2016年05月23日

杏「はたらかないひとてきうらしまたろう」

デレマスです



杏が仁奈にご本を読んだり読まなかったりします







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仁奈「杏おねーさん」



杏「うーん……」



仁奈「杏おねーさん!」



杏「ううううう……」



仁奈「杏おねーさん!遊んでくだせー!」ゆさゆさ



杏「ぎゃぁーッ!」



仁奈「わーっ!」 キャァッ ガターン



杏「……よかった……外なる神に破壊された世界は存在しなかったんだ……」



仁奈「よくねーですよ!向こうでちひろおねーさんが椅子ごとすっ飛んでるでごぜーます!」



杏「えっうそちひろさんごめん」



<だいじょうぶですー……あ、あれ? ガタガタ



仁奈「亀さんみてーに起きれなくなってやがるですよ」



杏「いかん仁奈隊員助けに行くぞ」



仁奈「いえっさーでごぜーます!」





杏「ふぅ……で、なんだっけ」



仁奈「ご本を読んでほしーですよ」



杏「んぇ、また本かー」



仁奈「いっかい読んだご本でも杏おねーさんに読んでもらうと知らねーお話になっておもしれーでごぜーます!」



杏「そういう考え方もあったかーそっかー」



仁奈「……駄目でごぜーますか?」



杏「うーん、特別だぞー」



仁奈「やったぁ!じゃあコレ!コレでお願いしやがります!」



杏「おー、浦島太郎かぁ。よーし読むよー」



仁奈 ワクワク





『むかしむかし、あるところに、心のやさしい浦島太郎という若者がいました。



 浦島さんが海辺を通りかかると突如、大きな津波が襲いかかる!村を飲み込「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「手っ取り早く滅ぼそうとしやがりましたね」



杏「人には平等に終わりが来るんだよ」



仁奈「それにその滅ぼしかたはいろいろとあぶそりゅーとないんでごぜーます」



杏「アブナイって言いたいの」



仁奈「……」



杏「言いたかったんだね?」



仁奈「……///」



杏「かわいい」



仁奈「もふもふしやがりますか?」



杏「もふぐらいで」モフ



仁奈「やったぁ」マフ



杏 モフモフ



仁奈 マフマフ



杏「ぐぅ」



仁奈「あっ」





杏「おはよう」



仁奈「おはようごぜーます」



杏「もふってたら寝てしまった」



仁奈「ご本のあとで一緒にお昼寝するですか?」



杏「本もなんだ」



仁奈「続きが気になりやがります」



杏「じゃ続きねー」



『浦島さんが海辺を通りかかると子どもたちが大きな亀をいじめていました。



 「お情けが欲しいのかしら。」「ひざまずいて許しを請……「ちょっ、ちょっとまってください」



ちひろ「なんですかその話は!」



杏「あれ?……あっ違うこれ比奈が持ってたやつだ」



ちひろ「比奈ちゃんは?」



杏「そっちの仮眠室じゃないかな」



ちひろ クワッ



仁奈「?……どういう意味だったでやがりますか?」



杏「時子さまに聞いたらわかるかもしれない」



仁奈「時子おねーさんは目つきはわりーけど優しいでごぜーますよ」



杏「えっほんと」



仁奈「この前は法子おねーさんと3人で一緒にドーナツを食べたでごぜーます!」



杏「ちっちゃい子には優しいのか……いや変な意味ではなく」





杏「気を取り直して次読むねー」



<ヒナチャン! ギャッ ガタンドンッ



仁奈「何事でごぜーますか!?」



杏「ベッドから落ちたな……」



<ナンッスカ!?ニュウコウミスッスカ!? イカガワシイホンヲホウチシナイデクダサイ! エッ



杏「……気を取り直して次読むねー」



『見ると亀は涙を流して浦島さんを見つめています。



 すると浦島さんの顔がみるみる変わっていき、子どもたちを追い回す殺人ピエロに「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「完全に悪者でやがりますよ」



杏「悪者っていうかこう、サイコ野郎というか」



仁奈「夢に出てきちまいそうです……」



杏「このままだと浦島太郎が退治されてしまう」



仁奈「暴力はいけねーでごぜーますよ」





ちひろ「やりすぎちゃいました……」



比奈「いてて……ひどい目にあったッス……」



杏「ちひろさん何発殴ったの」



仁奈「暴力はいけねーでごぜーますよ」



ちひろ「ちょっ、ち、違いますよ!」



仁奈「比奈おねーさん、大丈夫でやがりますか?」



比奈「腰が……」



杏「アイドルと同人作家の生命線である腰を破壊するなんて……」



仁奈「暴力はいけねーでごぜーますよ」



ちひろ「ちがいますー!比奈ちゃんをびっくりさせちゃっただけなんですー!」



杏「でその本なんだったの」



比奈「アタシんじゃ無いッスよ……ユリユリのとかじゃないッスか?」



杏「ありうる」



ちひろ「由里子ちゃんなら今収録行ってる時間ですね」



比奈「あー……痛みが引いたらまた眠気が……」



ちひろ「起こしちゃってごめんなさい……」



比奈「入稿締切前のブルスクより痛くないからダイジョブッス……ふあぁ……」



杏「おやすみー」



仁奈「おやすみなせー!」



比奈「おやすみッス」フリフリ





杏「それじゃ続きをね」



『子どもたちから亀を助けた浦島さんは亀に向き直ると、



 「大丈夫だったかい?……おっと、芋けんぴ、髪に付いてたよ」カリッ』



仁奈「あれっ」



『ドキッ



亀は今までに無い感情を覚えました……「これは……恋「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「亀さんの髪ってどこでごぜーますか」



杏「あんま見たこと無い」



仁奈「全然見たことねーですよ」



杏「見つけてたら大発見だしね」



仁奈「そしていきなり恋が始まりやがりますか」



杏「ラブストーリーは突然にだよ。菜々ちゃん曰く」



仁奈「突然すぎでごぜーます」



杏「恋に落ちるっていうぐらいだからね。突然なんだよ」



仁奈「杏おねーさんも落ちやがったでごぜーますか?」



杏「さて、なんのことやら……体重は落ちたって菜々ちゃんに言われたよ」



仁奈「それ以上ちっちゃくなったら仁奈とおそろいになっちまいます」



杏「というかもうすぐ抜かされそうでやばい」



仁奈「杏おねーさんをおんぶできるぐらいすくすく育ってやるですよ!」フンスフンス



杏「楽しみに待ってるね」





杏「じゃー続きねー」



『亀を助けた浦島さんは亀をそっと海へ逃がしてやりました。



 それから少したったある日、浦島さんが海に出て釣りをしていると、「柄杓をください……」という声がして海からにゅっと手が伸びてきました。』



仁奈「あれっ」



『恐ろしくなった浦島さんが言われたとおりに柄杓を渡すと、その腕はあっという間に水をくみ、船を沈没させ「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「全然別の話になっちまいやがりました」



小梅「船幽霊さんだぁ……」キラキラ



杏「小梅おはよー」



仁奈「おはようごぜーます!」



小梅「う、うん……おはよう……」



杏「やっぱり小梅は知ってるかー」



小梅「会ったことはない、けど……」



杏「会ってたら危ないから……」



小梅「あ、でも……裕子ちゃんは……会ったことあるって……」



杏「えっ」



小梅「スプーンあげて……お互いにサイキック頑張りましょうって……約束したんだって」



杏「ゆっこつよい」



仁奈「幽霊さんともお友だちになれるですか?!」



小梅「うん……私もあの子と……友達、えへへ」



仁奈「羨ましいでごぜーます!……でも仁奈は幽霊さん見たことねーですよ」



小梅「じゃあ、一緒に……呼んでみる?」



仁奈「!幽霊さんの気持ちになるですよ!」



杏「ごめんあそこで早苗さんが腰ぬけて部屋入れなくなってるから今度にしてあげて」





早苗「違うのよ?ちょっとこう……転んじゃっただけで怖がってるわけじゃ」



小梅「あ……後ろ……」



早苗「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」



小梅「に……友紀さんが……」



友紀「……何やってるの?」



早苗「友゙紀゙ぢゃ゙ん゙ん゙ん゙」



杏「霊の話になってね」



友紀「あー……早苗さんそういうのダメなんだよね」



仁奈「早苗おねーさん、きっといい幽霊さんもいっぱいいるでごぜーますよ」



早苗「で゙も゙怖゙い゙も゙の゙ば怖゙い゙ん゙だ゙も゙ん゙」



友紀「もー、ほらおぶさって」



早苗 ギュウウ



友紀「いててて首がしまるしまる」



小梅「また……死体みたいになる……?」キラキラ



杏「物騒だなぁ」



友紀「んじゃーねー」



仁奈「ばいばーい」フリフリ





杏「気を取り直して続きを読みたいと思います」



仁奈「なんか丁寧でごぜーますね」



杏「一息ついたらなんかふぅ……ってなった」



仁奈「けんじゃたいむでやがりますか」



杏「どこで覚えてきたのそんな言葉」



仁奈「由里子おねーさんが話してやがりました」



杏「それ今度から言っちゃダメだからね」



仁奈「? はーい」



『海の中から亀がひょっこりと顔を出して言いました。



 「浦島さん、浦島さん。この間は助けていただいて、ありがとうございました。お礼に竜宮へ招待いたしましょう。」



 「竜宮、竜宮ってなんだ?」



 「ふりむかないことさ」』



仁奈「あれっ」



『愛ってなんだ ためらわないことさ



 ギャバン!あばよ涙



 ギャバン!よろしく勇気「ちょっとまっ



光「〽宇宙刑事ー」



杏「〽ぎゃばーん」



仁奈「まってくだせー」



杏「はい」



光「はい」



仁奈「途中から歌になりやがりましたね」



光「かっこいいよなっギャバン」



杏「実は歌しか知らないっていう」



光「面白いから一緒に観よう!こんど持ってくるから、仁奈ちゃんも一緒にみようなっ」



仁奈「よくわかんねーけど楽しみにしてるですよ!」





杏「それじゃあ続きを読んじゃおー」



仁奈「おー♪」



『「私の背中に乗ってください。海の底の竜宮にご案内しましょう。」



 浦島さんを乗せた亀は後にこう語りました。



 「ンで〜、人間なのに海の中に迷わず飛び込むもんですから、『うわ〜ヤバいなァ〜』と思いつつも、思い切って後ろを振り向いたんですよ……



  そしたら私の背中に……浦島さんが……」







 「い な か っ た ん で す よ」』







茜「きゃあああああっ!!!」



仁奈「わあああああ!」キーン



杏「なになになになに!」キーン



茜「杏ちゃん!怖い話をするのが上手ですね!」



杏「高い高いテンションとデシベルとヘルツが高い」キーン



仁奈「ていうかよくよく考えると溺れただけでごぜーます」



杏「そりゃそうだよ海の中だもん」



茜「鍛え方が足りませんね!私なら一ヶ月は大丈夫です!」



杏「エラ呼吸か何か?」



茜「気持ちで負けたらできることもできませんからね!」



仁奈「すげーでごぜーます!仁奈もお魚の気持ちになるですよ!」



杏「杏は魚だとアレが好きだよ、水槽の底でジッとしてるちっちゃいナマズ。コケ食ってるヤツ」



茜「杏ちゃんは元気に泳ぐ魚よりはまな板の上の鯉みたいですね!」



仁奈「砂浜に打ち上げられちゃったイルカさんみてーです」



杏「溺れて打ち上げられた浦島太郎みたいに……」



茜「それは大変です!仁奈ちゃん!人工呼吸を!」



仁奈「了解でごぜーます!」



杏「あっちょものの例えあばばばば」





杏「正座」



仁奈「はい」



茜「はい」



杏「今のは何」



茜「すみません!つい!」



仁奈「ノリでごぜーますよ」



杏「なにがしかの悪い影響を感じる」



茜「お茶淹れてくるので許してください!」



杏「飲みたくなったんだね?」



茜「それもあります!」



杏「正直だなぁ」







茜「お茶がはいりました!」



杏「ありがとー」



仁奈「あっつくて飲めねーです」フーフー



茜「むむ、レッスンの時間です!」ゴクッ



茜「それでは失礼します!」ダダッ







バタン







杏「すごい湯のみからまだ湯気が立ってる」



仁奈「口の中が鉄とかでできてやがりますか……?」





杏「仕方ないから冷めるまで置いといて次読むねー」



『浦島さんは海の中の見たことも無い美しい景色に目を奪われます。



 「わぁ……きれいだなぁ……」



 浦島さんがうっとりしていると、次に鼻、口、耳、そして最後に命を奪われ「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「今日は怖い話推しでごぜーますか」



杏「暖かくなってきたしいいかなって」



仁奈「お茶どころか肝も冷えたでごぜーます」



杏「お茶で温めよう」



仁奈「……肝ってどこでごぜーますか」



杏「どこだろう……」



仁奈「え……どこだかわからねーとこが冷えてやがります……こえーですよ……」



杏「考え過ぎたら負けだよ」



仁奈「……誰に負けてるでごぜーますか」



杏「誰だろう……」



仁奈「え……誰だかわからねー相手とたたかってやがります……こえーですよ……」



杏「仁奈めっちゃ余裕あるでしょ」



仁奈「女の世界のほうがこえーですよ」



杏「その発言がこえーですよ」



仁奈「瑞樹おねーさんが言ってやがりました」



杏「もうこれわからないわ」





杏「しょうがねーから続きを読むですよ」



仁奈「仁奈の気持ちになったですか?」



杏「割と癖になるこのしゃべり方」



『海の中の景色に見惚れていると、やがて立派なお城へと着きました。



 「クックック……よくぞ参った!我こそは水底に佇む魔城の主、神崎蘭子!「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「仰々しーでごぜーますよ」



杏「海の中にある城だし」



仁奈「そしてもうただの蘭子おねーさんでやがります」



杏「これはこれで割と癖になる」



仁奈「むむ、仁奈も魔王の気持ちになるですよ」







ガチャッ







蘭子「煩わしい太陽ね!」



杏「くくく、魔王よー煩わしい太陽ねー」バッ



仁奈「煩わしい太陽でごぜーます!」バッ



蘭子「ふぇっ」









ガチャッ







奈緒「おっはよー」



杏「魔王、封じられたアカシックレコードに刻まれし戦場は?」



蘭子「えっあっ、今日はこの後ラジオの収録が……」



仁奈「魔王!今宵の贄はなんでごぜーますか?」



蘭子「今日の食堂のメニューなんだろう……でもハンバーグがいいなぁ」



奈緒「なんだこれ」



杏「魔王と同じ神の名を冠する者よー煩わしい太陽ねー」バッ



仁奈「煩わしい太陽でごぜーます!」バッ



奈緒「蘭子に返してやれって」





杏「それじゃ蘭子ちゃんがんばってー」フリフリ



仁奈「いってらっしゃいでごぜーます」フリフリ



蘭子「ククク、魂が猛るわ!我が紡ぐ呪言をその耳に焼き付けるが良い!」バッ



奈緒「頑張ってな―」フリフリ







バタン







奈緒「で二人は何してたんだ?」



仁奈「杏おねーさんにご本を読んでもらってるですよ!」



奈緒「へー、杏がおねえさんしてるのか」



杏「奈緒もおねーちゃんって呼んでいいんだよ」



奈緒「なんでさ」



杏「加蓮には呼ばせる癖に自分は拒否とか」



奈緒「違うアレは加蓮が「杏おねーさん続きが気になりやがるですよ」



杏「よーしじゃあ読んじゃうぞ―」



奈緒「おま



『浦島さんは竜宮の広間に案内されました。



 用意された席に座ると魚たちが次々に素晴らしいごちそうを運んできます。



 しかし、浜辺育ちの浦島さんには料理を運んでくる鯛や平目、海老のほうがごちそうです。』



仁奈「あれっ」



奈緒「えっ」



『浦島さんは腰に下げていた小刀で次々に魚達を捌いては食べ捌いては食べ「いやいやいやいや」



奈緒「おかしいだろ!」



杏「えっ」





奈緒「いくらなんでも猟奇的すぎるだろ!浦島!」



杏「奈緒は好きじゃないの。ヒラメとか」



奈緒「いや好きだけど……」



仁奈「仁奈はカニが食べたいでごぜーます」



奈緒「カニもいいなぁ……じゃなくて、お話として怖すぎるだろ!」



杏「美味しいから大丈夫だよ」



かな子「もうっ!」



杏「わあああ」



かな子「美味し……いけど大丈夫じゃないよ!」



杏「正直だなぁ」



奈緒「かな子がお菓子持ってきたらかな子ごと食べちゃうみたいな話だもんな」



仁奈「お菓子の気持ちになるですか?」



杏「私を……食・べ・て♥みたいなやつ?」



奈緒「それだ」



杏「えっちだなぁ」



仁奈「えっちでごぜーます……」



かな子「私が悪いの……?!もうっそんなこと言う人にはクッキーあげないんだから!」



仁奈「ごめんなさいでごぜーます」



奈緒「お情けを頂戴いたしたい」



杏「かな子博士、お許し下さい!」



かな子「これはこれでなんかやだよぉ……」





杏「何だかんだでクッキーをくれるかな子ちゃんはやさしい」サクサク



仁奈「しかもうめーでごぜーますよ」サクサク



杏「奈緒にも見習ってほしい」



<なんでだよー優しさの権化だろー?



杏「優しさの権化って何、どのぐらい優しいの」



<バファリンの2倍



杏「神谷奈緒(錠剤)みたいな。かみやん1000mg配合」



仁奈「奈緒おねーさんも優しいでごぜーます」



杏「へぇ」



仁奈「加蓮おねーさん用のタオルとかブランケットとか持って歩いてやがりますからね」



<やめろやめろぉ



杏「べたべたじゃないか」



<全力で課題の邪魔するのやめないか?



杏「じゃあそろそろ続きを読むね」



仁奈「わーい」





『浦島さんが用意された席に座ると、魚達がご馳走を次々に運んできます。



 そして音楽が流れ始め、クラゲたちが舞を始めます。



 浦島さんはじっとしていられずUOを折ると現場で培った勘で即興のコールを「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「浦島さんは何者でやがりますか」



杏「アイドルのファンなのかもしれない」



仁奈「じゃあ仁奈のライブも見に来てほしいでごぜーます!クラゲさんの気持ちになるのはちょっとむつかしいでごぜーますけど……」



杏「こずえとか得意そう」



仁奈「ふわぁふわぁってしてやがりますからね!」



杏「杏もこずえの気持ちになろう、ふわぁ……」



仁奈「寝不足でごぜーますか?」



杏「ついつい紗南に誘われるとゲームをやってしまう」



仁奈「紗南おねーさんとゲームでやがりますか」



杏「Skype越しに紗南の断末魔が聞こえるのだ」



仁奈「夜はおやすみしねーとおっきくなれねーですよ」



杏「現状がそれを証明しているという事実が杏の小さな胸にぐっさりきて目が覚めた」





杏「どうしようもないので次読も」



『ある時、浦島さんははっと思い出しました。



 「随分と長い間ここにいるが、家族や友だちは、どうしているだろう?」



 しかし、本当は浦島さんに家族や友だちなどいません。』



仁奈「えっ」



『竜宮城で長い時を過ごすうち……いや、本当は竜宮城など存在しないのです。



 全ては浦島さんの妄想、今際の際に見た幸せな夢「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「いくらなんでも悲しすぎるでごぜーます……」



杏「杏も自分で話してて悲しくなってきた……」



仁奈「浦島さんはぼっちさんでやがりましたか……」



杏「近年問題となっている孤独死である」



仁奈「あとちょっとマッチ売りの少女っぽいでごぜーます」



杏「マッチとボッチってちょっと似てるし」



仁奈「マッチ持ってるだけなら浦島さんも寂しくねーですね」



杏「海の中でマッチを必死に擦る浦島さんの画像ください」



仁奈「水の中でマッチに火をつけるのは難しいでごぜーます」



杏「普通のマッチは濡れると乾かしても使い物にならなくなっちゃうしねという豆知識。そもそもマッチってあんまり見ないけど」



仁奈「仁奈も使ったことねーでごぜーます」



杏「危ないから一人で使っちゃ駄目だよ」



仁奈「じゃあ杏おねーさんにお願いするでごぜーます」



杏「よろしい」





杏「仕事を自分で増やした気がするけど次読むよ」



『乙姫さまは浦島さんを引き止めますが浦島さんの意思は固いようです。



 すると、乙姫さまは名残惜しそうにいいました。



 「そうですか……では、おみやげにこの箱を差し上げましょう。」



 「これは?」



 「これはあなたが中学校の頃に書いた漫画に小説、そしてポエムで「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「なんでそんなものを乙姫さまが持ってやがりますか」



由里子「黒歴史を熟成させてから叩きつけるとは乙姫さまもなかなかいい性格してるじぇ」



仁奈「由里子おねーさんおはようごぜーます」



杏「ちひろさんが探してたよ」



ちひろ「あっ由里子ちゃん!この本由里子ちゃんのですか?!こんなの置いとかないでください!」



由里子「んん?!いや、アタシのじゃないじぇ!だってこれNLだし」



杏「あーなるほど」



ちひろ「?」



由里子「ユリユリは腐海の住人だから……えっと、男同士の友情とかに興味があるんだじぇ」



杏「相当言葉を選んだね」



由里子「流石にちっちゃい子の前でぶっぱするほど見境無くないってわけよー」



仁奈「?よくわかんねーけど仲がいいのはいいことでごぜーます!」



由里子「そう、仲がいいのはすごくイイじぇ……」



杏「うーんこの」



ちひろ「じゃあ結局この本は誰の物なんでしょう……」



杏「奈緒知らない?」



<あたしのじゃないぞー



杏「知らないって」



由里子「んーまぁ、とりあえずアタシが預かっといてみる?持ち主さんなら気付くでしょー」



ちひろ「私もちょっと離れないといけないのでお願いします」



由里子「りょーかいだじぇー」





杏「それじゃ続きを読んでみよー」



仁奈「わーい」



由里子「アタシもこいつを読んじゃうじぇ」



仁奈「さっきの本でごぜーますか」



由里子「実はかなり気になってるんだじぇ」



杏「守備範囲から外れてない?」



由里子「脳内変換余裕余裕」



杏「つよい。まぁ杏も脳内変換しながら読んでるようなもんかぁ」



『「では、おみやげに玉手箱を差し上げましょう」



 「玉手箱?」



 「はい。ですが、開けてはいけません。決して開けてはいけませんよ」



 これはフリだと判断した浦島さん、気合を入れて玉手箱を解き放ち中のアツアツおでんを乙姫さまの顔に押し付け「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「なんか聞いたことある流れでやがります」



杏「ダチョウの気持ちになるですよ」



由里子「乙姫さまが笑いに貪欲すぎるじぇ」



仁奈「笑美おねーさんみてーでやがりますね」



杏「さすがの笑美ちゃんも海の中でアツアツおでんは食べられまい」



仁奈「トンチでやがりますか?」



由里子「おでんはおでんでも海の中でアツアツなおでんはなーんだ?ってやつかもー?」



杏「なんだそれ……」



由里子「わかんないじぇ……」



仁奈「怖すぎるでごぜーますよ……」



杏「また一つ謎オブジェクトが生まれてしまった……」





杏「怖くなったところで次を読むよ」



『乙姫さまと別れた浦島さんは、またカメに送られて地上へ帰りました。



 さて、地上に戻った浦島さんは、周りを見回してびっくり。なんだか様子が違います。



 「おや?ここは……仙人の、露天風呂じゃーっ!」』クワッ



仁奈「?!」



杏「〽お風呂のデパートー」



仁奈「えっ……えっ、今のはなんでごぜーますか」



杏「神が……いや、仙人のが降りてきたよ」



千秋「懐かしいわね、そのCM」



杏「嫌でも耳に残るんだよね」



仁奈「こまーしゃるでごぜーましたか」



千秋「ええ、昔からある入浴施設のCMね」



杏「行ったことある?」



千秋「実際に行ったことは無いわね……帯広の方の出身だし」



杏「やっぱり畑で豚丼作ってるの?」



仁奈「畑一面の丼にアツアツの豚丼がはいってやがるですか」



杏「それを熊が一所懸命収穫してるの」



千秋「アナタ北海道出身よね」



杏「地元だから適当言っても許されるかなって」



仁奈「仁奈も働く熊さんの気持ちになるですよ」



杏「杏は働きたくないクマー」



仁奈「働かない熊さんでごぜーますか」



杏「いわゆるプーのくまさん」



千秋「やめなさい」



杏「甘い蜜が吸いたーい」



千秋「やめなさい」



仁奈「夢も魔法もねーでごぜーます……」





杏「暗い気分になったところで次を読もう」



仁奈「その割に楽しそうな顔でごぜーます」



杏「うまいこと言ったという満足感に満ち溢れている」



仁奈「楽しいのはいいことでごぜーます!」



『地上の戻った浦島さんは周りを見回してびっくり。



 確かにあの砂浜のはずなのに、家はなく、海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。』



仁奈「あれっ」



『だが、人類は死滅していなかった!「ちょっとまってくだせー」



杏「はい」



仁奈「随分世紀末でごぜーますね」



杏「Welcome to this clazy Timeってやつだね」



<たっぼいたっぼいたっぼいたっぼい



杏「ノリノリだなぁ」



<課題が世紀末になってきた



杏「火着けて消毒しなよ」



仁奈「あっ、マッチつかいやがるですか?」



<やめろよせっかく解いたのに



杏「不毛の地と化しても強く生きろ、奈緒」



<杏はなんなんだよ



仁奈「杏おねーさんは杏おねーさんでごぜーますよ」



杏「それ以上でもそれ以下でもない」





杏「最後だからまじめに読むよ」



仁奈「最後は普通なんでごぜーますね」



杏「杏が終わらせなくても勝手に終わってくれるしね」



仁奈「省エネというやつでやがりますね」



杏「近年の流行りだね」



『浦島さんはびっくりしました。竜宮で過ごした3年の間に、地上では700年も過ぎていました。



 「家族も友だちも、みな死んでしまったのか……?」



 がっくりと肩を落とした浦島さんは、ふと、持っていた玉手箱を見つめました。



 もしかして、これはそのためのものでは?



 そう思った浦島さんは、開けてはいけないと言われた玉手箱を開けてしまいました』



仁奈「……」



『すると、中から真っ白な煙が出てきました。



 そして楽しかった竜宮での三年が次から次へとうつります。



 「ああ、私は竜宮に戻ったんだ」



 ……でも、玉手箱から出てきた煙は次第に薄れていき、その場に残ったのはヨボヨボのおじいさんとなった浦島さんだけでした』







杏「おしまい。と」



仁奈「浦島さんは寂しかったんでごぜーますね」



杏「んー、そうかもね」



仁奈「ひとりぼっちは楽しくねーですよ……仁奈もひとりぼっちは楽しくねーです……」



杏「いまはどうかな」



仁奈「今は皆居るから寂しくねーですよ!杏おねーさんと一緒だから楽しいんだー♪」



杏「かわいいなこいつめこいつめ」モフモフモフモフ



仁奈「きゃー♪」マフマフマフマフ





奈緒「あー……やっと終わった……」



杏「不毛の地と化さなくてよかったね」



奈緒「コレでも意外ときっちりこなすタイプなんだ」



由里子「んんー……アタシも読み終わったじぇ」



仁奈「すげーはえーでごぜーます」



由里子「ユリユリ昔から本読むのだけは速いって評判だったんだよねー」



奈緒「どうだった?」



由里子「実に興味深い」キリッ



奈緒「ほう」



仁奈「でも、誰のご本だったんでやがりますか?」



由里子「それがぜんっぜん分かんないんだなーこれが」



杏「というかアレね、仁奈が持ってきた本とカバーおんなじなんだよね」



由里子「んん?ということは仁奈ちゃんの本の……」



奈緒「あー……なぁ、もしかして」



仁奈「ん?」







文香「……///」







杏「あっ」



由里子「えーっ?!」





文香「はい……私のものです……お恥ずかしい……」



奈緒「文香が本を放置していくなんて珍しいな」



文香「レッスンが有ったので……ありすちゃんに見られてしまうのはどうかと思いまして」



奈緒「なるほどなぁ」



文香「私の読んでいる本に興味を持ってくれるのは嬉しいですが、これは……その、ちょっと……駄目だというのも気分のいいものではありませんし」



由里子「あー……うん、でもなんかちょっと納得したじぇ」



杏「こういうのも読むんだね」



文香「叔父の書店で見つけてしまい、つい……そうしましたら、独特の表現が興味深くて」



由里子「なるほど、興味深いと」



奈緒「獲物を狙う目になったぞ」



杏「確かに由里子の本は興味深いかもしれないけど」



文香「由里子さんも本がお好きなのですか?」



由里子「割と読む方だと自負してるじぇ。文香ちゃんとはジャンルがちょっと違うと思うけど」



文香「普段触れない物にこそ、新しい発見がありますから」



由里子「むむ、確かに!じゃあ今度軽いやつから持ってくるじぇ!」



文香「是非……!」



仁奈「目がきらきらしてるでごぜーます」



奈緒「ああ、あたしを弄ろうとしてる加蓮みたいな目だ」



杏「こうして腐海は広がっていくのであった……」





杏「にしてもそっか。この本も文香さんの本?」



文香「その通りです……仁奈ちゃんはそういったお話が好きなようでしたので」



仁奈「杏おねーさんに読んでもらうとおもしれーですよ!」



文香「杏さんが朗読を……?」



杏「まぁ、成り行き上?」



文香「それでしたら、おすすめの本が家に」



仁奈「また読んでもらえるでごぜーますか!?」ガバッ



杏「えっ、いや待って」



由里子「あっ、だったらアタシもこんな感じの本かしてほしいじぇ」



文香「もしよろしければ、是非家まで……」



由里子「ほんとー?!じゃあお言葉に甘えちゃおうかなー?」



奈緒「そのついでに軽く何か食べないか?お腹へっちゃってへっちゃって」



仁奈「皆でご飯でごぜーますか!やったー」ピョンピョン



由里子「仁奈ちゃんものりのりだじぇ」



仁奈「皆で食べると楽しくておいしーんだー♪」



奈緒「よし、じゃあ決まりー」



杏「杏の安眠がぁ……」



仁奈「杏おねーさんも一緒に行くですよ!」ギュッ



杏「んあーもーしょうがないなー……」







バタン





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