2016年07月15日

美優「明日咲(あじさい)」

<注意>



・モバマス、三船美優さんのSSです



・三船さんの一人語りの形です





・この三船さんにはまだ声がついてません



以上でもおkでしたら、このままどうぞ



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468040286





…今日は、ありがとうございました…





いえ…そんな……過褒ですよ、『鎌倉マイスター』なんて…





…ありがとう、ございます………





こうしてご縁をいただけることが、なにより幸せです…



オンエア、楽しみにしていますね





…………では



ピピッ

おつかれさまでした、Pさん…



あらあら……傘もささずに…スーツよれよれですよ





…ええ確かに、雨にけぶる鎌倉も、らしいですけれど…





はい、これどうぞ…



……まだ全然拭えていないじゃないですか、貸してください、ほら…



…もうPさんったら、『お母さん』なんかじゃないですよ……



……風邪でもひいたら…その…心配、するじゃないですか





……………みんなが……



<マモナク 2バンセンニ カイソク ウサミン ユキガ マイリマス





……あの、





…あ、いえ、たいしたことでは……ないんです、けれど…………





このあと…Pさんのご予定は…?





……『直帰』……そうですか…





え?………あぁその、なんでも……ただ、ちょっと…………





あ、電車、来ましたよ

ガタンゴトン





……………





 …今日、





!! ご、ごめんなさい………急に話し出して……驚かれ、ました…よね?





いえほんとうに、たいしたことではないのですが、その……



今日の私…どうでしたか?





……!!



……そう……ですか…………





……やっぱり、Pさんはよく見ていらっしゃいますね…





えーと……なんでしょう一言では……云えない…



…胸の奥が、もやもやと………





………………





プシュー



[北鎌倉]





よし…………………Pさん、





降りましょう!



    グイッ







プシュー



ガタンゴトン.....





……ごめんなさい、急に……



このあと直帰されると聞いて、つい…





……実は、その……この近くに…あるんですよ……



私の、『隠れ家』が





ピッ

drrrr



「もしもし……はい、三船です……ご無沙汰で……」



「……実は……今日だけは……二人、なんです……」



「………よろしいですか?ご無理言ってすみません」



「……北鎌倉の駅です、歩いて向かいますので……」



「はい………では」



ピッ





行きましょうか、Pさん





………なんでもありませんよ、ちょっとした『鎌倉マイスター』の伝です、ふふっ





ギィ



おじゃまします、三船です





……はい、食事はいただいてきましたので、ディジェスティフだけで……





…………Pさん………



Pさんっ





あまりその……きょろきょろしていると……おのぼりさんみたいですよ





……画廊なんです、お昼は



夜になると、なじみの人にだけ 開けてくれる……





………ええ、番組とかに関係なく、鎌倉をお散歩したら、いつも最後は……ここですね





………気になりますか?



お連れしたの、Pさんが初めてですよ



ここは隠れ家ですから……





……ええ、『隠れ家』……





…乾杯







……ふぅ…



ちょっと強い…ディジェスティフ、ですね…





……………



……………



……………





……あの……



ほんっとうに、まとまりのないお話に、なっちゃいそうなんですけれど…



聞いて……下さいますか?





……Pさんに、クリスマスでした、声をかけていただいて……



…「見つけてもらった」と、言ってもいいくらい…





あのときの私は……思い出すのも嫌なくらい、自暴自棄で……



自分なんか、消えてなくなってしまった方がいい……



…本気でそう、思い詰めていました





キャリアウーマン、本気で目指してたんですよ



いっぱい、趣味も広げて、スキルも磨いて……



でも…いつも周りからは一周遅れ……





面と向かっては、みな言いませんでしたけれど



「器用貧乏」「乗り遅れちゃった人」って…後ろ指さされ続けて……





認めたくなかった、人生を失敗したなんて、思いたくなかった………



自分から逃げるように 目の前の仕事や趣味に がむしゃらに頑張っているうちに、





突然ぷつんと……私の中の「張り」が、切れちゃったんです…





そんなときPさんに見つけてもらって……私には未来ができました



いろんなアイドルがいて、毎日が刺激的で、楽しくて……



こんな日々が続いてゆくなんて、OL時代の自分には思いもよらなかった…





何も自分の中に信じられるものがなかった頃の私を



導いてくれたPさんに……



心から…感謝しています……





………ごめんなさい、つい私ばかり喋ってしまって……





………確かに、話を聞いてほしいがために、ここまでお連れしたんですが……





………優しいんですね、Pさん………お言葉に甘えちゃいますよ





では…もう少し……





………時々「これでいいのかしら」って、疑問に思う衣装を



用意されて、戸惑うことが…その…あります…





でも、Pさんの見立ての腕はいつも確かなので、きっとこの路線で大丈夫だと、信じています



……「がおー」とか…………恥ずかしい、ですけど///





そういうとき、いつも思っていることがあるんです





Pさんは、すぐ後ろを振り返ってしまう私に



前を向かせようとしてくれているんだ、と











……そう、今でも、なんです……



後ろ向きに、物事を、自分を、とらえてしまう時が



いまだに……あるんです









Pさんが心血を注いで、アイドル三船美優を



花咲かせよう、前向きにプロデュースしようと



頑張っているのが……とてもよく伝わって………





だから、いつも…………言えなかったんです





過去にとらわれ、何も取り柄のない年増のおばさんであると思い込むほうが



得心のゆく瞬間がある……なんて





だって…そうじゃないですか



アイドルとして、私は確かに生まれ変われました……



でも、その私をつくってきたのは「過去の私」なんです





どんなに不本意でも、いままで生きてきて身についたことで



私という人間の今は、できているんです



ゴルフも、アロマも、人を見る目も………みんな、みんな………





幻滅……してしまったでしょう?



こんなにも………弱い……暗い………面を持った



………女なんです……私…





さっきPさんが仰った、『今日の三船さんは どこか影がきざしていた』という言葉に



どきっ、として………



見透かされていた、逃げも隠れもできない………



だから、こんなこと……話して、しまいました…



ごめんなさい…





ロケの途中で、訪れましたよね……東慶寺…



「縁切寺」って……言われている…



今も…すぐそこにありますけれど





女の身だけでは、離婚が認められない時代だった、とはいえ…



過去の自分を全て断ち切って……修行に専心する…



その人たちの境地には………私、とても至れない……





過去など無い、すっぱり新しい人間「三船美優」になれたら



どんなにいいだろう、とも思うんですけれど……



次の瞬間……やっぱり無理だ、って気づくんです…





自分が中途半端で…



こんな恵まれた世界にいても、なんの迷いもなく生きられるあかしを



……掴めている実感が、いまだになくて……





……今日の私、やっぱり……ちょっと……おかしい、です…



いままで、東慶寺を訪れても、後ろめたさなんか感じたこと、なかったのに



…………どうしちゃったんでしょう





……Pさんが、訊かれても困るのも…よく、わかるんですけれど……



私の、私の心の中の、折り合いの問題ですから………





ああもうなんで……こんな話、Pさんにしちゃったんだろう………



私にあるのは過去だけ……



明日の私をつくってくれるPさんには………きっと詮無いこと……





私には………私が明日に生きてゆくには………





………………



………………



………………





………あなたを信じるしか……ないのに………









………あなたがいなければ…………なにもない女になってしまうのに………









……いやだ……Pさん………縁が……切れるなんて…………





…いや……いや……私……Pさんと…あなたと………縁が、切れたりしたら…………





……考えたくない……こわい………だめ……私………







Pさんっ!!



 ガバッ







………いかないで…………この縁………切れ、ない……で………お願い………





 ギュッ





……だめ……私、だめな……だめな……アイドル……ぐすっ…………



…捨て、ないで………ひっく……うぅ……もう……うう……



……私………明日が………ほしい………Pさんの………くれる……未来が……



…あぁ……なくなったら………もう………生きられ……ない……うぅっ……













…………………



…………………





……はぁ……あったかい………Pさんの胸………



……なでなで……うれしい………



………もうすこし、このまま…





……だめ、ですか?



…ごめんなさい……ほんとうに……めんどくさい女で…………





………ありがとう………ございます……





 ギュッ





はぁ……



………ずっと



ずっと……この瞬間が………続いてくれたらなぁ………





……無理ですよね……



…わかっています………



わかっていますから………せめて……





自分で、明日の私の色を、決められる………その日までは……





アイドル 三船美優のプロデュース………してくれますか?





………ええ……がんばります………



…すぐには変われない……と、思うので………





また後ろ向きの私に、戻ってしまったら……



前を向けるように……してほしい、です





今、からっぽな私の………色のない、花咲く実感のない私の……



お願い事、です





それと………



Pさんのぬくもり……



今晩、ずうっと……欲しいです……///





……儚い約束がわりに……こうしていたい……





……もう



時計なんか見て………ふふっ





…………終電、なくなっちゃいましたよ………







おわり



23:30│三船美優 
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