2016年05月31日

百合子「杏奈ちゃんのおねむ」

あんゆり 百合





事務所







百合子「おはようございまーす」



杏奈「…… おはよう、百合子さん」



百合子「あれ、杏奈ちゃん早いね 私も結構早く来たつもりだったんだけど」



杏奈「うん……」



百合子「眠いの?」



杏奈「うん…………」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1464430386



杏奈「杏奈、昨日ずっと…… ゲームやってて……」



百合子「私が落ちた後も続けてたよね」



杏奈「実はそのまま…… 徹夜してて……」



百合子「えー!? ちゃんと寝なきゃダメだよー!」



杏奈「ごめん…… 気付いたら朝で……」



杏奈「…… それで、今日事務所に来ること思い出して……」



杏奈「少し眠るくらいなら、いっそ早く来た方がって……」

百合子「そっか……」



百合子「じゃあまだ時間あるし寝てていいよ、時間になったら私起こすから」



杏奈「いいの?」



百合子「うん、私もこの新しい本を読みたくて早く来たし」



杏奈「それじゃ、おやすみ……」



杏奈「すぅ……」



百合子「もう寝ちゃった…… よっぽど眠かったのかな」



百合子「そうだ、仮眠室からブランケットみたいなの探してこよう!」

杏奈「ふぅ……」



百合子「ふふ、杏奈ちゃんぐっすり寝てますね……」



百合子「っ!?」



その時、私の脳天から足裏までつまり全身に稲妻が走りました



杏奈ちゃんの可愛さは殊更取り上げるものでは無いのかもしれませんが、今私が目の当たりにしているのは正に天使、いえそれ以上と言える存在なのでした



長い睫毛に大きい眼、小さな鼻に同じく小さなお口、そして日光や日焼けとは無縁そうな白くきめ細やかな肌は事務所の蛍光灯を跳ね返して輝くほど



それらで構成された彼女の顔は最早芸術、一刻も早く杏奈ちゃんの寝顔のブロマイドを写真館に飾るべき、そう言えるほどのものでした

私は無意識にスマホを取りだし杏奈ちゃんの寝顔をカメラに収め、スマホの中の杏奈ちゃんと目の前の杏奈ちゃんを見比べ、とても人には見せられないような笑みをこぼします



百合子「杏奈ちゃん…… はぁぁ……」



そこで私は始めて我に返り、自分のしたことがどんなことであるかに気付くのです



百合子(も、ももももしかしなくてもこれって…… 盗撮!? これが杏奈ちゃんや他のみんなに知られたら……)





杏奈『百合子さん…… 百合子さんってそんな趣味の人だったんですね……』





百合子(いやぁぁぁぁぁぁぁ!)



百合子(い、一刻も早く消さなくちゃ)

と、消去ボタンに指をかけた時、一つ思ったのです



今ここに居るのは私と眠っている杏奈ちゃんだけ、つまり私がボロを出さなければこのことがバレる心配は無い……



否! もしかしたらこの事務所の一室には監視カメラが仕込まれている可能性が……



私は部屋の隅、観葉植物の鉢など疑わしき場所を徹底的に探し、監視カメラの無いことを確認します



百合子「うん…… ここには無い…… 大丈夫」



恵美「おはようございまーす!」



百合子「うわぁぁぁぁぁ!」



恵美「えっ…… 百合子どしたの?」



後ろから聞こえる恵美さんの怪しむ声、終わった……

百合子「ここから全てが白日の元に晒され私はスキャンダル報道の末事務所をクビに、その後『あの人は今!?』に出演を切欠に少しずつ知名度を上げていき暴露本のリリースと共に炎上商法的に一躍時の人となり再ブレイク、そして……



恵美「お〜い、百合子〜? 観葉植物に向かって何ブツブツ言ってんの?」



杏奈「んん……」



恵美「あ、杏奈も居たんだ」



杏奈「おはよう百合子さん……」



百合子「あっ、杏奈ちゃん 起こしちゃった!?」



杏奈「ううん……大丈夫、百合子さんのお陰でちょっと眠れたから…… 今日もお仕事がんばる、よ……」



恵美「あぁ、杏奈が仮眠してて百合子は起こさないようにしてたって感じか…… おっきな声出して起こしちゃってごめんね」



百合子(な、なんだかんだで私の奇行は有耶無耶になった……? 助かった……)

百合子(その後私は自らの愚行を恥じ、もう二度とあのような行いはしないと神へ誓い、ついでに朋花さんに手を合わせました)



朋花「?」



百合子(しかし、杏奈ちゃんの寝顔写真だけはどうしても削除出来ませんでした……)



百合子「お許しください……」



朋花「いいですよ〜♪」



まぁ杏奈ちゃんの寝顔をあんな近くで独占出来る機会なんてもう来ない、そう思っていたのですが……



杏奈「すぅ……」



百合子「来てしまった……」

杏奈ちゃんの寝顔を前にして、私は自分の中の業との戦いを始めました



今度こそ杏奈ちゃんを静かに寝かせてあげるんです



杏奈「…… すぅ」



百合子「あ、杏奈ちゃん…… ふふふ……」



ダメでした、私の中の業は思ったより根深く仄暗いものだったようです



いえしかし、杏奈ちゃんの可愛い寝顔を前にすればこうなってしまうのは詮無いこと



この世の業や穢れの一切を知らないような杏奈ちゃんの寝顔は余りにも眩しく、業まみれの私はどうしようもなくそれに引き寄せられていくのです



だけど大丈夫、こうして杏奈ちゃんを見守っている分には無罪、ノーギルティです YES杏奈ちゃんNOタッチ!

百合子「……」



百合子(杏奈ちゃんのほっぺた…… ぷにぷにしたら気持ちいいのかな……)



えー、人間の欲望は常にエスカレートしていくのが常というものでして



ですから私が盗撮して杏奈ちゃんを見るだけでは我慢出来なくなるのも自然の摂理というものでして……



百合子(だ、大丈夫大丈夫…… そーっと触れば杏奈ちゃんもきっと起きないし、そーっと触れるのよ)



百合子「そーっと、そーっと」



私は全神経を隠密に集中させました、その姿は時代が違えばくノ一や女スパイそのものであったことでしょう

百合子「そーっと……」



杏奈ちゃんの眠っているソファの前に座り込みその可愛い御頬に手を伸ばそうとした時



百合子「はうっ!」



至近距離で見る杏奈ちゃんの寝顔はさっきまで見慣れていたと思っていたそれとはまた別格の天使性を持った顔でした



この世の全ての幸福と安楽を集めて作らせたようなそれがこんな場所に存在していたなんて…… ひょっとしてここは天国…… ?



杏奈「うぅん…… ゆりこさん……」



い、今私の名前を呼んだ!?



こ、この天使の御昼寝に私も参加させて頂いていると言うのですか!? なんて誉れ高い……

百合子(だ、ダメ冷静になるのよ百合子、確か夢を見る状態はレム睡眠と呼ばれる浅い眠りの状態であったはず……)



百合子(ここで杏奈ちゃんを刺激してしまったら杏奈ちゃんを起こしてしまう…… 杏奈ちゃんの安眠を妨害するなんてもっての他、あってはならないことよ……)



私の指は杏奈ちゃんの頬30センチメートル前にして巡遊を始めていました



どうすればいいの!? 杏奈ちゃんの眠りを妨害するなんて嫌、だけど私は杏奈ちゃんのほっぺたをつんつんしてぷにぷにしたいの!



悪魔百合子「別にいいじゃんいいじゃん、杏奈ちゃんのほっぺたをつんつんしてぷにぷにしてその後もちもちしても杏奈ちゃんは起きないって」



百合子(ダメ、私の中の悪魔が囁いてくる! 助けて私の中の天使さん!)



天使百合子「……」



百合子(天使さん! 何か言って)

天使百合子「杏奈ちゃんを起こさないように今日はつんつんだけにしましょう」



悪魔百合子「そうですね」



百合子(そうしましょう)



私の指先が震えながらも杏奈ちゃんのほっぺに近付きます、その距離10センチメートル、5センチメートル…… 0センチメートル……



百合子「はぁ…… !」



杏奈ちゃんの頬に指が触れた瞬間、震えは止まり私の体は圧倒的な癒しの波動に包まれました……



百合子(これが杏奈ちゃんのほっぺた……)



その感覚は最早言葉に出来ない、この世に現存するあらゆる言葉を用いても杏奈ちゃんのほっぺたを触る感覚を表すことは出来ないでしょう

百合子「はっ!」



我を取り戻した私は名残惜しくも杏奈ちゃんのほっぺから指を離し、杏奈ちゃんの様子を観察します



百合子「じぃっ」



杏奈「すぅ…… すぅ……」



寝顔寝息オールグリーン、杏奈ちゃんの快眠継続中



も、もしかしてこれはまさかの『おかわり』が許されているのでは…… ?



そう気付いた私は再び杏奈ちゃんのほっぺたをつんつんしてみました



百合子「はわわ〜」



二回目で慣れたのは触れるまでの行程、杏奈ちゃんのほっぺたの感覚は慣れるわけが無く、またもや私の心を極楽浄土に連れていくのでした……

指を離し私は一人ほくそ笑みます



なんと私は杏奈ちゃんの聖域に二回も触れてしまったのです、まさしく私は杏奈ちゃんマスターと言うべき存在になったことでしょう



この調子で三回目も……



恵美「おはようございまーす!」



百合子「うわぁぁぁぁぁ!」



恵美「ゆ、百合子?」



杏奈「…… あ、また杏奈、寝ちゃってたんだ」



恵美「あぁ、こないだと一緒か」



百合子(こ、今回も難を逃れたようです……)

その後私は自分の行いを思い返し、またもや激しい後悔に襲われるのです



少女の寝込みを襲うなど悪鬼羅刹の行いに違いありません



私は欲深く誘惑に簡単に負けるような弱い人間であることは自覚していましたが、まさかここまでとは……



百合子「朋花さん! 私に悟りの開き方、禅の道を教えてください!」



朋花「門外漢です〜♪」



とは言え、普段は杏奈ちゃんの姿を見てもどうということはありません、精々杏奈ちゃんのほっぺたの感触を思い出して一人ニヤニヤしているくらいです



だから『二人きり』で『杏奈ちゃんの寝顔』を『長時間』見続ける状況でなければ私は暴走したりしないのです



まぁそんな状況が都合よく来るわけが



杏奈「すや……」



百合子(来てしまいました……)



今日お仕事の予定があるのは私と杏奈ちゃんだけ、それに何やら向こうの都合でお仕事の前に1時間事務所で待機と言われています



杏奈ちゃんの眠りは深く、ちょっと揺すったくらいでは起きそうにありません



完璧です、私が杏奈ちゃんの寝込みを襲うお膳立てが完璧になされています



百合子(れ、冷静になるのよLilyknight! 貴女はこんな誘惑に負けてしまうような弱い人間じゃなかったはずよ!)



そうです、この前本で読みました こういう時は善の自分と悪の自分と己自身の3つの人格を作り対話させるのです



百合子(出て来てもう二人の私!)



悪の百合子「何を迷っているのかしら? こんなチャンスもう二度と来ないのかもしれないのよ?」



悪の百合子「つんつんやぷにぷにだけじゃない、その先のむにむにやすりすりまでやってもいいのよ?」



『むにむに』と『すりすり』…… なんて甘美な響き……



いいえダメ、悪の私の意見なんて聞いてはいけないわ、ここは善の私と協力して悪の私を押さえ込むのよ!



百合子(お願い善の私!)



善の百合子「そうよ、寝込みを強引に襲うなんてダメ」



善の百合子「ここは一度杏奈ちゃんを起こして今までの行為を素直に謝罪して、許可を取って合法的につんつんぷにぷにむにむにすりすりするべきだわ!」



えええええ!? な、何言ってるのよ善の私!



善の百合子「そうよ、いっそ杏奈ちゃんに告白して恋人になってしまえば何でもし放題よ!」



悪の百合子「恋人になるならそれこそ今の内に襲って既成事実を……」



善の百合子「そんなの破廉恥よ! 認めないわ!」



百合子(どっちも破廉恥です!)

悪の百合子「て言うか貴女はどうするのよ」



百合子(へ?)



善の百合子「中立は許されません! 私たちどちらかの意見にしたがってください!」



百合子(え?)



悪の百合子「寝込みを襲うか!」



善の百合子「正面からやらせてくださいと頼むか!」



W百合子「さぁどっち!」



百合子(両方とも極端過ぎです! 消えてください!)



W百合子「ああ〜」

百合子「はぁ…… はぁ…… とんだ無駄骨でした……」



そ、それに私は杏奈ちゃんが好きとかそういうんじゃなくて……



杏奈ちゃんはただの友達で…… 確かにすっごく可愛くて、一緒にお出掛けしたりゲームしたりが凄く楽しくて、今こうして杏奈ちゃんを前にドキドキしてるけどこれはそういうのじゃ……



恋っていうのはもっと綺麗で神聖なものであるべきで、こんな下劣で欲にまみれたものじゃないはずなのに……



目の前で静かに眠る杏奈ちゃんの顔をじっと見つめます、胸の高鳴りは未だ止みそうにありません



そこで私はこの気持ちを確かめる一つの方法を思い付きました



もし私が抱いているこの気持ちが綺麗な恋心であるならば杏奈ちゃんの神聖な体に触れることを罪悪感が止めるはず



逆に杏奈ちゃんの体に触れることに何の抵抗も無いのなら私のこの気持ちはただの悪劣な下心ということになるわけです



そう…… 杏奈ちゃんに触れることで私の心を推し量るのです、だからこれはどうしても必要なことで…… 許して杏奈ちゃん!

百合子「……」



ここまでの思考で頭がオーバーヒートしたのか、今回のファーストタッチはいやに積極的で、特に抵抗も無く杏奈ちゃんのほっぺたをすりすりすることができました



ほっぺをすりすりしながら見下ろす杏奈ちゃんの顔は穏やかで、私が一人こんなにも葛藤と巡遊を続けてることなど全く知らないのでしょう



そんな杏奈ちゃんの顔を見ているともっと、この手のひら以外の部分でも杏奈ちゃんのほっぺたの感触を味わいたくなってしまいました



私は手を離し、少しずつ自分の顔を杏奈ちゃんの頬に向け下ろしていきます



どんどん近くなる杏奈ちゃんとの距離、頭の中では色々な思考が交錯していますがそんなことは最早関係がありません



ただ、今は杏奈ちゃんの柔肌を味わいたい、ただそれだけ……



百合子「んっ……」



私の唇に触れる杏奈ちゃんの肌の感覚……

百合子(一回じゃ全然わからない…… もっと……)



杏奈ちゃんの頬にキスを重ねていると何故かドキドキする気持ちが収まっていくのです



この行為に後ろめたいことは何もなくて、寧ろこうすることは必然であったような……



もしかすると杏奈ちゃんの前世は眠りの姫で私の前世はそれを起こす王子様だったのかもしれません



それなら私がすることは一つ、杏奈ちゃんの唇に……



杏奈「ゆ、百合子…… さん…… ?」



百合子「あ、杏奈ちゃん…… ?」



果たして私の妄想は現実だったのか、私のキスの前に杏奈ちゃんは目を覚ましました



って…… 冷静になってる場合じゃ……

杏奈「な、何してる…… の?」



百合子「ご、ごめんなさい!」



そして私は素直に自分のしたこと、しようとしたことを杏奈ちゃんに話し、謝罪しました



百合子(うぅ…… 杏奈ちゃんに嫌われちゃう……)



私はこんな時でも杏奈ちゃんのことばかり考えていました、もう二度と手に入らない杏奈ちゃんとの日々を……



杏奈「ゆ、百合子さん…… 顔上げて……」



百合子「はい……」



杏奈「え、えっとね…… 杏奈、目が覚めて、百合子さんが目の前に居て…… びっくり、しちゃった……」

杏奈「だからね…… 今度からはちゃんと事前に言って欲しいの…… 『ちゅーしたい』って」



百合子「えっ?」



杏奈「杏奈…… 百合子さんとだったら…… ちゅー、してもいいかなって……」



百合子「えええっ!?」



杏奈「さっきね…… 夢、見てたの……」



杏奈「杏奈、体が動かなくて、目も開けられなくて…… 意識があるのにずっと眠っていたの……」



杏奈「そんなとき百合子さんの声が聞こえて、私を起こそうとしてくれて……」



百合子「それって……」

杏奈「魔女にかけられた永遠の眠りの呪い」



百合子「それを解くのはいつだって王子様のキス……」



杏奈「百合子さん…… 杏奈に夢の続き…… 見せて…… ?」



百合子「…… うん」





私たち以外誰も居ない事務所、二人で座るソファ



杏奈ちゃんと私の指は絡み合い、その唇も繋がったまま離れることはありませんでした



キスをしていると夢が覚めるような、まるで今までの現実こそが夢だったような感覚を覚え



私たちは夢の続きへと堕ちていくのでした……





おしまい



相互RSS
Twitter
更新情報をつぶやきます。
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: