2016年05月24日

幸子「総選挙13位、ですか」

P「そうだ…」



幸子「そうですか」



P「申し訳ない…」





幸子「え?」



P「え?」





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P「いや。13位だろ?」



幸子「はい」



P「今年も1位取れなかったろ?」



幸子「はい」



P「悔しいよな?」



幸子「え?」



P「え?」





P「…幸子は一番カワイイんだろ?」



幸子「勿論そうですよ? まさかプロデューサーさんはそんな事も忘れてしまったんですか?」



P「総合1位も、Cu1位も取れなかったろ?」



幸子「そうですね」



P「…強がらなくても良いんだぞ?」



幸子「え?」



P「え?」





P「…幸子をスカウトした時、一番カワイイアイドルにしてみせる、って約束しただろ?」



幸子「そうでしたね。まあ、ボクはナチュラルボーンで一番カワイイのですが」



P「総合1位にしてやれた事は無いし、Cu1位ですら第二回目だけだろ?」



幸子「そういえば…、そうですね」



P「それで、そろそろ怒ったりしないかなぁ、って…」



幸子「え?」



P「え?」





P「…怒ってない、のか…?」



幸子「ボクが一番カワイイのに、なんで怒る必要があるんですか?」



P「いや、だって。13位だし…」



幸子「でも、事実、ボクが一番カワイイじゃあないですか」



P「え?」



幸子「え?」





幸子「…プロデューサーさん。一番カワイイアイドルって誰ですか?」



P「そりゃあ、まあ…。真っ当な総選挙とは言えないけど…。一応、今年は島村卯月ちゃんだよな?」



幸子「そういうのじゃあないです! プロデューサーさんが一番カワイイと思うアイドルは誰なんですか?」



P「それは勿論、幸子だが…」



幸子「なんだ、やっぱりボクが一番カワイイんじゃないですか!」



P「え?」



幸子「え?」





P「でも、13位だし…」



幸子「そうらしいですね」



P「そうらしいって、順位見てないのか?」



幸子「なんで見る必要があるんですか? どうせボクが一番カワイイのに」



P「けど、今年も幸子に1位取らせてやれなくて…」



幸子「…? それがボクのカワイさに何の関係があるんですか?」



P「え?」



幸子「え?」





幸子「…ちょっと整理をしましょうか?」



P「あ、ああ…。まず、俺は今年も幸子に総選挙で1位を取らせてやれなかった」



幸子「いえ。そういうのはいいですから。置いておいて下さい」



P「え?」



幸子「え?」





幸子「とりあえず、もう一度確認します。プロデューサーさんが一番カワイイと思うアイドルって誰なんですか?」



P「さ、さっきも言ったけど、当然幸子だが…」



幸子「卯月さんや楓さんや美優さんじゃあなくて、ボクなんですね?」



P「まあ、一番カワイイと思ったから、わざわざスカウトしてまで担当になったんだしな」



幸子「ですよね! やっぱりボクが一番カワイイんじゃあないですか!」



P「え?」



幸子「え?」





P「…もう一度整理させてくれ」



幸子「はい」



P「幸子は一番カワイイアイドルになりたいんだよな?」



幸子「なりたいというか、なったんですけどね!」



P「…けど、俺の努力不足で今年は13位だったろ?」



幸子「そうですね」



P「…すごく。すごく言いづらいんだが…。結果的に、幸子は一番カワイイアイドルじゃないだろ…?」



幸子「え?」



P「え?」





幸子「ちょ、ちょっと待って下さい! プロデューサーさんはボクが一番カワイイアイドルだと思っているんですよね!?」



P「そ、そうだが…?」



幸子「なんだ。心配させないで下さいよ! やっぱりボクが一番カワイイんじゃあないですか!」



P「???」



幸子「???」





P「…なんだか、話が噛み合っていない気がするんだが…」



幸子「奇遇ですね…。ボクもです」



P「前提として、俺は幸子を一番カワイイアイドルにしてやれなかったよな?」



幸子「え?」



P「え?」



P「…前提から?」



幸子「前提から、みたいですね…」



P「いや、だって、今年の順位…」



幸子「総選挙の順位とボクが一番カワイイことのどこに関係があるんですか?」



P「え?」



幸子「え?」





幸子「…三度、整理してみましょうか?」



P「お、おう。お願いします」



幸子「前提として、プロデューサーさんはボクが一番カワイイアイドルだと思っているんですよね?」



P「はい」



幸子「他のアイドルではなく、ボクが単独一番なんですよね?」



P「そりゃあ当然」



幸子「じゃあ、やっぱりボクが一番カワイイんじゃあないですか! フフーン!」



P「???」



幸子「???」





P「いや、でも、それを総選挙で証明できなくて――」



幸子「え? なんで証明しないといけないんですか?」



P「え?」



幸子「え?」



P「……」



幸子「……」





幸子「…あー。わかりました。そういう事ですか」



P「ど、どういうことなんだ?」



幸子「つまり、プロデューサーさんは、ボクがトップアイドルになるだけじゃあ飽きたらず、総選挙で1位になって欲しかったんですか」



P「そりゃあもう。あれだけ人気のある楓さんが1位を取れていなかったり、疑問の残る選挙だが…。それでも、俺は幸子を1位にして、幸子が一番カワイイアイドルだと証明してやりたいんだ!」



幸子「なるほど…。つまり、プロデューサーさんはあの時ボクが言った事を忘れているんですね! 全く、仕方のない人ですね!」



P「あ、あの時…? いつの事だ…?」



幸子「ふーんだ。もう二度と言ってあげないんですから!」



P「???」





P「な、なあ、幸子? 一体何を怒っているんだ?」



幸子「勿論、プロデューサーさんのあまりのダメ具合に怒っているんです!」



P「そうだよな…。これだけカワイイ幸子に1位を取らせてやれないんだからな…」



幸子「もう、そうじゃあないです!」



P「え? じゃあ何に怒っているんだ?」



幸子「プロデューサーさんには教えてあげません!」





幸子「さて、ボクはちょっと用事ができたので行きますね!」



P「え? ど、どこに行くんだ?」



幸子「今日のダンスレッスンの仕上がりに納得いかなかったので、自主練です!」



P「い、今からか!?」



幸子「今からです! ほら、一番カワイイボクのために、さっさとレッスンルームの確保をして下さい!」



P「あ、ああ。それくらい構わないが…。でもなんで急に?」



幸子「そんなの決まっているじゃないですか。プロデューサーさんが、ボクに総選挙で1位を取って欲しいと泣いて頼むからです!」



P「いや、泣いて頼んでなんか――」



幸子「じゃあ、泣いて頼んで下さい! 『一番カワイイ輿水幸子ちゃんが総選挙で1位になった姿を見てみたい』って!」



P「えぇ…?」



幸子「そうしたら頑張ってあげますよ! ほらほら、どうしたんですか?」



P「えっと…。一番カワイイ輿水幸子ちゃんが総選挙で1位になった姿を見てみたい、です」



幸子「フフーン! 全く、仕方のない人ですね、プロデューサーさんは!」





幸子「ボク的には、どうせボクが一番カワイイんですし、このままのんびりトップアイドルになればよかったのですが…。気が変わりました!」



P「さ、さっきから一体どういうことなんだよ…?」



幸子「天使のようにカワイく慈悲深いボクが、プロデューサーさんのために本気を出して総選挙1位を取ってあげる、という事です! 感謝して下さい!」



P「言っている意味がイマイチわからないんだが…」



幸子「どうせプロデューサーさんにはわからないんですから、気にしないで下さい!」





幸子「じゃあボクはレッスンに行きますから! プロデューサーさんは一番カワイイボクのために、馬車馬のように働いて、ボクに相応しい仕事を徹夜で用意して下さいね!」



P「あ、ま、待っ――」



幸子「わかりましたね?」



P「お、おう…?」



幸子「では、失礼します!」



P「???」



幸子「――全く。プロデューサーさんは本当に仕方ない人ですね!」



幸子「…プロデューサーさんにスカウトされてすぐ、ボクは言ったじゃないですか」



幸子「プロデューサーさんが一番カワイイって言ってくれたら、ボクはそれでいい、って」







おわり。





20:30│輿水幸子 
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