛「プロデューサー、なにか知ってる? って、どこ行くの」



P「営業」



P「……詳しいことはまゆから聞いてくれ。今の俺が何を言っても慰めにはならない」



凛(一体何が起きたんだろう、あんなプロデューサー初めて見た)



凛(冷たくて……ちょっと怖かった)

凛「まゆ、話してくれる?」



まゆ「ええ、でも……少し、胸貸してもらっていいですか?」



まゆ「落ち着いたら話しますから」



凛「分かった、おいで」



まゆ「ありがとう……っ」ギュッ



凛(私より背の低いまゆだけど……肩を震わせて泣く姿は普段よりずっと小さく見える)









まゆ「……あっ」



凛「なに?」



まゆ「胸のところ、しわになっちゃって……それに涙のあとも」



凛「こんなの気にしなくていいから」



凛「友達が泣いてるのに自分の服を気にするなんて、本当の友達じゃないよ」



まゆ「……くすっ、凛ちゃんが男だったら惚れちゃいそう」



凛「よしてよ。……それで、何があったの?」

まゆ「プロデューサーさんが……」



凛「なにかひどいこと言った?」



まゆ「そう、ですね……とても、悲しいこと言ったんです」



凛「なんて言ったのか、聞いていい?」



まゆ「…………」



まゆ「のりたまは、子供向けだって」



凛「ふりかけの?」



まゆ「はい」



凛「……」



まゆ「…………」



凛「プロデューサーがそんな人だとは思わなかった!」

まゆ「ですよね、ひどいですよね!?」



凛「のりたまは子供向けじゃない、老若男女誰からも愛されるふりかけ界のSランクアイドルなのに!」



まゆ「良かったぁ、凛ちゃんが私と同じ考えで……」



まゆ「プロデューサーさんったら、『のりたまは卒業した。大人ならわさびふりかけだ』って」



凛「信じられないよ。誰よりも信頼してたのに……好き、だったのに」



まゆ「異性として?」



凛「もちろん。でも、なんか醒めちゃった」



まゆ「私も……もし結婚しても、上手くやっていけないかもって感じ始めました」



凛「好きなものを否定されたら……ね」



凛「ちなみに、ふりかけで二番目に好きなのは?」

まゆ「二番目は御飯の友ですね」



凛「本当に!? 私もなんだ」



凛「二番目に御飯の友を挙げたのはまゆが初めてだよ」



まゆ「そうなんですか?」



まゆ「うふふっ。今まで知らなかったけど、意外と気が合うのかもしれませんね」



凛「そもそもどうしてそんな話になったの?」



まゆ「ふりかけのCMオファーが来て打ち合わせしてたんですけど……」



まゆ「CMのコンセプトが『大人向けを強調する』とかで」



凛「ふーん。だとしても、のりたまをけなしたのは許せない……!」



桃華「意気投合したお二人は抗議のため応接室に立てこもることを決意したそうですわ」



瑞樹「うん、それはプロデューサーくんが悪いわ」



P「なるほど。そういうことだったのか」



ちひろ「いつの間に来たんですか!?」



P「ついさっき」



ちひろ「まゆちゃんの話は本当なんですね?」



P「間違ってはいないけど……誤解が含まれているようだ」



P「二人と話してきます」

ちひろ「解決するでしょうか」



瑞樹「誤解って言ってたから、今は信じるしかないわね」



桃華「そういえばふと思ったんですけど、応接室なんですのね」



瑞樹「なにが?」



桃華「立てこもるの。事務所まるごとじゃないんだなぁって」



ちひろ「ああ……妙なところで気を使ってますね」



桃華「ということは通常業務に支障はなかったわけですよね」



桃華「得意先とかから、なにも連絡なかったのかしら?」



ちひろ「えっ……あ、ありませんでした」



瑞樹「ちひろちゃん、ずっとこっちにいたわよね。事務所の電話が鳴っても聞こえないと思うけど」



桃華「きっと自分のケータイに転送設定してるはずですわ。ちひろさんですもの」



ちひろ「してなかったので留守電確認してきますっ!」



瑞樹「千川ァ!」



凛「プロデューサーが言ったんでしょ、『のりたまは卒業した。大人ならわさびふりかけだ』って」



P「あのとき凛はいなかったと思うが……」



凛「まゆから聞いたんだよ」



P「それは誤解だ。まゆ、落ち着いて思い出してくれ」



P「それってCMの打ち合わせのときだろ?」



まゆ「はい」



P「広告代理店の人もいたよな?」



まゆ「……いました」



P「最初に『のりたまは子供向け』って言ったのはその人じゃなかった?」



まゆ「そう……でしたっけ。私、ショックで混乱して……」



P「心ここにあらずって感じだったよ。そんなにショックだったのか」

凛「じゃあプロデューサーは同意しただけ?」



P「ああ。もっと言うと、クライアントだからヨイショしただけだ」



凛「まゆ、本当なの?」



まゆ「…………思い出しました」



まゆ「プロデューサーさんの言うとおりです、ごめんなさい……」



凛「でもプロデューサー、泣いてるまゆをほったらかして営業行ったじゃない」



P「凛が来るまで慰めてたんだぞ。聞こえてなかったみたいだけど」



P「それと、手に負えなくて放置したわけじゃない。もう一度打ち合わせしてきたんだ」



P「『大人向けを強調するのは良いが、のりたまを否定すべきではない。のりたまクラスタを敵に回すことになる』って」



凛「……結果は?」



P「感謝されたよ。『気付かなかった。良く言ってくれた』って」

P「でもそれはまゆのおかげだ。まゆがあんなに落ち込まなかったら俺も……」



P「もう一度打ち合わせしようとまでは思わなかったかもしれない」



まゆ「一つだけ聞かせてください」



まゆ「のりたま……好きですか?」



P「大好きだ」



まゆ「なら良いです」



まゆ「良かった、本当に……。凛ちゃんも、付き合わせてしまって……」



凛「気にしないでよ。私ものりたま大好きだから」



凛「今回は誤解だったけど……プロデューサー?」



凛「まゆを泣かせたら、絶対許さないからね」

P「絶対泣かせない。あるとすれば嬉し泣きだけだ」



まゆ「はい……っ」



P「ああ、それと、CMで『のりたまゆ』っていうキャラクターも作ってもらえることになったんだ」



まゆ「うふふ、語感が可愛いですね」



まゆ(ティン)



まゆ「のりたまゆ……好きですか?」



P「オッフ……!」



まゆ「ど、どうしました?」



P「ただでさえ好きなのりたまにまゆが加わったら最強じゃないか!」



凛「じゃあ私は、えっと……そうだ、『の凛たま』ってどう?」



P「採用!」









プロデューサーが同じのりたまクラスタと分かり、二人の恋心は復活する。



二人は『の凛たまゆ』としてユニットを組み大ブレイクするのだった。



そして……

P「凛、まゆ。俺は二人のこと同じように好きだし、どちらの気持ちにも誠実に応えたい」



P「凛が『のり』ならまゆは『たま』」



P「のりたまはどちらか欠けたら成立しないんだ、分かるだろう?」



まゆ「もう……ずるいですよ」



まゆ「そんなふうに言われたら、私だけを選んでなんて言えないじゃないですか」



凛「惚れた弱みっていうのかな……仕方ないね」



凛「でも、のりたまはご飯があって初めて真価を発揮できるんだ」



凛「私達がのりたまなら、プロデューサーはご飯だから」



まゆ「ずっと一緒ですよ?」









このあとめちゃくちゃのりたまご飯した。

終わり





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