2014年05月11日

モバP「君がシンデレラになった時」














『ボクがアイドルになった時の話が聞きたい?』





『あぁ、そうか…キミもそろそろそんなことに興味を持つ頃かい?』





『いいよ、話してあげよう』





『ただのひねた中学生を…シンデレラにしてくれた素敵な魔法使いさんのお話をね』





『じゃあ長くなるかもしれないからコーヒーでもいれようか』







『もちろん、砂糖もミルクも無しのちょっと苦めなブラックでね』











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ー学校ー





先生「…であるからして、この公式を当てはめると……」カツカツ







飛鳥「……」ボーッ



先生「さらにこの答えにこの値の数値を代入すると…」



飛鳥「……」ボーッ







先生「…二宮、聞いてるか?」



飛鳥「……」ボーッ







先生「……はぁ、二宮!!!」



飛鳥「あっ…はい、なんだい先生?」



先生「なんだい、じゃない!お前はいつもいつも授業も聞かずにボーッと窓の外ばかり見ているが真面目に勉強するつもりは無いのか!!」





飛鳥(真面目に勉強って…このクラスの中に果たして何人が真面目に勉強してるっていうんだろう?現にボクの斜め前の席の生徒だってさっきまで寝てたじゃないか…)





先生「え!?どうなんだ二宮!!」



飛鳥「……ありますよ、真面目に勉強するつもり」



飛鳥「学生の本分は勉強だって自覚してるので、テストの点数もちゃんと平均点よりとってますし」















先生「ふん、口答えだけは達者だな…お前のような奴が一番ダメな人生を送るはめになるんだ」





飛鳥(ただ単にボクが嫌いなだけだろう、そうならそう言えばいいのに社会的な立場を気にして遠回しにしか言ってこない)



飛鳥(つまんない大人だね…まぁおもしろい大人なんてこの世にいやしないけど)





先生「だいたいなんだそのつけ髪は!!学校をバカにしているのか!!」



飛鳥「…エクステ禁止なんて校則は無いと記憶してます」



先生「常識で考えろ、常識で!!ルールを守れない人間がまともな大人になれるはずもないんだぞ!」





飛鳥(まともな大人?はぁ…まともな大人って、言い換えればただの大多数のうちの一人になれってことだろ?)



飛鳥「ごめんだねそんなの…」ボソッ





先生「なんだ、言いたいことがあるなら俺にむかってはっきり言ってみろ!」





飛鳥「……怒鳴ると唾が飛ぶんで、怒鳴らないでもらえませんか?」



先生「…二宮!!あとで職員室にこい!!」



飛鳥(ほんとに…つまんないな、この人)















キーンコーンカーンコーン…





飛鳥(6限目終わりっと…帰ろう)





飛鳥「あ…そういえば職員室…」



飛鳥(もういいか…どうせ行かなくたって怒鳴られるだけだし、それにあの人つまんないし)





飛鳥(というより…)チラッ





ハラヘッター

メシイク?



ソノリボンカワイイー

エー,アリガトー



ブカツダリー

サボッチャウ?





カダイヤンナキャー

カエリドッカイコウゼ

ホシュウイクカー







飛鳥(…クラスメイトもつまんないし)



飛鳥(毎日毎日おんなじことばっかり言って…毎日毎日おんなじ事して、なにが楽しいんだろう?)





飛鳥(いや…ボクも一緒か)



飛鳥(きっと皆楽しくなんかないんだ、それでも何の変わりもない毎日を過ごすことに何の抵抗もない人達なんだろうね)



飛鳥(羨ましいね…ボクには…)







飛鳥「ボクには、変わらない日々がなによりも苦痛なんだけどね」ボソッ















ー家ー





母親「おかえり、飛鳥」



飛鳥「ただいま母さん」





母親「今日もはやくに帰ってきて…部活とか入らないの?」



飛鳥「ごめん、やりたい部活がなにもなくてね」



母親「また、そんなこといって…部活なんてどれでもいいから何か適当に入るものなのよ?」



飛鳥「…やりたくないことして、何になるのさ」





母親「やっていくうちに楽しくなっていくものよ、普通は」



母親「なのに貴女はいつまでたっても何もせずに家でボーッとしてるだけじゃない、だったら部活して汗流しなさい、皆そうしてるでしょ?」



飛鳥「………普通とか、皆そうしてるとか」



飛鳥「どうでもいいんだよそんなの…ボクはボクなんだから、ボク以外になれるわけ無いだろう」





母親「飛鳥…貴女ねぇ…」



飛鳥「もういいだろ母さん、ボクだって疲れてるんだから…部屋で寝る」スタスタ



母親「ちょっと飛鳥!…はぁ、なんだってあんな性格になっちゃったのかしら…」













ー部屋ー





飛鳥「………」ジッー…





『志望進路調査のプリント』





飛鳥「志望する進路…か」



飛鳥「高校入学して…大学入学して…就職して…って書いとけばなにも言われないかな?」





飛鳥「あぁ…どんな職につきたいかも書けってことか 」





飛鳥(仕事……まぁこのままいけば良くも悪くもない中小企業のOLって感じだろうね)



飛鳥(そうやって社会の歯車になって…定年になるまで働いて…あぁ、でも結婚することもあり得るのか)



飛鳥(結婚して子供を産んで…他の母親のようにボクもいつか子育てに悩みながら旦那と喧嘩したりしながら生活することになるんだね…)





飛鳥「未来はわからない…なんて嘘っぱちだね、ボクの未来なんて少し考えるだけでわかる」



飛鳥「きっと他の人と一緒のように何の代わり映えのない面白くない日常を送るんだ…」



飛鳥「今と何一つ……変わらない退屈で平凡で平和な…この無限地獄のような時間を過ごしていくんだ」















ー進路指導室ー





担任「二宮…お前なぁ…」



飛鳥「……」





担任「確かに進路志望のプリントを出してないのはお前だけだから急かしてしまったのは悪いと俺も思うさ」



担任「だからって『他とクラスメイトと同じ』なんて書く奴があるか…」



飛鳥「…そうとしか書けないので、そう書いただけです」







担任「そうとしか書けないってお前なぁ…例えばコイツは公務員になりたいって書いてあるんだが…じゃあお前も公務員になるのか?」



飛鳥「充分あり得る話ですね」



担任「…こっちは花屋になりとあるが」



飛鳥「もしかしたらあり得るかもしれないですね」



担任「コイツは会社員と書いてるが…」



飛鳥「それが一番現実的ですね、ボクにとっても」





担任「はぁ…最近の子供は冷めてるとはいうがここまで冷めてるとはなぁ」



担任「二宮、お前には夢とかないのか?」



飛鳥(夢…?)



飛鳥(夢なんて…叶うわけもないんだ、そんなもの持つだけ無駄じゃないか)



飛鳥(大人はいつだってそうさ、夢を持てと言っておきながら現実を見ろと命令する)



飛鳥(それだけで充分わかるよ、夢なんか持たないのが正解だって…)





飛鳥「………」



担任「……わかった、二宮」



担任「早く出せとはもう言わない、自分の中で答えが出たらでいいからそのときもう一度お前のなりたいモノを俺に教えてくれ」



飛鳥「……別になりたいモノなんて」



担任「意地でも探してこい、いいな?」



飛鳥(…強引)



飛鳥「…………わかりました」



















ー帰宅路ー





担任『意地でも探してこい、いいな?』





飛鳥「めちゃくちゃ言うなぁ…あの人」



飛鳥(なりたいモノなんて…あるわけもないんだ、だって何になったって)





飛鳥「退屈な日常は変わらないんだ……絶対に…」



飛鳥「ボクは…物語の主人公にはなれない…」





???「そんなことはないさ」



飛鳥「っ!?」



飛鳥(き、聞かれてた…!?)





???「女の子なら誰だって物語の主人公になれる可能性を秘めてるモノなんだよ」



飛鳥「主人公になれる可能性って……何なんだい?ていうか誰だいキミ?」



???「おっと申し遅れたな!俺はこういうものだ」スッ















飛鳥「名刺?…アイドル事務所シンデレラプロダクションプロデューサー、モバP…?」





モバP「そう!俺の名はモバP!!360度どこから見てもプロデューサー感丸出しの敏腕プロデューサーだ!人は俺の事をアイドルマスター、もしくはアイドル業界の癌とか呼ぶぜ!」



飛鳥「言葉の意味は分からないけどダメな人なんだね」





モバP「コイツぁ厳しいイエローエクステガールだぜ!!!なんにせよアイドルに興味があればその名刺に電話番号があるから電話してみてくれ!緑の服着た悪魔のようなお姉さんがでてくれるぞ!」





飛鳥「アイドルって…あの、テレビに出たりするあのアイドルであってるかい?」



モバP「おう!テレビに出たり出れなくて客がほぼいないデパートの屋上で歌うはめになったりするあのアイドルだ!!」



飛鳥「うん、今のでアイドルやりたくなくなったよ」





モバP「なーに!!君みたいなかわいい女の子なら大丈夫さ!」



飛鳥「か、かわいいって…初対面なのにずいぶんな誉めようだね?もしかしたら化粧でかわいく見えるだけかもしれないのに、外見だけで決めていいのかい?」



モバP「ふふん、プロデューサーをなめるなよイエローエクステガール!アイドルプロデューサーたるもの一目でその娘が厚化粧か素っぴんか薄化粧か解るもんだ!ちなみに君は一度昔化粧を試したことはあるが面倒でもうしていないタイプと見た!」



飛鳥「す、すごいね…せ、正解だよ」





モバP「おっと!!すまないがそろそろ日課のホットヨガの時間だ!それじゃあなプリティイエローエクステガール!!!」ドヒューン!!



飛鳥「あ、ちょっと待って!!!……いっちゃったか」





飛鳥(なんで…あの人フンドシ姿なんだろう…)















『これがボクとプロデューサーの出会いだね…ふふ、懐かしいね』



『過去とは未来を生きれない者が語るものだと思ってたけどそうでもないね、だってボクは今という現実を歩き続けているから』







『え?想像してたのと違う?』



『まぁ…現実は小説よりも奇なりってね』



『確かに白馬の王子様じゃなかったし…それどころか赤フンの変質者だけどね、ボクにとってはまぎれもなく大切な恩人だよ』





『ん?それでアイドルになったのかって?…いいや、それはもう少し後かな』



『続きが聞きたい?…仕方ないね、いいよそれじゃもう一杯、コーヒーをいれよう』















『さぁそれじゃ続きを話そうか』





『あぁ、君の思っているとおり彼は王子様なんかじゃなかっよ』



『そうだね、君はシンデレラは誰のおかげで幸せになれたと思う?』





『王子様…じゃないんだよ、そう、シンデレラをきらびやかに美しくしたのは……』





『赤いフンドシの魔法使いさん…さ』



















ー部屋ー





飛鳥(はぁ…今日ももうすぐ終わりか)



飛鳥(なにもかわりのない平凡な1日だったなぁ……あ、少し変わったことはあったね)ペラッ





飛鳥「アイドル…か」



飛鳥「まぁああいうのは誰にでも声をかけるようにしてるんだろうし…気にしないでおこうか」



飛鳥「それになんだか変質者丸出しな見た目だったし…関わらない方がいいよね、うん」







飛鳥(…でも、初めてかもしれないね)



飛鳥(つまんなくない大人に会えたのは)





飛鳥「だからといってアイドルになるつもりはないけど」



飛鳥(アイドルなんて…一見きらびやかに見えるけど所詮はファンやお偉いさんの顔色を伺ってこびを売る仕事だろうし、ごめんだよそんなの)



飛鳥(同じ人の顔色を伺って仕事をするなら楽な方を選びたくなるのが人間の性だしね)





飛鳥「ま……名刺だけは一応とっておこうかな」

















ー学校ー





先生「二宮ぁ!!!」





飛鳥(また目の前で怒鳴ってきた…唾が飛ぶって何度言えばわかるんだろ?)





先生「お前なぁ!大人をバカにするのも大概にしろ!!」



飛鳥(バカにされるような点があるからバカにしてるのに気づかないみたいだね…どうやらこの頭皮の薄い先生は自分を客観的に見れてないらしい)



飛鳥「…なんですか先生、提出物の期限はしっかり守りましたよ」



先生「期限どうこうで怒ってるんじゃない!!なんだこのノートの落書きは!!!」バンッ





飛鳥「あぁ、ボクなりに先生を漫画にしてみたんですけどなかなか興味深いでしょう?」



先生「この豚がブヒブヒいってるのが俺だという気か!!!」ブヒッ



飛鳥「あれ、先生気づいてないんですか?怒鳴るとき先生豚鼻なってますよ?ブヒッて、ね」



先生「ーーーーッ!!!!」ブヒッ





先生「貴様は教師をなんだと思ってるんだ!!!!!」ブヒッ











ー生徒指導室ー





先生『お前は生徒指導室で授業が終わるまで待ってろ!!!あとでみっちりと説教してやる!!!』ブヒッ





飛鳥「ハハッ…傑作だったなぁ先生の顔」



飛鳥「今度はノートに豚の写真でも挟んでおこう…フフッ」





飛鳥「………」



飛鳥(先生をなんだと思ってる…ねぇ)



飛鳥(ただのお金もらって子供の相手をしている大多数の大人と同じだろうに…なにをあんな鼻息荒くしてるんだか…)スタスタ





飛鳥(窓を開けると他の教室から発せられる音がいくつも聞こえる…でもどの音もただただ退屈で眠ってしまいそうな音だね)カラカラッ



飛鳥(平凡な教師が自分だけの夢を持てとどこかで聞きかじったような何度も使い古された説教をさも自分の言葉のように偉そうに語っている……本当につまらない話だ、見ていて哀れみさえ感じるよ)





飛鳥「…ボクもそのうち、誰かの言葉だけで会話をする大人になってしまうのかなぁ」ボーッ





モバP「まぁそれは一旦置いといて最近暖かくなってきたと思わないか?」



飛鳥「あぁ、そういわれるとそうかもね…そろそろ冬服をしまわなきゃ」



モバP「といっても俺は冬服も夏服も全部フンドシなんだけどな!」



飛鳥「ハハハハッ、楽でいいねぇ」



モバP「そうだろそうだろう!」





飛鳥、モバP『ハハハハハハハハッ!!』









飛鳥「いやなんでここにいるッ!!!?」











モバP「えぇ、そりゃ俺の父親と母親が愛し合った結晶が誰からも愛されるキャラをもつ俺だからだろう」



飛鳥「そんな哲学的な事は聞いてないよ!?なんでここにいるのか説明してほしいんだよ!」







モバP「いやぁ昨日会った君の匂いが忘れられなくてなぁ、街中で地面に鼻を擦り付けて君のフレグランスを探してたらたどり着いたんだ」



モバP「まさしく運命だよな!!」



飛鳥「いや、まごうことなき変態だね」







モバP「おいおい変態って…確かにうちの事務所の新人アイドルの志希は匂いフェチだけど意外と乙女なんだぞ?」



飛鳥「いや知らないよその人の事は!今は君の話をしてるんだけど…」



モバP「ところで君の教室どこ?アルトリコーダーの先端なめにいくから教えてくれ」







飛鳥「お願いだからせめて会話をしてくれないかい!?」











モバP「とういか今授業中じゃないのか?なんでこんなところにいるんだ?」



飛鳥「そういう君は勤務中になんで中学校にいるのか聞きたいね」



モバP「あぁ、実は君に話があってな、ていうかなんで昨日電話くれなかったんだ?俺待ってたんだぞホットヨガしながら」



飛鳥「いや、確かにスカウトはされたけどアイドルやるなんて言ってないとボクは記憶してるんだけどね」



モバP「えー、やらないの?」



飛鳥「…すまないとは思うけどそのつもりは一切無いよ、ただでさえつまらない未来を待つのが憂鬱なのに自分からそれを早めるような事はしたくないんだ」







飛鳥「自分でいうのもなんだけど…ボクはリアリストなんだよ、アイドルになったとしても成功するのはほんの一握りだけ…そんな人生をかけたギャンブルを嬉々としてするほど愚かでもなくてね」





モバP「そうか……まぁ、そういうなら仕方ないか…」



飛鳥「うん、ごめんね」







モバP「わかった、じゃあ女性アイドルとしてならどうだ?」



飛鳥「待って、君ものすごい勘違いしてると思うんだけど」



モバP「女装アイドルか…ありだな」



飛鳥「無しだよ!!」







飛鳥「あとボクは女!!!正真正銘女の子だよ!」



モバP「え…えっ!!?だって一人称が…!!!」



飛鳥「見た目でわかるだろう!?」



モバP「こんなに可愛い子が女の子なわけがないと思って……まさかじゃあ幸子も!!?」



飛鳥「わかった、君ものすごく馬鹿なんだね」













モバP「ていうか今授業中じゃないのか?なんでこんなところにいるんだ?」



飛鳥「さっきと同じことを急に聞いてきたねキミも…」





飛鳥「ま、簡単にいうとボクはちょっと問題児って奴でね」



飛鳥「だからこうして教室も出されてここで説教待ちって訳さ」





モバP「なるほど…あれか、コンセントにヘアピンぶっさして感電してロケット団ごっこしてたら怒られたって感じか?」



飛鳥「そんな事してる人は学校よりも病院に行くべきだろうね」





モバP「つまりキミは授業が終わるまでここで暇してるって訳か?」



飛鳥「まぁそうなるね…でも一人の時間は好きだよボクは、一人でいるときは自分が他の大多数の凡人と同じだということを忘れさる事ができるからね」





モバP「大多数の凡人……なぁ」



飛鳥「まぁキミはその中に入ってないけどね」



モバP「なにいってんだ、キミも俺と一緒だよ」





飛鳥「………えぇ」



モバP「おお、清々しいほど嫌な顔してるな…思わず切腹してしまいそうだぜ」

















モバP「というよりキミも俺もうちのアイドル達も皆一緒だよ」



モバP「例えばさぁ、うちの事務所のアイドルにこんな奴がいるんだ」



飛鳥「……キミと同じっていうのは嫌だけど興味はあるね、続けてよ」







モバP「ソイツはものすごいめんどくさがりな奴でなぁ……スカウトしたときは『布団から出るようなことはしたくない』って断られたくらいだ」



モバP「なんとかアイドルとしてデビューして売れれば印税で遊びたい放題だって説得してなんとかアイドルになってくれたが…そこからまたひどいんだよ、人形にテープレコーダーつけて口パクしたりなぁ」





飛鳥「人形にテープレコーダーって…そこまでしてサボりたいなら最早それはもう才能の域だね」





モバP「だろ?他には人のデスクの下でキノコ栽培しまくる奴もいれば…元々婦警だったのにアイドルになった人も、暴走族だったのにアイドルになったり…あと猫キャラのくせに魚嫌いだったり、さかなクンみたいになってるアイドルもいるぞ」





飛鳥「……なんていうか………アイドル事務所って無秩序なのかい?」



モバP「まぁそう思うだろうなぁ…ハハハハッ」





モバP「ところで今あげたのはほんの一例にしか過ぎないし、うちの事務所には、さらにさらにカオスなアイドルが何人もいるんだ」





モバP「そんなうちの事務所のアイドル達は……大多数の凡人だと思うか?」





飛鳥「………さぁね、どうなんだろう」





モバP「……この前渡した名刺、あそこには住所がのってるんだ、もしも興味が出れば……いや違うな」





モバP「自分が…つまらないと思う未来を変えたいと思うなら来るといい、緑の服着た悪魔のようなお姉さんでいつでも歓迎してくれるぞ!!」



モバP「そして見て確かめてみるといい、キミが求めているものがあるのかどうかを」



飛鳥「フフッ…ま、考えてはみるよ、考えるだけだけどね…」



モバP「あぁ、たっぷりと考えるといい」















ア,オイイタゾ!!

ナニ!?ヨォーシツカマエロ!!





モバP「うお!!!やべぇ!!それじゃあなイエローエクステガール!!!待ってるぞー!!」シュバッ





飛鳥「え、ちょ……またいってしまった…」





飛鳥「というよりなんで追われて…あぁ、まぁ当然か…」













飛鳥「アイドル……見るだけでもいってみようかな?」























キサマァニガサンゾヘンタイヤロウメ!!



アイエエエエエ!!ケイビイン!!?ケイビインナンデッ!!?









ガラッ…







先生「なに一人でボソボソ言ってるんだお前は」



飛鳥「おや、先生きたのかい」



先生「全く貴様は毎度毎度問題行動ばかりだな…それだけ大人を見下してるって態度が現れてやがる」





先生「いいか?大人を見下す奴っていうのはこれから先の長い人生の中で必ず失敗するもんなんだよ、自分だけが正しいってたかをくくっていつか強く頭ぶつけてそれでやっとわかるんだ、自分がどんだけ間違ってたかっていうのがな」



先生「それを教えてやるのが学校だ」





飛鳥「…だったらそれを伝えきれない先生は二流ってことですね」



先生「二宮…またお前はそうやって減らず口を!!!」





飛鳥「でも…安心してくださいよ先生」



先生「…なんだと?」





飛鳥「今さっき見つけました…ボクが今のところ唯一見下さないでいることができる大人を」



飛鳥「正直いって馬鹿な人だとは思いますが…考えてみれば簡単な事ですよね」







飛鳥「馬鹿な人をバカにはできないってね、それに馬鹿な人といる方が平凡な人といるよりもよっぽど楽しいですから」





先生「…なにが言いたいんだ、お前?」



飛鳥「さぁ…自分でもわかりませんね」



飛鳥(でも…きっとわからないままでいいんだろうね)







飛鳥(どんな漫画や小説の主人公だって…)



飛鳥(物語が動かせる時にすべてを理解して動かす主人公はいない)





飛鳥(自分ではわからないまま物語が動くから…主人公は輝くんだ)















ー放課後ー





飛鳥「名刺によるとこの辺だと思うんだけど…」



飛鳥(でも冷静に考えると誘われたその日に見に行くってなんだか少し気恥ずかしいものがあるね…)



飛鳥(うーん…どうしようかな…明日にまわすとか…)



飛鳥(あー…でも家に帰ってもまた母さんに小言言われるからね…寄り道…も行くところないから……うーん…)





飛鳥(こういうとき部活でもしてれば時間潰しも出来るんだろうけど…はぁ、学校と家以外にもボクの居場所が欲しいね)





飛鳥(あ……でもアイドルになれば居場所ももっと増えるかもしれないのかぁ…)



飛鳥(居場所が増えるってことは自分の世界が増えるって事と同意味だしね…願わくばその世界がつまらなくない事を期待したいよ)ドンッ





???「きゃ…っ」バサッ…



飛鳥「あっ…ぶつかってしまったみたいだ、すまないね、考え事をしていて…怪我はないかい?」



???「いえ……こちらも…不注意でしたから…」



飛鳥「本も落としてしまったね…すまない、汚れとかついてないかい?」



???「あぁ……えっと…大丈夫みたいです…」





飛鳥(なんだか…ちょっと暗めの人だね、前髪で目が隠れてるけどちゃんと前は見れてるんだろうか?)ペラッ



飛鳥「おっと名刺が…」ヒョイッ



???「あ……」



飛鳥「ん?どうかしたのかい?」





???「もしかして……新人の……アイドルの方ですか…?」



飛鳥「え?いやそういう訳では…ってもしかして貴女も…」





文香「はい……鷺沢文香…シンデレラプロダクションで少し前から…アイドルをしてます…」















飛鳥「……」





文香「どうか…しましたか…?」



飛鳥「い、いやすまない、ボクが思っていたアイドルのビジョンと貴女があまりにも違っていて…あ、決して貴女を否定してるわけではないんだ、でも気にさわったのなら謝るよ」



文香「…よく言われますから……大丈夫ですよ」





飛鳥(なるほどね…個性的なアイドルが多いとは聞いてたけど確かにそうみたいだ)



飛鳥「ねぇ、よかったらボクを事務所まで案内してもらってもいいかい?」



文香「案内…ですか?わかりました…いきましょう」





スタスタ…





文香「……」スタスタ



飛鳥(なんていうかこの人……女のボクから見ても綺麗というか…まるで芸術作品をみているような…そう『美しい』だ、言葉で例えるなら)ジーッ



飛鳥(なにもせずとも…なにも言わずともその場を支配するような圧倒的だけど静かな存在感……この人がいれば世界が彼女色に染まってしまいそうなほど…)





文香「あの…つきました…」



飛鳥「あ…あぁ、ありがとう文香さん」



文香「いえ……あ…」



飛鳥「…どうかしたのかい?」



文香「…事務所内は少し……個性的な娘が多いですが…大丈夫ですか?」



飛鳥「個性的な娘……大丈夫だよ、ボクもそれなりに個性的な自信があるからね」



文香「フフッ……それでは…」





文香「どうぞ……中に入ってください…」





飛鳥「うん、お邪魔させてもらうよ」











ーシンデレラプロダクションー





飛鳥(ここが…アイドル事務所…)



飛鳥(思っていたよりも狭い…あと思っていたよりも豪華って訳でもなくて……)





飛鳥(いや違う…!思っていたよりも……)







茜「ううううーーーー…ボォォンバァァァァァッッ!!!!…すいませんなんだか叫びたくなったのだ叫びました!!!!」



光「よぉし私も……カチドキッ!!!エイエイ、オオオオオオオッ!!!」



幸子「うわ!!ちょっとお二人とも耳元で叫ばないでください!ボクのカワイイ耳がおかしくなって…でもそれはそれでカワイイなんてボクはやっぱりカワイイですよね!!!」





杏「あぁもううるさいー…寝れないじゃんかよー」



きらり「うきゃー!杏ちゃんもハピハピしゃうとするにぃー☆」



輝子「ふひッ…シャウト……エリンギィ!!!マイタケェ!!!ブウゥゥゥナァァシィメェィジィッ!!ヒャッハァァァァァァッ!!!!」





凛「全く…皆ほんと元気だね」



志希「そんなこといってるけど凛ちゃんも混ざりたいんじゃないのぉー?」クンクン



凛「そんなわけっ……ていうかさらっと匂い嗅がないでよ志希!!」



卯月「でも凛ちゃんいい匂いするよね!私も嗅いじゃおー!」クンカクンカ



凛「ちょ、ちょっと卯月!」



未央「おやおやぁー?これは参加せずにはいられないね!!」クンカクンカ



凛「もぉ!」





小梅「あ…あ、あの娘がお友だちつれてきた…エヘッ」



ありす「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、幽霊なんてそ、そ、そ、存在しませんから!!」



拓海「おい冷蔵庫にあったイチゴをパスタにしたの誰だ!!?」



アーニャ「ヤー…これがにほんのあじ…ゲホッ…」ズズズ



のあ「ええ、これをクリアしなければ日本に慣れたとは言えないわ」



みく「なに大嘘教えてるのにゃ!!?」



















加蓮「ねぇ奈緒、昨日借りたCDさ」



奈緒「あー、どうだった?」



加蓮「ほんとに765プロのCDなんだよね?なんかガガガッガガガッガオガイガーって歌詞が…」



奈緒「え!?うわぁぁ渡すの間違えたぁぁぁ!!!」





みりあ「むぅー…宿題むずかしいよぉ…」



美嘉「うひひ…お姉ちゃんが教えてあげるからねぇ?☆」



莉嘉「お姉ちゃんなんかこわいよー?」





紗南「おおおお!!唸れ私の16連射!!!!」ガチガチガチガチガチ



乃々「うぅー…やったことないのにゲーム相手にされるなんて…むぅ?りぃ?…森久保はもう帰りたいんですけど…」





真奈美「腹筋がまだまだ弱いな、あと3セットいこうか」



菜々「お、お願いします休ませてくださ……もう体力が……」ゼェゼェ



心「こっちも女の子だしもう体力ないよぉー☆歳も歳なんで」





モバP「うおおおお!!時子様ぁぁぁぁ!!!!踏んでください痛めつけてください縛ってくださいいいいいい!!!」



まゆ「もうPさぁん?痛いのが好きならまゆがしてあげますよぉ…?」



モバP「よーし、仕事しようかな!!」









飛鳥(思っていたよりも…はるかに……ずっとずっと……)



蘭子「…む?新たなる冒険者か?」



飛鳥「え?冒険者…?」



蘭子「我が同胞よ!!!選ばれし者の凱旋!!」





飛鳥(はるかに……色んな世界があるんだね)



























モバP「おお!来たのかイエローふクステガール!!」



飛鳥「……」





モバP「いやぁ来るの待ってたぞ!見ろ、いつきても大丈夫なように勝負フンドシでいたんだ!!」



モバP「とりあえず見学を……」





飛鳥「………」



モバP「……イエローエクステガール?」





飛鳥「フフ…ハハハハッ…アハハハハハハ!!!」





モバP「どうした!?笑い茸でも食べたか!?」



輝子「キノコ?」





飛鳥「アハハハハハハ!…いやごめんよ、確かにここなら退屈は絶対にしないだろうね」



モバP「あぁ、まぁむしろうるさいくらいだろうな」





飛鳥「ふふっ…ねぇモバPさん、聞いてもいいかい?」















モバP「おう、なんでも聞いてくれ!」





飛鳥「キミは女の子なら誰でも主人公になれる可能性を秘めているって言ってたよね」



飛鳥「キミはここにいる女の子全員を主人公にできるのかい?」





モバP「当たり前だ!ここにいるアイドル達全員を主人公に……いやシンデレラにするのがプロデューサーであり、アイドルのステージという舞踏会への招待状を送った魔法使いである俺の役目だ!」





飛鳥「へぇ…でも全員をシンデレラにするんなら王子様は大変じゃないのかい?」



モバP「なーに、ここにいるシンデレラ達、そしてまだここにいない未来のシンデレラ達……その全員が王子様と結ばれる必要はないさ、女の子は一人一人それぞれ皆違うシンデレラだ」



モバP「なかには王子様と結ばれる娘もいればそれ以外の幸せな結末を迎える娘もいる…シンデレラ達の物語にそれぞれ違うハッピーエンドを迎えさせてあげるのも俺の仕事だ」





飛鳥「ふふふっ……なるほど、ね」



飛鳥「本当に…本当にキミは面白い人だね」







飛鳥「モバPさん……いや、プロデューサー」









飛鳥「ボクもそのシンデレラにしてくれないかい?」



























ーーーー…







担任「二宮…やっぱりお前変わってるなぁ」





担任「この前のもそうだが……進路志望にこんな事書くのはお前だけだぞ?」







担任「でも、前のよりよっぽど……いや、これが最高の答えだっていうくらいいい進路志望だ」





担任「頑張れよ二宮、お前ならなれるさ」





担任「アイドルにな」





飛鳥「…ありがとう、先生」

















モバP「進路志望は出し終えたのか?」





モバP「そうか、よし!じゃあ改めてこれからよろしくなイエローエクステ……いや飛鳥!!!」



























『これでボクがアイドルになったお話はおしまい…どうだったかな?』









『え?結局その魔法使いさんはどうなったか…?』







『そうだね…ボクも大人になって、あえて彼の言葉をかりるなら…シンデレラは必ずしも王子様と結ばれる必要はない』









『そう、中には…』





ガチャッ…



タダイマー







『魔法使いさんと結ばれるシンデレラがいたって…かまわないだろう?』







『それがこの色んな事が決まりきった世界で出来る、世界への抵抗だし…ね』



















終わり













23:30│二宮飛鳥 
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