2016年05月25日

的場梨沙「パパにプロポーズする」 二宮飛鳥「また突飛な話だね」

梨沙「突飛じゃないわよ! ずーっと前から言ってるじゃない、パパと結婚したいなーって」



飛鳥「それはそうだけど、実際に行動に移すとなると話は別だろう」



梨沙「アタシはね、もう守りに入るのはやめたの。これからはどんどん攻めていくわ!」





飛鳥「アレで今まで攻めていなかったのか……」



梨沙「ちゃんと早いうちに頑張っておかないと、あーいうふうになっちゃうかもしれないし」ビッ



飛鳥「ああいう……?」チラ





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心「結婚式の招待状……今年4通目……はぁ〜」



P「めでたいんだけど、素直に喜び100パーセントで迎えられない歳になっちゃいましたね」



心「ほんとにね〜……アイドルとはいえ、辛いものは辛い☆」



心「ねえプロデューサー♪ もしはぁとがアイドル引退した後、完全行き遅れになったら……」



P「なったら?」



心「………」





心「だ、誰が完全行き遅れだこのやろー!」



P「自分が言い出したんでしょう?」











梨沙「あんな感じにはなりたくない」



飛鳥「あれもあれで悪い関係ではないと思うけど……少しずつ進んでいるように見えるし」



梨沙「とにかく! 殺し文句ってヤツが欲しいのよ。パパのハートをぎゅっとつかめるような」



心「パパのはぁと?」ニュッ



梨沙「ハートさんの話はしてないわよ」



飛鳥「Pは?」



心「部長と打ち合わせがあるから出て行ったぞ☆ 話し相手いなくなったから、はぁともガールズトークに混ぜて♪」



梨沙「ガールズ?」



心「ガールズ☆」ニコニコ



梨沙「飛鳥、判定は?」



飛鳥「子供と大人の境界線は常に曖昧……意識ひとつでいくらでもありようを変えるのさ」



心「つまりはぁともガールだな☆」



梨沙「……まあ、別にどうでもいいんだけど」



心「なるほど♪ 梨沙ちゃんがパパのハートを撃ち抜くセリフを考えてたってわけか♪」



梨沙「どんなのがいいかしら」



心「君の瞳は、100万ドルの夜景よりも美しい☆」



梨沙「? なにそれ」



心「今どきの若者には通じないかー」



飛鳥「通じたとしても、それは成人男性にかける言葉ではないだろう」



心「そう? じゃあ……『一生お前を離さない』☆」



梨沙「とりあえず語尾に星マークつけるのやめなさいよ」



心「あなたと一緒のお墓に入りたいの……」



梨沙「気が早すぎない!?」





心「私の人生半分やるから、あなたの人生半分おくれ☆」



梨沙「完全にパクリ!」



心「出た☆ 梨沙ちゃんのツッコミ三連コンボだ☆」



梨沙「真面目に考えなさいよね!」



心「てへぺろ☆」



飛鳥「……実は、自分が言われたいプロポーズのセリフが混ざっていたりしないのかい」



心「………」



心「そ、そそそんなわけないだろっ」



飛鳥(理解りやすい……)



梨沙「飛鳥はどう? 漫画書いてるんだし、プロポーズのシーンのセリフとか思いつかないの?」



飛鳥「ボクは恋愛モノは描かないからな……そういった要素がゼロなわけじゃないけど、今までまともに手を出したことがない」



梨沙「そっか……確かに、今まで読んだヤツでそういうのなかったわね」



心「だいたいかっこいい系だもんね♪ それか、なんか哲学っぽいやつ」



梨沙「というか、アンタの漫画はいちいちセリフが長すぎるのよ。吹き出し大きすぎるし、そのせいで絵がぎゅうぎゅうに押し込まれてるじゃない」



飛鳥「自分でも読みづらいのは理解しているけれど、なかなか改善は難しい」



梨沙「ま、だんだんマシにはなってるけどね。その調子で名作を描いたら、また読んであげるわ!」



飛鳥「先生のようなことを言うね、キミは」フッ





心「ていうか、言われたい言葉なんて人それぞれ違うんだから……リサパパの好みがわかんないとなんとも言えないぞ?」



梨沙「そこは大丈夫! アタシはパパが喜ぶかどうか、言葉を聞けばなんとなくわかるから!」



梨沙「ただ、セリフ自体が思いつかないだけ」



飛鳥「ふうん」



心「じゃあじゃあ、ちょっと試してみる? 飛鳥ちゃんが告白する側、梨沙ちゃんが受ける側で演技やってみよう☆」



梨沙「あ、それありかも」



飛鳥「なぜボクが」



心「面白そうだから♪」



飛鳥「はあ……大した理由はないと思っていたけれど」



梨沙「飛鳥、一回やってみるわよ」



飛鳥「……一度だけだよ」



心「さすが飛鳥ちゃん! なんだかんだ付き合ってくれる!」



梨沙「じゃ、アタシがここに立つから、飛鳥は」







ドンっ



梨沙「え」←壁際



飛鳥「これで、キミの視界にはボクしか入らない」



心「い、いきなり壁ドンの先制攻撃!?」



梨沙「ちょ、えっ?」



飛鳥「梨沙。キミの勝気な瞳は美しい……ボクにとっては羨ましく、まぶしくさえ感じられるモノだ」



飛鳥「だからこそ、それをボクだけのモノにしたい。その結果、キミの瞳が淀むことになろうとも」



飛鳥「ボクだけを見て……」クイッ



梨沙「あ、あう」ドキドキ



飛鳥「………」



梨沙「………」







飛鳥「これ以上はセリフが思いつかないな」ケロリ



心「そこまでやっといて!?」



梨沙(た、助かった、かも)







飛鳥「それで、なにかの参考になった?」



梨沙「……なるわけないでしょ。アンタ、実際にプロポーズするのはアタシで、プロポーズされるのはアタシのパパだって忘れてない?」



心「まー、梨沙ちゃんにああいう方向性は難しいわな♪」



飛鳥「ふむ……確かに。厄介だね、演技というのも」



心「というか、嫌がってた割にはノリノリだったね☆」



飛鳥「最近は、他人のペルソナを被ることにも少しずつ慣れてきたんだ」



飛鳥「他人の輪郭を知ることで、自らの輪郭も知ることができる……悪くないと思っているよ」



梨沙「演技が面白いっていうのはわかるわね。アタシもこの前怪盗役やったけど、楽しかったし」



心「あ、そうそう! 定番といえば、やっぱり『毎日俺の味噌汁作ってくれ』だよね♪」



飛鳥「それも男の側から言うモノだが」



心「だから、そこは応用☆ 『毎日あなたの味噌汁作らせて☆』って言えばいいんだぞ♪」



飛鳥「なるほど。発想の転換……押しかけ女房だね」



梨沙「でも、お味噌汁くらいなら今でも毎日作れるわよ? もっと豪華なものにしたほうが」



心「味噌汁なめんなこのやろー!」



梨沙「なんでちょっとキレてるのよ……」



心「はぁとはなあ、たまにお母さんの味噌汁が無性に食べたくなる日がなぁ……」ホロリ



梨沙「おふくろの味ってやつ?」



飛鳥「ボクも今は親元を離れている身だけど……いつかはこんなふうに、親の料理が恋しくなる日が来るのかな」



心「どうしても豪華なのがいいって言うなら、毎日味噌汁じゃなくて毎日満漢全席でもいいぞ♪」



梨沙「重いわよ!」



飛鳥「二つの意味でね」



心「毎日満漢全席食べさせてあげる☆ うん、いいじゃんこれ♪ スウィーティー☆」



梨沙「スウィーティーなの? マンカンゼンセキ」



心「このセリフを使えば誰だってイチコロだな♪」



飛鳥「Pでも?」



心「おうよ☆ PでもQでもよゆーのよっちゃん――」



P「俺がどうかしました?」



心「はへっ!?」



飛鳥「おかえり」



梨沙「もう終わったの? 打ち合わせとか言ってたけど」



P「ああ。打ち合わせっていっても、ほとんど今までに決めたことの確認だったからな」



P「それで心さん。俺が余裕とかなんとか聞こえましたけど……なんの話をしてたんです?」



心「あ、えっと」



心「ま、まん……」



P「まん?」



心「………」



心「マンガン電池……」モジモジ



P「???」





梨沙「全然イチコロじゃないし」



飛鳥「どんな言葉も、使えなければ価値は生めない……そういうことさ」



P「ほう。パパの気持ちを引き付けるための言葉か」



梨沙「プロポーズよ、プロポーズ!」



飛鳥「いくつか案は出たけれど、どれも梨沙のお眼鏡にはかなわなかったようだ」



P「そうだなあ……結局、あれこれ飾らないくらいが一番いいんじゃないか?」



梨沙「飾らない?」



P「父親が相手だからな。娘のことはよくわかってるだろうし、下手に手の込んだことをしたって、無理をしてると思われて逆効果かもしれない」



飛鳥「無粋な装飾は不要ということか」



心「満貫☆」



心「大好き! って言えればそれでいいんじゃない?」



梨沙「でも、それだといつもと変わらないし」



P「……隠し味程度なら、入れてもいいのかもしれないな」



梨沙「隠し味?」



P「少しだけ、外見に手を加えてみるとか」



飛鳥「なるほど。装飾を加えるのは仮面のほうか……キミらしいな」



心「なんとなくわかる気もするけど、つまりどういうこと?」



P「それはですね――」



その日の夜





梨沙「パパ! お帰りなさい!」



梨沙「アタシ、今日も頑張ったの!」ニコニコ



梨沙「……あ、やっぱりすぐにわかるんだ。さすがはパパねっ」



梨沙「ちょっと他のアイドルに香水借りたの。どう?」



梨沙「……いい匂い? ふふっ、よかった♪」



梨沙「あとね、こっちの髪についてる羽根は――」ニコニコ





翌朝





梨沙「〜〜〜♪」



心「梨沙ちゃんゴキゲンだね♪」



梨沙「ふふっ♪ パパにいっぱい褒めてもらっちゃった。仲のいい子がたくさんいるんだねって」



梨沙「作戦大成功ね!」



梨沙「ありがと、ハートさん! 香水好評だったし」ニコニコ



心「おう♪」





心(……あれ、プロポーズは?)



梨沙「ふんふんふーん♪」



心「……ま、本人が幸せそうならべつにいいか☆」







おしまい

おまけ



梨沙がパパをお出迎えしていたころと同時刻





飛鳥「梨沙はうまくやっているだろうか……」



飛鳥「………」



飛鳥「恋愛漫画、か」



飛鳥「………」カキカキ







飛鳥「今、あなたと結ぶ。永遠に絶えることのない、契約の口づけ――」



飛鳥「………」



飛鳥「ないな、これは」ハァ



飛鳥「もっとスマートに、かつダイレクトに感情が伝わるような……」カキカキ









翌朝





P「おはよう、飛鳥」



飛鳥「おはよう……」ポワポワ



P「眠そうだな」



飛鳥「……恋愛は、怖いね。ボクにとってはまだ、触れるのは早い代物だったか……ふわぁ」



P「?」









梨沙「やっぱり、夫婦なら名字は同じがいいわよね! アタシパパと結婚したら名字同じにする!」



心「もともと同じだろ☆」





おまけおわり



17:30│的場梨沙 
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