2016年08月18日

雪美「夏の……思い出……」

注意

カブトムシについての話が出てきますが、昔の我が家が基準なので、絶対に正しいというわけではないと思います。

よろしくお願いします。



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ミーンミンミンミンミン……









モバP「自由研究?」



雪美「うん……去年までは……なかった…………から……」



モバP「小学生で自由研究ねぇ……俺何やってたか覚えてないや。小学生なんて遊んでなんぼだしなぁ」



ちひろ「その一言でプロデューサーさんがどんな小学生だったのか簡単に予想できますね」



モバP「いや、はは……昔はゲームも少なかったし、男子小学生の夏休みなんて大抵一緒でしたよ」



ちひろ「懐かしいですねぇ……」



モバP「川に泳ぎに行ったり、友達と虫取りに行ったり……あぁ、社会人にも夏休みが欲しいなぁ……」



雪美「……P?」



モバP「あ、ごめん。自由研究だったよな。ええと……アサガオの観察日記とかどうだろう?簡単だし」



雪美「……それ、去年まで……やってた……自由研究じゃ……なかった……けど」



モバP「あっ、そっかぁ……唯一思い出せる夏休みの課題だったんだけど」



ちひろ「日記とラジオ体操の出席カードの提出は私もありましたね」



モバP「ああ、そうですねぇ。楽しかったなぁ……とと、また話が脱線しそうだ。雪美」



雪美「……?」



モバP「自由研究っていうだけあって、何を調べたっていいんだよ。夏休みって時間がいっぱいあるだろ?だから、ゆっくりでいいんだよ。雪美の気になったことをみつけて、それを調べれば」



雪美「……じゃあ……私。……Pのこと…………調べる」



モバP「あー……ちょ、ちょっとそれは違うかな?あはは……」







ガチャ







莉嘉「おっはよー!」



モバP「おお、おはよう莉嘉。今日もテンション高いな」



莉嘉「えへへ、なんたって夏休みだし!早起きして来ちゃった☆」



モバP「ああ、羨ましいなぁ……」



ちひろ「おはよう、利嘉ちゃん。プロデューサーさんはすぐそうやって羨むのやめてくださいよ。私だって夏休みほしいです」



モバP「そうっすね……すみません、つい」



雪美「おはよう。…………莉嘉……それ……なに?」



モバP「あ、そうだ。俺も気になってたんだ。まぁ予想はつくけどさ」



莉嘉「あっ、二人とも良い所に目を付けたね!じゃじゃ〜ん!カブトムシ☆昨日見つけたの!」



モバP「やっぱりか。首に虫かごつけてたからそんな気はしてたんだけど」



雪美「カブトムシ……見たい…………」



莉嘉「いいよいいよ!はい!」コトッ







雪美「……黒い……」



モバP「おお、結構大きな雄カブトだな。角も立派だ」



莉嘉「えへへ、でしょでしょ?折角捕まえたから、逃がしちゃう前にPくん達に見せようと思ったの!」



モバP「ああ、ありがとな莉嘉……逃がしちゃうの?」



莉嘉「うん、飼育もアタシだけでやらないといけないから、お仕事と被っちゃう事を考えると大変だから」



モバP「美嘉は?」



莉嘉「あー……お姉ちゃんは」



モバP「?」



莉嘉「カブトムシ、ダメなんだよね……キモイーって言って」



モバP「ああ、なるほど……」



ちひろ「私もあんまり、得意じゃないかもしれないですね。昔はそうでもなかったのになぁ」



モバP「わかります。不思議ですよねぇ、昔は無視を素手で捕まえても全然平気だったのに」



ちひろ「私はそこまでではありませんでしたけど、昔より絶対に虫は苦手になりましたね」



莉嘉「カブトムシ、こんなにかわいいのに?」



モバP「まぁ、そんなもんなんだよ。美嘉の気持ちもわかる。莉嘉は……そのままでいてくれ、そっちのがいいよ」



莉嘉「え〜?それじゃアタシが子供みたいじゃん!」



モバP「子供のままでいた方がいいこともあるってことだよ。上手くは言えないけどな」



ちひろ「利嘉ちゃんには、是非ともその心を持ったまま成長してほしいですね」



莉嘉「ん〜……?二人ともよくわかんない!」









雪美「……莉嘉……」



莉嘉「どうしたの、雪美ちゃん?」



雪美「これ……逃がす……の?」



莉嘉「そうなっちゃうかな〜残念だけど」



雪美「じゃあ…………貰っても……いい?」



莉嘉「え?別にいいけど……」



雪美「ありがとう……莉嘉……決めた……カブトムシを……自由研究に…………する」



モバP「あ、なるほどな。でも、いいのか?さっきまで悩んでたのにそんなに簡単に決めちゃって」



雪美「いい……私……カブトムシの事……あまり知らない……から…………気になった」



モバP「雪美がいいならそれでいいけど、折角なら事務所で飼うか?」



ちひろ「え゛っ」



モバP「いいじゃないですかちひろさん。雪美、多分家にいるより事務所にいる方が時間長いでしょうし、カブトムシが虫かごから出てくるわけでもないですし」



ちひろ「それは……まぁそうですけど」



莉嘉「それ、いいじゃん☆リカは賛成〜!」



モバP「ほら、莉嘉もそう言ってますし」



ちひろ「……はぁ、しょうがないですねぇ」



雪美「……ありがとう……ちひろ……」



莉嘉「やったやった〜☆」



ちひろ「その代わり、飼育はそちらでしっかりやってくださいね!私は手伝いませんから!」







モバP「くっ……はははっ」



ちひろ「なんです?」



モバP「いや、すみません。今の台詞で、俺の母親がカブトムシ飼育するのに渋った時の事を思い出しまして」



ちひろ「――――――っ」



モバP「ちょ……やめて叩かないで叩かないでください!他意はないですから!歳をとったことを陰に示してるとかそんなことないですからぁっ!」











カブトムシのかんさつ日記  1日目



私は、自由研究でカブトムシをかんさつすることに決めました。

りかの持ってきたカブトムシはとっても大きくて、とてもビックリしました。

じむしょで飼えることが決まってから、私はPと千秋といっしょに、カブトムシのための買い物に行きました。

カブトムシをかんさつするのは初めてたので、とても楽しみです。

これから、Pに色々と教えてもらいながらがんばってかんさつしていきたいです。





―――――――――――――――――――



千秋「……で、どうして私が呼ばれたのかしら?」



モバP「仕事終わりにつき合わせちゃって悪いとは思ってるよ。いや、千秋って雪美と仲がいい……っていうのは違うかもしれないけど、そんなイメージがあったから」



千秋「それは、そうかもしれないけど……」



モバP「それにさ……」コソッ



千秋「!」



モバP「結構大変なんだ、カブトムシの飼育って。案外手間もかかるし、それに……いや、いいや。雪美が世話をしてる時に俺が一緒にいられるとは限らないからさ。だから、頼むよ」



千秋「……まあ、構わないわ」



モバP「本当か!?」



千秋「ええ、私もそこまでは虫は苦手ではないもの。それに……」



モバP「それに?」



千秋「さっき、Pさんが言いかけたこと。私の想像が間違ってなければ……多分、その時は人がいた方がいいから」



モバP「……恩に着るよ、千秋。お礼と言ってはなんだけど、後で俺にできる事だったらなんでもするから」



千秋「……なんでも、ね。覚えておきなさいよ、それ」



モバP「ああ」





雪美「…………内緒話……終わった?」ジトッ



モバP「ああ、終わったよ。……あれ、なんか機嫌悪くね?」



雪美「内緒……寂しい…………」



千秋「ごめんなさいね、佐城さん。少し難しい話をしていたから」



雪美「ううん……いい…………」



モバP「よし、じゃあ行こうか。多分ホームセンターに行けば色々とそろってるはずだし」



雪美「……P……手」スッ



モバP「ああ、いいぞ」ギュッ



雪美「千秋も…………」スッ



千秋「ええ」ギュッ



雪美「これで……一緒……」



モバP「そうだな。……これだと、俺たちは家族に見えるのかな?」







千秋「か、かぞっ!?」



モバP「周りから見たら、きっと仲のいい三兄弟だ。…………あれ、なんで睨んでるの千秋?俺変なこと言った?」



雪美「…………鈍感…………」





モバP「よし、着いた着いた」



モバP(相変わらず千秋はゴキゲン斜めだけど……)



千秋「…………それで?」



モバP「え?」



雪美「……P……何を……買うの?」



モバP「ああ、そういうことね。飼育に必要なものは色々あるんだけど、とりあえずは飼育のための大きな虫かごと、おがくず。後は霧吹きと木とエサ……くらいかな」



千秋「案外色々と用意するものがあるのね」



モバP「うん、そうだな。森で生きてる昆虫を箱で飼育するんだから、よく考えたらこれでも足りるかって感じなんだけど」



雪美「P……おがくずって…………なに?」



モバP「ああ、土の代わりに下に敷き詰めるやつで、木を切った時に出る細かいクズなんだけど」



千秋「近くの土を入れてはダメなのかしら」



モバP「ええと、土があんまりきれいじゃないんだよ。菌とか虫とか、何が入ってるかわからないし」



千秋「ああ、なるほど」



モバP「まぁ、細かく挙げだしたらきりがないんだけどな。とりあえず、成虫を飼うんだったらおがくずで大丈夫なんだ」



千秋「あと、エサって、何を食べるのかしら?」



モバP「ゼリーだな」



千秋「ぜ、ゼリー?」



モバP「そ。市販のカブトムシのエサで一番ポピュラーなのがゼリーだ。あ、一応言っておくけど普通の俺達が食べるようなゼリーを置くわけじゃないぞ?ちゃんと専用のゼリーがあるんだ」



千秋「……色々と凄いのね」



モバP「でも、あのゼリー多分俺らが食っても問題ないんだよな。手についたの舐めたとき甘かったし…………おい、なんでそんな目で見るんだ二人とも」









雪美「……P…………」



千秋「貴方……」



モバP「ん、んん゛っ。よし、とりあえずさっき言った商品を集めよう。今日はそれで終わりで、雪美は送っていくから。千秋は飼育について教えるからもうちょっと付き合ってくれよ?」



千秋「ええわかったわ。行きましょう佐城さん、とりあえず、Pさんと繋いでいた手を洗わなければね」



雪美「……うん…………そうする」



モバP「ちょ、傷つくから!たとえ冗談でも傷つくからぁ!ち、ちあ……黒川さーん!雪美ぃ!」







かんさつ日記 2日目



朝、じむしょにきてPといっしょにカブトムシのための家を作りました。

土や木をつめるのは楽しかったです。

りかの持ってきた虫かごから大きな新しい箱にうつって、カブトムシはうれしそうに動き回っていました。

カブトムシをさわるのは、少しこわかったです。







―――――――――――――――――――



雪美「おはよう……P……」



モバP「おう、おはよう。言われた通り少し早めに来てくれたな。偉いぞ」ナデナデ



雪美「……うん……」



モバP「じゃ、早速だけどはじめようか。カブトムシのお家作りだ」



雪美「……お家……?」



モバP「そう。とは言っても、昨日買ったものを詰めるだけなんだけどな。ま、何時までも莉嘉の小さな虫かごに入れておくのも可哀想だから早めに作ってやろう」



雪美「うん……」



モバP「じゃ、やってご覧。まずは、おがくずを詰めて――――――」



モバP「……よし、完成だな!よくできたな、雪美」



雪美「……ありがとう……Pの…………おかげ……」



モバP「じゃあ、最後にカブトムシを掴んで移動させてみよう」



雪美「……えっ」



モバP「背中をゆっくりつかんでやるのがコツだな、ほら、やってみ?」



雪美「……っ」スッ







ツンツン



雪美「堅い……」



モバP「大丈夫、クワガタと違って挟まれたりはしないから」



雪美「……」スッ



グイッ



雪美「……!……離れない……」バッ



モバP「あっ、そっかぁ。最初は難しいよな。じゃあ、お手本を見せるから。こうやってお腹を掴んで……」ガシッ



雪美「!」



モバP「足が引っかかるから、小さい角を掴むよりもお腹を掴んでやった方が負担があんまりかからない……と個人的には思ってた。それで、ほら」スッ











スッ



モゾモゾ……



モバP「ま、こんな感じで。今回は俺がやっちゃったけど、次からは雪美もチャレンジしてみな?」



雪美「凄い……P……見直した……」



モバP「見直したって、お前なぁ……」







かんさつ日記 3日目



今日は、千秋といっしょにきりふきをしました。

きりふきは、水分をたもつのに必要らしいと、Pが教えてくれました。

きりふきをした時、カブトムシのためのゼリーが減っていたのでうれしかったです。

いないと思ってさがしたら、木の下にくっついていて、少しだけかわいいと思いました。





―――――――――――――――――――



シュッ シュッ



千秋「……こんなものかしらね。確か、全体がしっとりするくらいでいいって言ってたはずだけど」



雪美「…………お水……大切。……ペロも……家でたくさん…………」



千秋「まぁ、そうでしょうね。こんなに暑いんだし」



雪美「……カブトムシは……暑いから……動かない……?」



千秋「え?」



雪美「ペロも………家で……動かない…………」



千秋「あぁ……ふふっ、佐城さん、カブトムシは基本的に夜行性なのよ?」



雪美「夜行性……?」



千秋「そう、夜行性。夜に活動するの。だから今の時間には寝ていることが多いわ」



雪美「……カブトムシ……夜更かしさん…………?」



千秋「……」









千秋「……」ナデナデ



雪美「千秋……なんで……ニコニコしてるの…………?」



千秋「ふふ、さぁ、なんででしょうね?」





かんさつ日記 5日目



今日は、少しだけPにおこられてしまいました。

カブトムシがあついと思ってお水をあげすぎてしまったからです。お水をあげすぎると土がくさってしまうこともあるらしいんだと、Pは教えてくれました。

これからは気を付けようと思います。

カブトムシが起きていたので、もう一度さわってみることにしました。

今回はつかむことができたのでよかったです。ちょっとチクチクしました。



―――――――――――――――――――



モバP「あちゃー……」



雪美「P……ごめん……なさい……」



モバP「いや、いいんだよ。雪美がカブトムシの事を考えてやったってことはわかってるから。だから、次から気を付けような?」



雪美「うん……」



モバP「雪美の気持ちもわかるけど、適度なのがいいんだよ。雪美だってまだ山盛りのご飯食べられないだろ?それと一緒だ」



雪美「……わかった……でも……Pも…………ドリンクばっかり……」



モバP「う゛っ」



ちひろ「あ゛っ」



雪美「Pの体……大丈夫……?」



モバP「い、いやぁ、俺は大人だから。で、ですよねちひろさん!」



ちひろ「ええ、そうですとも!そうだ、雪美ちゃん!折角カブトムシが起きているんだったら触ってみたらどうですか?」



モバP「そ、そうだな。この前は俺がやっちゃったから、この機会に手に乗せてみたらどうだ?」



雪美「……うん……やってみる……」



モバP(ちひろさん、ナイスです!)



ちひろ「……」グッ







雪美「わぁ……足……チクチク……」



モバP「そうそう。そのチクチクで木とかにしっかり掴まってるんだよ」



ちひろ「うわぁ、よく手に乗せられますねぇ」



雪美「ちひろも……やる……?」



ちひろ「い、いや私は……」



モバP「はは、カブトムシが手を登ってくる感覚って結構怖いですよね」



ちひろ「当然のように経験済みってことにしないでください!」







雪美「……!!……P!」



モバP「どうした?」



雪美「……腕……上ってきてる……!怖い……!」



モバP「ああ、まるで小学生の時の自分を見てるみたいだぁ……」



ちひろ「いや、プロデューサーさん!呆けてないで早く雪美ちゃんを助けてあげてくださいよ!」







かんさつ日記  7日目



今日と明日は、少し遠くでおしごとがあって、お泊りだったのでカブトムシのおせわをできませんでした。

まいにちやっていたので心配です。Pは、りかにお願いしたからだいじょうぶだよ、と言いました。

夜に、Pがりかとカブトムシがいっしょにうつっている写真を見せてくれたので少しあんしんしました。







―――――――――――――――――――



雪美「P……大丈夫……かな?」



モバP「だから、大丈夫だって。莉嘉にカブトムシのお世話の仕方教えたし」



雪美「……でも……」



モバP「心配?」



雪美「……うん……ペロの時と……一緒……」



モバP「あー……でも、ペロだって事務所に来た時、雪美が仕事でいないときは誰かが世話してくれてるだろ?」



雪美「あ……」



モバP「それに……」ポロロン













モバP「……あ、ホラ、見てみろって。莉嘉からの写真だ」スッ



雪美「……!」



モバP「ちゃんとお世話してくれてるってわかるだろう?」



雪美「うん……良かった……」



モバP「よし、じゃあ寝ようか。……あの、雪美。寝るから向こうのベッドに行ってくれるとありがたいんだけど」



雪美「一緒に……寝る……」



モバP「それは、ちょっと困ったな……」



雪美「……どうして……?」



モバP「いや、雪美だって子供だと言えどもアイドルだし……くっついてると暑いし……」



雪美「カブトムシ……木にくっついて寝る……」



モバP「俺は木の扱いなのか……」







かんさつ日記 10日目



今日は、おしごとがお休みでした。

じむしょ行って、カブトムシのおせわをしてから宿題をしていました。

午後になって、この前のおしごとをがんばったからと言って、Pと千秋がこん虫のはくぶつかんにつれていってくれました。

クワガタ、カマキリなどのこん虫を見たけど、やっぱり私たちのカブトムシが一番だな、と思いました。

すごく、楽しかったです。





―――――――――――――――――――



雪美「……凄い……沢山」



千秋「……本当に凄いわね」



モバP「あれ、千秋ももしかして博物館初めて?」



千秋「ええ、美術館には結構行ったことはあるのだけれども、こういうのは初めてかもしれないわね」



モバP「そっか。雪美の為だったけど、丁度良かったかもしれないな」



千秋「ええ」



雪美「二人とも…………行こ……?」



モバP「おっ、そうだな。じゃあ、まずは―――――」





雪美「……凄かった……」



千秋「佐城さんに同感ね。一種の虫でもあんなに違いがあるなんて」



モバP「はは、楽しんでくれたのなら何より」



雪美「……カブトムシ……会いたい……」



モバP「え?」



雪美「やっぱり……私達の……カブトムシが……一番…………だった」



モバP「……」



千秋「……」













ナデナデ





雪美「……?なんで……二人とも……撫でる……?」



千秋「さぁ?」



モバP「いったん事務所に帰ろうか。早上がりさせてくれたちひろさんと、事務所で待ってるカブトムシにお土産でも買ってさ」



雪美「……うん……ありがとう……P……」





かんさつ日記 15日目



今日は、じむしょのみんなで集まってスイカわりと花火をしました。

私は、Pにおねがいしてスイカをもちかえってもらおうとしました。

カブトムシに食べさせてあげたいというと、Pはあまりカブトムシにスイカはよくないんだと言いました。

少し、ざんねんでした。

その代わりに、Pは帰りにリンゴをかってくれました。リンゴならカブトムシが食べてもだいじょうぶらしいです。

今日の楽しさを、少しでもカブトムシにわけてあげられたらうれしいです。





―――――――――――――――――――





ミーンミンミンミンミン……







ワー ワー キャー!





雪美「……」



モバP「よっ、雪美」



雪美「……P」



モバP「楽しんでるか?」



雪美「うん……花火…………綺麗……」



モバP「そっか。……まぁ、スイカの代わりにリンゴ買ってやるから。カブトムシは気にするなよ」



雪美「……うん……」



モバP「ほら、線香花火。一緒にやろうぜ」



雪美「……うん」





ジジジジ……



モバP「……雪美はさ、夏休み楽しいか?」



雪美「……どうして……?」

 

モバP「えと、雪美を見ると思いだすんだよ。自分が小学生だった頃をさ」



雪美「……」



モバP「俺の住んでたところ田舎だったからさ、俺が小学生の時って、友達と泥だらけになって、毎日遊んですごしてたんだよ。今、雪美の人気が出てるのは凄くうれしいんだ。でも、雪美にとってはこの時間は、もっと遊んだほうがいいんじゃないか、なんて思ってさ」



雪美「……心配……しないで……」



モバP「……」



雪美「……事務所の皆も……Pもいて……私は……夏休み…………楽しい」



モバP「うん」



雪美「……カブトムシも…………家に帰れば……ペロもいるから…………寂しくない……」



モバP「……」



雪美「Pも……千秋も…………みんな……色々…………ありがとう」



モバP「……ああ」

















ポトッ



モバP「あ、俺の方が先に落ちちゃったかぁ」



雪美「ふふ……」







「プロデューサー!雪美!二人とも、今から打ち上げ花火やるからこっち来なよ!」







モバP「おう!今行く!……行くか、雪美」スッ



雪美「……うん」ギュッ









「二人とも何の内緒話してたの〜?」







モバP「いや、そんなんじゃないって。なぁ、雪美?」



雪美「うん……Pの……子供の話…………してただけ…………」



モバP「ちょ、説明が足りないんじゃないですかね!?みんな誤解、誤解だからぁ!」









かんさつ日記 20日目



今日は、じむしょでカブトムシをみなから宿題です。

たくさんあった宿題も、あと小しです。

なの





―――――――――――――――――――



雪美「スー……スー……」



モバP「雪美……あ、寝ちゃってるのか」



千秋「ふふ、可愛いわね」



モバP「ああ、全くだ。……カブトムシ観察日記、ね」



ちひろ「雪美ちゃん、毎日欠かさずにお世話してますからねぇ。莉嘉ちゃんが『アタシもやりたいのにー』って言ってました」



モバP「はは……ノート、今のうちに少し覗いても?」



千秋「駄目に決まっているでしょう。……あら、今日の日記、誤字があるわね」



モバP「お前も覗いてるじゃないか……」



ちひろ「ふふっ、仲良くなりましたね、お二人とも」



モバP「そうですか?」



ちひろ「ええ。とっても。良かったですね、千秋ちゃん?」



千秋「……っ、ちひろさん、余計なことを言わないで頂戴」



モバP「え?どういうことですか?」



千秋「……この人、馬鹿なんだから」



ちひろ「そうみたいですねぇ」



モバP「えぇ……ちょ、説明してくださいよ」



ちひろ「クーラー弱めましょうか」



千秋「ええ、お願い。佐城さんが風邪をひかないようにしなければね」



モバP「クゥーン……」

















千秋「……もうそろそろ、夏も終わりね」



モバP「……ああ」





















かんさつ日記 最後の日















―――――――――――――――――――



雪美「……ぅ……ぁ……」ポロポロ



モバP「雪美……」



雪美「P……わ……たし……っ」



モバP「雪美、仕方のないことなんだよ。カブトムシは、成虫になると長生きすることはできないんだ」



雪美「あ……でも……でもっ…………」



千秋「佐城さん……」



雪美「私が…………もっと……ちゃんと…………お世話できれば…………」



千秋「佐城さん、それは違うわ。貴女はできることを精一杯やった」



雪美「ち……あき……」



モバP「雪美はよくやったよ。そのことは、事務所のみんなが知ってる。カブトムシにだってそういう風に思っているはずだよ」



雪美「……P……」



モバP「だから、あんまり悲しんでやるな、雪美」



雪美「……ぅあ……ああああああっ」





ミーンミン……





モバP「……」スパー











ガチャ







千秋「……屋上にいたのね」



モバP「ああ……雪美は?」



千秋「まだ、寝てるわ。泣き疲れてしまったみたい」



モバP「そっか」



千秋「……辛い、ものね。わかっていたとしても」



モバP「……うん。でも、雪美を見て、ああやって成長していくんだなって、そんなこと思ったりした」



千秋「夏も、もう終わりね」



モバP「そう、だな……小さくなったセミの声とか、今みたいに、少し涼しくなった夕方とか。そんなのを感じながら、毎年思うんだよ」



千秋「……なんて?」



モバP「ああ、やっと、夏が終わったんだな……って。あれ、ここ笑うところじゃないぞ?」



千秋「ふふ、ごめんなさい。貴方があまりにも格好つけているものだから。……ねぇ、Pさん?」



モバP「ん?」



千秋「この前、なんでもするって、言ったわよね?」



モバP「まぁ、それは……」



千秋「……来年も、きっと。みんなで一緒に過ごせるようにして頂戴。それがお願い」



モバP「……お前も格好つけているじゃないか」



千秋「いいじゃない、お互い様よ。……それで、これが私のもう一つのお願い」





















モバP「……凄く、近いんだけど」



千秋「それは私が近づいたからよ」



モバP「……」



千秋「……」











―――――――――

――――――――――――――

――――――――――――――――――――







かんさつ日記 最後の日





今日は、色々なことがありました。

しごとが終わってじむしょにいくと、ちひろがかなしそうに「おかえりなさい」と言いました。

カブトムシは死んでしまいました。

じゅみょうだと、Pは教えてくれました。Pは、私が悪いわけじゃない、とも言いました。

毎日、毎日。この夏休み、カブトムシといっしょにすごしました。

とても、かなしくて。私はなきました。Pも千秋もちひろも、みんながなぐさめてくれました。

家にかえると、ペロがずっと私のそばにいました。ペロも、なぐさめてくれたんだと思います。

これは、次の日にPとお話をしながら書いています。

Pは「生き物はずっと生きることはできない。だからみんながんばって生きているんだよ」と、言いました。

この夏は、カブトムシのおかげですごく楽しかったです。

これから、天国のカブトムシにとどくようにいっぱい、いっしょうけんめい頑張りたいです。





ありがとう。    佐城雪美





―――――――――――――――――――







「……ふふ……ありがとう……ね」



「あれー、雪美ちゃん?何見てるの?」



「昔の……宝物……かな」



「へぇ、思い出の物なんだね。あ、ところで聞いた?Pさんと千秋さん、今年の夏も来てくれるって!」



「……本当?」



「うん!いや〜、マメだよね二人とも」











「ふふ……」



「どうしたの?」



「いいえ……」













「今年も……夏が来たんだなって……そう思っただけ」













終わり







21:30│佐城雪美 
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