2016年03月11日

北条加蓮「たくさんの中のひとりでも、」




―――







加蓮「…………」ジーッ



P「もぐもぐ」





加蓮「…………」ジーッ



P「もぐもぐ……」





加蓮「…………」ジーッ



P「……もぐ、ごくん」





P「――なんだ、加蓮?」



加蓮「ん? んーん、なんでも。プロデューサー、今年もたくさんチョコもらったんだなって」



P「もぐもぐ……うん、ありがたいこった」



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加蓮「モテモテだね」ニヤニヤ



P「うーん……素直に喜んでいいのやら。ファンに見られたらなにされるか分かったもんじゃない……」



加蓮「ふふ、だから持ち帰らずに事務所でこっそり食べてるわけか」



P「持ち帰ろうにも多すぎるけどな……とにかく暇見つけて食べないと」



加蓮「お仕事に差し支えないようにしてよね。甘いものばっかりじゃ体に悪いよ?」



P「加蓮に言われたら世話ないな」モグモグ

加蓮「なにそれ。せっかく心配してあげてるのに」



P「へいへい、ありがとさん」



加蓮「もう……全然気持ちこもってないし」



P「加蓮もジャンクフードばかり食べないで、まともなもの食べなさい」



加蓮「はーいはい。耳にタコができるくらい聞いたよ、それ」



P「何度言っても聞かないからな。せっかく心配してあげてるのに」



加蓮「む、まねっこ」



P「ふふ。悪い」

加蓮「これでもちゃんと、お店行く回数は減らしてるんだよ? ……週3から週2くらいに」



P「……あまり変わってないけどまぁいいか。努力は認めよう」



加蓮「そりゃどーも。……で、それよりどうするの? この大量のチョコの山」



P「もちろん全部食べるさ。じゃないとみんなに失礼だろ?」



加蓮「はー……。マメだね、プロデューサーって」



P「マメかどうかは分からないけど。みんなそれぞれ、凝ったもの作ってくれてるんだしな」

加蓮「凝ってるのもそうだけど、誰も彼もチョコあげすぎでしょ。なによプロデューサー用のプレゼントボックスって……」



P「俺だって初めて見たよ……。ま、俺もいつも事務所にいるわけじゃないから、こういう箱はありがたいんだけど」



加蓮「箱いっぱいだね。大人気アイドルかな」



P「やめい」



加蓮「ふふ。あ、そうそう、凛や奈緒のも入ってた?」



P「ん、ああ。取り出した分にあったよ。なかなか美味かった」

加蓮「良かったねプロデューサー、嫌われてないみたいでさ。ふふっ」



P「だな。手紙も付いてて嬉しかったよ」



加蓮「ふぅん……愛の告白でもされた? ふふふ」



P「はは、バカ言え。……そういや、加蓮のはまだ見てないな。まだ箱に入ってるのかね」



加蓮「そう? ちゃんと入れといたよ。楽しみにしててね、手作りなんだから」

P「お、ほんとか? じゃあ早速探して――」ゴソゴソ



加蓮「ち、ちょっとちょっと! 本人がいる前でやめてよっ」



P「え、ダメか?」



加蓮「ダメに決まってるでしょ……もー、デリカシーないんだから」



P「ご、ごめんごめん……」



加蓮「私この後レッスンだから。そしたら探して食べて、ね?」



P「ん、了解……って無理だ。俺も打ち合わせがあって、これからすぐ出なきゃいけないんだよ」

加蓮「あれ、そうだっけ? ――あ、ほんとだ。ホワイトボードに書いてあったね」



P「そういうこと。加蓮はもう少し時間あるだろ? ちひろさんがすぐ帰ってくるはずだから、少しの間留守番頼むよ」



加蓮「うん、分かった。気をつけてね」



P「ああ。それじゃ行ってくる」



加蓮「いってらっしゃーい」





がちゃり ばたんっ





加蓮「……はぁ。行っちゃった」











加蓮「…………」ゴソ



加蓮「……どうしよ、これ」

加蓮「はぁぁぁ……。2人きりだったのに、せっかく手渡しできるチャンスだったのにぃ……」ズーン…





加蓮「なんで渡せないかなぁ……。ずるずるぐだぐだ、結局バレンタイン過ぎちゃったし……」



加蓮「はぁ……私のバカ。意気地なし……」





加蓮「…………」



加蓮「……り、凛も奈緒も……チョコ、食べてもらったんだよね……」



加蓮「プロデューサー、嬉しそうだったな……」







加蓮(私のでも……喜んでくれる、かな……?)

加蓮「…………」ウロウロ…



加蓮「…………〜〜〜っ」ウロウロ…







加蓮「よ、よし。いい加減覚悟決めろ、北条加蓮っ」







加蓮「て、手紙……か、書く? っていうかなに書けば……うぅぅ」カァァ





加蓮「――うわ、便箋ないし……。買いに行く暇ないよね……しょーがない、プロデューサー、メモ帳借りるね……」





加蓮「はいけい……拝啓はおかしいでしょ……」ケシケシ





加蓮「んー……うー……むー……」カキカキ…





―――



――









―――





がちゃ





P「ただいま戻りましたー……っと、誰もいないか」





P「さて、資料を整理したらチョコの続きを――」



P「って、あれ? 机の上に置いといたっけ。見覚えないな……誰からのだ?」





ぴら……





P「ん……手紙、か? えっと――」





『――プロデューサーへ』







『私のこと、いつも大切にしてくれてありがとう。面と向かって言えないから、手紙で許してね。』





『謝るついでに。ごめんなさい…ウソ、つきました。』





『箱に入れたって言ったけど、ほんとは勇気出せなくて。今までずっと、私のかばんの中で転がってたの。』





『でも、それじゃいけないと思って。今日こそ、あなたに私のチョコをおくります。』





『気持ち、いっぱいいっぱいこめたから、食べてくれたらうれしいな。』





『うん、短いけどこんな感じってことで。あらためて、これからもよろしく。』





『いろんな夢、私に叶えさせてよね♪』







『加蓮より』









『―――――――――――――』

P「……加蓮」



P「…………あはは」





P「下敷き挟まないと、消しても下の紙に跡残るんだぞ……まったくもう」











――あなたのことが大好きです。







おわり



21:30│北条加蓮 
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