2016年03月29日

晴「くしゅん!」友紀「あれ晴ちゃん風邪引いた?」

【モバマスSS】です





――――事務所





晴「くしゅ! ……あー、そうかも。なんか昼過ぎた辺りから身体が重くてさ……」



友紀「へーどれどれ」コツン



晴「うわっ!?」バシッ



友紀「いた!? ちょ、ちょっと晴ちゃんなにも突き飛ばそうとしなくてもっ」



晴「い、いきなり顔近づけるなよ! びっくりするだろ!」



友紀「えー、別に熱があるかどうか調べるだけだって」



晴「それなら体温計とかあっただろ! なんででこをくっつけて……くしゅん! けほっ」ブルブル



友紀「あーもうほら叫ぶから。あたしの家じゃわりと普通にやってた方法なんだけど、嫌だった? ならごめんね……」





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晴「い、いやってわけじゃなくてちょっといきなりすぎてびっくりしたというか……」ブツブツ



友紀「ん? なにー?」ゴソゴソ



晴「な、なんでもねえよ! ともかく熱あるか調べるなら体温計探せばいいだろ! ……くしゅん!」



友紀「うん、だから今探して……あった! いやー、相変わらずなんでもあるねこの事務所。はい晴ちゃん」スッ



晴「ん……よっと」ピッ



友紀「それにしても一瞬だけだったけど晴ちゃんのおでこ熱かったし……今日からしばらくレッスンとかはお休みかな」



晴「はぁ!? 何言ってんだよ友紀! オレなら全然いけ……くしゅ、くしゅん! けほっ……うぅ」ブルブル



友紀「そんな状態だと説得力ないよ晴ちゃん。無理しちゃうと駄目なのはよーくわかってるでしょ?」



晴「けど……」ピピピッ





友紀「お、もう測れたんだ。で、どんな感じ?」



晴「……」



友紀「晴ちゃん?」



晴「……38℃以上ある……」



友紀「……やっぱり高い。これは病院に行ったほうがいいかもね」



晴「ま、待ってくれよ! せっかくまた友紀と一緒のライブが近いのに、こんなとこで休めな……くしゅん!」



友紀「あたしと一緒のライブだからって気を使わなくていいよ晴ちゃん」



晴「そういうつもりも……!」



友紀「とりあえず……ちひろさん、風邪薬ってどこに置いてありましったっけ?」





ちひろ「それならそちらのロッカーに仕舞ってある救急箱の中に残っていたはずですよ」



友紀「救急箱の中かぁ。えーと」ゴソゴソ



晴「聞けよ! くしゅん! ……なぁ友紀、頼むから。本当にオレなら大丈夫だからさ、レッスン休みたくないんだよ」



友紀「うーん、気持ちは分からなくもないけど……なんだか晴ちゃん妙に意地になってない?」ゴソゴソ



晴「そ、そんなことねえよ……オレはただ……」



友紀「……? 変な晴ちゃん……っと、風邪薬があった! ……ってあれー?」



ちひろ「どうしました?」



友紀「ちひろさん、もう薬ほとんど残ってないよ?」



ちひろ「あらそれは。私は使いませんから気付きませんでした……すみません」





晴「はは、なんだ、薬ないんじゃん……くしゅん! だったらいい、オレはこのまま」



友紀「あ、でも晴ちゃんの分は残ってるから大丈夫! はいどうぞ」スッ



晴「……ああもう……!」



友紀「あれ、飲まないの?」



晴「だってよ、これ飲んだら寮に帰れとか言うんだろ友紀?」



友紀「そりゃもちろん。というか今からプロデューサー呼んで晴ちゃん病院に連れっててもらうことも考えてるけど?」



晴「……分かっくしゅん! そういうことなら薬は飲む。でも代わりに一つだけお願い聞いてくれ」



友紀「お願い? いいけど……」



晴「この薬飲んだらオレそこの仮眠用ベッドで休むから……それでしばらく様子見してくれねーか?」





友紀「よ、様子見!? 何言ってるの!」



晴「頼む……それで治らなかったら素直に病院にでも行ってやるから……くしゅん! だからプロデューサーに言うのもちょっと待ってくれ」



友紀「なんでそこまで……それに今の内容だとお願い2つだよ?」



晴「……こ、細かいことはいいんだよ! とにかくしゅん! ……とにかく頼む友紀!」ジッ



友紀「う、そ、そんなに見つめられても……」



晴「お願いだ……友紀……なぁ……」ジーッ



友紀「……うっ……うむむ……ま、負けない! そんな約束できな――」



ちひろ「いいじゃないですか友紀ちゃん」



友紀「ええちひろさん!?」





晴「ちひろ……!」



ちひろ「どうも晴ちゃんにも譲れない理由があるようですし、ここはお願いを聞いてあげてもいいじゃないですか」



友紀「信じられない……ちひろさんが」



晴「……くしゅん! けほっ、けほっ……へへ、やっぱりちひろは話が分かるなっ!」



ちひろ(本音を言えばそんなことを言い争ってる一分一秒を無駄にしてほしくないだけなんですが)



ちひろ「とにかく薬を飲んで数時間休む。その程度で治るならそれで良しですし、駄目ならプロデューサーさんに連絡して病院ということで」



友紀「むー……納得出来るような出来ないような……」



晴「でも審判の判定は決まったぜ。ちひろが決めたんだから逆らっちゃいけないだろ友紀」



友紀「……はぁ、分かったよ。でも、治らなかったらちゃんと病院行ってよ晴ちゃん?」





晴「そっちこそ見てろ! くしゅくしゅん! ……けほっ、小学生の回復力、舐めるなよ……くしゅん!」ブルブル



友紀「分かった分かった。とりあえず、はい薬」



晴「サンキュ! ……水は?」



ちひろ「もう用意していますよ」スッ



晴「それじゃこれで……」ゴクッ



晴「……ふぅ。それじゃ、オレは寝るから邪魔するなよ友紀?」



友紀「しないってば。あたしはとりあえず今日のレッスンは晴ちゃん休むってことをトレーナーさんに伝えに」



ちひろ「それでしたら私が他の仕事と一緒にしておきます。その代わりといってはなんですが、友紀ちゃん一つ頼まれてくれませんか?」



友紀「ちひろさんからもお願いがあるの? なんだか今日は変な日だなぁ」





ちひろ「まぁまぁ。今丁度友紀ちゃんが薬の備蓄状態を見てくれましたし、買い出しをお願いしてもいいでしょうか?」



友紀「あたしが!? うーん、いいけど、晴ちゃんの様子……」



晴「な、なんだよ! くしゅん! 友紀に付きっきりでいてほしいとか思うほど子供じゃねーよ!」



友紀「え? いてほしかったの?」



晴「ちがうッ!! ……けほけほっ!」



友紀「そ、そこまで強く否定されるとちょっと傷ついちゃうな……」



ちひろ「晴ちゃんのことなら私が仕事の合間に見ておきますから、友紀ちゃんはこのメモにまとめた物を買ってきて下さい」スッ



友紀「うわ、結構ある……まぁ、でもなんとかなりそうかな」



ちひろ「あとこれが買い出しに使ってもらうお金です。もし余ったらそのまま友紀ちゃんの好きなものを買うのに使って下さいね」スッ





友紀(……ちひろさんああ言ってるけどきっちり1円玉まで封筒に入ってるよ……これ余らないやつだって)



ちひろ「どうかしましたか?」



友紀「なんでも! じゃあとりあえずあたしは買い出しに行ってきます! 晴ちゃん、ちゃんと休んでてね!」



晴「ああ……くしゅん! 友紀も気をつけろよ、まだ道路に結構雪残ってるし、外寒いからな」



友紀「心配してくれてありがと。それじゃ行ってきまーす!」



バタンッ



晴「……行ったな……くしゅん! じゃ、よーし!」



ちひろ「ベッドに行って下さいね?」





晴「……え? これちひろが体よく友紀を外に出してる間にレッスンしろってことだろ?」キョトン



ちひろ「ふふっ、面白い解釈ですね……そんなわけないでしょう?」ニコッ



晴「うぐっ……そうだよな、うん。分かった、寝る。寝るから! くしゅん! ――ほら、ベッドに入ったぜ!」



ちひろ「はい結構。ではちゃんと掛け布団を被って友紀ちゃんが戻ってくるまで休んでいて下さい……抜けだそうとしたりしたら、怒りますよ?」



晴「分かってるって……くっしゅん! でも横になったくらいでそんな……簡単に寝れるわけ……わけ……」ウトウト



晴(あれ……もしかして……オレけっこう……つかれて…………)



晴「――……スゥ……スゥ……」



ちひろ「……眠ったようですね。さて、冷えピタでも貼ってあげてから私も仕事に戻るとしますか」ゴソゴソ





――――数時間後、事務所



???「……から……も……らしい……」



???「……ぐお……そした……」



晴(――……ん、なんだ……かいわ……?)



???「……ちゃって……アタシ……パパ……甘え……チャンスな……」



???「ふふ……ちゃんは……ですね」



???「当然よ♪」



晴(……あー……この声……そうか……今日のしごと、終わったんだな……)



晴「……かえらないのか、梨沙」





梨沙「……え? あっ、ごめん。起こしちゃった?」



晴「……梨沙の声はよく聞こえるからな……良いめざましに……ごほっ!」



ちひろ「おはようございます晴ちゃん。よく眠れましたか?」



晴「ああ、もうばっちり治った……ごほごほっ! 治ったぜ! くっしゅん! けほっ」ブルブル



梨沙「あらら……事情はちひろから聞いたわ。風邪引くなんてなにしてんのよ」



晴「しょうがねえだろ……ごほごっほっ」



梨沙「どうせこの寒い中、男子達とバカみたいにサッカーしてたんでしょ? あとは雪かき集めてぶつけあったり」



晴「……(ギクッ)」



梨沙「まったく、アンタはもう少し自分が女の子ってこと自覚持ちなさいよ。どうせ聞きやしないでしょうけど」





晴「分かってるなら言うなって……ごほっ!」



梨沙「あー、もう、ほらとりあえず熱測るわよ! よいしょ」スポッ



晴「ひゃ!? つ、つめたっ!? な、なにすんだよ梨沙……!」



梨沙「アンタが体温計見て嘘つかないようにアタシが測ってあげてんのよ。感謝しなさい♪」



晴「はぁ!? 誰もそんなこと……ごほごほっ! するわけねえだろ……んっ……!」ビクッ



梨沙「黙ってて。アンタ寝る前にそんな体調でレッスン行こうとしてたって聞いたわよ。ほんとバカなんだから……」



晴「なんだよ……悪いかよ……けほっ」



梨沙「悪いに決まってるわよ。なんでそんな無理するのよ……」ピピピッ



晴「仕方ねえじゃん……今度のライブは友紀と一緒なんだぜ……オレの情けない姿で友紀に迷惑かけるわけにはいかな……ゲホゲホッ!」





梨沙「あっそ、その割には今アタシがスゴイ迷惑かけられてるわよ。ほら見なさいアンタの体温」グイッ



晴「あー……なに? ……なんだ、36.3℃じゃん……平熱になってる……くしゅん!」



梨沙「もうしっかりしなさい! アンタの体温は今39.3℃あるの! こんな状態でレッスンとかしたら危ないに決まってるわよ!」



晴「まじか……おかしいな……薬を飲んで寝て……それにこの感触、冷えピタまではってもらったのに……頭いたい……」



梨沙「完全に悪化してるわねこれ……晴、残念だけど学校もアイドル活動もしばらく休んだほうがいいわ。でしょ、ちひろ」



ちひろ「ええ、確認する限りこの状態では……」



晴「まってくれ……頼む……梨沙……オレ……ゴホッ」



梨沙「……ねぇ、どうしてこんなになってまだ頑張ろうとするのよ。晴が休んだって皆これなら納得してくれるわよ……?」



晴「オレが……オレが納得できないんだ……友紀とのライブを休んだら、きっとオレは……」





梨沙「分かんない……友紀とのライブがそんなに大事? 今の晴なら、仕事の1つや2つ休んだって影響は少ないのに……」



晴「そうじゃない……! けほっ……友紀の、友紀のライブはすごくカッコイイんだ……!」



ガチャ



ちひろ(……おや)



晴「普段は……ただの野球バカで……どこでもビール飲んでて、応援してるチームの勝ち負けで機嫌がころころ変わる面倒くさいねーちゃんだけど……」



梨沙(……同意するけど割りとばっさり言うわね晴)



晴「でもレッスンは真面目で……どんな仕事でも野球のこと混ぜて話すけど……絶対悪い結果にはしなくて……頼れて……」



梨沙「そうね、少なくともその辺りはアタシも……ちょっとだけ認めてあげてるかな」



晴「でも友紀が一番すごいのは……やっぱステージの上でさ……本当に、カッコイイんだ……」





梨沙「……そういや、晴ってカッコイイ仕事がしたいっていつも言ってるわね」



晴「ああ……オレの初めてのデカイ仕事はさ、友紀のバックダンサーで……緊張してたオレをアイツは、友紀は……」



梨沙「助けてくれたの?」



晴「すげえと思った……友紀に話しかけられて、気付いたら自然と楽しんでステージに立ってて……それで、前にいたのは……ケホッ」



梨沙「……普段とまるで違う友紀だったってわけね」



晴「きっと、あの時の友紀みたいに出来れば、オレはもっとカッコイイアイドルになれると思うんだ。だから、アイツとのステージは……」



友紀「……ふーん」



晴「!?」



梨沙「うわびっくりした!? いつからいたのよ!」





友紀「ついさっきからかな」



梨沙「ちょ、ちょっとちひろ! 友紀が帰ってきたのなら教えなさいよ!」



ちひろ「お二人がすごく真面目にお話されてましたからつい……」



友紀「なるほど、今のが晴ちゃんが風邪を引いてもレッスンしようとしてた理由なんだね」



晴「……それは……」



友紀「だったら尚更ちゃんと風邪を治すこと! そんな身体で頑張られてもあたしは迷惑かな」



晴「……うぅ……」グスッ



ナデナデ



晴「……あ」





友紀「大丈夫。焦らなくても晴ちゃんはもう十分カッコイイアイドルだよ! なんてったって、あたしの隣に立ってライブをするんだから!」



晴「……友紀……」



友紀「だからちゃんと風邪を治して、それからまた頑張ろう? 無理して壊れちゃったら、それでおしまいなんだからね?」



梨沙「ホントよ。言っておくけど隣に立ってるのは友紀だけじゃなくてアタシもいるの忘れないでよ。アンタがいないと張り合いないんだから」



晴「梨沙……そうだよな……オレ、もう友紀の後ろにいるだけじゃないんだよな……ゴホッ」



友紀「そうそう、だから」



晴「いつかカッコよさを追い抜いて、友紀をバックダンサーにするくらいにしないといけないしな……!」



友紀「おっと、交代する気満々だね。でもあたしもまだまだマウンドを譲る気はないよ!」



晴「望むところだ……!」





梨沙「アンタ達ね……まったく……♪」



晴「ゴホッ……ん、てか、いまさらだけど……友紀がさっきからここにいたってことは……」



友紀「あ、そうだった! ちひろさん、頼まれた物全部買ってきたからここに置いておくね!」



ちひろ「はい、ありがとうございました」



晴「いやそうじゃなくて……その、ゲホゲホッ! ……どこから聞いてたんだ……?」



友紀「え? 聞こえてきたのは『友紀のライブはすごくカッコイイんだ……!』あたりからかなー」



晴「」



友紀「へへっ、あんなに晴ちゃんに熱く尊敬されてたなんて嬉しいな! もっと普段からそう言ってくれればいいのに!」



晴「」カァァァ///





梨沙(あ、なんか晴の様子が……)



友紀「さ、とりあえずこのカッコイイユッキが晴ちゃんの面倒見てあげるから、頑張って風邪を治していこうね!」



晴「……る」



友紀「ん?」



晴「……しんでも……ことわる……ケホッ……――」ガクッ



友紀「晴ちゃん? 晴ちゃん……? ……うわぁ!? 晴ちゃんが気絶しちゃったーっ!?」



ちひろ「……なにをしたんですか友紀ちゃん?」ニコニコ



友紀「うええ!? ま、待って! あたしもよく分からな……助けて梨沙ちゃーん!」



梨沙「……やれやれ♪」



――それから一週間後、無事に風邪を治し復帰した晴は、予定より少ないレッスン量ながらも友紀とのライブを見事に

カッコよく成功させるのであった。



〈終〉





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