2016年08月16日

橘ありす「Pさんが誕生日にイチゴしかくれなかった」

7月31日 朝 ありすの部屋





ありす「今日は……7月31日」





ありす「7月30日でも8月1日でもなく、7月31日」



ありす「………」



ありす「私、朝起きてから何回カレンダーを見直したんだろう……」ハァ



ありす「朝起きて1回、顔を洗ってから1回、着替えてから1回、朝ご飯を食べてもう1回」



ありす「今まで、誕生日にこんなにそわそわしたことなんて……」



ありす「いい加減、そろそろ事務所に行かないと」





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事務所へ向かう途中



ありす(Pさん、いつも私より早く来てるから……まずは、『おはようございます』と挨拶をして)スタスタ



ありす(そうしたらきっと、『おはよう』って返してくれるだろうから……その後、さりげない感じで『ところでPさん。今日は何の日でしょう』って)



ありす「ちょっと練習」コホン



ありす「ときょっ」



ありす「………」



ありす「ふうー」



ありす「今のはなしに。もう一度」



ありす「とこりょっ」



ありす「………」



ありす「うぅ」



ありす「意識しすぎです……どう考えてもさりげなくできません」



ありす(だいたい、アレです。Pさんならきっと、こちらから言わずとも何か言ってくれるはず)



ありす(なんといっても、私のプロデューサーなんですから。いつものように、信じていれば応えてくれる)



ありす「………」



ありす「いつものように、か……いつの間にか、そこまで思えるようになっていたんだ」



ありす「………」フフ



ありす(今日はいつもよりずっと暑いなぁ……早く、事務所のエアコンで涼みましょう)



ありす(ついに事務所にたどり着きました)



ありす(Pさん、何をくれるのかな……っと、ダメダメ。あまり卑しい子になってはいけません)



ありす「いつものように、クールに、冷静に」スー、ハー





ガチャ



ありす「おはようございます」



P「あっ、ありす。おはよう」



ありす「お、おはようございますです」



ありす「………」ソワソワ



P「そうだ、ありす」



ありす「は、はいっ! なんでしょう!」



P「俺、これから急いで外でなきゃいけないんだ。だからとりあえずこれ、お誕生日おめでとう」



ありす「あ、えっ?」



P「じゃあ行ってきます! 夕方には戻るから!」ドタドタ



ガチャ、バタン





ありす「………」ポツーン



ありす「これ……プレゼント?」



ありす「………」



ありす「イチゴ、一パック……」



ありす「………」



その後





梨沙「ふーん、そんなことがあったのね」



晴「誕生日プレゼントがイチゴ一パックだけだった。それで朝から怒ってるんだな」



梨沙「確かに、誕生日ならもう少しトクベツなプレゼントが欲しいわよね」



ありす「怒ってません」



梨沙「いや怒ってるじゃない」



ありす「怒ってません。何を根拠に言いますか。私を論破してみせますか」



梨沙「そのやたら噛みついてくるような態度も証拠になると思うけど……」



晴「さっきからずっと、リスみたいな顔してるし」



ありす「リスみたいとはどういうことですか」



ありす「私がずっと頬を膨らませていることを指しているんですか」プクウーー!



梨沙「自覚あるんじゃないのよ!」



ありす「そこは自覚していますが、怒っていることにはつながりません」



ありす「これは顔の筋肉をほぐしているだけです。こう言えば怒っていることを証明できなくなるので私の勝ちです」ドヤァ



梨沙「いつから勝負になったのよ! ていうか、頬膨らませたままドヤ顔って微妙に器用なことしてるし!」



晴「……これじゃ橘ありすじゃなくて橘リスだな」



梨沙「………」シラーー



晴「い、いまのなし! なしだからなっ!」



梨沙「アンタそれ、楓や美羽並みよ……?」



ありす「ブフッ」



梨沙「ウケた!?」



晴「息が抜けてリスじゃなくなったぞ」



ありす「こほん。と、とにかく」



ありす「私は別に怒っていません」パクパク



ありす「今だって、怒りを紛らわそうとイチゴをやけ食いしているわけではありません」



ありす「普通にプレゼントをいただいているだけです。甘くておいしいです」パクパク



梨沙「おいしいんだ……」



ありす「そもそも、Pさんからのプレゼントにそこまで大きく期待していたわけではないんです。だからイチゴだけでも問題ないんです」



晴「一個もらってもいいか?」



ありす「………」



晴「いや、冗談だからそんなに悩むなよ」



梨沙「めっちゃくちゃ大事にしてるんじゃない。Pからのプレゼント」



梨沙「とりあえず、機嫌直しなさいよ。これじゃみんながプレゼント渡しにくいでしょ」



ありす「え?」



晴「Pだけじゃなくて、オレや梨沙たちだっていろいろ用意してるんだぜ? だから、あんまり気にしすぎるなよ」



ありす「………」



梨沙「返事っ」



ありす「は、はい!」



梨沙「よし!」



晴「それじゃ、まずはオレから!」



梨沙「あ、待ちなさいよアタシから!」



ありす「そんな、競争しなくても……ふふっ」



夕方







P「ただいま。やっと仕事が終わって帰ってこられた」



ありす「……おかえりなさい。皆さん、帰っちゃいましたよ」



P「遅くなっちゃったからな……ありすは、待っていてくれたのか?」



ありす「はい」



ありす「というより、皆さんが帰ったのは私とPさんの二人きりの時間を作るためといいますか」ボソッ



P「?」



ありす「な、なんでもないです」





ありす「それよりPさん。イチゴ、おいしくいただきました」



ありす「ありがとうございます」



P「ああ、うん。ごめんな、いきなりアレをぽんと渡しただけで」



ありす「いえ、いいんです。調べてみたら、値の張る品種のものだったようですし……私のために、ちゃんと選んでくれたことがわかりました」



ありす「だから、不満はありません」



P「そうか、ならよかった」



P「じゃあ、今からもうひとつのプレゼントを見せる時間だな」



ありす「え?」



P「どうした?」



ありす「プレゼント……だって、もう」



P「おいおい。さすがにイチゴだけで済ませるほど、俺は甲斐性なしじゃないぞ」



P「夜景のきれいな場所でディナーを予約してあるんだ。今から行こう」



P「ありすももう13歳だし、大人な雰囲気を味わってみるのもいいかと思ったんだ」



P「今朝急に厄介な仕事が入ってさ。予約の時間に間に合わせるために大忙しで……」



ありす「………」



P「ありす?」



ありす「あ、えっと。その」



ありす「ふたりっきり、ですか?」



P「もちろん。俺一人で、ありすお嬢様のエスコートができるかはわからないけど」



ありす「………」



ありす「えへへ……ありがとう、ございます」



ディナー中





ありす「おいしいです。このお肉」



P「気に入ってもらえたようでなにより」



ありす「はい……あ」



ありす「花火が……」



P「今日、ちょうど近くで花火大会があるんだ。それで、この席からだと窓越しにばっちり見える」



ありす「……素敵な演出です」



P「これは狙ってなかったんだけどな。幸運にもってやつだ」



ありす「それでも、うれしいです」



ありす「もしかして、私の願掛けがうまくいったのかも」



P「願掛け?」



ありす「はい」



ありす「今日は、勝負下着というものを選んできたんです」



P「」ブーッ



ありす「Pさん?」



P「いや、ありす。君……」



ありす「あ、えっと。確かに、下着のお話をするのは恥ずかしいですけど、でもPさん相手なら」モジモジ



P「そういう意味じゃなくて……いや、そういう意味でもあるんだけど」



P「ありす。勝負下着の意味、わかってるか?」



ありす「? 何か気合いを入れる時につけるものでは」



P「ああ、やっぱり……」



ありす「違うんですか? なら、私正しい答えが知りたいです」



P「……実はだな」



ありす「………」





P「――という感じで」



ありす「………」



ありす「………」プルプル





他の客「お、次はひときわ大きな花火が上がるらしいぞ」





ひゅ〜〜〜〜〜



ありす「………」カアアァ





ど〜〜〜ん!!!





ありす「うわあああああっ!!!」



P「花火が二重に爆発した」



ありす「待ってもらうしかありませえええん!!」



P「なんの話なんだ……」





おしまい





22:30│橘ありす 
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