2016年04月07日

モバP「泉がひとりでいるようだ」

泉「………」ボーー



P「珍しいな。泉が暇そうにぼーっとしてるなんて」



P「いつもさくらや亜子達としゃべってたり、パソコンいじってたりしてるから」





泉「プロデューサー……そうね。今、ちょっと手持ちぶさたな感じかも」



P「さくら達は?」



泉「さっきまで一緒だったんだけど、急に二人だけでどこかに行くって言いだして――」





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同時刻





亜子「えー。このたび、いずみがデレステ参戦を決めました。めでたいですね」



さくら「わー、ぱちぱちぱち!」



亜子「しかしアタシらはまだです。予定は未定です」



さくら「しょぼーん」



亜子「イベント上位もいずみだけ経験しているという現状……はっきり言って、ちょーっとばかしアタシら二人遅れてます」



さくら「がーん!」



亜子「しかし! 我々はこれを決して妬まない! あの子に追いつけるように努力を重ねるべきであーる!」



さくら「そのとぉり!」



亜子「というわけで、いずみに内緒で秘密の特訓や〜!」



さくら「やろう、特訓! イズミンと一緒に走るために!」



亜子「その意気その意気! てことで早速ランニングで身体と心を鍛えよー!」



さくら「おーっ!」



亜子「それ、いっちに! いっちに!」



さくら「めざせぇトップアイドル!」



亜子「めざせ億万長者ー!」



泉「――という感じで、今頃二人でその辺を走ってると思うわ」



P「なるほど」



P「というか、泉にばれてる時点で秘密の特訓になってないじゃないか」



泉「簡単な推理よ」



泉「あの子達の考えそうなこと、だいたいわかるから。仲良しだもの」



P「でもちょっと寂しそうだな」



泉「べつに。いつも必ず三人一緒ってわけでもないんだから」



泉「二人の気持ち自体はうれしいし……うん」



泉「………」







泉「特訓メニューなら、私が最適なものを計算するのに……」ブツブツ



P(やっぱり少し寂しいみたいだな)



P「そうだ。いい機会だし、たまには泉が甘える側になってみたらどうだ」



泉「甘える側?」



P「ニューウェーブの中だとお姉さんポジションだし、普段はどっちかというと頼られる側だろう」



P「だから、こういう時くらいは逆の立場になってみるのもいいんじゃないかな」



泉「逆の立場、ね……それはいいけど、私は誰に甘えればいいの?」



P「それは……今、この部屋俺しかいないし」



泉「つまりあなたに甘えるということね」



P「もしかして、俺じゃ力不足だと思ってる?」



泉「そんなことはないわ。プロデューサーのこと、いつも頼りにしてるし」



泉「ただ、いきなり甘えろと言われても……どうしたらいいか考えづらいかな」



P「普通に、してほしいことを言うとか。お願いがあればどんどん言ってくれていいぞ」



泉「ふむ……わかったわ」



泉「………」ウーン



泉「……よし」



P「なにか思いついた?」



泉「うん。それじゃ、少しの間甘えさせてもらおうかな。お兄ちゃん」



P「………ん?」



泉「どうかした? お兄ちゃん」



P「いや……なんでお兄ちゃん?」



泉「慣れないことだから、形から入ろうと思って」



泉「男の人は、お兄ちゃんと呼ばれると喜ぶという統計が出ているらしいわ」



P「どこの統計だよ……」



泉「いやだった?」



P「………」



P「照れるけど、いやではない」



泉「そう……」



泉「………」



泉「……兄さん?」



P「」ドキッ



泉「こっちのほうがしっくりくるみたいね」フフ



泉(でも、これ……言う側も結構恥ずかしいかな)



泉「それで兄さん、お願いがあるんだけど」



P「お、おう。どんときなさい」



泉「ありがとう。ならさっそく」



P(さて、どんな感じのお願いで甘えてくるのか……)



泉「この画面、見てくれる?」スッ



P「買ってほしいものでもあるのか?」



泉「違うわ」



泉「さっきのダンスレッスン、トレーナーさんに頼んで映像撮ってもらったの」



泉「それをパソコンに取り込んだのがこれ。今から分析しようと思うから、プロデューサーの意見も欲しいな」



P「なるほど。そういうことなら」



泉「じゃあ、再生するね」カチッ



P「………」



P「あ、今のところ」



泉「何かあった?」



P「ああ。あそこの足の出し方が――」





P「とりあえず一通りチェックは済んだな」



泉「ありがとう。ひとりじゃ気づけないことも多いから、助かったわ」



P「いやいや、このくらいは」



P「………」



P「って、これじゃいつもと変わらないじゃないか」



泉「え? だってお願いがあれば言えって兄さんが」キョトン



P「そうだけどさ……これはなんというか、なあ」



泉「難しいのね……」ムムム



P「ダンスの分析はアイドルの仕事がらみのことだからな」



P「もっとほら、趣味のこととか。盛り上がりそうなことをだな」



泉「ふむ。それなら」カチッ



泉「これ、新しく組んだプログラムなんだけど。自信作なんだ」



P「ぷ、プログラム?」



泉「今までのは、ここの部分の処理がどうしても遅くなっていたんだけど、そこを改善できたの。どうしたものか、私も苦労したんだけど――」ウキウキ



P「………」アセアセ



泉「……って、やっぱり言ってもわからないわよね」



P「そ、そんなことはないぞ?」



泉「ふうん。じゃあ、ここの行の意味わかる?」



P「………」



P「せ、説明してください」



泉「まったく……見栄を張ってもしょうがないんだから」



泉「まず、ここはね」



P「ほうほう」



泉「――という感じかな」



P「……そっか、なるほど! なんとなくわかったぞ」



P「ありがとう、泉。ちょっとプログラミングに詳しくなったよ」



泉「いえいえ。このくらいは」



P「泉の教え方はわかりやすいな。さすがお姉ちゃんだ」



泉「ふふ、褒めてもなにも出ないよ?」



P「別にお世辞じゃないよ。ほんと、いいお姉ちゃん……」



P「……あれ?」



P「こうなったら意地でも甘えさせたくなってきた」



泉「そんなに無理しなくてもいいのに」



P「とりあえずそこに座って」



泉「はい」ストン



P「………」モミモミ



泉「……なんで肩もみ?」



P「身体をほぐせば心もほぐれるかと思って」



泉「私、べつに兄さんに心を許してないわけじゃないんだけど……」



P「それはありがたい話だな」モミモミ



泉「やめるつもりはないんだ……あ、もうちょっと下」



P「ここ?」



泉「うん、そこ。兄さん、肩もみ上手ね」



P「昔はこうして、親父の肩を毎日揉んであげたもんだ」



泉「お小遣い目当て?」



P「……なんでわかった?」



泉「兄さんのことは、なんとなくわかるわ」フフッ





P「ふー、疲れた。休憩」ドサッ



泉「肩もみから始まって、手のツボまで念入りにマッサージされちゃった」



泉「ありがとう。身体が軽くなった気がする」



P「どういたしまして。しかし泉がまったく甘える気配がない」



泉「だって、マッサージとそれになんの相関性もないし」



P「そっかー……」ガックリ



泉「………」ジーー



P「……どうかした?」



泉「そのまま座っていて」



P「あ、ああ」



泉「………」



泉「お邪魔します」ポフッ



P「………」



P「なんで膝枕?」



泉「兄さんの膝が空いていたから」



P「いやいや」



泉「思いつきよ。甘えろ甘えろって言うから、ちょっと考えてみた」



泉「いやなら、どくけど」



P「……いやではない」



泉「そう」



泉「膝枕なんて、何年振りかな……小さい頃は、お父さんやお母さんによくしてもらっていたと思うけど」



P「泉にもそういう時があったんだな」



泉「当たり前じゃない。最初から中学生だったわけじゃないんだから」



泉「でも、久しぶりにしてもらってわかったことがあるわ」



P「それは?」



泉「あんまり寝心地がよくない」



P「はは、そりゃあな。高い枕買った方がよっぽどいい」



泉「そうね。寝心地だけなら、そうなんだろうな」



泉「でも不思議。なんとなく、落ち着くわ」



P「落ち着く?」



泉「うん。体温が原因かな……しばらくこうしていたいと思うような、安らぐ感じがする」モゾモゾ



P「そうか。なら、しばらくこうしていようか」



泉「そうね。お願い」



P「………」



泉「………」フフッ



P「……失礼」ナデナデ



泉「ひゃんっ!? な、なによいきなり」



P「いや……ずっと見てたら、頭をなでたくなった」



P「ほら、より昔を思い出してもらう、みたいな……」



泉「もう」



P「ごめんごめん。もうしないから」



泉「え、しないの?」



P「え?」



泉「私はただ、なでるなら先に言ってほしいってだけで」



P「……いいのか?」



泉「兄さんが相手なら、別にいいよ。髪くらい」



P「そうか。なら遠慮なく」ナデナデ



泉「わ、ちょっ。兄さん、くすぐったい」



P「こんな感じでなでると気持ちがいいらしい。仁奈や薫の相手をしていて学んだ」



泉「そんな小さい子と同じ扱いだなんて……でも、本当に気持ちいいかも」



P「だろう?」



泉「ふふ、兄さんはなかなかの手練れだったのね」



P「ここからはさらに本気モードだ」ナデナデナデ



泉「きゃっ、もう、兄さんったら――」ニコニコ







さくら「………」ジーー



亜子「………」ジーー





泉「………あ」



P「戻ってきてたのか、二人とも……」







亜子「そんな……アタシ達のいずみが、プロデューサーちゃんと兄妹プレイに興じる関係だったなんて」



泉「いや、違うの。亜子、これはね」



さくら「わたしというお姉ちゃんがいながら、プロデューサーさんをとるなんて!」プップクプー



泉「そうじゃなくて……というか、あなたお姉ちゃんキャラじゃないでしょう」



亜子「ごゆっくり二人でいちゃいちゃラブラブバージンロードを突き進めばいいんや〜!」ダダダッ



さくら「うわーーん!」ダダダッ



泉「ちょ、待ちなさい! 変なこと言いながら廊下を走り回るのはやめて!」ダッ!





ドタドタドタッ

やいのやいのわーわー







P「……ははは、結局いつも通りか」



P「まあ、あれが一番あの子達らしいな」





おわり



22:30│大石泉 
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