2016年03月28日

智絵里「ほたるちゃんの」朋「1日?」




―――――事務所―――――







ガチャ

P「お疲れー、ほたるいるか?」



緒方智絵里「あ、お疲れ様ですっ」



藤居朋「ほたるちゃんなら、まだ来てないわよ?」



P「あれ、まだなのか。また植木鉢にでも当たってるのかな」ハハハ



朋「その発言を普通に受け入れてる自分がイヤになってきたわ」







―――――――――――――――――――――――――――――



前作

智絵里「HAPPY」ほたる「NEW」朋「YEAR?」









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智絵里「伝言とかなら伝えておきますけど……」



P「いや、違うんだ」



P「この前、ほたるが1日密着取材を受けてな?その番組が完成して届いたから、一緒にチェックしようかと思って」



朋「密着取材!?すごっ!」



智絵里「スタッフさんは五体満足で済んだんですか?」



朋「智絵里ちゃん!!」



P「確か全治……」



朋「やめて!!!」









P「冗談だよ。ほたるが、取材を受ける条件としてスタッフに茄子さんのお守りを持たせたんだ」



智絵里「なるほど……」



朋「さすがというかなんというか……」



P「あれがなかったら間違いなく、“持ってかれてた”な」



朋「何を!?」









朋「それにしても密着取材だなんて知らなかったわ……!」



P「確かその日、朋はオフだったからな。無理もないさ」



智絵里「私も知りませんでした……」



P「ああ、智絵里はその日、幸子とシリアでロケだったからな、無理もないさ」



朋「アイドルの命をなんだと思ってるの!?」



智絵里「ちゃんと四葉のクローバーが見つかってよかったです……!」



朋「目的それ!?」









P「まあいいや、俺はほたるが来てから一緒に確認するけど、お前ら、時間あるなら見ててもいいぞ?」



智絵里「いいんですか?」



P「ああ、仲のいいお前らならほたるも何も言わないだろ」



朋「でも本人より先に見るのは気が引けるわね……」



P&智絵里「でも本音は?」



朋「…………メチャクチャ見たい」



P「よろしい」









P「じゃ、俺はちょっと出てくるからな。お疲れ」ガチャ



朋「お疲れ様〜」



朋「……さて、見よっか?」



智絵里「はいっ!!!」



朋「そんな大きい声出るんだね」









ピッ



本日はあの不幸アイドルの1日に密着!

果たしてどんな日常を過ごしているのか、その秘密に迫る!!!





朋&智絵里「「おお〜っ!」」





〜〜〜♪〜〜〜♪

風の中のすばる〜♪砂の中の銀河〜♪





朋「プロジェ○トX!?」



智絵里「こ、これ以上はJ○SRACに怒られちゃう……」



朋「そこ気にするの!?」









○月×日 朝、我々は、とあるプロダクションの女子寮前で、その人物と待ち合わせた。



ヒューーーーーーーーーーー

ガッシャーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!



来た、彼女だ





朋「『来た』じゃないわよ!!!」



智絵里「朋さん、抑えましょう」









『おはようございます』



白菊ほたる『あ……おはようございます、今日はよろしくお願いします』ペコリ



白菊ほたる――13歳

このプロダクションに所属するアイドルだ。

現在、その不幸体質やそれに負けないメンタルが話題となり、人気が急上昇している。



『今日のご予定は?』



ほたる『はい、午前は学校で、午後に雑誌の取材、夕方にライブの軽い打ち合わせです……』



『大変じゃないんですか?』



ほたる『いえ、ファンの方のことを想うと大変ではないです』



『本当に?』



ほたる『はい』



『でも実は?』



ほたる『大丈夫です』



『本音を言うと?』





朋「しつこいわ!!!!!」



智絵里「まあまあ」









我々の意地悪な問いかけにも笑顔で答えてくれたほたるさん。

その優しさがスタッフの胸を打つ……





朋「なに良い感じにしてるのよ……」





そうしてほたるさんは学校へと向かった。

そう、アイドルとは言ってもまだ中学生。できる限り学校には通わなくてはならない。



『学校は好きですか?』



ほたる『いえ……実はあまり……』



『どうしてですか?』



ほたる『その……あまりこういうことは言いたくないんですが、周りの皆さんが……』



そう言ってほたるさんは目を伏せてしまった。





朋「え……もしかして学校で……」



智絵里「どう落とし前つけてもらいましょう?」



朋「言葉のチョイスが尖りすぎよ智絵里ちゃん」









そして学校に到着した我々は目を疑った!

なんと下駄箱の中に!





朋「ま、まさか画鋲!?」





大量のファンレターが!!!





朋「…………へ?」





『これ、いつもあるんですか?』



ほたる『はい……私が登校する日には必ず……』



きゃーーーーーーーーーーーーーー!!!!

ほたるちゃんよ!!!

うおおおおおおおおおおおおお!!!

ほたるちゃーーーん!!!!!

わーーー!!!!



『こ、この方々は?』

ワーワーイエーイ

ほたる『恥ずかしながら、いつのまにかホタルチャーンみんなファンにコッチミテーなってくださったキャーーみたいで……』





朋「周りうるさい!!!」









結局、ほたるさんの登校によるこの騒ぎは、1時間目の授業が開始するまで続いた。



『1時間目は何ですか?』



ほたる『あ、私が登校しているので、全校集会です』



『?』



ほたる『えっと……見ればわかるかと……』



『はあ……』



そういって我々は体育館へ向かった。するとそこで目にしたものは!









なんとライブ会場かと見間違えるようなステージと、サイリウムを持って待機している全校生徒だった!!!





朋「ここの生徒なんなの!?」



智絵里「あ、あそこで全体の指揮を執ってるの、先生方みたいですね」



朋「学校ぐるみで!?」









そう、ほたるさんが朝から登校できる日は、体育館でライブを開くのが通例となっているのだ!!!

これは校長先生が直々に決定したそうで、以前、校長先生が出張のためライブを見ることができなかった際には出張先で号泣してしまい、仕事にならなかったらしい。





智絵里「よくクビにならないですね」



朋「思ったけれども」









―――ライブ後―――



『お疲れさまです。すごかったですね』



ほたる『ありがとうございます……』



『こんなファンに囲まれて、またファンの方もほたるちゃんのライブが見れて、幸せなんじゃないですか?』



そう、今回は「不幸アイドル」の取材のはずが、目にしたのは幸せそうな表情……





朋「いや別に幸せならそれでいいじゃない……」





ほたる『いえ……それが……』



『?』



ほたる『授業時間を削ってライブに充てたり、授業中も他クラスの生徒や先生が見にきてしまって授業にならないことが多くて、この学校、全然勉強が進んでないんです……』





智絵里「バカなんでしょうか」



朋「言葉は良くないけど同意するわ」









そう、人気がありすぎるというのもよいことばかりではないのだ。

その証拠に、2時間目の授業、先生が「2人組作ってー」と言ったのをきっかけに多くの血が流れることとなった。





朋「止めてあげて!!!」





今回、その争いを制したのは校長先生だった。





朋「校長!!!!!」









そして午後となり、ほたるさんが仕事へ向かう時間がやってきた。



わああああああ!!!!

ほたるちゃーん!!!!!!!

行かないで!!!!!!

もうおしまいだあああ!!!!





朋「うるさいなあ!!!」





『このお見送り、全校生徒ですか?』



ほたる『恐らくは……。大変だろうから大丈夫ですって、いつも言ってるんですけど……』



そう話すほたるさんの顔は、どこか嬉しそうだった。





智絵里「……グスッ」



朋「泣くほど?」









『次の現場へはどうやって?』



ほたる『今日は近いので徒歩です。30分もかからないですね。前後・左右・上下には気をつけてください……』



『……全部ですね?』



ほたる『はい』



ヒューーーーーーーーーーー

ガッシャーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!



ほたる『そうですね』ヒラリ





朋「早速落ちてきた上にノールックで避けた!?」



智絵里「得意技ですね!」



朋「技とかあるの!?」









せっかくなので我々は、ほたるさんにいくつか質問をすることにした。



『おみくじは今年も大凶でしたか?』





朋「聞いたことある!!」



智絵里「ふんす!」ドヤァ



朋「かわいいけども!」









ほたる『はい。でも、こうして話のタネになるなら、悪いことばかりでもないって思うんです』



大人の対応である。



『アイドル活動は楽しいですか?』



ほたる『はいっ!みなさん本当によくしてくれて……。あと、自分でも最近、少しは前向きになれたかなと思うんです』



屈託のない笑顔で話してくれるほたるさん。

さらに、プロダクションの仲間についても聞いてみた。



『特に仲の良い方はいますか?』





朋&智絵里「!」









ほたる『えっと、緒方智絵里さんとは、よくお仕事をしたり、話すことも多いので仲がいいですよ』





智絵里「……」ニコニコ





ほたる『あと、藤居朋さんには本当にお世話になってます』





朋「!!」





『どのように?』



ほたる『あの、歳は少し離れているんですけど、私といつも話してくれて、悩みとかも相談できて……。困らせちゃうこととかもあるんですけど、いつも側にいてくれて。お姉ちゃんがいたらこんな感じなのかな……って。本当に優しくて大好きなんです』



『仲間に恵まれているんですね』



ほたる『はい!私は運がよくないんですけど……それでも唯一と言っていいほど胸を張って“幸せ”って言えることです!』



そう言ってほたるさんは笑顔を見せてくれた。





朋「智絵里ちゃん、あたしちょっと顔洗ってくるね、いったん止めておいて」ガチャ



智絵里「……はいっ!」フフッ









ガチャ

朋「お待たせ。じゃあ続き見よっか」



智絵里「もう大丈夫なんですか?」



朋「さすがにあの不意打ちはズルいわよ……」



ピッ

『ぶっちゃけムカつくヤツとかいます?』





朋「いい雰囲気だったのになんでそんなこと聞いちゃうかなあ!!??」









そうこうしている間に、仕事現場へと到着した。



ほたる『おはようございます、本日はよろしくお願いします』



慣れたように挨拶を済ませるほたるさん。



『どのような雑誌の取材なんですか?』



ほたる『はい……趣味でガーデニングをする人向けの雑誌で、名前に植物が入っている4人での座談会なんです。私は“菊”が入ってますね』



『なるほど、中から声がしますね、もう皆さん来ているのでしょうか』









ガチャ

ほたる『おはようございます……』



橘ありす『楓さん!もう取材始まるのになんで一升瓶をもってるんですか!?』



高垣楓『これね……実は三ツ○サイダーなの』



ありす『騙されませんよ!?』



江上椿『ふふふ……』パシャパシャ



ありす『椿さんも笑って写真撮ってないで楓さんをとめてください!』



楓『椿ちゃんも1口、どうかしら?』



椿『じゃあ……』



ありす『「じゃあ……」じゃないです!椿さん19ですよね!?』



楓『あら、こんなに年下に怒られちゃ、たちばない、ですね……』



ありす『そういうのいいですから!!』





朋「うわぁ」









椿『あ、ほたるちゃん、おはようございます。そちらの方は……?雑誌の方ではないようですけど……』



ほたる『あ、今日1日の密着取材のスタッフさんなんです』



ありす『密着取材なんてすごいじゃないですか、最近よくテレビにも出てますからね』



『みなさん、ほたるさんとはよく話すんですか?』



楓『ええ……はい……本当に良い子で……いつも会ったら挨拶をしてくれたのに……まさかこんなことに……本当に犯人は許せないです……はい……』



ありす『この悪ノリしてる酔っ払いは無視して大丈夫です』



椿『はい、事務所ではよく話しますよ。たまに一緒にお散歩に行ったりもします。ほたるちゃんとお散歩すると、シャッターチャンスに恵まれるんですよ』フフフ



ありす『私もよく話しますね、ほたるさんの姿勢は参考になります(なぜか会うたびにタブレットがフリーズすることは黙っておきましょう)』



ほたる『みなさん本当に優しいんですよ』



仲間について語るときのほたるさんは楽しそうだ(酔っ払いを除く)。





朋「その注釈必要?」









スタッフ『ではそろそろ開始しまーす』



我々は座談会の終了まで待つことにした。



―――――座談会終了後―――――



『お疲れ様です』



ほたる『あ、おまたせしました』



『次はどちらへ?』



ほたる『次は事務所で打ち合わせなので、早速向かいましょうか』



『徒歩ですか?』



ほたる『いえ、タクシーを呼んでいただきました……あ、来ましたね』



ガチャ

ほたる『○○プロダクションまでお願いします』



運転手『了解でごぜーます!』





朋「このタクシー不安なんだけど!?」



智絵里「ナンバープレート2727でしたね」



朋「会社自体がやばいわ」









途中何度か通行人の飛び出し、エンスト、植木鉢の落下、輿水さんの落下などのハプニングはあったが、無事に到着した。





朋「幸子ちゃんを落下物の括りに入れるのやめてあげて!?」





―――――事務所―――――



ほたる『ただいま戻りました』



P『おう、お疲れ』



彼はプロデューサー。ほたるさんも全幅の信頼を寄せる、高身長高学歴高収入の心優しきイケメンだ。





智絵里「いくら渡したんですかね?」



朋「あとでクレーム入れておこうか」









P『あ、打ち合わせなんだけど、裕美はいるんだが、乃々がまたいなくなってな』



P『見つかるまでちょっとまっててくれ』



ほたる『わかりました』



『3人でのライブなんですか?』



ほたる『はい、“ワンステップス”というユニットです。とりあえずは期間限定なんですけどね』



P『今、エスパーユッコと名探偵都が探してるから』





朋「人選ミス!!!」









森久保乃々『あうぅ・・・・・・』トボトボ



P『お、来たな。どっちに見つかった?』



乃々『いえ……隠れてたらアッキーさん※がやってきて見つかってしまいました……』



※太田優さんの飼い犬の名前である





智絵里「あの2人は犬以下なんですね」



朋(擁護できる余地がない……!)









そして打ち合わせは問題なく終了した。

これでほたるさんの今日のお仕事も終わりだ。



『お疲れ様です。本日はありがとうございました』



ほたる『はい、何事もなくてよかったです……あまり面白いこともなくてすみません……』





朋「いや全編見どころだらけだったわよ?」









『最後に、ほたるさんにとってアイドルとはなんですか?』



ほたる『はい、アイドルは、笑顔の源だと思います。これからも、少しでも皆さんに笑顔を作れる限り、頑張っていきます……』



はっきりとした口調で、ほたるさんは答えてくれた。

この先、どんな苦難が彼女を襲っても、きっと乗り越えてくれる。

それをスタッフが確信するのに十分な笑顔であった。





朋「ほたるちゃん……」





〜〜スタッフロール〜〜





ナレーション:遊佐こずえ





朋「!!!???」









制作:N○K



不幸アイドルの日常に迫る!



出演:百菊はたる





朋「最後の最後に誤植!!!!」











智絵里「火葬の際によく菊を入れますよね」



朋「それ今言う必要あった!?」





おわり









22:30│白菊ほたる 
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