2016年08月03日

モバP「先輩の道程」




てくてくてく・・・







アヤ「オース泰葉ー」



こずえ「おっすー…」



泰葉「おはようございます」ペコ



アヤ「仕事?」



泰葉「はい。今戻ってきたところです」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468594816



アヤ「時間空いてるか? ちょっとでいいんだけどさ」



泰葉「ええ、この後はオフなので……」



アヤ「助かった! いやあ、ちょっと服のことでさあ……」



泰葉「服、ですか?」



アヤ「そうそう! で、アタシ今度格闘誌に載せてもらえることになったんだけどな?」



泰葉「それは…おめでとうございます」ニコ



アヤ「おう! で……『格闘女子』って触れ込みで載ることになったんだよな」



アヤ「そんで『なるべくガーリーな感じでお願いしまーす』なんて言われたはいいけど、アタシそんなの分かんないし……」



アヤ「泰葉ってモデルもやってたんだよな? 相談乗ってくれ、頼む!」



泰葉「なるほど……私でよければ」



アヤ「ありがと、助かった!」



――――





泰葉「――折角ですからここも強調していく感じで…」



アヤ「お、おおう……アタシこんなの着て大丈夫か……?」



泰葉「もちろん。アイドルなんですから」



アヤ「そ、そうか? うん、そうだよな!」



こずえ「たのしみだねー…」



アヤ「ああ。ありがとな、泰葉」



泰葉「いえ、参考になれば」



アヤ「それと誕生日おめでとさん! これプレゼントな」



泰葉「……って?」



アヤ「こずえと選んだんだ。美味いぞ!」



泰葉「あ…ありがとうございます」



アヤ「プロデューサーなら今は資料室にいるから。そんじゃあな!」



こずえ「またねー」バイバイ



泰葉「は、はあ……」フリフリ



泰葉「……?」テクテク







ギャーワー





清美「もー! いい加減出てきてくださいよ!」グイグイ



乃々「てこでも動きませんけど……!」



清美「特番に穴を開けるつもりですかぁ……!!」グイグイ



乃々「放っといてぇー……!」グググ

泰葉「どうしたんですか?」



清美「ああ助かった! ほら乃々さん、泰葉さんですよ!」



乃々「いーやぁー……」



清美「乃々さんってば、『CD収録したんだからこれ以上は勘弁して』って頑として動いてくれないんです!」



清美「CD出すからこそ仕事が増えるんでしょうが……!」グググ



乃々「一生分やり尽くしたんですけどぉ……!!」グギギ



泰葉「……」フム・・・

泰葉「乃々さん」



乃々「うう……」チラ



泰葉「お仕事、楽しくないですか?」



乃々「い、いえ……そういうワケでは……」



乃々「ただ……いくらなんでも責任が重すぎて……」



泰葉「……たとえば、一人だけが見ているのなら頑張れる?」



乃々「そ、それくらいなら……なんとか」ゴニョゴニョ



泰葉「じゃあその誰か一人を思い浮かべて、その一人のために頑張ってみて」



泰葉「そしたら自然と、そうやってリラックスしてる乃々さんのことを、乃々さんのことを好きな皆が見てくれるから」



乃々「うぅ……」

乃々「い、行ってきます……」ヒョコリ



清美「そ、そうですか……それならよかった」



泰葉「それに、緊張してるくらいでいいかもね。そういう所も好かれてるんだから」



乃々「あう……。あ、それと岡崎さん誕生日おめでとうございます……これ」



清美「私からも。伊達眼鏡にこだわりがあるということだったので!」



泰葉「わ、ありがとうございます……こだわり?」



清美「え? だって春菜さんが……」



泰葉「ああ、そういう……ふふっ、ありがとうございます」



清美「さ、乃々さん! ついて行ってあげますから!」



乃々「や、やっぱりもりくぼはぁ…………」



清美「ダメです行きましょうー! じゃあすみません、私達はこれで!」



泰葉「行ってらっしゃい」ニコ



清美「それと、プロデューサーさんなら資料室だと思いますよー!」



泰葉「は、はぁ……」







泰葉「乃々さんのプレゼント……後にしておこう」テクテク







ウーンウーン





桃華「台本の通りに進んだ筈なのに……」



薫「うーんと、うーんと……」



小春「一体どうしたらいいんでしょう〜?」

泰葉「どうしたの?」



桃華「あら、泰葉さん」



薫「あのね、ももかちゃんがドラマですっごく困ってるんだってー!」



小春「小春たちでがんばって考えてるんですけど〜……」



泰葉「どのシーン? 力になれるといいけど……」



桃華「いえ、どのシーンと言いますか……」

泰葉「――どうも監督さんのイメージと違うようで」



桃華「撮影がなかなか進みませんの……」



桃華「なぜですの? 完璧にこなしたはずなのに」



薫「かおるたちもね、ももかちゃんの演技見たけど何もわるいところが見つからないんだー……」



泰葉「うーん……良いのがよくないのかな?」



桃華「と、申しますと?」



泰葉「子役に求められる演技ってね、またちょっと違うんだ」



泰葉「桃華ちゃんはしっかり者だから、もう少し子供っぽさを出してみた方がいいのかもね」



桃華「こ、子供らしさ……。なるほど、レディーであるが故の障害ですわね……」



泰葉「……それか」



桃華「?」

泰葉「本当に全く何も言えなくなるほどの、完璧な演技を見せつけちゃうか」



泰葉「……これはとっても大変なことだけどね?」



桃華「……! わたくしならその程度、造作もありませんわ!」



泰葉「ふふっ、練習には付き合ってあげるから」



桃華「それではまた後日、スケジュールを合わせて……」



小春「小春も泰葉ちゃんの授業受けたいです〜♪」



薫「かおるもー! やすはせんせぇだね!」



泰葉「せ、先生……」

桃華「では、先のお礼を兼ねまして……はい」



泰葉「これって……?」



薫「せーのっ!」



「「「泰葉ちゃん(さん)お誕生日おめでとうございまー!」す〜♪」すわ!」



薫「これ、かおるのぶん!」



小春「これは小春とヒョウくんから〜」



泰葉「わっ、ありがとう……(ヒョウくん?)」



桃華「それでは、わたくし達はレッスンがあるのでここで」シャナリ



薫「あのね! L.M.B.Gにみりあちゃんとになちゃんが入ったんだー!」バイバイ



小春「たくさん頑張らなきゃ〜」バイバイ



泰葉「頑張ってね」バイバイ



ヒョウくん「…………」



泰葉「……?」



ヒョウさん「プロデューサーならそろそろオフィスに戻ってるぜ」



泰葉「!?!?!?」





ノソノソ・・・

泰葉「アレは一体……」テクテク



泰葉「紙袋からいい香り……紅茶かな?」テクテク







ペシィンッ





悠貴「こいこいですっ!」



周子「うっわ、結構チャレンジャーだね……」



悠貴「まだまだ負けませんよっ」



周子「そんじゃ、ほいっと。あがりで」



悠貴「ああ〜っ!」

泰葉「おはようございます」ヒョコッ



周子「おっつー」



悠貴「わぁ泰葉さん! おつくらさまですっ……あう」



周子「乙倉様?」



悠貴「自己紹介のクセで……」



泰葉「ふふっ……花札ですか?」



周子「お金は賭けてないよん」



悠貴「周子さんすっごく強いんですよっ!」



周子「キャシーにはメッタメタにされたけどねー」





悠貴「泰葉さんカタキとってくださいっ!」



周子「ふふーん、元シンデレラガールのあたしに勝てるもんか」



泰葉「試してみます? 私だって芸歴[ピーー]年ですよ」

周子「あっさり負けちった」



悠貴「やったーっ! やりましたーっ!」ピョイピョイ



泰葉「なんとかって感じですけどね」



周子「そんじゃ、勝った泰葉にはゴホービのー……ほい」



泰葉「……?(高そうな箱……)」



周子「ウチの実家のいっちばんイイやつ。誕生日祝いってことで」



悠貴「これは私からっ! 泰葉さんお誕生日おめでとうございますっ!」



泰葉「ありがとうございます……もしかしてわざと負けました?」



周子「さあ? どうだろうねー」



周子「あ、次の機会があったらダーツで勝負ね」



泰葉「わざとではないみたいですね、ふふっ」

悠貴「それとこれも……はいっ!」



泰葉「花火……?」



悠貴「夏ですからっ!」



周子「ちょうど雨も止んだみたいだしね」



泰葉「そうですか、ありがとうございます……折角ですからこれから一緒に」



周子「プロデューサーならそろそろ仕事終わる頃じゃない?」



悠貴「あ、そうですねっ!」



泰葉「はあ……」



――――――事務所オフィス





泰葉「Pさん」



P「ん、泰葉。お帰り」



泰葉「皆、教えてくれましたよ。Pさんの所にって」



P「はは、そうか。正確にゃ夜遅くからラジオ局に向かわなきゃならないが……」



プルル・・・



カチ



P「メール……『週末ですしお構いなく』ってさ」



泰葉「本当にそれだけですか?」



P「……花火でもするかぁ」



――――事務所そば、公園





ボボッ・・・



パチパチパチパチ・・・





泰葉「……結構長く続きますね、線香花火」



P「そうだな」ハナゴエ



泰葉「……息止めてません?」



P「いいや」ハナゴエ



泰葉「匂い、独特ですよね」



P「あ、やっぱりそう思う?」プハッ



泰葉「包み隠さず言っていいですよ? それも、素敵なことだと思うから」





パチパチパチ・・・





泰葉「皆さんに色々話しかけてもらって、色々頂いて……今日は素敵な日になりました」



P「桃華から凄い紅茶もらったろ?」



泰葉「はい……やっぱり紅茶だったんですね。まだ開けてなくて……」



P「アレな、俺の月収分くらいの値段するんだってさ。凄いよな」



泰葉「そ、そうなんですか? 大事に飲まないと」



P「いいや、気持ちってのはもっと豪快に受け止めてやるもんさ。な」



ボボ・・・フッ



P「おっ、消えた。完全燃焼か」



泰葉「ふふっ、Pさんらしいですね」



フッ・・・



泰葉「あ……」



P「泰葉もな」クス

P「大したもんさ。子役やってモデルやって、ずっと忙しくて……それでもまだ、アイドルに挑んでる」



泰葉「私を引っ張ってくれたのはPさんですよ?」



P「俺はあくまで泰葉の意思に従うよ。その方が良いと思うから」



泰葉「そうですか? ……どんなお願いしちゃおうかなー」



P「マジ?」



泰葉「冗談です、ふふっ……今は」

泰葉「アイドルって、結構何でもやるんですよね。着飾って、歌って、踊って……それだけじゃない」



P「ウチとか765さんの場合はな。専念する道もあるさ」



泰葉「いえ、いいんですそれで。今日もお芝居や服装のことを聞かれたりして……」



泰葉「これまでの私が無駄にならないのって、凄く嬉しくて」



P「そりゃよかった。俺もあれこれ仕事取ってきた甲斐がある。やっぱり、芸能活動続けてくれてるワケだしな」



泰葉「はい……。それにお友達や、姉妹みたいな存在も出来て」

P「楽しそうでよかった……まだ、続けてくれるか?」



泰葉「もちろん、これからもずっと。毎日の喜びを分け合える限り」



P「まだまだこれからだからな! 曲も出したいし!」



P「よっしゃ! 花火開けるぞ花火! ヘビ花火出そうぜ!!」



泰葉「チョイス」



P「冗談だよう……。爆竹投げるか、長崎名物だろ?」



泰葉「長崎……そうですか」



P「精霊流しは見たことあるがありゃ凄いな! 第三次世界大戦だ」



泰葉「また物騒な……」





ズダダダダダダダダダダダダダダ!!!!!



ナンジャァカチコミカァ!?



ジュウゲキセン!?・・・ナンダバクチクジャナイカ



イッタイナニガアッタノカオシエテチョウダイマナミドノ!







泰葉(この事務所はとっても騒がしくて)



泰葉(また怒濤のように沢山のプレゼントと、笑顔と、温かい言葉を貰いました)



泰葉(そして私も、誰かの誕生日になったら精一杯お祝いして)



泰葉(そうやって、誕生日ケーキみたいに幸せを分け合っていくんです)



泰葉(これからも……それが私の選んだ道だから)









おしまい



23:30│岡崎泰葉 
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