2016年04月11日

モバP「酔いどれシュガーハート」

P「いつもの昼、いつもの事務所」





P「いつものように書類と向き合い、いつものようにプロデュースに励む」





P「ただひとつ、いつもと違うところがあるとすれば」





心「あ゛ー……クソッ」



P「(シュガーハートこと佐藤心さんの機嫌が、あからさまに悪いということだけだ)」



心「ケッ!」



P「(怖い。全然スウィーティーじゃない)」









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P「(今日の心さんは朝からずっとこんな調子だ)」



P「(さすがに仕事中はスウィーティーなスマイルを顔に貼り付けていたが、仕事が終わって部屋に戻ってきたら元どおりのしかめっ面)」



P「(正直、触らぬ神に祟りなしというか……)」



心「……」チラリ



P「(まずい、目が合った!)」



心「プッロデューサー♪」ニコニコ



P「な、なんでしょう」



心「最近さー、一緒に飲みに行ってないよねー?」



P「え、ええ。そうですね」



心「今日あたり、一緒にいこうぜ☆」



P「今日ですか?」



心「夜、予定あるの?」



P「予定はないですけど……」



心「じゃあ付き合って☆」



P「でも俺、今日はあんまり飲む気分じゃ」



心「付き合え」



P「は、はい」



P「(ま、真顔だ……いつも見せないぶん相当迫力があるな)」



心「ならばよし♪」







夜 居酒屋の個室にて





心「ぐびぐび」



P「ちびちび」



心「は〜〜っ! やっぱこういう時はお酒が一番☆」



心「気分がすーっとするもん♪」



P「……確かに、ストレスにアルコールはいい薬ではありますね」



心「んふふー♪ おやおや〜? プロデューサーってばペース遅いぞ、もっと飲め飲め☆」



P「そういうわけにもいきませんよ。酔い潰れると困りますし」



心「いーじゃんいーじゃん☆ 明日は休みなんだし!」



P「それはあなただけです。俺は明日も仕事」



心「あれ、そうだっけ? でへへ、勘違いしちゃった〜♪」



心「はぁと大失敗☆ てへぺろ☆」アハハハハ



P「すでに若干酔い始めてますね……」



P「まあ、平常時でもこのくらいテンション高い人だけど」



P「それで、なにがあったんですか?」



心「ん?」



P「今日、ずっと機嫌悪かったじゃないですか。それについての愚痴をぶつけるために俺を誘ったんじゃ」



心「あ〜……べつにそういうわけじゃなくて、単にぼっちで飲むのが寂しかったってゆーか〜♪」



心「でも、プロデューサーがそう言うなら、ちょっと愚痴っちゃおうかなぁ」



P「俺は大丈夫ですよ。アイドルのメンタルケアも仕事のうちですし」



心「……仕事かあ。なんかしゃべる気なくなるなあ」



P「え?」



心「今は残業中じゃないんだぞ? そんな言い方じゃらめぇ☆」



P「………」





P「単純に心配なので、心さんの話、聞かせてもらえませんか?」



心「うんうん♪ サンキュー☆」エヘヘ-



P「……ははっ」

P「母親と喧嘩した?」



心「そう。はじめは、『あんたあんなキャラで客の前に出てるの?』っていう感じの些細な話だったんだけど……」



心「気づいたら、そろそろ売れないとこっちも心配になるーとか、おじいちゃんも『心ちゃんはまだ身を固めんのかのう』ってぼやいてるーとか、そんな話になって」



心「で、こっちも言い返してたらだんだんお互いヒートアップして……」



P「それで喧嘩になったと」



心「うん」



心「最後には、へらへらしてるならやめてしまいなさいって言われた」



P「で、心さんはどう言い返したんですか」



心「ばーかばーか! オタンコナス!って」



P「小学生ですかあなたは」



P「でも、確か心さんの両親ってアイドル活動応援してくれてましたよね」



心「うん……ありがたいことにね♪ でもやっぱり、心配なものは心配なんだろうなぁ」



心「じいちゃんがひ孫を見たがってるのは本当だろうし。もう歳なのも事実だし……妹のよっちゃんも、今のところいい人は見つかってないらしいし」



P「(生きているうちに、孫のウエディングドレスを見たいっていうのも大きいだろうな)」



心「はぁともそれはわかっちゃいるんだけど……いざキツイこと言われると、噛みついちゃうというか」



心「でもアイドルはやめたくないしねぇ……むう」グビグビ



心「ぐびぐびぐび……」



P「……さすがにペース速すぎじゃないですか?」



心「飲まないとやってられないのぉ☆」



P「そうですか……二日酔いまでは責任持ちませんよ?」



心「わかってるって♪」



しばらく後



心「うへへ〜〜、ぷろでゅーしゃーがふたりに分身してりゅ〜☆」



心「片方おもちかえりしちゃおうかなぁ、でへへ☆」



P「完全に酔ってますね……」



心「んだとぉ? はぁとのどこが酔ってりゅっていうんら〜」



P「さすがの心さんも素面でそんなテンションにはならないですし」



心「あ、そうだっ!!」



P「うわっ、いきなり大声出さないでくださいよ」



心「男作ればママもじーちゃんも安心するぞぉ☆」



P「アイドルが男作ったら本末転倒ですよ。というか家ではママって呼んでるんですか?」



心「じゃあキープ! はぁと、ぷろでゅーしゃーをキープしまーす!」



P「そんな無茶苦茶な」

心「むう、乗り気じゃないなぁ? かくなるうえは……ゆーわくだ♪」



心「ほらほらぁ、熟れたないすぼでーに触りたくないかい?」ズズッ



P「い、いきなりなんですか」



心「みてのとーり酔っちゃってるのでー、どうせ明日にはここであったこと忘れてるぞ☆ だから今ならなにしてもなかったことにできるのら!」



P「いやいや」



心「……興味、ないの?」



P「うぐっ……」



P「(頬を赤らめて上目遣い……いつもと雰囲気が違って色気がやばい)」

心「プロデューサー……」トロン



P「………」



P「酔いすぎですよ。落ち着いて」グイッ



心「………」





心「チッ!」



P「なんで舌打ち!?」



心「へーんだ。そうですよねー、もっと若い体にしか興味ないもんね☆ いつも堪能してるし」



P「堪能なんて一度もしたことありませんよ」



心「だって梨沙ちゃんがいつもロリコンロリコンって」



P「誤解です。俺はロリコンじゃありません」



心「じゃあ夜のオカズにいくつの子使ってるか教えてよ」



P「ええっ!?」



心「おやおや〜、答えられないのかなー♪ やっぱりロリコ」



P「失礼な! ちゃんと同い年くらいの女優の………はっ」



心「ほうほう☆」ニヤニヤ



P「し、しまったつい」

心「ねえねえ、週何回くらいやってるの?」



心「ねーねー☆」



P「(ああもう、こうなったらやけだ! どうせ酒の席だし!)」



P「週一ですよ、週一!」



心「週一ぃ? なーんだ、はぁとの三分の一じゃん♪」



P「………」



心「ん? どしたん?」



P「い、いえ。週に三回するんだなって……回数的には普通の範囲ですね」



P「………」カアァ



心「………」





心「……!?」カアァ



P「(自分が恥ずかしいこと言ったことに気づいたな……)」

心「あ、あうぅ」



心「………」



心「ろ、ロリコンじゃないと言うのならそれをここで証明しろぉ!」



P「照れ隠しのために強引に話題を戻してきた!」



心「さあさあ、ここではぁとのわがままぼでーをさわさわして証明しろ☆」



P「そんな無茶苦茶な……うわ、なんで肩を出してるんですか!?」



心「肩甲骨の美しさには自信があるの☆」



P「えらいピンポイントな部分に自信持ってるんですね……じゃなくて、そんなはしたない格好しちゃだめですって」



心「うるさーい♪ ほらほらあ、大サービス☆」アハハハ



P「もたれかからないでくださいよ……酔うとめちゃくちゃなんだから、まったく」



心「よいではないかよいではないか〜♪ ……って、うわあっ!」



P「わ、ちょっ」





どたどたっ!

心「いたた……」



P「大丈夫ですか……っ!」



P「(か、顔が)」



心「(近い……)」ドキドキ





P「……き、気をつけてくださいね。酔ってるからってはしゃぎすぎないように」



心「………」



P「 ……心さん?」



心「ごめん……でも、はしゃいでないと不安だったの」



P「不安?」



心「心配してるのは、ママやじーちゃんだけじゃない………」



心「はぁとだって、本当は不安でいっぱい……将来のこと」



心「もう若くないのに、稼ぎが不安定な仕事して、子どもみたいな夢おっかけて……本当にこれでいいのかなって、たまに思うの」



心「今は、少しずつファンも増えていって上り調子だけど……いつまでもそうとは限らないし」



P「心さん……」



心「ママの言葉にカッとなっちゃったのも、そういう不安を表に引っ張り出された気がしたから。……情けないなあ、自分でワガママ言って無茶させてもらってるのに」



P「………」



心「あ……ごめん、変な空気にしちゃったな☆ しっぱいしっぱ」



P「俺は信じていますよ」



心「……え」



P「もちろん、俺だって不安はあります。けど、それを押さえつけられるのは『自信』だけですから」



P「まずは自分を信じてみないと、アイドルのみんなからも信じてもらえませんしね」



P「そして、俺にとって自分を信じるということは、そのまま担当のアイドル達を信じることにつながります」



心「プロデューサー……」



P「俺は心さんがトップアイドルになれるって信じています。でも、肝心の心さん自身がそれを信じてくれないと、俺も信じられなくなってしまう」



P「俺の道とあなたの道は、重なっていますから」



心「………」





心「プロデューサー……酔ってる?」



P「多分そうですね。じゃなきゃ、こんなクサいこと面と向かって言えませんよ」



心「ふふっ、だな♪」



心「でも……ありがと。プロデューサーのそういうとこ、好きだぞ☆」



P「はは、どういたしまして」



心「ねえねえ、さっきの語りの最後、もう一回言ってくれない?」



P「え? 」



心「ほら、俺の道がどうこうってやつ!」



P「……俺の道とあなたの道は重なっていますから?」



心「えへへ〜♪」テレテレ



心「もっかい☆」



P「俺の道とあなたの道は重なっていますから」



心「えへへ〜♪」デレデレ



P「さすがに言ってて恥ずかしくなってきた」



帰り道





心「おえっぷ……ぎぼぢわるい」



P「だから飲みすぎないようにって言ったのに……吐きそうになったら言ってくださいよ」



心「あんがと……肩貸してくれて」



心「でも、できればおんぶのほうが好みかなぁ、なんて」



P「………」



P「タクシー拾えそうなところまで、ですからね」



心「やった☆」

ブロロロ……





P「心さん。寮に着いたんでタクシーから降りてください」



心「はーい」







心「送ってくれてサンキューな☆」



P「方向同じですし、たいしたことじゃないですよ」



心「………」



心「ねえ、プロデューサー」



P「はい」



心「さっきは、だいぶ乱れてはしたない真似しちゃったけどさ……あれ、本当は」





心「(本当は、三割くらい計算でやってて)」



P「心さん?」



心「……ううん、なんでもない♪」



心「ハートの奥は、秘密だぞ☆」



P「は、はあ」



心「それじゃ、おやすみ♪」



P「おやすみなさい」









心「ふふっ……♪」

翌日







P「………」カタカタカタ



ピロリロリン♪



P「あ、心さんからメールだ。今日は休みのはずだけど」





心『二日酔いできもちわるい』



P「だから言ったのに……お大事に、と返信しておこう」



P「さて、仕事仕事」



P「………」カタカタカタ



ピロリロリン♪



心『あたまいたいよー』



P「………」



P「………」カタカタカタ



ピロリロリン♪





心『ああああああああたまがああああああ』



P「メール打つ余裕あるなら薬飲んで寝ればいいのに……」

ちひろ「プロデューサーさん。これ、頼まれていた資料です」



P「ありがとうございます」



ちひろ「ウェディング企画のお仕事ですか。いいですね」



P「ええ」



P「……ドレスもいいけど、ここは白無垢のほうが、インパクトあっていいかもしれないなあ」



P「あの人のおじいさんの好みは知らないけど」





おしまい



23:30│佐藤心 
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