2016年06月06日

拓海「ぬぉおおお!」亜季「ぐぬぬぬぬ!」

【モバマス・デレステSS】です





――――事務所、休憩室





亜季「ま、負けないであります……! むむむむうっ!」グググ



拓海「うおっ!? くっそここで押し戻されてたまるかよっ! オラァアア!!」グイググ



亜季「な、なんと! で、ですがまだまだウオオオオオ!」ググググ



拓海「やるじゃねええかこのダラアアア!!」グイグググッ



ガチャ



里奈「大漁たいりょ〜☆ 新作いっぱい出てたから買ってきたぽよーっと! ……あれ、また腕相撲勝負してる感じー?」



夏樹「お帰り里奈。ああ、見ての通り真剣勝負の真っ最中だ」



涼「元気だよなぁあの二人。あ、頼んでた飲み物も買ってきてくれたのか」



里奈「うん! ほら、りょーちゃには頼まれてたコーヒーあげる♪ あとアタシが選んだお菓子もー☆」スッ



涼「お、ありがと。へぇ、芋のモンブランか、美味しそうだな」



里奈「でしょー♪」



拓海「お、里奈帰ってきたのか……ってうお!?」ガクッ



亜季「油断大敵であります! あと里奈お帰りなさい! そしてこのまま一気に!」グイグイッ







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拓海「ちくしょ負けるかよ! 負け越したりしたら特攻隊長の名が泣くんだよオラァ!」ググッ



夏樹「おー、あんな机スレスレから巻き返すのか。まったく、パワーがすごいよホント」



里奈「ちなみに腕相撲勝負、今何戦目ー?」



涼「たしか50戦やってどっちも25勝25敗だったかな。だからこの一戦が二人にとって超重要ってわけさ」



里奈「なるほどー。でも折角買ってきたスイーツ、冷たいウチに食べてほしいからどっちもガンバ! 決着つけて♪」



拓海「当たり前だぜ勝ち越してやるからなぁ里奈!」グイグイッ



亜季「そうはいきません! ここで勝つのは私ですからッ!」ググッ



里奈「うわー、さらに決着つかなそうになっちゃったぽよー。いつ終わる感じ?」



夏樹「さてね。どっちかの腕が疲れて動かなくなるまでじゃないか?」



涼「というか里奈、あの二人があんなに真剣なのアンタの言葉が原因なんだしさ、もうちょっと応援してあげてもいいんじゃない?」



里奈「そだっけ?」ポカーン



夏樹「おいおい。まぁコンビニ行く前にさらっと言ってたやつだしな」



里奈「……あー! たくみんとあっきーって最近よく一緒にトレーニングしてるから、どっちのほうが鍛えてるのかな的なことは言った的な?」



涼「そうそうそれ」





里奈「でもあれ、りなぽよは二人に勝負してもらうつもりで言ったわけじゃないってば〜」



夏樹「そんな感じだったのはアタシも聞いてて思ったよ。でも里奈の言葉を聞いて二人がトレーニング内容で張り合い始めちゃってさ」



涼「やれ『私のほうが腕立て伏せを多くやれます!』やら『走りこみの距離ならアタシのほうが上だ!』とかな」



里奈「……もしかしてそれで白黒つけるために腕相撲またやり始めた系? ほんとたくみんとあっきー身体で考えるよね〜♪」



拓海「うるせえよ! まぁ里奈の言葉がなくてもここらでどっちが上かはっきりさせとくのも悪くない頃だと思ってたしな!」ググッ



亜季「ええ、拓海と私、どちらの力が上かを知っておくのは、今後のユニット活動においても重要であります!」ググッ



里奈「ふーん……青春って感じ〜?」



夏樹「漫画とかなら河川敷で殴りあったりしてそうだが、アタシらはアイドルだしな。これくらいが丁度いいだろ。あ、里奈それ貰っていいか?」



里奈「ホイホイ☆ ロックななっつにはロールケーキもつけちゃうよ! ロックンロール、なんちゃって♪」



夏樹「ふふっ、はいはい。しかしこれならコーラじゃなくて紅茶を頼めばよかったかな……」ピロリン



夏樹「……っと、着信? だりーからか、北海道楽しんでるみたいだな」ススッ



涼「お祭り、今日から丁度本番らしいな?」



里奈「なになにだりなちゃんからメール来た系!? 見せて見せて!」



夏樹「ほらこれ。画像もついてる」





里奈「おお〜衣装キャワワ☆ いーなーいーなー、アタシも北海道行きたかったし〜☆」



涼「こらこら、そしたらアタシら炎陣のライブはどうするんだよ」



里奈「そっちもモチでるっしょ! ダイジョブダイジョブ! なんとかなったと思うってマジで♪」



夏樹「はは、まあ確かにちひろさんに頼めばなんとかしてもらえそうだけどな。でもそしたらこんな風にのんびり休憩出来なかったかもしれないぜ?」



里奈「あ、そっか、じゃやっぱダメじゃん! 適度なお休みはちゃんと必要だかんね〜☆」



亜季「そうでありますよ里奈! 体調管理は兵士の重要な仕事の一つ! それはアイドルもかわら――おわっ!?」ガクッ



拓海「へへ隙ありだぜ! このまま一気に持っていってやる!」ググググッ



亜季「し、しまったであります!? こ、このままではぐぬう!」ググッ



里奈「あー、たくみん今のちょっとズルくなーい?」



拓海「いーんだよさっきの仕返しだ! そらそらいくぜぇええ!!」グググ



亜季「く、くぅ……!」グッ



里奈「もーたくみんたっらー……あっきーがんば♪ 負けるな負けるなー!」パタパタ



亜季「と、とうぜんで、ありますよぉ! はぁああああ!!」ガシッ グググググッ



拓海「なにっ!?」





夏樹「お、亜季が勝負に出たっぽいな」



涼「というかそろそろ決着つけないとホントに里奈の買ってきた物が温くなっちまうぞー」



拓海「わ、分かってるよ! くそ亜季てめぇまだこんな力……ぐうう!」ググッ



亜季「奥の手は、最後の最後まで隠しておくものです! ぬぐぐぐぐーっ!!」グググググ



拓海「うおマジかよ待て待てオラアアアア!! 畜生押し返せねぇ!!」グイッ



亜季「これで……トドメーっ!!」グンッ



バァン!



里奈「わー、あっきーが勝ったー♪」パチパチ



夏樹「激戦を制したのは亜季か、これで勝ち越しだな。つーか机に叩きつけた時の音すごかったな」



涼「拓海、大丈夫か?」



拓海「っ……ちっくしょー! 負けたーっ!! だぁー! もう一回やれー!」ガバッ



涼「だめだって、いい加減一旦休みなよ拓海。レッスン終わって休憩してる時間なのに、結局二人して腕相撲ばっかりやってたんだから」



亜季「そうでありますよ拓海。勝負の結果はこれで決まりました。里奈も戻ってきたのですから終了です!」



拓海「あーもー! すっげえいいとこまでいったのによぉ!!」バタバタ





里奈「もーたくみん暴れちゃだめだめぢゃん? はいあっきー、頼まれてたスポーツドリンクっ」スッ



亜季「これはこれは、感謝であります里奈」



里奈「あとはー、勝ったあっきーには特別にアタシの買ってきたお菓子の中から好きなの2つ、自由に選ばせてあげちゃうし!」



亜季「やりました! なんにしようかなー!」ゴソゴソ



涼「色々あるからな、あとでアタシにも選んだの少し分けてくれないか? モンブラン一口分けるから」



夏樹「その提案乗った。アタシも今食べてるの一口出すから、亜季の選んだの食べたいぜ」



亜季「それはいいですな。お二人の食べているものも美味しそうですし……しかし、これは本当に悩む……うむむ」ゴソゴソ



拓海「……はぁ……」



里奈「もー、たくみん落ち込みすぎっしょ。ほらコーラ、シュワシュワ味わって気分転換してこー?」スッ



拓海「あんがとよ……でもよぉ、負け越しはやっぱ凹むぜ。つーか里奈、あそこで応援するとか何考えてるんだ?」



里奈「へっ、どゆこと?」キョトン



涼「なんだ拓海、里奈が応援してくれなかったからって拗ねてるのか?」



拓海「ハアッ!? ち、ちげえし! ただああいう場面で応援されたら亜季みてーな奴は逆転することもあるってだけで――うおっ!?」ガバッ



里奈「そっかー、ごめんねたくみん! よしよし、応援出来なかった代わりに慰めちゃうし♪」ナデナデ





拓海「ばっか、ちげえって言ってんだろこらやめろ撫でるなおい里奈ァ!」///



亜季「いやー、あのお二人はホント仲がよろしいですなぁ……っと、では私はこのわらび餅とみたらし団子をいただきましょう」



里奈「どぞどぞー☆ ほらほら、たくみんもいつまでも拗ねてないでアタシの買ってきた甘いもの食べて元気出してちょ?」ナデナデ



拓海「拗ねてねえって言ってんだろ食べてやるから離れろォ!」



里奈「あ、ゴメンちょ☆ そんじゃたくみんも好きなのとって。アタシは残ったの食べちゃうし」



拓海「ああ……んー、残ってるのはシュークリームかイチゴのチーズケーキか……」ゴソゴソ



拓海(里奈はああ言ってたが……とりあえずイチゴのチーズケーキ選ぶ素振りを見せたら……)チラッ



里奈「……」シュン……



拓海(相変わらず分かりやすい奴だなおい。んじゃシュークリームなら……)チラッ



里奈「……」パァァ!



拓海「……あー、よし、アタシはシュークリーム貰うぜ。だから里奈はこのイチゴの食えよ」スッ



里奈「いいの!? やったーっ! 実を言えばこっちを食べたかったんだよね〜☆ たくみん気が利くー♪」



拓海「あー? 偶然だよ偶然、たまたまアタシがシュークリーム食いたかっただけだっつの」



夏樹「はいはい」ニコニコ





涼「そうだな、偶然だな」ニコニコ



亜季「なるほど、それならば仕方ないですな」ニコニコ



拓海「おいだからその生暖かい視線やめろ張っ倒すぞ!?」



里奈「もーたくみん喧嘩しちゃだーめ♪ パクッ……んー! マジ美味しいし〜!」パァァ



拓海「そうかよ、良かったな。しっかし里奈お前、ホントコンビニスイーツとか好きだよな」



里奈「行く度に新作出てて楽しいからねー♪ ずーっと見てても飽きない系かもー? あっ、でもずっといるなら立ち読みもしちゃうかー」



涼「前も財布忘れた時に立ち読みしてたよな里奈」



里奈「うん! 最近はアタシ達のこと載せてる雑誌が増えてて嬉しいぽよ☆ たくみんなんか結構よく見る感じー」



拓海「へぇ、そりゃいいな。アタシの名前も売れてきたってことか」



亜季「拓海はカッコイイ上にスタイルもいいですからな、サバゲーをすれば男子の視線も女子の視線も集めて大変そうであります」



夏樹「あぁ、確かに拓海って集中砲火受けそうだよな。敵に残ってると後が怖いって気もするし」



拓海「上等だぜ、来るなら全員返り討ちにしてやる! ……あ、このシュークリームうめえ」モグモグ



亜季「おお! ならばどうです!? 次のお休みに一緒にサバゲーをしませんか!? もちろんみんなも一緒に!」



涼「サバゲーかー……うーん、面白そうではあるが銃とか重そうだしな……」





亜季「そんなことはありませんよ! 本物とは違いますから女性でも持ちやすいです!」



里奈「りょーちゃが銃かー……イメージが沸かないっぽくない? なんかー、マイクより重いものは持ったことがなさそう的な?」



涼「ふふっ、そんな訳ないだろ。確かに拓海や亜季と比べると力は弱いかもしれないけどさ」



拓海「まぁ力仕事ならアタシら任せとけって。……でもよ、あんま気にしたことなかったけどよ、夏樹と涼って実際どっちが強いんだ?」



夏樹・涼「「……は?」」



拓海「いや、亜季と腕相撲してさっき結果決まっちまったし、どうせならこのメンツの強さの順位はっきりさせとくのも悪くねえなって」



夏樹「拓海に勝ったんだし亜季が最強ってことじゃダメなのか?」



亜季「いえいえ、先ほどの勝負もギリギリでありましたから最強というほどでは……それに、もしかすれば夏樹のほうが私より強い可能性も」



夏樹「あはは、そうだったら面白いだろうけどそれはないって」



拓海「わかんねーぞ? だからまず夏樹と涼ならどっちが上かを決めてみて、そんで勝った方がアタシらと腕相撲をやるってのはどうだ!?」



涼「……どんだけ腕相撲したいのさ拓海。その提案は置いとくとしてもそうだな……拓海や亜季には勝てなそうだけど、夏樹にならアタシも勝てるかもな」



夏樹「……へぇー、それはどうかな? アタシもそこの二人にはちょっと勝つ自信ないけど、涼には絶対勝てると思うぜ?」



涼「ふーん?」



里奈「あれ? なになに今度はりょーちゃとなっつが腕相撲する感じ!? もー、たくみんってばすぐ熱血になるんだからー」





拓海「いいだろ別に。ほら、やるならやるでさっさとしたほうがいいぜ。チンタラしてると次の仕事の時間になっちまう」



亜季「……そういえばまだこの後、雑誌のインタビューがあるのでしたな。すっかり忘れていました」



夏樹「そういうとこは真面目だよな拓海。それじゃあ、涼もやる気みたいだし……いっちょやるか!」



涼「受けて立つよ。腕相撲の勝負は1回、相手の手を先に机に付けた方の勝ちってことでいいよね?」



夏樹「ああ、やるからには本気でいくぜ。負けても怒るなよ涼?」スッ



涼「その言葉、そっくりそのまま夏樹に返すよ」スッ



ガシッ



里奈「わぁ……たくみんとあっきーじゃなくて、りょーちゃとなっつが腕相撲しようとするなんてチョー珍しい光景かも!」



亜季「では合図は私が! お二人共、準備はよろしいですな!? 真剣勝負……始め!」カーン



夏樹「はっ!」ググッ



涼「ふっ!」ググッ



拓海「おー、案外二人とも様になってるじゃねえか。こりゃなかなか面白い勝負に――」



涼「……あ、だめだ」グッ



夏樹「せいっ!」ググググッ





亜季「おや、一気に夏樹が優勢になりましたな?」



涼「ま、待って夏樹強い強い! うわこれホントか!?」グッ



夏樹「へへどうした涼! このままじゃアタシが勝っちまうぞ!」ググググッ



涼「くぅ……全然押し返せる気がしない! な、なんとかしないと……っ」グッ



拓海「……思った以上に差があったみてーだなこれ」



里奈「わわ、りょーちゃガンバガンバ! なっつもしかして超強い系!?」



夏樹「さてこれで……ラストッ!」グイッ



涼「うわっ!?」



バシッ



亜季「おお……勝者、夏樹!」



夏樹「ははっ……よしっ! 悪いな涼、勝負だったからな……というかホントに全力だったのかあれ?」



涼「かなり本気だったんだけど……えぇ……こんなに差があるのか、割りと凹むなコレ……」ガックリ



里奈「あっちゃー、りょーちゃ負けちゃったー……でも頑張ってたしドンマイドンマイ♪」サスサス



涼「ありがと里奈……はぁ……」





夏樹「アタシは単車をよく弄って部品を運んだりするからその差だったのか? ……勝ったけどスゴイ困惑するぜ」



拓海「もうちょっと拮抗するかと思ってたけどあっさりだったな。涼はアタシらと一緒に鍛えたほうがいいんじゃねえか?」



涼「そうするべきかな……このままじゃ下手すると小梅や普段の輝子にも負けちまうかも……」



亜季「いやぁ流石にあの子達に負けることはないと思いますが……」



里奈「けどこれでなっつがりょーちゃより強いって分かったしー、次はなっつとたくみんが腕相撲する系ー?」



夏樹「やめとくよ。流石に拓海に勝つ自信はないしさ」



拓海「おいおいなんだよ。やらなきゃ分からないことだってあるだろ? やろーぜ!」ポキポキ



夏樹「やらないって。拓海と本気でやったら手が潰れちまいそうだ」



拓海「アタシは化物かなんかかよ!?」



里奈「んー、なっつがたくみんに勝てないとしたらー、このメンバーの順位ってもう決まった感じー?」



拓海「そうだな、アタシとしちゃあ微妙に不満が残る決まり方だが、このメンバーの力の強さは――」



亜季「おや拓海、まだ里奈が誰とも勝負していませんがそれはよろしいので?」



里奈「……ぽよ?」



拓海「えっ、いやでも里奈だぜ?」





亜季「いえいえ、やらなきゃ分からないと先程拓海も言っていたではありませんか。ここまで来たら全員の力を把握するべきでしょう!」



拓海「そ、そりゃそうだけどよ……」



里奈「りなぽよ的には全然オッケー! こうなったらアタシも腕相撲頑張っちゃうし〜! えへへっ♪」



拓海「……あー、じゃあ亜季相手してやってくれ、アタシは嫌だ」



亜季「よろしいので? 拓海のことですから里奈相手でも喜んで腕相撲をするのかと」



拓海「やらなくても結果が分かりきったことする気ねえからな」



亜季「なるほど分かりました。ではお言葉に甘えて……里奈、お手柔らかにお願いします!」スッ



里奈「ほいほーい☆ あっきー、よろしくねー!」スッ



亜季「では開始カウントを始めます――3!」



夏樹「……優しいじゃないか拓海」



拓海「なにがだよ?」



亜季「2!」



涼「里奈の奴を負かせるのが嫌だったんだろ?」



拓海「……ハァ? いや全然ちげえよ」





亜季「1!」



涼「違うって……じゃあ一体」



拓海「見てりゃ分かる」



亜季「――始め! うおおおおっ!」グッ



亜季「……!?」



里奈「……あれ、どったのあっきー? もっと力入れて欲しいちょ、それともアタシに手加減してる感じ〜?」



亜季「そ、そんなことは……! くっ、ふんっ! このっ! 動け……!」グッ



夏樹「……え?」



涼「亜季のやつどうしたんだ……力んでるのは分かるけど」



亜季(どうなっているでありますか!? 拓海に勝った時と同じくらい力を込めているはずなのに……!)グッ



里奈「ええっと……そろそろアタシも動いていい系? いくよあっきー」グググググググッ



亜季「なぁ!?」グッ



夏樹「すげえあっさり亜季の腕が押されてる!?」



涼「マジか……」





亜季「お、押し戻せない……! そ、そんな、これは……!」グッ



里奈「よいしょー☆」グググググググッ



バシッ



亜季「あ」



里奈「……ふぅ、わーい♪ あっきーに勝ったぽよー!」ピョンピョン



夏樹「……もしかして、拓海が里奈と腕相撲しなかったのってこういうことなのか」



拓海「ああそうだぜ。アイツはアタシより普通に力が上だ……つうか里奈の怪力のことお前ら知らなかったのかよ!?」



涼「い、いやでも普段の里奈見てると力があるようには全然……」



亜季「よ、予想外すぎる伏兵であります……まさか私が手も足も出ないとは……!」



拓海「あのなぁ、里奈の奴はアイドルする前は工事現場で普通に働いてたんだぞ? 弱いわけがねえだろ!?」



亜季「こ、工事現場……ハッ、まさか以前聞いた道を作っていたとはそういうことだったのでありますか!?」ガーン



拓海「むしろ他にどういう意味で聞いてたんだ……」



里奈「あれ? なになにどしたのみんな、そんな鳩が豆ぶつけられちゃったー的な顔しちゃって?」



拓海「里奈お前、こいつらにちゃんと話してなかったのか? アイドルになる前のこととか」





里奈「えー? 結構ちゃんと話はしてるはずぢゃん? ……もしかして、なんか勘違いされちゃってた感じ!?」



拓海「ああ、こいつら里奈のことを非力な女だと思ってたらしいぜ。まったく、里奈のどこをどう見たら」



里奈「え、マジマジそれホント!? やーん、それってアタシが普通の女の子みたいってことぢゃん! みんなありがとっ☆」ニコニコ



拓海「……はぁ、お前なぁ」



涼「……そこで喜ばれても微妙に困るんだが、里奈ってすごかったんだな。今でも結構重いもの余裕で運べたりするのか?」



里奈「えっ? うーんと、りょーちゃの言う重い物がどれくらいのことかは分かんないけどー……たくみんちょっとごめーん☆」スッ



拓海「はっ? なにし――うわぁ!?」ヒョイ



里奈「こーんな感じでたくみんくらいなら余裕でお姫様抱っこ出来るぽよー♪」ユサユサ



亜季「な、なんと……スゴイ!」



拓海「ふっざけんな降ろせ里奈ァ! やめろこの体勢恥ずいんだよやめろぉ!」ユラユラ



夏樹「……あははっ! いやー、里奈ホントすげえな、あの特攻隊長向井拓海がお姫様みてーだ」



涼「これはちょっと記念写真撮っとかないと勿体無いな」パシャッ



拓海「やめろ撮るんじゃねえ!? くそ降ろせ降ろせって! そろそろ次の仕事の時間なんだからマズイんだよ降ろせ面倒なことになるだろ!?」



里奈「なんでー? もー、たくみんそんな照れなくてもいいぢゃん? ほーら軽いかるーい☆」クルクル





拓海「うわぁ!? やめろ回るな降ろせぇ! ホントにヤバイんだよ頼むからでねえと――」



ガチャ



ボスP「――つう感じで今後のスケジュールは進めて……あ?」ポカーン



ちひろ「あら、これは……」



拓海「」



里奈「あ、ボスPちゃんにちひろちゃんおっつ〜☆」クルクル



ボスP「おうお疲れ……で、なんだこの状況」



夏樹「あー……話せば長くなるけどまぁその、なんだ」



亜季「見ての通り拓海が里奈にお姫様抱っこされて照れているところですな!」



拓海「」プルプル///



ボスP「なんでこうなったのかは分かんねえがそうか……ぷっ……ハッハッハ! ハハハハッ!」バシバシッ



拓海「うるせえ笑うな見るなちひろさんはなんか思案すんじゃねえ!? おら降ろせ里奈頼むから降ろせぇ!」ジタバタ



涼「ええっと、それでボスPサンがこっち来たってことは、もう次の仕事の時間ってこと?」



ボスP「ハハッハヒーヒー……え、あ、あーそうだ、ヒヒッやべえお腹痛い。じゃなかった、次の仕事だ、話は拓海から聞いたと思うが」





亜季「雑誌のインタビューでありますな?」



ちひろ「はい。正確にはインタビューだけでなく簡単な写真撮影もありますので、まずはメイク室で準備をしてもらいます。その後でまた詳しくご説明を」



夏樹「了解だ」



ちひろ「それにしてもふむ……プロデューサーさん、少しいいですか?」



ボスP「ん、なんスか?」



ちひろ「いえ、次のウェディングイベントの人員がまだ決まってなかったじゃないですか。それで、今の拓海ちゃんを見て思いついたのですが」



拓海「おいなんかスゴイ嫌な予感がする降ろせ里奈、降ろせぇ!」ジタバタ



里奈「まーまー、話聞いてみようよたくみん♪」クルクル



ちひろ「次のイベントでは拓海ちゃんに花嫁衣装を着てもらうというのはどうでしょう?」



ボスP「……いいッスねそれ! 弄り――じゃねえなかなか話題に出来そうですし、どうせならさらに里奈達が花婿の衣装を着るってのはどーです?」



ちひろ「ああ、それはなかなか面白そうですね!」



拓海「ああもうほらやっぱ面倒なことになったじゃねえか! ふざけんな誰がそんな仕事するか!」ジタバタ



ボスP「いやいやでもよ、他の皆はどうだ? 拓海が嫁役で、他全員が旦那役って感じになるが」



拓海「聞かなくても断るに決まって――」



涼「……拓海が花嫁か……ふふっ、いいじゃないか」ニコニコ



夏樹「ははっ! それでアタシ達が花婿……これは大変だ、拓海を絶対幸せにしないといけないようだぜ」ツンツン



亜季「……えっ!? あっ、ええと……ど、どんな敵が来ても守り通す所存でありますっ!!」バシッ



拓海「ふっざけんなテメエらなんでこういう時に団結してんだやめろォ!」ジタバタ



ちひろ「里奈ちゃんはどうですか?」



里奈「んー……たくみんが花嫁かーそっかー……アタシ精一杯たくみんのこと支えるぽよ〜! いい旦那さんになっちゃうし〜!」テレテレ



ボスP「よっしゃ決まり! とりあえずこいつらの今日の仕事と今度のライブが一段落したら、本格的にこの企画進めようぜちひろさん!」



ちひろ「ええ、そうしましょう」



拓海「おいアタシの意見を無視するな聞けコラァ!! そもそもモテる花嫁みてーなのは里奈のほうが似合うだろーがッ!!」バタバタ



里奈「わわわっ、たくみんちょっと暴れすぎだし!?」



ボスP「んじゃ皆とりあえずメイク室行ってこい。今日の仕事もバッチリ頼むぜ! 俺は企画書作ってくるんでちひろさん後よろしく!」ダダッ



ちひろ「はい、お任せ下さい」



拓海「テメェーッ! さっきからわざと無視すんじゃねえいい加減にしろオイッ! てめ、この! ボスP待ちやがれぇー!!!」ダンッ



里奈「あっ、たくみーん!?」



――その後、雑誌のインタビューに遅刻する寸前までボスPに説得と脅迫を続けた拓海は、自分が花嫁衣装を着ることになるイベントを

保留させることになんとか成功するのであった。



〈終〉





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