2016年07月13日

兵藤レナ「人生のギャンブル」

アイドルマスターシンデレラガールズです。兵藤レナさんがメインのお話です。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468249213



夜 モバPアパート





モバP(以下P)「はーい……どちら様ですかーっと」



レナ「はぁーい♪」



P「……お引き取り下さい」



レナ「ちょっとちょっと! いきなりそれはひどいんじゃないかしら!?」



P「やだ! 絶対面倒くさいことになる!」



レナ「ああ、もう。面倒くさいわね! いいから、入れなさいよ!」



P「い〜や〜だ〜!!」



レナ「Pくんは私を寒空の元に放り出そうって言うのね……」



P「家帰れよ!」



レナ「帰れるわけないでしょ!」



P「土下座すればおじさんもおばさんも許してくれるだろ!」



レナ「この歳で両親に土下座とかみっともないわよ!」



P「俺の家に押し入ろうとするのはみっともなくないのかよ!」



レナ「それとこれとは話が別よ! 入れなさい!」



P「やだ!」





レナ「そう……わかったわ」



P「わかったならさっさと実家帰れよ」



レナ「今から大声で『捨てないで!』って泣き叫ぶわ」



P「は?」



レナ「『私が悪かったから! 浮気ぐらい気にしないから! 捨てないで!』って泣き叫ぶ」



P「え?」



レナ「入れてくれるなら言わないけど、どうする?」



P「……ああ、もう! 分かったよ! 入れよ! 入れればいいんだろ!」



レナ「あら♪ 優しいのね」



P「ちくしょう……」



レナ「おっじゃましま〜す♪」



P「にしても本当に何しに来たんだよ」



レナ「あら、結構広いのね」



P「答えてください!」





レナ「こっちに戻ってきたのよ。ディーラー辞めて」



P「はぁ? マジでディーラーなんてやってたの?」



レナ「なによ、家出る時に言ったでしょ? 世界一のディーラーになるって」



P「確かに言ってたけど、もう何年も音信不通だったし」



レナ「あら? 心配してくれてたの?」



P「おじさんとおばさんがな。俺は居なくなって清々してた」



レナ「まったく、素直じゃないわね」



P「というか、戻ってきたならますます家に帰ればいいじゃんか」



レナ「明日面接があるのよ。で、実家よりここの方が近いの」



P「え、なにホテル代わりに使うって事?」



レナ「そ♪ とりあえずシャワー借りるわね」



P「えー……」







レナ「ふぅ……さっぱりしたわ。ありがとね」



P「どういたしまして……というか服着ろよ」



レナ「あら、良いじゃない。Pくんと私の仲なんだし♪」



P「そういう問題じゃない」



レナ「我慢、できなくなっちゃう?」



P「馬鹿?」



レナ「Pくんよりは頭良いわよ」



P「はぁ……わかったよ……。というか俺、明日も仕事早いからもう寝たいんだけど」



レナ「何時に出るの?」



P「7時半には出るよ。明日新人さん来るらしいから早めに準備しないと」



レナ「そう。7時半ね。わかったわ」



P「寝室そっちだから」



レナ「あら、ベッド貸してくれるの?」



P「どうせ言わなくても使うつもりでしょ」



レナ「よくわかってるわね♪ Pくんはどこで寝るの?」



P「俺はリビングのソファで寝るよ」



レナ「一緒に寝る?」



P「馬鹿だろ?」



レナ「もうっ、つれないわね」



P「はいはい、おやすみおやすみ」









翌日



レナ「ほら、起きなさい」



P「んぅ……」



P「あれ……なんで……?」



レナ「ほら、朝ごはん出来てるわよ。顔洗ってきなさい」



P「はい……」





レナ、P「「いただきます」」



P「料理出来たんだ」



レナ「そりゃアメリカでは一人暮らしだったもの。最低限くらいは出来るわよ」



P「ふーん」



レナ「それより鍵貸してくれない?」



P「えー……」



レナ「私、Pくんより後に出るから戸締りしたいの」



P「そういや面接だっけ」



レナ「えぇ、9時にって言われてるから8時頃出るつもり」



P「ポストに入れといて。絶対に持ってかないでよ」



レナ「わかってるわよ」



レナ「ほら、そろそろ準備しないと遅刻しちゃうんじゃない?」



P「あ、やべ。ほんとだ」







P「じゃあとりあえず鍵は貸すけど、本当に持ってかないでよ」



レナ「わかってるわよ。あ、ちょっと待って」



P「ん?」



レナ「ネクタイ。曲がってるわよ」



レナ「……はい。これで良いわ。カッコいいわよ」



P「ありがと」



レナ「じゃあいってらっしゃい。お仕事頑張ってね♪」



P「ん、いってきます」



レナ「一宿の恩義があるし、家探し……もとい掃除だけはしてあげようかしらね」





レナ「さて……こんなもんかしらね」



レナ「そろそろ良い時間だし私も出ようかしら」



レナ「書置きだけしてっと……」



レナ「さぁ、兵藤レナの一世一代のギャンブルの始まりよ!」









CGプロ



P「はぁ……」



ちひろ「どうしたんですか? さっきからため息ばかりですけど」



P「いえ……夕べ色々ありまして……」



ちひろ「もう、しっかりしてくださいよ、今日から新しいアイドルの方がいらっしゃるんですから」



P「ええ、分かってますよ」



P「採用は決定なんですよね?」



ちひろ「はい。形だけ面接を行いますけど、採用は社長が承認済みです」



雪乃「新しい方がいらっしゃるんですか?」



ちひろ「そうですよ」



里美「ほわぁ……楽しみですぅ〜」



P「お前らはそれでいいかもしれんけどなぁ。俺は色々大変なんだぞ?」





雪乃「ふふっ。なら鋭気を養うためにもお茶に致しませんこと?」



里美「今日のお菓子はバームクーヘンですぅ〜」



ちひろ「お手伝いしますね♪」



P「こんな朝っぱらバームクーヘンか……朝飯しっかり食った胃にはハードな……」



P「まぁ、まだ時間あるしのんびりするか」



P「そういや、お前ら今日は午後からだろ? なんでいるんだ?」



里美「おにいちゃんに会いにきましたぁ」



雪乃「私は里美ちゃんに誘われたからですわ♪」



ちひろ「あらあら、相変わらずモテモテですね」



P「いやぁ、嬉しい限りだなぁー。その調子で仕事にもモテモテなら嬉しいんだけどなぁ……」



ちひろ「プロデューサーさんの最近の営業成績悪いですからね」



P「泣けるわ」





里美「おにいちゃん大丈夫ですかぁ? 私が膝枕して慰めてあげますぅ〜」



P「里美は優しいなぁ。でも寝てる場合じゃないからいいわ」



P「それより藍子は?」



P「愛海は……まぁ、そのうち来るだろ」



雪乃「藍子ちゃんでしたら、散歩してからこちらに来ると言っていましたわ」



P「間に合うんだろうな?」



雪乃「藍子ちゃんはしっかりものですし、大丈夫ですわ」



里美「はわぁ……」



ちひろ「のんびりですねぇ」



P「はいはい。というか、そろそろ準備しますよ。もう来ると思いますし」



ちひろ「はい♪」







レナ「んー……。ここね!」



レナ「さて、勝利の女神は私に微笑んでくれるのかしらね?」



レナ「ふふっ。楽しみね」



レナ「じゃあ、いきますか……すみませーん!」



ちひろ『どうぞー、開いてますよー』



レナ「失礼しまーす。今日の9時に約束していた兵藤ですが……」



P「ん? 兵藤?」



ちひろ「ようこそCGプロへ♪ こちらへどうぞ」



レナ「はい、失礼します。……んん!?」



P「……えっ!?」



レナ「えっ!?」



P、レナ「「どうしてここに!?」」



P、レナ「「というか面接って!?」」



ちひろ「えっ!?」





里美「ほわぁ……キレイな人ですぅ」



雪乃「お知り合い、ですか?」



P「ちょっと待った。ちょっと待った! どうしてここに居るんだよ! 面接じゃなかったのかよ!」



レナ「め、面接に来たのよ! それよりPくんこそどうしてここに居るのよ!?」



P「どうしてってここで働いてるからだよ!」



P「それより、ディーラーの次はアイドルって何考えてんだよ! おじさんとおばさんが聞いたら泣くぞ!」



レナ「両親の事を持ち出すなんて卑怯よ! それに私がアイドルやるのなんて私の勝手でしょう!?」



ちひろ「お、落ち着いてください!」



里美「おにいちゃん〜!」



雪乃「兵藤さんも落ち着いてください。ゆっくりお話ししましょう?」







ちひろ「えっと……、プロデューサーさんと兵藤さんは……」



レナ「レナでいいわよ」



ちひろ「では、レナさんとプロデューサーさんはお知り合いなんですね?」



P「ええ、まぁ……」



レナ「そうよ。家が隣でね。手のかかる弟って感じよ」



里美「おにいちゃんのおねえちゃんですかぁ〜?」



レナ「Pくん……いくらなんでも自分を『おにいちゃん』って呼ばせるのはどうかと思うわよ」



P「馬鹿か。里美が勝手に呼んでるだけだわ」



雪乃「お茶が入りましたわ。紅茶がお嫌いじゃなければいいですけど……」



レナ「あら、ありがとう。大丈夫よ」



レナ「美味しいわね。これ」



雪乃「まぁ、ありがとうございます。とっても美味しい葉っぱですからゆっくり味わってくださいね」





レナ「二人とも可愛いわね。どっち狙いなの?」



P「馬鹿なの? ねぇ?」



レナ「それにしても……巨乳ばっかりだけどPくんの趣味かしら?」



P「そんなわけないだろ、馬鹿なの?」



藍子「おはようございまーす」



愛海「おはようございまーす!」



P「ほら! 見ろ! 貧乳だって居る――っていってぇ! 何すんだ!」



藍子「いいいきなり人をひん……なんて言うからですよ!」



レナ「Pくんが悪いわね」



雪乃「ですね」



里美「ほわぁ……」



愛海「プロデューサー。藍子さんのお山には藍子さんのお山だからこその魅力が詰まってるんだよ? お山に大きいも小さいもないんだよ? お山がそこにあるって言う事実だけで人類は平和になれるんだ」



レナ「お、お山……?」





藍子「……ところで、こちらの方は?」



ちひろ「あ、こちらは今日からうちでアイドルをする事になった兵藤レナさんですよ」



レナ「あら? 面接はいいの?」



ちひろ「はい♪ 採用だけは決定してましたからね。形だけ面接する予定だったんですよ」



P「待った! 面接する!」



ちひろ「はい?」



P「面接だ。そして落とす。不採用にしてやる」



ちひろ「何馬鹿な事言ってるんですか」



雪乃「そうですわ」



P「うるせぇ! 誰が何と言おうと不採用だ!」



レナ「……そうよね。Pくんは私が嫌いだものね」



藍子「ちょっと、プロデューサーさん! レナさんが可哀想ですよ!」



P「藍子! お前は騙されてるんだ!」



愛海「そうだよ! こんなに素晴らしいお山の持ち主を不採用なんて、事務所の……いや、世界の損失だよ!」



P「愛海は何を言ってやがる!」



レナ「ぐすっ……せっかく憧れてたアイドルになれると思ったのに……」



里美「泣かないでくださぃ〜」



雪乃「Pさん。いくら何でもひどすぎますわ!」



P「お前らになんと言われようと嫌なもんは嫌だ」



里美「どうしてそんなに嫌がるんですかぁ?」



P「嫌なもんは嫌なの!」





P「それにだ! アイドルの前にやる事あるだろ!」



レナ「ふーん? 例えば何かしら?」



P「とりあえず兵藤家に連行する」



レナ「なっ!?」



P「ふははは! おじさんとおばさんにたっぷり絞られるといい!」



レナ「馬鹿な事言うんじゃないわよ! こっちに戻ってることすら秘密にしてるのに!」



P「なんだと? それは良い事を聞いた! さぁ! 通報されたくなければ大人しくするんだな!」



レナ「くっ……卑怯よ!」



ちひろ「はい。そこまでです」



ちひろ「プロデューサーさんもあんまり無茶言わないでください。採用は決定です」



P「くそったれぇ……」



ちひろ「まったく。どうしてそんなに嫌がるんですか? プロデュース楽しいって言ってたのに」



P「何が悲しくてねーちゃんのプロデュースなんか……」





雪乃「『ねーちゃん』?」



P「あ、やべ」



藍子「『ねーちゃん』って呼んでるんですか?」



レナ「ん? そうよ。Pくんは子供の頃からずっと私の事をねーちゃんねーちゃんって」



P「やめろ! 俺の過去を話すな! 俺の恥を言いふらすな!」



里美「おにいちゃんの子供の頃の話もっと聞きたいですぅ」



雪乃「そうですわ。せっかくですし」



藍子「プロデューサーさんの子供時代ですか……興味ありますね」



愛海「あたしはレナさんのお山がいつ頃から豊かになったのかに興味があります!」



P「くそったれぇ……」









レナ「子供の頃のPは女の子みたいに可愛くてね」



レナ「私の後ろをいつも『ねーちゃんねーちゃん』ってついてきて」



雪乃「まぁ、とっても可愛らしいですわ!」



藍子「そうですね。今のプロデューサーさんからは想像もつきませんね」



里美「おにいちゃんはカッコいいもんねぇ」



愛海「子供の頃のレナさんのお山と一緒に成長してきたとか……プロデューサーずるいよ!」







P「死にたい」



ちひろ「馬鹿な事言ってないで働いてください」



P「ちひろさん」



ちひろ「はい?」



P「旅に出ます」



ちひろ「その書類終わったらどうぞ」



P「ちくしょう……」



P「というか、お前ら時間だぞ。仕事行けー」



雪乃「もうそんな時間ですか?」



P「藍子のゆるふわ空間に巻き込まれたからな。ほら、さっさと行く」



里美「おにいちゃんは一緒ですかぁ?」



雪乃「ふふっ。残念ですけど、今日は私とご一緒ですわ」



レナ「モテモテね」



P「うるさいな」



P「ねーちゃんはどうする?」



レナ「どうするって?」



P「雪乃の付き添いに行くけど、来る? 忙しいなら帰ってもいいけど」



レナ「んー、そうね。せっかくだしついていこうかしら」



P「はぁ……仕方ないからついでにねーちゃんの営業もするか……」



ちひろ「頑張ってくださいね」







車内



レナ「今日のお仕事って?」



雪乃「私がやっている番組の収録ですわ」



レナ「どんな番組なのかしら?」



P「紅茶に合うお菓子を取り寄せてその土地の良いところを紹介する番組だ」



レナ「旅しない旅番組って感じ?」



雪乃「そうですわね。幸いにもたくさんお声をかけて頂けるので続いている番組ですわ」



P「雪乃が紹介したとこはその週の観光客がアップするってんでな」



P「ほら、ついたぞ」







TV局 スタジオ



レナ「へぇ〜日本のスタジオってこんな風になってるのね」



P「アメリカは違うの?」



レナ「テレビには出た事あるけど、スタジオまでは行かなかったからわからないわね」



P「なんだそれ」



P「……ねぇ」



レナ「何かしら」



P「本当にアイドルやるの?」



レナ「やるわよ?」



P「おじさんとおばさんには何て言うんだよ」



レナ「言わないわよ。どうせ実家には帰るつもりないし、バレるまで言わない」



P「はぁ……ますます怒られるぞ……」





レナ「ディーラーって時点で相当だしね。仕方ないわよ」



P「5年も連絡なしだもんなぁ」



レナ「良いじゃない。生きてたんだし」



P「そういう問題じゃないだろ」



レナ「しばらく見ないうちに口うるさくなったわね」



P「俺はねーちゃんと違って堅実に歳取ったから」



レナ「堅実ね……」



P「ねーちゃんが嫌いそうな言葉だけどね」



レナ「……」



P「さて、そろそろ収録も終わるし帰りますよっと」



レナ「はいはい」







CGプロ



P「ただいま戻りました」



雪乃「戻りましたわ」



レナ「ただいまー」



ちひろ「おかえりなさい。早かったですね」



P「雪乃ですし。一発撮りの上、タイムテーブル順守してくれました」



雪乃「ふふっ。Pさんが見ていてくれましたから」



レナ「あらあら」



P「藍子達は?」



ちひろ「みんなもう帰りましたよ」



P「何か言ってましたか?」



ちひろ「次はついてきてくださいねって言ってましたよ」



ちひろ「愛海ちゃんは……その……ね?」



P「いつもと同じようにまたお山についてですか……まぁいいや」





P「で、雪乃は今日の仕事は終わりだけどどうする? 帰るなら送っていくけど」



雪乃「では、お言葉に甘えさせていただきますわ」



P「ねーちゃんは?」



レナ「私はもうちょっと残ってるわ。少し勉強したいし」



P「はいよ。じゃあ行くぞ」



雪乃「はい♪」



レナ「……ちひろさん」



ちひろ「はい? どうしました?」



レナ「Pくんはちゃんとやれてる?」



ちひろ「ええ、我が社の優秀なプロデューサーさんですよ」



レナ「そう、ならよかったわ」



ちひろ「心配でしたか?」



レナ「ちょっとね。昔は泣き虫だったし」



ちひろ「それはあんまり変わってないですよ。しょっちゅう泣きながら書類と戦ってます」



レナ「うふふ。やっぱりPくんはPくんなのね」



ちひろ「はい♪」



レナ「んー……、何か手伝えることあるかしら? 暇だし迷惑じゃなければ手伝うわよ」



ちひろ「じゃあこっちの書類整理お願いしてもいいですか?」



レナ「えぇ!」







P「ただいま戻りましたー」



ちひろ「おかえりなさい」



レナ「おかえり」



P「何してんの?」



レナ「お手伝いよ」



P「そんな事しなくていいのに……」



レナ「だってPくん居ないと帰れないじゃない? 鍵はポストに入れてきちゃったし」



P「あー……そっかー……」



P「えっ……まさかうちに来るの?」



レナ「実家には戻れないし、Pくんのところしか行くところないもの」



P「ちひろさん!」



ちひろ「いやです♪」



P「くそったれぇ……」





ちひろ「良いじゃないですか。聞けば数年ぶりにお会いするらしいですし、積もる話もあるんじゃないですか?」



レナ「そうねぇ。私がアメリカ行ってる間の話を聞きたいわね」



P「俺にはない……」



P「それにアイドルが男の家とかまずいだろ!」



ちひろ「レナさんはまだデビューしてないですし、大丈夫だと思いますよ」



レナ「決まりね♪」



P「ちくしょう……」



P「でも俺しばらく帰れないよ。仕事片付いてないし」



ちひろ「それならレナさんが」



P「え?」



レナ「ちひろさんに聞きながらだけど、やれるとこはやっといたわよ」



P「そんなばかな。ねーちゃんがそんな事してくれるなんて……」



レナ「何よ。昔から色々助けてあげたでしょ?」



P「そうだけどさ……」



レナ「さ♪ そういうわけだし帰りましょ♪」



ちひろ「お疲れ様です♪」



P「くそったれぇ……」







アパート



レナ「あ、ちょっと入るの待っててくれる?」



P「やだ」



レナ「良いから待ってなさい」



P「なんなんだよ……」



レナ「良いって言うまで入っちゃダメよ?」



P「俺の家だよな? な?」



レナ「はいはい」





レナ「戻ってくるつもりも、もう会うつもりもなかったから書置きに相当恥ずかしい事書いてたのよね……」



レナ「とりあえず処分して……っと」



レナ「んー。何か良い言い訳になりそうなものは……」



レナ「これでいっか」







P「はぁ……」



P(にしてもねーちゃんをプロデュース、か……)



P(確かにプロデューサーになった直後は考えてはいたけど……)



P「まさか諦めた頃に夢が叶うとはね……」



レナ『いいわよー』



P「あーい」



P「まったくなんな……ん……」



レナ「お帰りなさい♡」



P「な……なんちゅー格好してんだ!? 馬鹿じゃないの!?」



レナ「あら? 好きだったんじゃないの? 裸エプロン」



P「いや……そりゃ……好きだけど……」



P「というかなんで知ってるの!?」



レナ「タンスの上から二番目の引き出しの中」



P「!?」



レナ「昔から変わってないわねぇ」



P「昔!? なんで!? なんで知ってるの!?」





レナ「? おばさまから相談されたからよ?」



P「おかんから!? どういうこと!?」



レナ「『あの子ったら胸の大きな女の子のえっちな本しか持ってないのよ……』って」



P「……死にたい」



レナ「まぁまぁ。お望み通りの裸エプロンよ? どう?」



P「くっだらねぇ」



レナ「あら? ダメだったかしら?」



P「ねーちゃんがやったところでね……」



レナ「んー、それもそうね」



レナ「Pくんは私の裸なんて見慣れてるものね」



P「誤解を招くような事言わないで頂けます!? ねーちゃんが勝手に裸でうろうろしてただけでしょ!?」



P「それに俺が中学生とかの時の話だろ!」



レナ「んー、懐かしいわねぇ」



P「もうやだこの人」



レナ「……というか冷えてきたしそろそろ服着ていいかしら?」



P「馬鹿なの? ねぇ、馬鹿なの?」







P「ほら、ココア」



レナ「あら、気が利くわね」



P「風邪引くと延々と泣き続けるからうざいし」



レナ「し、失礼ね! もう泣かないわよ」



P「そうなん?」



レナ「アメリカでは嫌そうな顔しながら看病してくれる人居なかったしね」



P「……へーへー」



P「というか、彼氏とか居なかったの?」



レナ「居なかったわよ。そんな暇なかったし」



P「辛かった?」



レナ「そう……ね。その分楽しかったけど、やっぱり辛い事も多かったかしら」



レナ「何度日本に帰ろうか悩んだことか」



P「でも帰ってこなかったじゃん」



レナ「Pくんにみっともない姿見せたくなかったしね」



P「いきなり押しかけて散々大人げない素振りをしたのはみっともなくなかったと?」





レナ「それは……その……頼れる人がPくんしか居なかったし……見捨てられたら……困るし……」



P「……見捨てねーよ……」



レナ「ん? 何か言ったかしら?」



P「なんも」



レナ「そう?」



P「うん」



レナ「ねぇ、Pくん」



P「ん?」



レナ「ありがとね。見捨てないでくれて」



P「聞こえてるじゃねぇか!」



レナ「ふふっ。どうかしらね?」



P「あー、もうほんとこいつやだー」





レナ「ディーラーはポーカーフェイスじゃないと勤まらないのよ」



P「……アイドルはポーカーフェイスじゃダメだぞ」



レナ「あら、ポーカーフェイスは何も無表情ってわけじゃないわよ?」



レナ「どんな事にも動じずに、お客を楽しませなきゃいけないんだから、内心を悟られないように笑顔を作るのもポーカーフェイスよ」



P「へいへい……」



P「じゃあ精々そのご自慢のポーカーフェイスでアイドル頑張ってください」



レナ「もちろんよ!」



P「……アイドルもディーラー以上にギャンブルだから、多分楽しいよ」



レナ「普通はそうみたいね」



P「普通は?」



レナ「私も人生をかけたギャンブルだと思ってたけど、もう勝ちは決まってるもの」



P「はぁ?」





レナ「だってPくんがプロデューサーでしょ? なら私はアイドルとして成功できるわ」



P「買いかぶりすぎ」



レナ「そんなことないわよ。いつだって私の夢を叶えてくれたPくんなんだから」



P「叶えた記憶はないけど」



レナ「ふふっ。叶えてくれたのよ」



P「わけわからん」



レナ「いつか……教えてあげるわ」



P「へいへい。じゃあその時を楽しみにしときますよ」



レナ「えぇ!」



レナ「ところでPくんはいつ休みなの?」



P「明日は休みだけど……」



レナ「私って明日お仕事あるのかしら?」



P「いや、採用はしたけどまだアイドルとして活動するのはもうちょい先」



レナ「じゃあ明日は私もお休みって事ね!」



P「まぁ、そうだけど」





レナ「じゃあ明日は買い物に行きましょう?」



P「俺も?」



レナ「ええ。布団とか買わないといけないし、その他生活必需品は必要でしょ?」



P「まぁ、そうねぇ。というか住むとこ決まったんだ。どこにしたの?」



レナ「? ここだけど?」



P「ここ?」



P「このアパートに空きあったの?」



レナ「いえ、この部屋よ?」



P「は?」



レナ「だから、Pくんの部屋よ」



P「はぁ!?」



レナ「昔だって一緒に住んでたようなもんじゃない」



P「それとこれとはわけが違う! やだ! 出てって!」



レナ「外で見捨てないでって叫ぶわよ」



P「ちくしょう……」



レナ「良いじゃない。私、Pくんの事好きだし、Pくんも私の事好きでしょ? 何も問題ないわね」



P「……だから問題なんだよ……」



レナ「? 何か言ったかしら?」



P「なんでもねーよ! もう!」



レナ「じゃあ、改めてこれから色々よろしくね、Pくん♪」



P「くそったれぇ……」



End





22:30│兵藤レナ 
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