2016年05月19日

堀裕子のサイキックを解禁するものとする

書きためてますが、のらりくらりと投稿します。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1462759464





堀裕子『サイキック・ロケーショーン!』







裕子『こんばんは!あなたの心のサイキック、堀裕子です!』





裕子『今日はこちらの商店街を念動☆散歩!



パッと見では分からないでしょうけど、私いま地面から1センチ浮いてます。

いわゆるファーストサイキックですね』





裕子『商店街が続く限り、心ゆくまでサイキックをご覧に入れますからね!



商店街中のスプーンよ、首っぽい細い部分を洗って待っていろ!



サイキック・ウォーキング!サイキックスタートでーす!』







ピッ





モバP「……」





裕子「あっ、どうして止めちゃうんですかプロデューサー!

やっとサイキックエンジンがかかってきた所なのに!」





モバP「裕子」





裕子「はい!」





モバP「サイキックサイキックうるせえええ!」





裕子「サイキック・うるさい……?どういう意味でしょう?

あっ、テレパシーがうるさいって事ですかね?」





モバP「違うわ!サイキックって何回言えば気が済むんだお前!

30秒で6回だぞ!



最初だけかな?とか思ってたら終了までに83回も言いやがったらしいな!



ディレクターさんが憔悴しきった顔で、サイキック前代未聞って言ってたぞ!」





裕子「私のサイキックは身体中から出てますからね。

つい口からも出ちゃうんですね。わかります」







モバP「だいたい「あなたの心のサイキック」って何!?」





裕子「皆さんの心の恋人って意味ですけど」





モバP「じゃあそう言えよ!

そのうえお前、どこの商店街だか忘れたんだってな、ロケの最中に!



いや、それはまだ良い!

台東区だって教えて貰ったのにそれを完全に無視して、

サイキッ区にお邪魔してます

っつったらしいな!馬鹿野郎!」





裕子「いいボケだと思ったんですけどねえ??」





モバP「お前さっき「つい言っちゃう」みたいに言ってたろ!やっぱりわざとじゃねーか!」





裕子「しまった」





モバP「ユッコ聞いてくれ。お前にはサイキックアイドルの主張があって、そのキャラクターを大事に育んでいるんだろうが、



そこまでサイキックというフレーズをゴリ押しされたら、視聴者はどう思う」





裕子「こんな美少女見たことないって思うでしょうね」





モバP「そうそう、こいつバカなのかって思うよな?」





裕子「意思の疎通が上手く行きませんねえ」







モバP「なあ、サイキックって言うなとは言わないよ。



でももう少し、決めるときだけにするとか、頻度を抑えたらどうかなと、俺は思う」





裕子「……」





モバP「どうだろう」





裕子「……はい。そうですね。確かにクドかったかも知れません。ちょっと考えてみます。

あの、プロデューサー」





モバP「うん」





裕子「ごめんなサイキック!」





モバP「ふーん」











――――辞令――――

堀裕子は1週間、サイキックと口にする事を禁止とする







裕子「どうしてこうなった!?」





片桐早苗「おはよー」





裕子「どうしてこうなった!?」





早苗「何が?」





裕子「これですよ!」





早苗「辞令?なになにー。……なにこれ!?」





裕子「どうしましょう……。私からサイキックを取ったらもう……、

美少女しか残らないのに!!」





早苗「ユッコちゃん、行こう」





裕子「どこへですかぁ」





早苗「プロデューサー君のところよ!」







バァン!





モバP「うわっびっくりした」





早苗「プロデューサー君!この辞令!どういうこと!」





裕子「どういうことだー!」





モバP「なんで早苗さんが乗り込んでくるんです?」





早苗「いいから、説明して!」





裕子「説明しろー!返答次第ではこちらにも考えがあるぞー!」





モバP「おめーがアホみたいにサイキックサイキック言いまくるから危機感を覚えたんだよ!」





裕子「これでも抑えてるんですよ?」 





モバP「じゃあ尚更まずいよ」





早苗「プロデューサー君!」





モバP「いや早苗さん、反対する気持ちは分かりますが、プロデュース計画上の都合が」





早苗「遅いわよ!」





モバP「え?」





裕子「ほ?」





早苗「禁止するの遅い!遅すぎ!」





裕子「あれえ!?」





早苗「あたしはね、プロデューサー君ならちゃんとユッコちゃんの事を見てるからと思って、黙ってた、黙ってました。



でもね、この子がちょっと前のマジアワに出演したときよ。



みんなで飲み物を頂くコーナーあるでしょ、そこで、

「いただきます」と言わずに「サイキーック」って言ったのよ!」





裕子「え、言ってました?」





モバP「言ってたよ。自覚ねーのかよ」





早苗「その時点で「あっこりゃもうやべえな」と決断するべきだったわよ!」





モバP「そうは思ったんですがねえ……」







早苗「こないだなんてひどかったわよ!?



トーク番組に出演したとき、話題が家庭料理の事になったのよ。

この子何て言ったと思う?



サイキックが作るサイキックは卵が乗ってるんです!

あっ、ごめんなさい噛んじゃいました☆



って言ったのよ。なによ!手が付けられないじゃない!」





モバP「噛むってどういう意味だっけ」





早苗「横に座っていた雫ちゃんの哀しそうな目が忘れられなくってアタシ……」





モバP「こりゃもうダメかもしれん」





裕子「ちょっと!」





早苗「ユッコちゃん。もう遅いかもしれないけど、

っていうか、たぶんもう遅いけど、



リハビリ、頑張ろう……?あたしも、手伝うからぁっ」グスッ





裕子「リハビリとはたまげたなこりゃ」





モバP「さぁどうするユッコ。

早苗さんは泣いているぞ。

ディレクターさんも泣いているぞ」





裕子「むむむむーん……!!さ、さ、さ」





モバP「おっ?」





裕子「さいきっく……大弱り……!」





モバP「早速お前!」









早苗「……と、ああは言ったものの」





早苗「ちょっとやり過ぎじゃなかったかしらね。最近調子悪いわよユッコちゃん。

コメントなんか、どもりまくり」





早苗「プロデューサー君、ここまでする必要あったかな?」





モバP「ありますよ」





モバP「ユッコの魅力ってねえ、ボキャブラリーなんですよ」





早苗「ボキャブラリー」





モバP「勢い任せのフレーズに愛嬌があって、それが妙に心に残るんですよ。

アイドルの群れの中に入っても、輝く個性だと思います」





早苗「それはまあ、分かるよ」





モバP「それをあいつは、口を開けばサイキックサイキック……



自分から見せ場を潰しちゃってるんですよ」







早苗(なんか面白くない話になってきたな)





モバP「僕は良かれと思ってねぇ、アイドル堀裕子のためだと思って、

心を鬼にして、サイキックって言うのを禁止しましたよ」





モバP「だから、最近ユッコが――」









モバP「おーいユッコー」



裕子「つーん」





モバP「聞いてるかユッコ」

 

裕子「ぷーい」





モバP「そろそろ行くぞユッコー」



裕子「ぶつぶつ。さいきっく……プロデューサーが何もないところで転ぶの術……」







モバP「――とか言ってても、全然悲しくないです」





早苗「あーそう」





モバP「……早苗さん、聞いてます!?」





早苗「あっごめん、ちょっと今ピスタチオ食べてるから」





モバP「そんなものはこうだ!」ばりぼりばり





早苗「ちょっとやだ、殻ごと行かないでよ!」



















裕子「」







裕子「」







裕子「」ポロ







モバP「えっ!?」





モバP「お前、泣いて」





裕子「お」





裕子「お疲れ様でしたっ」





モバP「ユッコ!」















早苗「とうとう泣かせちゃったかね」





モバP「はい……」





早苗「何を言ったの?」





モバP「お前最近スプーン持ってないけどどうしたんだ?って」





早苗「あー」





モバP「仕事前にスプーンを曲げるルーティンを大事にしてたんじゃないの?

五郎丸に影響されたんだろ、って」





早苗「うん」





モバP「それをやめたから仕事に身が入らなくて、

サイキックってつい言っちゃうんじゃないの?って」 





モバP「そしたら、泣いてしまったんです」





早苗「なるほどね。分からないわねえ」





モバP「そうでしょう!?」





早苗「雫ちゃん、何か知ってる?」





雫「……」







モバP「知ってるのか?」





雫「プロデューサーさん、ユッコちゃんがサイキックって沢山言うのって、どんなときか知ってますかー?」





モバP「えっ、そりゃ、言葉に詰まって、その場しのぎに言うんじゃないのか」





雫「そうですよー。つまりユッコちゃん、最近ずっと不調だったんです」





モバP「……あっ、そう言うことになるのか」





早苗「最近って、いつから?」





モバP「4月の始めとか?」





雫「2月の終わりですよー」





モバP「そんなに前からか!」





雫「そのころに、愛用のスプーンが無くなって、調子が出ないって言ってたんです」





モバP「2月の終わりに、もうスプーン無かった……!?」





早苗「あんた、他のアイドルに掛かりっきりで、現場来ないから分からないんだわ」





雫「新しいのを買いに行こうかって聞いたんですけど」





モバP「なんで買ってないんだよ?」





雫「なんでって……」









早苗「?」





モバP「ん?」





雫「プロデューサーさん、覚えてないんですか?ユッコちゃん、嬉しそうに言ってましたよ?



プロデューサーさんに、新しいのを買ってもらう約束をしたんだって」





モバP「!?」





早苗「!?」





モバP「ちょっと待て、俺が?いつだ……?」





雫「寮のどこを探してもスプーンが無いから、事務所にも探しに行って……」







ホワンホワンホワーン





裕子「ごそごそ」





モバP「はい、見積もりはファックスで送りましたので、目を通していただければ」





裕子「きょろきょろ」





モバP「あ、昨日送っていただいた企画書ですが、いいですね!ニュージェネの3人もずいぶん乗り気でしたよ!



具体的に詰めて行きたいんですが、お時間を取れますでしょうか?」





裕子「がさごそ」





モバP「申し訳ありません、少々お待ちください。



(ユッコうっさい!なにごそごそしてんの!)」





裕子「(プロデューサー!スプーンがー!無ーいーんーでーすー!)」





モバP「(スプーン?あの、いつも持ってるやつ?

……無いと、困る?)」





裕子「(困りますー!どうしましょーう!)」





モバP「(んもー!分かった分かった、後で新しいの買ってやるから、静かにしてくれ)」





裕子「(えっ……本当に!?)」





モバP「(いいよそのぐらい)」





裕子「(きっとですよ、絶対ですよ!渡すのは、3月の中頃が良いと思いますよ!)」





モバP「(分かったから!大人しくする!)」





裕子「(はいっ!)」ちょこん





モバP「お待たせいたしました!それでですね――」





ホワンホワンホワーン





モバP「」





モバP「」ドバ









早苗「プロデューサー君どうしたの?

うつ向いてすっごい汗をかいてるけど、どうしたの?

それは思い出したって事でいいの?」





早苗「ユッコちゃんがサイキックって言うのは不調を紛らわすためで、



不調の原因は愛用のスプーンを無くして環境が変わったからで、



にも関わらずまだ新しいスプーンを調達しないのは、



プロデューサー君が買ってくれるって約束したからで、



つまり、最近のユッコちゃんの不調はほぼプロデューサー君が原因だと、



はっきり全部判明したと言う事でいいのね?」





モバP「ど」





モバP「どうしましょう……!」





早苗「知らないわよ!」







早苗「雫ちゃん、あんたも事情知ってたなら、言ってくれなきゃ困るわ」





雫「すいません……。買って貰ったかどうか聞いたとき、





裕子「えっ?あっ……し、しまったー!寮に忘れて来てしまいましたー!」





って言うから、ああ、これは私が口を挟む余地はないなーと思って……」





モバP「おお……おおお……」





早苗「気持ちは分かるけど仕事に差し支えるのはダメよ。

次からちゃんと報告する。ね?」





雫「すみませんー……」





早苗「プロデューサー君、お姉さんは優しいからさ、きみの罪悪感を緩和してあげたいと思うんだけど、どう?」





モバP「お願いしま



早苗「エメラルドフロウジョン」



ギィエエエエェ」





早苗「はよスプーン買ってこい!あほ!」





モバP「身体が言うことを聞く様になったらすぐに……」













むくり





モバP「スプーン!!」ダッ





モバP「スプーンって、どこに売ってんだ!?

100均……いやプレゼントに100均は無いだろ!」





モバP「デパート、デパートに売ってるよな?」







店員「スプーンはこちらでございます」





モバP「ありがとうございます!

ありがとうございます!」





店員「は、はあ」





モバP「850円、920円、1030円……。

安い!お詫びにしては安過ぎるだろ!

もっと、もっと高いやつは無いんですか!?」





店員「それでしたら、こちらのクリスタル製のものがございます。

53万円でございますが」





モバP「買います」





店員「買うんですか!?」





モバP「おびただしい程のラッピングでお願いします」ビラッ





店員「し、少々お待ちください!」





モバP「あぁ、良かったスプーン見付かってー……ユッコ、許してくれるだろうか」





モバP「……」





モバP「いやちょっと待てよ!?」





モバP「ユッコのスプーン、ユッコのスプーンって、あれ、普通のスプーンだっけ……!?」





ボヤ〜ン



『ニセモノではないですから!

だってほら、こう……スプーンをですね……アレ、曲がらない』





モバP「……」





モバP「先 割 れ だ」







店員「お客様、恐れ入ります。お会計をして頂いても宜しいですか?



いないッッ!!お客様!お客様ァ!」









モバP「くそっ、先割れスプーンだと!?

あんなもん、どこに売ってんだ!?」





モバP「オッケーグーグルッ!!

先割れスプーン!販売店!」





モバP「Amaz○n、楽○……ネット販売ばかりじゃないか。



あとは?東○ハンズネットストア?

……そうか、東○ハンズだ!」ダッ





トッテオーキノエスパーデー♪

ピッ





モバP「はいモバPです!凛か?

えっ、迎え?

いや、ちょっと今ムリ、タクシー呼んでくれ!

急用!急用!

仕事上のトラブル!



……お前会話する気ねーだろ!

あっ、未央か?



……凛が蒼くなってる!?」







凛「ふふっ、また明日ね、プロデューサー」





バタン、ブロロロロ……







モバP「……東急ハンズゥ!」









『本日は閉店しました』







モバP「膝から崩れ落ちる音葉」





モバP「どこか、どこか他に……」





モバP「夜中までやってて、品揃えが豊富で、近くにあって……」







モバP「……」







モバP「どんどんどん……、どん……、き……」





モバP「ドンーーキーホーテーーー!!」







店員「申し訳ございません、ただいま売り切れております」







モバP「なんでだよ!」





モバP「あんなもんどこに需要があんだよ!

近所にエスパーが集うマンションでもあんのかよ!」





モバP「他の店舗、他の店舗をあたる!」







店員「申し訳ございません、当店では取り扱っておりません」





モバP「次!」





店員「現在先割れスプーン売り場は改装中です」





モバP「次ぃ!」





ピーポーピーポー





店員「すいません、いま強盗が拳銃を持って立て籠ってるんです!立ち入り禁止です!」





モバP「先割れスプーンは?」





店員「は?」





モバP「先割れスプーンは置いているのかと聞いている!」





店員「ありますが……あっ、ちょっと、中に入ったらダメです!ちょっとお客様!」







モバP「プロデューサーマグナム!」





強盗「ぐぼう……誰なんだお前は……」





モバP「通りすがりのプロデューサーだ。

さて、先割れスプーンは」





先割れスプーンだった物「」ボロ





モバP「……」





人質「えーん怖かったよー!」





人質「強盗が威嚇で発砲して、跳弾が先割れスプーンに当たったときは生きた心地がしなかったね!」





モバP「……」





警察「あっ、あなた、お手柄でしたね。少し話を聞かせて貰っていいですか?」





モバP「……」









警察「お気をつけて!」





モバP「……。いま、何時だろ」





AM3:00





モバP「腹減ったな……」











店員「いらっしゃいませー」





モバP「カレー。トンカツトッピング」





モバP「Amaz○nのお急ぎ便、頼んでおけばよかったな……」





店員「お待たせしましたー」





モバP「すまねえ、ユッコすまねえ」





モバP「アイドルを輝かすのがプロデューサーではないか。

俺がした事と言えば、お前から魅力を奪った事だけだ……」





モバP「そう、この先割れスプーンをプレゼント出来ないばかりに」





モバP「……」





モバP「……」





モバP「先割れスプーンんんんん!!」











店員「ご注文は以上で宜しいでしょうか?」





モバP「スプーンをください!!!!」





店員「スプーンを!?」





モバP「おかしな注文をしているのは分かっています!しかしどうか!どうかぁ!

未使用の在庫があるのでしたら!

それを一つ譲ってもがぺぺわへんべぼうば!」





店員「お客様!土下座が深すぎて口が塞がっています!」





モバP「譲っていただけるまで!!ここを動きません!!」





店員「困ります!ちくしょう!もう少しでシフト交替だったのに!」









AM4:00











モバP「ユッコォ!!」





ガチャ!ガチャガチャガチャン!



モバP「女子寮閉まってんじゃねーか!何で閉まってんだ!」





モバP「どうする……窓、窓だ!」





モバP「ユッコの部屋、201号室って言ってたな」





モバP「ここから顔を出してくれれば……」





ピッ、ピッ、トゥルルルル、トゥルルルル、トゥルルルル





モバP「出ない……。寝てるのか」





チュンチュン





モバP「空が白んできた」





モバP「俺、何でこんなに急いでるんだ。明日でいいじゃないか」





モバP「……」





モバP「いや、ダメだ」スッ 







モバP(ユッコ、頼む、顔を見せてくれ)ムム





モバP(今すぐ謝りたいんだ)ムムム





モバP(1分でも早く、お前に元気になってもらって)ムムムム





モバP(堀裕子の可愛さをみんなに伝えたいんだよ)ムムムーン!









モバP「サイキック・呼び出し」









モバP「……」





モバP「……」







チュンチュン





チチチ……





モバP「ユッコが顔を出さないばかりか女子寮に向かって手を伸ばしている姿を散歩中のおじさんに見られた」







モバP「帰ろう」









ガララッ









モバP「えっ?」





裕子「えっ」





モバP「えっ」





裕子「どっ……したんですか」





モバP「さ……散歩?」





裕子「さんぽ」





モバP「お前こそ何してんだ」





裕子「だって、なんでか急に目が覚めちゃって」





モバP「そ、そうなのか」



キラ





裕子「プロデューサー?その、いま光ったのって……」









モバP「ん?あっ!」サッ





裕子「へ?」





モバP「あっ、あー、ガラスの破片が落ちてるな。危ないなー。踏むなよ」





裕子「そうですか……」





モバP「……」





裕子「……」





モバP(しまった……俺、何て言って謝るつもりだったんだ!?



スプーンだって、ラッピングも何もない丸裸じゃねーか!)









モバP「……じゃ、じゃー、俺は散歩の続きをするから」



モバP(いやいやいやどこ行く気だ俺!?)





裕子「もう!」





裕子「プロデューサー、待ってください」





モバP「!」





裕子「そこにいてくださいね」クル





モバP「?」





裕子「んしょ」スルスルスル





モバP(なんだあれ、糸電話か?)





裕子「そっち、持って」





モバP「おっ、おっと」





裕子「耳にあててください」





モバP「うん」





裕子[プロデューサー、聞こえますか?]





モバP[うん、聞こえる]





裕子[これは、直接伝えるのが難しい言葉でも伝えてくれる、スペシャルアイテムなんです]





裕子[心の声が通じるんですよ。プロデューサーと私だけのホットラインです]





モバP(心の声)





裕子[試しに何か言ってみてください]









モバP(心の声。偽りない本心か。……)





モバP[ぼさぼさの髪型も可愛いな]





裕子(……)





裕子(……!)かぁぁ





さっ!





モバP(隠れた)





モバP(……)





裕子(……)にゅっ





モバP(出てきた)







裕子[夜中に、なにしてたんですか]





モバP[ユッコに言い訳を考えてたよ]





裕子[なんですかそれ]





モバP[走ってきてヘトヘトになってみたり、

昼まで待てなかったり、そういう演出をしながらな]





モバP[こうやって小細工をしないと、申し訳ない気持ちを全部伝えられないんだ。

俺はエスパーじゃないから。



すまなかった。

お前の事をちゃんと考えていなかった。いくら忙しくても、次からは――]





裕子[……] 













裕子「プロデューサー!」











モバP「おまっ、声大きい!」





裕子[プロデューサー]





裕子[これは心の声を伝えるって言ったでしょ]





裕子[そんな大人っぽい飾り付けはだめです。一言で良いんです]





裕子[私しか聞いてませんから、プロデューサーの裸の気持ち、聞かせてほしい、です]





モバP(……裸の気持ち、か)





ぎゅっ











モバP[ユッコごめん!スプーンの事も、3月13日の誕生日の事も綺麗さっぱり完全に忘れてた!ごめん!]





裕子[プロデューサー……]







ガララッ!ピシャッ!







モバP[あっれぇ!?]











カララ……







裕子[……]





裕子[寂しかったんですから]





モバP[ごめん]





裕子[このくらいガマン出来るって思ってたのに、でも全然無理でした。

昨日、すっっっごい悲しかったんですからね!]





モバP[ごめんよ]





裕子[でも、思い出してくれて、私、嬉しいです]





モバP[うん]





しゅる、きゅっ





モバP[これ、ラッピングも何もない、予備のハンカチで結んだだけのプレゼントだけど、受け取ってくれるか]





裕子[はいっ!]









モバP[それと、もう一つ聞いてくれ]





裕子[一言でって言ったのに]





モバP[他のひとには聞こえない様に言うから、よく聞けよ、一度しか言わないからな]





モバP[俺は――――――]











裕子(…………!)











裕子[さ、さいきっ……じゃなくて、えーと]





裕子[えーと]





裕子[プロデューサー、こうしてください]





モバP(ん?

糸電話の糸を、小指にかける?)









モバP(あっ、そうか)







裕子(プロデューサー)





モバP(うん)







裕子(やくそくです)









モバP「早苗さん、レッスンの前日に深酒するのやめてって言ったでしょ」





早苗「うるさいわよ。シメるわよ」





モバP「トレーナーさんに怒られても知りませんよ」





早苗「人の気も知らないでこいつ。シメるわよ」





モバP「なんですかもう。不満があるなら言ってくださいね?

今回の事で学んだんですよ俺は」





早苗「うわあ!腹立つ!シメる!」





モバP「なんで!?」







裕子「おっはようございまーす!」





雫「おはようございますー」





モバP「おはよう」





裕子「プロデューサー、今日のレッスンは何でしたっけ?ダンス?ボーカル?さいきっく?」





モバP「さいきっくは無いよ」





裕子「ああっ、早苗さんが土の様な顔色をしています!」





早苗「ほっといてー」





モバP「ほっときなさい」





裕子「ふっふっふ。遂にこの時が来たようですね」





裕子「ひと月前から早苗さんのために練り上げた、

二日酔いをたちどころに治す新能力!

御用とお急ぎでなければとくと御覧あれ!



さいきっく・ヘパリー……」





モバP「いいから、はい、行くよ。雫も行くよ」





雫「はいー。あっ、早苗さんは」





モバP「早苗さん、良さそうなら来てくださいね。無理なら断っておきますから」





早苗「へいへい」







早苗「……何から何まで胸ヤケのもとよ」





早苗「首からぶら下げた、スプーンとか」





早苗「髪を結ってるハンカチとか」





早苗「よいしょっと」





早苗「この茶番の辞令とかさ」





早苗「後でキッチリ埋め合わせしてもらうんだから」









――――辞令――――

堀裕子のサイキックを解禁するものとする。







ビリッ







おわり





21:30│堀裕子 
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