2016年07月11日

まゆ「プロデューサーさん、ご飯ですよぉ♪」

李衣菜「………」



まゆ「最近は暑いから、食べやすいようにさっぱりめの献立にしてみました」



李衣菜「あの」





まゆ「ほら、このお刺身。お魚を、自分でさばいてみたんですよ。お口に合うといいんですけど」



李衣菜「ちょっと」



まゆ「ご飯、おかわりいっぱいありますからね。どうぞ、たくさん食べて…」



李衣菜「ねぇっ!」



まゆ「きゃぁっ! どうしたんですか、プロデューサーさん…?」



李衣菜「どうしたはこっちのセリフだよ! 私、プロデューサーじゃないんだけど!?」



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李衣菜「はぁ、練習?」



まゆ「はい。いずれ、プロデューサーさんとそうなった時のために…うふふ」



李衣菜(なんか今の日菜子ちゃんっぽいな…)



李衣菜「そういうことならいいけどさ。夕食に誘われたかと思えば、いきなりこんなこと始めるから何かと思ったよ」



まゆ「うふふ、ちょっと先走っちゃいましたぁ」



李衣菜「でも、なんで私なの?」



まゆ「それは…李衣菜ちゃんなら、釘を刺しておけば、誰かに話すようなこともしないと思いますから…」



李衣菜「ひっ」



まゆ「ふふ、なーんて。冗談ですよ」



李衣菜「冗談…冗談ならいいんだけど…冗談だよね?」



まゆ「李衣菜ちゃんは、プロデューサーとアイドルの恋愛を否定しませんし」



李衣菜「まぁ、禁断とされてることをあえてやるのってロックだし?」



まゆ「それに、雰囲気もボーイッシュで…ちょっと、プロデューサーさんに似てますから」



李衣菜「え、そう? うーん、ボーイッシュってのカッコイイってことだからいいんだけど、喜んでいいのかな」

李衣菜「まぁ、そういうことなら付き合うけどさ。寮の食堂なんて他の人来そうだし、流石に場所変えない? まゆちゃんの部屋とか」



まゆ「密室で李衣菜さんと二人きりになるのってちょっと怖いし…」



李衣菜「まゆちゃんの中で私のキャラってどうなってんの?」



まゆ「あくまでも、練習ですから。別に後ろめたいことをしているわけではないですし、隠れる必要もないですよ」



李衣菜「でも、みくちゃんとかに見られたら面倒なことになりそうだしなぁ…」



まゆ「…他の女の子の話、しないでください」



李衣菜「あれ、もう入ってる!?」

まゆ「ほら、プロデューサーさん。ご飯が冷めちゃいますよぉ。どうぞ召し上がれ」



李衣菜「えーっと…うわぁ、これはおいしそうだなぁ!」



まゆ「別にわざとらしく演じなくていいですよ」



李衣菜「駄目出ししてきた!? んじゃ、いただきます」



パク



李衣菜「うん、うん…うん、美味しい!」



まゆ「うふふ、たくさん食べてくださいねぇ♪」



李衣菜「本当美味しいよ! いやーまゆちゃんはいいお嫁さんになるよ!」



まゆ「まゆはプロデューサーさんのお嫁さんですよ?」



李衣菜「あ、うん? そういう設定ね?」

李衣菜「あっ」ポロッ



まゆ「あ、プロデューサーさんったら。慌てて食べるからこぼしちゃいましたね」



李衣菜「いや、ごめんごめん。まゆちゃんの料理が美味くってさ」



まゆ「はい。拭きますから、じっとしていてくださいね」フキフキ



李衣菜「ん…」



まゆ「プロデューサーさんは慌てん坊さんですから、まゆが食べさせてあげます」



李衣菜「え? いや、それはちょっと…」



まゆ「もう、恥ずかしがらなくてもいいんですよ。はい、あーん…」スッ



李衣菜「ん、んんん…」パク

李衣菜「ふぅー、食べた食べた。食べ過ぎた…」



まゆ「苦しそう…ソファに横になってください」



李衣菜「うーん、苦しいけど我慢するよ。食べてすぐ横になるのってよくないらしいし」



まゆ「苦しそう…ソファに横になってください」



李衣菜「横になってほしいんだね? はいはい…」ゴロン



まゆ「あ、そこじゃなくて…」



李衣菜「え?」



ポンポン



まゆ「はい。まゆのお膝、空いてますよ」

トス…



李衣菜「え、えーと…これでいい…?」



まゆ「はい♪ ふふっ、プロデューサーさんに膝枕…」



李衣菜「………で、このまま寝てればいいの?」



まゆ「膝枕と来たら…じゃーん、耳掃除です♪」



李衣菜「そうきたか。あ、でも…」



まゆ「って、あら…プロデューサーさんの耳の中、綺麗…」



李衣菜「私、耳かきは毎日してるんだよね。気持ちよくってさ」



まゆ「絞り出せませんか?」



李衣菜「無理だよ!」

李衣菜「よいしょっと」



まゆ「あ、起きちゃうんですか…」



李衣菜「や、流石にあのままは恥ずかしいし。テレビでも観よ」



パッ



夏樹『叫べ Rockin’ Emotion!』ジャジャーン



李衣菜「あ、なつきちがテレビに出てる。はぁ、やっぱかっこいいなーなつきちは」



まゆ「………」



李衣菜「あー、わかった。わかったから」



李衣菜(今は私がプロデューサー役なんだっけ。役でも、思い込むとヤキモチ焼いちゃうもんなのかな?)

まゆ「………」ポス



李衣菜(肩に頭を乗せてきた)



まゆ「あの…プロデューサーさん、頭、撫でてください」



李衣菜「ん、こう?」ナデナデ



まゆ「えへへ…」トロン



李衣菜(可愛いなーまゆちゃん)



まゆ「この前の壁ドンみたいなこと、何かやってください」



李衣菜「何か? うーんと、じゃあ顎クイとか…」



まゆ「顎クイ?」



李衣菜「こうやって、顎をクイっと」



まゆ「あっ…」クイッ



李衣菜「こ…このまま、キスしてやろうか?」



李衣菜(なーんて…あー、恥ずかし…)



まゆ「ん…」キュッ



李衣菜「!!?!?!?」



李衣菜(目瞑った!? え、何で!?)

まゆ「あれ…キス…してくれないんですか?」パチッ



李衣菜「待った待った! 練習だよねこれ!? 私、練習でファーストキス捧げたくないんだけど!?」



まゆ「練習ですよ…?」



李衣菜「は!? 何、どういうこと!?」



まゆ「ねぇ…好きって言ってください…」トロン



李衣菜「いや、あの、目が…」



まゆ「プロデューサーさん…」ススス…



李衣菜「ちょっ…顔が近い近い近い」



まゆ「ねぇ…プロデューサーさん。まゆは…」



李衣菜「目を覚ませ!」パチン!



まゆ「きゃぁっ!」

まゆ「いたぁ…な、何をするんですかぁ」



李衣菜「何するはこっちのセリフだよ! まゆちゃんこそ自分が何してるのかわかってんの!?」



まゆ「だって、プロデューサーさんがあんなことするから」



李衣菜「私は! プロデューサーじゃない! 多田李衣菜だっ!」



まゆ「そんなの…わかってますよ」



李衣菜「わかっててまゆちゃんはあんな顔するの!? こんなの、まゆちゃんらしくないよ!」



まゆ「…まゆらしくないって、李衣菜ちゃんに私らしさなんてわかるんですか」



李衣菜「いいや、まゆちゃんらしくないね! まゆちゃんはこんなことして満足するような子じゃないでしょ!?」



まゆ「それは…」



李衣菜「まゆちゃんはプロデューサーを追いかけて、それでモデル辞めてまでアイドルになったんだよね!?」



李衣菜「アイドルに恋愛スキャンダルは御法度だけど…それでも自分を貫いて、できる限りプロデューサーにアピールしてたじゃん!」



李衣菜「私、そんなまゆちゃんを凄いって、かっこよくてロックだって思ってたのにさ!」



まゆ「り、李衣菜ちゃん…」

李衣菜「それなのに、こんな私相手で満足しちゃうの!? 今日やったこと、本当はプロデューサー相手にやりたいことなんじゃないの!?」



まゆ「う…」



李衣菜「それとも、まゆちゃんにとって、プロデューサーの存在は私で代用できる程度のものなの!?」



まゆ「そ、そんなこと…」



李衣菜「それに、これって私のことも見てないってことじゃん! 私は何なのさ、都合のいい女!?」



まゆ「私は、ただ…」



李衣菜「私にプロデューサーを重ねてごっこ遊びなんて、こんなのただの逃げだよ! 全然ロックじゃない!」



まゆ「う…」ポロッ



李衣菜「あっ」



まゆ「うぇぇぇぇ…ごべんなざいぃ…」ボロボロ



李衣菜「あっ、あっ…ま、まゆちゃん…」



まゆ「そんなに゛おごられるなんで…わたじ…おもわなぐで…」ボロボロ



李衣菜「ま、参ったなぁ…キツく言いすぎちゃったか…」



輝子「り、李衣菜さんが…女の子を…泣かせている…」



李衣菜「うあっ、しょ、輝子ちゃん!? いや、これは…」



輝子「しかも、よりによってまゆさんを…ク、クソタラシが…ドロドロした恋愛模様を見せ付けやがってェェェーッ!! 滅べェーッ! ゴートゥヘール!!」



李衣菜「違うんだってー!!」

輝子「そっか…大変なんだな…よくわかんないけど」



スタスタ



李衣菜「ふぅ、輝子ちゃんの誤解はなんとか解けたけど…」



まゆ「………」



李衣菜「あー…まゆちゃん、落ち着いた?」



コトッ



李衣菜「はい、コーヒー。インスタントだけど…何か、飲み物いるかなって」



まゆ「ミルクと、お砂糖…貰えますか?」



李衣菜「ああ、はいはい。えーと、どこにあるんだろ…」

コクッ



まゆ「ふぅ…」コト



李衣菜「ごめんね、あんな怒鳴ったりして」



まゆ「いえ…」



李衣菜「でもさ、言ったことは本心だよ。一体全体どうしちゃったのさ、まゆちゃん」



まゆ「………」



李衣菜「練習ってことで私も付き合ったけどさ、途中から明らかに暴走してたよね?」



まゆ「はい…そうかもしれません」



李衣菜「あそこまでやるのはちょっと行き過ぎじゃない?」



まゆ「あそこまでと言うのは…」



李衣菜「最後のところだよ。あのまま止めなかったらキスまで行ってたよね? 私も調子乗って顎クイとかやったから強くは言えないけどさ」



まゆ「え? 行ってたんですか?」



李衣菜「完全にその気だったよね!?」



まゆ「さすがに、そこまでは…ちゃんと、手で遮るつもりでしたよ」



李衣菜「はぁ、そうなの…? まぁ、そこはいいんだかよくないんだかって感じだけど」



まゆ「よくない…それって、まゆとキ、キスしたかったってことですか…?」



李衣菜「いやいや、違う違う! 私にそういう趣味ないし」



まゆ「なかったんですか?」



李衣菜「ないよ!? まゆちゃんはほんと私のことどういう目で見てんの!?」



まゆ「さっき、まゆを見る目が怪しかったような…」



李衣菜「いや、それは…ああもう、まゆちゃんのことは可愛いと思いました! それは認めます!」



まゆ「あ、ありがとうございます」

李衣菜「ったく…まゆちゃんはそういうの絶対ないだろうって思ってたから安心してたのにさー。こんなんじゃ、ヘンなヤツに引っかからないか心配だよ」



まゆ「例えば、李衣菜さんのような、ですかぁ?」



李衣菜「もー、そういうこと言う」



まゆ「あそこまで、やる気は最初はなかったんですが…その、この前の壁ドンの時…思わずきゅんとしてしまって」



まゆ「それで、李衣菜ちゃんとプロデューサーさんを重ねてみることに抵抗がなくなっちゃったのかも…」



李衣菜「それにしたって、気を許しすぎだよ。プロデューサー本人じゃないんだからさ」



まゆ「はい…そう、ですよね。でも、プロデューサーさん本人にそんなことできないし…」



李衣菜「だったら、できるようにすればいいじゃん。そのための練習なら、付き合うよ」



まゆ「でも、まゆはアイドルだから…それを、まゆから求めたらいけないと思うから…」



李衣菜「マジメに考えすぎだよ。まゆちゃんはさ、もうちょっとワガママになってもいいと思うよ? 目指せ、甘え上手! ってヤツ?」



まゆ「そ、それはまた極端なような…」



李衣菜「ほら、みおちゃんとかプロデューサーにめっちゃスキンシップしてるじゃん?」



まゆ「あ…そう、でしたね」



李衣菜「そうそう。小梅ちゃんだってこの前後ろから驚かそうとして抱きついてたし、杏ちゃんなんてレッスン場までお姫様抱っこで運ばせて…」



まゆ「へぇ…」



李衣菜「っ」ゾクッ



まゆ「そうなんですね…ふーん、なるほど…」



李衣菜(ヤ、ヤバ…口滑らせちゃったかも…杏ちゃん、骨は拾おう…)

まゆ「でも…自分からそういうことをするのは…やっぱり、は、恥ずかしいです…」



李衣菜「練習ではできてたよ。本番だってちゃんとできるよ」



まゆ「そう…でしょうか」



李衣菜「それに、いつもはもっと恥ずかしいこと言ってるじゃん」



まゆ「?」



李衣菜(自覚なしか…)

まゆ「李衣菜さんにプロデューサーさんを演じてもらって…色々してもらったり、してあげたりするのが楽しくて…」



李衣菜「うん」



まゆ「本当に、楽しくて…まるで、本当にプロデューサーさん相手にやっているような気がしてきて…」



李衣菜「そっか」



まゆ「でも、それは夢を見ているのと同じ。現実じゃない…駄目ですよね、それに溺れちゃ」



李衣菜「そうだね、あくまでも練習。本番が控えてるんだからさ」



まゆ「私…ちょっと、不安だったのかも…もしかしたら、このままプロデューサーさんに振り向いてもらえないんじゃないかって…」



李衣菜「だから、手頃な私で誤魔化そうとしちゃったわけだ」



まゆ「はい…でも、そうじゃないですよね。振り向いてもらえるように、ううん、振り向かせるためにこれからも頑張るべきですよね」



李衣菜「うん! ドンと一直線、そっちの方がまゆちゃんらしいよ」

李衣菜「私さ、まゆちゃんのそういうとこなんて言うか…ロックだって思ってるから! 私でよければいつだって相談に乗るし、練習も付き合うよ。今日みたいに行き過ぎはカンベンだけどね」



まゆ「李衣菜ちゃん…ありがとうございます」



李衣菜「どういたしまして。ま、色々言ったけどさ、結局私があんな誰でもいいって感じのまゆちゃんを見たくなかったってだけなんだけどね」



まゆ「誰でも…と言うのは違いますよ。李衣菜ちゃんのことをちゃんと信用してたから、李衣菜ちゃんだから頼んだんです」



李衣菜「ふぇっ」



まゆ「でも、やっぱり…こんなのはプロデューサーさんにも李衣菜さんにも失礼でしたね」



まゆ「練習相手をしてくれたのが…李衣菜ちゃんで、本当によかったです」ニコッ



李衣菜「…まゆちゃんもさ、大概魔性の女って感じだよね」



まゆ「はい?」

翌日…



李衣菜「おはようございます、プロデューサー!」



まゆ「お…おはようございます、プロデューサーさん」カチコチ



P「ああ、おはよう」



李衣菜(うわ…意識しすぎだよ、まゆちゃん…いつも通りでいいのに)



P「なんだ? 今日は元気ないな、まゆ」



李衣菜(プロデューサーにも気づかれてるし)



まゆ「いいえ、そんな事は…」



李衣菜(もっと甘えてもいいって言ったけど…まゆちゃんがこの調子じゃ難しいかなぁ)



李衣菜「あ!」



まゆ「ひぅっ」ビクッ



P「ど、どうした李衣菜?」



李衣菜「いやー、まゆちゃん、ちょっと連日のレッスンで疲れが溜まってるみたいなんですよね!」



P「そうなのか、まゆ?」



まゆ「いえ、まゆは」



李衣菜「そーなんですよ! いやー、ライブに向けてあんなに頑張ってたからなー!」



まゆ「り、李衣菜ちゃん…?」

李衣菜「ほらほらまゆちゃん、合わせて合わせて」ボソボソ



まゆ「はい…? よくわからないですけど、わかりました」ボソボソ



P「大丈夫なのか、まゆ?」



まゆ「そう、ですね…ちょっと、疲れてるかも…」



P「そうか…一応、体力に合わせてスケジュールは組んだつもりなんだけど、キツかったか? ごめんな」



まゆ「そんな事は…! あの、本当は…」



李衣菜「いやー、流石にレッスンに参加できないってほどじゃないと思うんですけど、ちょっと横になった方がいいですかねー」



まゆ「李衣菜ちゃん…!?」



P「ああ、そういうことなら。そこのソファでしばらく休むといい」



李衣菜「あっれー? おっかしーなぁ。ソファにクッションが置いてないですねー?」



P「え? そんな筈は…」



まゆ「李衣菜ちゃん、なんでクッション隠して…」



李衣菜「しーっ!」



P「クッション、いるか?」



李衣菜「トーゼンです。女の子は、デリケートなんですよ? そのままソファに寝かせるつもりですか?」



P「まぁ、それもそうか。まゆも、疲れてるみたいだしな…他の部屋から借りてこよう」



李衣菜「いやー、あるじゃないですかー。ちょうどいいクッションが、ここに!」



まゆ「え?」



P「え?」

まゆ「………………………」



P「えーと…まゆ、その…固くないか?」



まゆ「いえ、その…えーと…ちょうどいい柔らかさですよぉ」



まゆ(わ、私…プロデューサーさんに、膝枕してもらっちゃってる…)



李衣菜「ほらほらプロデューサー。まゆちゃんは疲れているんですよ? 労ってあげてくださいよー」



P「あー…そうだな、じゃあ…」ナデナデ



まゆ「ひゃぅっ!」



P「わ! すまんまゆ、嫌だったか!?」



まゆ「いえっ、そうじゃなくて…ビックリして…」



まゆ「プロデューサーさんの手、おっきくて…暖かいです…プロデューサーさんの優しい気持ちが、まゆに伝わってきます…」ニコッ



P「そ、そうか。それならよかった」



李衣菜「……ふぅ」

P「まゆ、ちょっとは休めたか?」



まゆ「は、はい。すっかりよくなりましたぁ」



まゆ(こんな幸せなこと…ありがとう、李衣菜ちゃん)



李衣菜「あの、もう一ついいですかねプロデューサー?」



まゆ「え?」



P「え? なんだ?」



李衣菜「今度のライブ、恋がテーマの曲ですよね。でも、まゆちゃん、恋のドキドキってのがよくわからないらしくて」



まゆ「はい?」



P「ふむ?」



李衣菜「それで、プロデューサーにドキドキさせてもらって、気分だけでも味わって欲しいかなーって」



まゆ(もう、充分堪能しましたけど…!?)



P「なるほど…曲のためなら仕方ないな。それで、俺は何をすればいいんだ? 驚かせばいいのか?」



李衣菜「子供ですか…プロデューサーには、壁ドンをしてもらいます」



P「壁ドン? って、うるさい隣の部屋を殴る…」



李衣菜「それじゃなくて、少女漫画でよくある壁際に追い詰めるやつです」



P「ああ、あるよな壁ドンとか顎クイとか。それって、本当にドキドキするのか?」



李衣菜「いやいや、甘く見ちゃいけないですよ。威力は実験済みです! プロデューサーでも、大丈夫です!」



P「なんか引っかかる言い方だが…そういうものなのか?」



李衣菜「はい!」

李衣菜「ほらまゆちゃん、壁際に立って!」



まゆ「あ、あの…本当にやるんですか…?」



李衣菜「当たり前っしょ。何のために来たと思ってんの」



まゆ「も、もう充分ですよぉ! これ以上なんて、心の準備が…」



李衣菜「いいからいいから。ささ、プロデューサー。どうぞ、やっちゃってください!」



P「ああ、わかった」ズイッ



まゆ(プ、プロデューサーさんが、まゆのすぐ前に近づいてきて…)



李衣菜「ほらファイト、まゆちゃん! 深呼吸して!」



まゆ「は、はい…! すーっ、はーっ、はーっ、はーっ」



李衣菜「吐きすぎ吐きすぎ!」



まゆ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」



P「…それじゃ、行くぞまゆ」スッ



まゆ「や…」



P「や?」



まゆ「やっぱり無理っ…! まゆ、死んじゃいますっ…!」ピューッ!!



李衣菜「あっ! ちょっとまゆちゃん、逃げちゃダメだってー!」

P「…そんなに嫌だったのか? ちょっとショックだ…」



李衣菜「いやいや! 違いますよ、プロデューサー! なんでそんなネガティブなんですか!」



P「だって…」



李衣菜「これはですね、壁ドンの威力を体験してるまゆちゃんだからついつい怖気付いてしまったというか…そういうことです」



P「そうなのか?」



李衣菜「はい! だから嫌とかそういうものではないです。だいたい、そうだったら膝枕だって嫌がるでしょ」



P「…ところで、威力を体験したって…」



李衣菜「ああ、お遊びですよ。私がやったんですけどね」



P「…そうか」



李衣菜「あれ? もしかしてプロデューサー、嫉妬してます?」



P「…そうだ。曲の特訓なんだよな? それなら李衣菜もやっておくか」



李衣菜「え? あ、いや私は…」



P「なんだよ、そっちから言ってきたのに。李衣菜にまで断られたら傷つくぞ、俺は?」



李衣菜「いや、でも、だって」

P「ほら、やるぞ。えーと…」



李衣菜「ちょ、ちょっとタン…」



ドンッ



李衣菜「んひっ」



李衣菜(プ、プロデューサーの体が覆い被さってきて…!)



クイッ



李衣菜「うぇっ!?」



P「俺の女になれよ」



李衣菜「う…あ…あ…」



P「なーんてな、ハハハ。恥ずかしいなぁ、これ。どうだった?」



李衣菜「…………」プルプルプル



P「李衣菜? わ、悪い…調子に乗りすぎたか」



李衣菜「プ…」



P「?」



李衣菜「プロデューサーのバーカ!! クソタラシ!! ゴートゥーヘール!!」



ピューッ!!



P「…なに?」

李衣菜「はぁ、はぁ、はぁ…」



李衣菜「うーっ、とんでもないなあのプロデューサー! あ、あんなことしてくるなんて…」



李衣菜「まったく、まゆちゃんはあんなプロデューサーのどこが…」



まゆ「李衣菜ちゃん…」ヌッ



李衣菜「ひっ! ま、まゆちゃん…」



まゆ「李衣菜ちゃん、プロデューサーさんに壁ドンしてもらったんですね…」



李衣菜「いや、だって、その、あれは…」



まゆ「それだけじゃなく、顎クイまで…」



李衣菜「ま、まゆちゃんだって私にしてもらったんだから? おあいこ? じゃん???」



まゆ「それに李衣菜ちゃん、こんなに顔赤くして…元々、プロデューサーとアイドルの恋愛も否定してしませんでしたし…」



李衣菜「え、い、いや…えーっと、それは…」



まゆ「もしかして、李衣菜ちゃんも…ライバル?」



李衣菜「あーっ、もう! ごめんなさい!!」



終わり



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