2016年02月18日

伊織「バレンタイン」


2/13



都内スタジオ









P「お疲れさま、伊織! 今日も絶好調だったな!」



伊織「ふんっ、当然じゃない!」



P「よし、それじゃあ事務所に戻るか!」











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───







車内







P「街もすっかりバレンタインムードだなぁ……」



伊織「チョコレート業界に乗せられちゃって、バカみたい」



P「ははっ、うちの業界はイベントとかで大助かりだけどな」











伊織「……ねぇ?」



P「ん? どうした?」



伊織「やっぱりアンタも……その……チョコレートが欲しかったりするの?」



P「う〜ん、そりゃ貰えたら嬉しいんだろうけど……」



伊織「?」



P「今まで母親からしか貰ったことないんだよなぁ……特に上京してからなんて一度も……」



伊織「……ふ〜ん」











P「あっ! もしかして伊織がくれるのか?」



伊織「ば、バカ! なんで私がアンタなんかにチョコをあげなきゃいけないのよ! それに明日はオフなんだから、アンタとは会わないじゃない! 」



P「す、すいません」



伊織「ったく……」











伊織「……まぁ、気が向いたら今度、アンタが見たこともないような高級チョコレートあげるわよ」



P「おお! 楽しみだなぁ!」



伊織「気が向いたらって言ったでしょ!」







伊織「あっ、ちょっとそこの本屋の前で降ろしてくれる?」



P「ん? なんか欲しいものでもあるのか?」



伊織「そ、その……参考書を買うだけよ」











───







P「本当に待ってなくていいのか?」



伊織「新堂を迎えにこさせるから平気よ」



P「そうか。じゃあ、一応バレないように気をつけてな」



伊織「わかったわ」



P「それじゃあ、また明後日」



伊織「ええ。気をつけてね」



P「ははっ、ありがとう」







伊織「行ったわね……」



伊織「えっと……料理コーナーはどこかしら?」







───















水瀬邸 厨房







伊織「えーと……まずはチョコを刻んで湯煎に……」



伊織「きゃあ! み、水が中に!」



伊織「ど、どうすれば!」







パティシエ「お嬢様! 大丈夫ですか!?」



伊織「だ、大丈夫よ! 私ひとりでやるから下がってなさい!」



パティシエ「しかし……」



伊織「うるさいわね! いいからここから出てって!」



パティシエ「は、はい!」











伊織「…………」







伊織「よし、もう一度チャレンジよ!」



伊織「今度は丁寧に湯煎を……」



伊織「温度を計りながらゴムベラで……」



伊織「あぁ! 今度は温度が上がり過ぎたわ!」







パティシエ「お嬢様!」



伊織「だから大丈夫よ!」







伊織「次は温度を下げて……」







パティシエ「お嬢様!!」



伊織「しつこいわね!!!!」











───







伊織「はぁ……はぁ……で、出来たわ!」



伊織「見た目は……い、一応ハートに見えるわよね……」



伊織「あとはラッピングをして……リボンをかけて……」







伊織「……♪」







─────

───













2/14



765プロ







P「よし、これで一段落かな」



小鳥「お疲れさまです、プロデューサーさん。 コーヒー淹れたので良かったらどうぞ」



P「ありがとうございます、音無さん」



小鳥「いえいえ。 あと良かったらこれもどうぞ」



P「え? これって」







小鳥「本命ですよ、本命!」







小鳥「……ってのは冗談で、義理チョコなんですが、これが結構な有名店のやつで」







ガチャ!! バタンッ!!







P「ん? 今のって」



小鳥(あっ、不味ったかも……)















──







伊織「シャラララ 素敵にキッス♪」







伊織「ふふっ、アイツどんな顔をするのかしら?」



伊織「お母様からしか貰ったことないって言ってたけど……」



伊織「もしかしたら、びっくりして倒れちゃったりして」



伊織「なーんてね!」











……ガチャ







伊織(なぜかこっそり入っちゃったけど……アイツはどこに……いた!)



伊織(小鳥? 何してるのかしら? よく聞き取れないわね)



伊織(あれ? 小鳥が持ってるのって……もしかして……)











『本命ですよ、本命 !』











伊織「……え?」











───











───







公園







伊織「はぁ……はぁ……」







伊織「はぁ……」







伊織「ちょっと待って……なんで私が走ってんのよ……」







伊織「別にアイツが本命チョコを貰ってるからって、私には関係ないじゃないの……」







伊織「そもそも、バレンタインなんてバカらしいって言ったのは私じゃない……」







伊織「そうよ……バカみたい……」







伊織「なにひとりで浮かれてたのかしら……」







伊織「…………」











伊織「帰りましょう……」













「──おり」







伊織「…………」







「伊織っ!!」







伊織「え?」











P「はぁ……はぁ……探したよ」



伊織「アンタ……なんでここに……」



P「そりゃあ……伊織が事務所を飛び出していくのが見えたからな」



伊織「ふ、ふんっ、アンタには関係ないことよ!」



P「そ、そうか……ははっ……」











伊織「…………」



P「少し暖かくなったとはいえ、まだまだ寒いな。このままじゃ風邪引くし事務所に行こうか」



伊織「……そうね」





















P「伊織」



伊織「なによ」



P「その手に持ってるのってさ」



伊織「チョコ」



P「もしかして俺に?」



伊織「そうよ。文句ある?」



P「あるわけないだろ。嬉しいよ」



伊織「ふんっ」











P「食べてもいいか?」



伊織「勝手にすれば? って言いたいところだけど、小鳥に本命チョコを貰ってたじゃない。そっちから食べなさいよ」



P「え? あれは義理って言ってたぞ?」



伊織「へ?」



P「なんか有名店のって言ってた気がするけど」









伊織「ちょっと、今なんて」



P「だから義理だって」



伊織「本当に?」



P「本当だよ」



伊織(わ、私としたことが早とちりを……)











P「おお! 手作りか!」



伊織「そ、そうだけど。やっぱり高級店のチョコの方がよかったかしら?」



P「そんなわけないだろ! ってハート型じゃないか! まさかこれって本め……」



伊織「ば、バカな事を言ってんじゃないわよ! こ、これも義理よ! 義理チョコ!」













P「それでは、いただきます!」



伊織「ど、どうかしら?」



P「うん! めちゃくちゃ美味い!」



伊織「本当?」



P「嘘をつく意味がないだろ? 本当に美味しいよ」



伊織「ま、まあ伊織ちゃんの腕にかかれば当然よね!」











P「わざわざ俺の為に作ってくれたんだろ? 嬉しいよ」



伊織「べ、別にアンタの為に作ったわけじゃないわよ! アンタの驚く顔が見たかったというか、喜んだ顔が見たかったというか。……じゃなくて! くしゅんっ 」



P「っとそうだった! 早く戻らないと本当に風邪引いちゃうな! ほら、このジャケット羽織って」



伊織「あ、ありがと」







─────

───













2/15



765プロ







P「……へっくしゅん!」



伊織「結局アンタが風邪を引くなんてね。体調管理がなってないのよ」



P「な!? 元はと言えば伊織が!」



小鳥「ふふっ♪」



伊織「なに笑ってるのよ小鳥! 大体アンタの余計な一言のせいで!」



P「へっくしゅん!! へっくしゅん!!」



伊織「あーもう!! うるさいわよ!!」







伊織(でも案外バレンタインも悪くないかもしれないわね! にひひ♪)













終わり











08:30│水瀬伊織 
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