2016年04月05日

楓『気がついたら、私は犬になっていた』

アニメ準拠はほとんどありません

草は生えてませんが、気分を害された方がいらっしゃったら申し訳ありません

後かなり短いです



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459650711





朝。



目覚めると、すぐに体の変化に気がついた。



「…」



まず、視界が悪い。



…悪いどころか、ほとんど見えない。



一瞬、白内障とか、緑内障とか、そういう目の病気になったんじゃないかって、思いました。



「…」



…あまりにも突然だったから、凄く混乱した覚えがある。



「…」



それ以上に、驚いたことがある。



「…?」



立てないの。二本足で。



「…!」



立とうとすると、安定しない。



バランスを崩して、四本足になる。



「…」



私はどうしてしまったんだろう。



そんな焦りが生まれ始めました。

「…」



鏡を取ろうと、私は手を伸ばしたの。



「!?」



そして、直ぐにその手を引っ込めたわ。



だって…。



「…」



これ、私の手じゃないんだもの。



毛むくじゃらで…というより人の手じゃない。



「…」



それと、声が出せない。



な、とか。

ま、とか。



全然出ないの。



「…」



そして、ようやく分かったわ。



「…ワンッ」



…私は、犬になってたの。

「…ワンッ」



自分が犬になった。



ある日突然、犬として目覚めてしまった。



「…」



どうりでいつもより視界も悪いし、低いと思った。



「…」



だけど、今日は仕事。



こんな格好で行くなんて、まずいんじゃないかって思ったわ。



「…ワンッ」



流石に裸で行くのは恥ずかしいし、色々困る。



「ワンッ……」



だから服を着ようと思ったけど、私の服は今の自分には大きすぎたの。



…それに、この指じゃ着るどころか、ボタンもチャックも…。

「…」グゥー…



にしてもお腹が空いていたわ。



…だって、肉食でしょ?犬って…。



「…」



冷蔵庫に何かあったかしら。



…いや、まず開けられないわ。



「…」



だから、とにかく我慢しようってなったの。



事務所に行けば、何かしら食べられるかなって思って。



「…」



私は意を決して、家を出ることにしたわ。



「…」



鍵も閉められないし、財布も持てないけど。



行けばきっと何か変わる。



誰かに助けてもらえるんじゃないかって。



「…!」ガチャガチャ…



必死てドアの鍵を開けて、ドアノブに手を伸ばしたわ。



「…!」バタン



そして、背に腹は変えられないって、結局裸で飛び出したの。

幸い、私の家から事務所までは、そこまで時間がかからない所だった。



…というより、この姿ならいつもより完全に早く着く。



軽快に、俊敏に動ける。



その上今の私は裸の獣。



不思議な解放感に包まれて、私の気分は高揚していったわ。



「…」



人混みをすり抜けて。



歩道橋の階段を三段飛ばしで上がって。

「…」



犬って、こんなに嗅覚が効くんだ。



都会って…何か、嫌な匂いだわ。



そんな気分にもなったわね。



「…」



みんな、私のこの姿を見たら何て言うんだろう。



驚くかしら?



…まさか、保健所に連れていかれるなんてことは無いわよね?



というより、今の私が高垣楓って分かってくれるのかしら。



「…」



喫茶店のガラスに映る自分の姿を見る。



…柴犬かしら。



…私、犬になったらこんな感じなのね。



痩せてるから、もっと別の犬かな、なんて思ってた。



…あ、そんな事はどうでもいいの。

「…ワンッ」



事務所に近づくにつれ、自分が犬であることに抵抗が無くなっていったわ。



順応が早いのかしら、私って。



「…ワグ…」ガブガブ



公園の水を飲むことにも一切の抵抗が無かったわ。



「…ワフッ…」



それどころか、美味しいなんて思っちゃった。



「…」



でもこんなところで油を売ってる場合じゃない。



早く行かないと仕事の時間に遅れちゃう。



それだけは、何としても阻止しないといけないって、思ったの。

「…!」



だから、必死で走ったわ。



途中ちょっとすれ違うサラリーマンの愛妻弁当の匂いに心を奪われそうになったけど。



だけど、仕事の為。



私は、みんなに迷惑をかけたくない一心で、走り続けたの。



「…」グゥー…



お腹が空いてるからってのも、あったけど…。



「…」



それに、川島さんや片桐さんならきっと私が楓だって理解してくれる筈。



だから、必死で走ったの。



とにかく、この運命に抗ってやるんだって、もがいたわ。



きっとみんなは私を助けてくれる。



だから、行かなきゃって。



みんなを、信じたの。

やがて事務所の正門が見えて、警備員のお爺さんをすり抜けたわ。



笛が鳴っているのも気にせずに。



幾多の警備員をすり抜けて。



幾多のアイドルをすり抜けて。



美嘉ちゃんの香水に鼻が壊れそうになって。



ちょっと凛ちゃんの微かな犬の匂いに誘われて。



そして必死で階段を登って。



「…ワンッ!」



…ようやく、ここに辿り着いたの。

早苗「…ふーん」



瑞樹「この犬が楓ちゃんねぇ…」



「ウー…」



早苗「唸ってるわよこいつ。ご飯あげたのに」グイー



「グルルルルル…」ビローン



友紀「ご飯足りないんじゃないですか?」



菜々「…っていうかこの子雄ですよね…」



早苗「うん。ついてるものね」ヒョイ



「グルルルルル」



瑞樹「…で?」



菜々「…で?…とは?」



瑞樹「その話は何なのかしら?」



菜々「…いえ、そういう話らしいですから…ね?」



友紀「うん。そういう話…」



瑞樹「そういう話を、誰が言ってるのかしら?」



菜々「…電話でそうやって話してます…」



瑞樹「…なら、その相手は誰?」



菜々「…さあ、誰でしょう…?」



瑞樹「………ん」



菜々「…」



瑞樹「…」













瑞樹「で?サボった理由は何かしら、楓ちゃん?」

終わります



23:30│高垣楓 
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