2016年06月24日

文香「…プロデューサーさんは、無責任です…」

モバP(以降P表記)「まだ残ってたのか」



文香「…すみません。キリの良い所まで、とは思っていたのですが…」



P「いや、別に怒ってる訳じゃないよ」





文香「…あの、もう少しで読み終わるので……」



P「構わんよ。事務所の戸締りしてるから」



文香「はい…ありがとうございます」



P「読み終わったら声かけてくれるか?」



文香「…」



P(もう聞こえなくなってるよ、流石と言うか…)







文香「…ふぅ」パタン



文香「すいませんでした、プロデューサーさん。随分お待たせしてしまって…」



P「ん、別に気にしないでいいよ」



P「じゃ、帰ろうか」



文香「はい……あぅっ…!」



P「おっと!」ガシッ



文香「いたた…す、すいません…」



P「…大丈夫か?また悪くなってるんじゃないか?」



文香「だ、大丈夫です…」



P「本当に?」



文香「ほ、本当に…です」



P「なら、いいんだけどさ…」



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P「文香、もうみんな帰ったぞ?」



文香「…」



P「文香」



文香「…」



P「文香っ」ツンッ



文香「ひゃっ!」



文香「…あ、プロデューサーさん…」



P「もう俺も帰るぞ?」



文香「…え、もうそんな時間ですか…?」



P「外真っ暗だぞ?」



文香「…そう、なんですか?」



P「…ちゃんと本、読めてるのか?」



文香「よ、読めています…」



P「ならいいんだけどさ。ほら、送ってくから」



文香「…え?」



P「手、また躓いたら危ないだろ?」



文香「…はい」



P「文香」



文香「あ…、おかえりなさい、プロデューサーさん」



P「もしかして、待ってたのか?」



文香「い、いえ……」



P「…」



P「もう、本もよく読めなくなってるんだろ」



文香「…っ」



P「なぁ、いい加減ちゃんと行った方が…」



文香「だっ、駄目です…!」



P「でも、流石にそろそろ限界だろ」



文香「大丈夫です……大丈夫、ですから…」



P「…」



P「文香がそこまで言うなら」



文香「…すみません」



P「ほら、送っていくから」



文香「はい…お手数をお掛けします」



P「…」



P「文香、俺の手はそこじゃないよ」



P「文香!」



文香「あっ…その声は、プロデューサーさんですか…?」



P「何してるんだよ…!怪我は?火傷なんてしてないよな!」



文香「ご、ごめんなさい…」



P「良かった…。大丈夫みたいだな」



P「もう、ほとんど見えてないんだろ?なのにどうしてこんな事…」



文香「……もう、ずっと、プロデューサーさんにはご迷惑をお掛けしてばかりですから…」



文香「せめて、お仕事から帰ってお疲れのプロデューサーさんに、温かいお茶を、と…」



P「その気持ちだけで十分だよ…それに俺は文香を迷惑だなんて思った事なんか無いよ」



P「今までも、これからも」



文香「……ごめん、なさい…」



P「文香…」



文香「ごめんなさい…ごめんなさい…」











P(もう、この頃には文香と目が合う事すら無くなってしまっていた…)



P「…なぁ、文香」



文香「はい…」



P「もう無理だろ…俺も付き添うから、ちゃんとび」



文香「駄目ですっ!」



P「いん、に…」



文香「…っ」



文香「す、すいません…大きな声を出してしまって」



P「い、いや…」



文香「…」



文香「ご心配をお掛けしてしまっているというのは、重々承知です。でも…」



文香「駄目、なんです……嫌なんです…」



P「…」



P「わかった。でも本当にもう限界だと判断したら無理やりにでも、引きずってでも連れていくからな」



文香「…はい」









P(そう言って、今日も彼女を送っていく為に彼女の手を取る。見当違いの方向に延ばされる彼女の手を)





P(文香はもう、本を読むことすら出来なくなり事務所のソファにただじっと座っているだけになってしまっていた…)



P「なぁ文香。もう限界だ」



文香「…」



P「もう、全然見えないんだろ?文香が本を読んでる所を全然見なくなったぞ?」



文香「…大丈夫、です」



P「大丈夫って言葉は、ちゃんとこっちを見て言って欲しいよ」



文香「…っ」



P「文香、俺はこっちだよ…」



文香「…」



P「文香」



文香「…ですが…」



P「文香っ」



文香「…」



P「なぁ、文香…」



















P「こんな前髪伸びたら邪魔だろ?美容院で切って貰えよ」ファサッ



文香「ひゃっ!は、恥ずかしいから止めてください…」



P「ハハッ、久しぶりに文香の目が見えた」

P「ライブとか撮影中はちゃんとカチューシャとかで髪上げてるのに、何で事務所だと降ろしてるんだ?」



文香「…お仕事は、お仕事と割り切れますから…事務所では、その…」チラッ



P「?」



文香「…内緒、です…」



P「よく分からんけど…あと、どうしてそこまで美容院嫌がるんだよ」



文香「……」



文香「…子供の頃……少し、ありまして」



P「前髪パッツンにされたとか?」



文香「うぅ…っ!」ポカポカ



P「あたたたっ、まさかの図星かい」



P「でもほら、今のままだと目にも悪いし、前全然見えないから危ないだろ?」



文香「それは…そうですが…」



P「付き添うからさ。ちゃんと美容師さんに言ってあげるから。「鷺沢文香みたいにしてください」って



文香「本人です…」



P「ちょっと前髪短くするだけだし、ほら、俺も文香の顔がちゃんと見られるほうがいいしさ」



文香「…」



文香「また、そうやって無責任な事を…」ポソッ



P「ん?」



文香「…何でもありません。…じゃあ、一つお願いしてもいいでしょうか…」



P「どうぞどうぞ」



文香「…切っている間、手を握っていて頂けないでしょうか…」



P「歯医者に行くんじゃあるまいし」













後日、何故か前髪を伸ばす事が事務所内で流行り人気アイドルたちが揃って前髪を伸ばした筝にり空前の「メカクレブーム」がこの国を席巻した。



そして今日もアッキーは優の手から離れプロデューサーはジュウオウジャーの録画に失敗した



17:30│鷺沢文香 
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