2016年03月22日

二宮飛鳥「約束の場所で、ボーイミーツガール」

※飛鳥のドラマCDのネタが入っているので、まだ聴いていない人はネタバレ注意













………



……やあ、来たね。待っていたよ



別に待ち合わせなんてしていないって? ふふ、その通りだ



ただ、ここ……事務所の屋上で時間を潰していれば、いずれキミが来るような気がしてね



そして、現実としてキミはここにいる。ボクの直感もなかなか捨てたモノじゃないと、そう思わないかい?





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457093215



それで、プロデューサー。どうしてここに?



………なに? 風邪をひかないか心配になった?



ハア……その理由は、少し気に食わないな。ボクも分別のつかない子供じゃないんだ。こうして防寒もしているし、寒いと思えば自分で屋内に引っこむ



あまり小さな子供扱いしないでもらいたい



………



それは理解(わか)っているけど、心配なものは心配、か。キミ、相変わらず過保護だね



まあ……アレだ。その気持ちは、ありがたい、かな



結果として、キミがここに現れたことはボクにとって好ましい事象だし……うん。今回は、気にしないでおくことにするよ



災い転じて福となす、というやつかな



言葉の使いどころが違うって? いいじゃないか。言葉の意味なんて、日々変わり続けていくモノなんだからさ。フフッ



………



コーヒー、飲むかい。あたたまるよ



これ、タンブラーだ



………遠慮しておく? フフ、相変わらず紳士的な対応だ



けど、ボクも学習はするよ。ほら、今日はタンブラーをふたつ持ってきたんだ。こっちは丸々キミのぶんというわけさ



だから心配することはない。どうぞ、プロデューサー



なに? もしキミが来なければどうしていたかって?



その仮定は、もはやなんの意味もなさないよ。だってキミはここに来て、こうしてボクのコーヒーを受け取っているんだからね



ズズッ――



ふう、やはり身体が芯からあたたまるね。キミはどう?



………コーヒーにしては、ちょっと甘すぎる? 



悪かったね。ボクにはそのくらいがちょうどいいんだが……キミのぶんは砂糖を減らしておくべきだったか



次はそうしよう、うん



……次も、あるよね?



………



いくらでもある、か。あぁ、そうだといいね。本当に



あぁ、そうだ。この前の収録で、ボクはキミにダメ出しをされたわけだが……



ほら、あのペルソナ・インフィニット……お題の通りに演技をするというヤツさ



お題は『ボーイミーツガール 屋上 運命の出会い 風が動き出す』だったかな



アレ、またボクなりの解答を用意してきたんだけど……今、聞いてくれるかい



………よし。それでこそ、ボクのプロデューサーだ



じゃあ、キミがボーイ役だ。屋上に入ってくるところからスタートしてくれ



………



ギイィ――





やあ、来たね



キミ、ここに来る前にパスを拾っただろう。それをボクに渡してほしい



そのパスは、ボクらの抵抗の証……あるいは、戦うための武器となるモノなんだ





グラグラグラ……(地面の揺れる音)





……まずいな。もう始まったか



今、時の流れが破壊されようとしている。あったはずのものがなくなったり、なかったはずのものが突然現れたり……キミにも覚えがあるだろう



ボクとキミは、乱れる時の干渉を受けない存在、いわば特異点



さあ、共に手を取り戦おう。時の運行を守るのは、ボクらの使命だ――





シンデレライダーアスカ 第一話

ボク、参上







――で、どうかな?



ちなみに、シンデレライダーアスカは憑依させる魂に応じてエクステの色が変わるんだが



………



なに? どこかで聞いたことがありまくるって?



フフ……キミ、意外と守備範囲が広いな。それとも、光にオススメでもされたのかい?



……まあ、これはいわゆる前座。あるいは余興。つまるところ、ツッコミ待ちというヤツさ



本命のボーイミーツガールは、別にちゃんと考えてあるよ



今のボクには、これ以上のシチュエーションは思いつかない。そのくらいのモノを、ね



悪いけど、もう一度屋上に入るところからやり直してほしい。今度こそ、本番だから



………



ギイィ――





……やあ、来たね



ボクはアスカ。二宮飛鳥。アイドルをやっている



キミを、待っていた



詳しい言葉……回りくどい説明は、今はナシだ



ボクはキミに、一番に言いたいことを言わせてもらおう





――ボクの、プロデューサーになってくれないか?









………



まあ、こんなところかな



実際は、プロデューサーであるキミが、ボクをアイドルに誘ったわけだけれども



これが、ボクの考えうる最高のボーイミーツガールだ



……フフ。この意味、理解(わか)るかい?



………



よほどの鈍感じゃない限り、理解できる、か。確かにそうかもしれないね



伝わったかな。ボクの気持ち



………



……なんだか、暑くなってきたね。春が訪れようとしているのかな



………え? 今日は冬の冷え込みが再来するから、むしろいつもより寒いはずだって?



キミ、ボクと天気予報のどっちを信じるんだ



……理解った、理解った。もういい。そろそろ中に戻ろう



え、なに?



………



仕事が終わったら、お茶でもしないかって?



……そうだね。考えておこう





今日は……甘いモノが食べたい気分だ。フフッ







おしまい





08:30│二宮飛鳥 
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