2016年08月24日

瞳子「その手に、乗せられて」


どこかの会社、第三会議室





「……」





カリカリカリ



モバP「瞳子さん」



カリカリ



「……」



P「瞳子さん?」



カリカリカリ……



P「とーこさん! こらっ」



瞳子「あっ… ごめんなさい、つい」



P「手の甲を引っ掻く癖、治しましょう?」



瞳子「わかってはいるの… でも、つい無意識にやってしまうのよ」



P「もう夏なんですし、手荒れもだいぶましになってきたんじゃなかったですか」



瞳子「そう、なんだけれど…」



P「だけど?」



瞳子「手が冷えてしまうと、血管が疼くと言うか… 皮膚が、ぞわわ、ってなるのが気になってしまって」



P「そうなんですか……」





   服部瞳子は冷え性である。







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ーーー



P「冷房、効きすぎですかね」



瞳子「そうね…ちょっと、寒いわ…」



P「温度上げましょうか。スイッチは、と」



瞳子「でも、勝手にスイッチ弄って良いのかしら」



P「大丈夫でしょう、それくらい」





P「あー、ダメだ、どっかで集中管理してるみたいです」



瞳子「それなら、仕方ないわ…」



P「温度上げてもらえるようにお願いしてきますね」



瞳子「ううん、いいの。今日は猛暑日だし、寒がってるのは私だけなんだから… 少しくらい、我慢しなきゃ」



P「いや、よくないですよ!瞳子さんは、お…… ウチの、大切なアイドルなんですから」



瞳子「でも、あちらさんだって大切な社員さんたちでしょう?」



P「いや、それは、そうですけど……」



瞳子「……」



P「(やっべ、ついうっかり『俺の大切な』って言うところだった)」



瞳子「(”お……”ってなにかしら…?)」





P「あー、とりあえず、場所変わりましょうか。こっち側なら冷房の風があんまりあたらないですし、俺が壁になるんでマシだと思います」



瞳子「ありがとう、そうするわ…」







ーーー



瞳子「待ち時間、長いわね…」



P「まあ、早く来すぎたのはこちらですから」



瞳子「……」



P「やっぱり、寒いですか」



瞳子「いいのよ、上着もストールも忘れてきた私が悪いんだし」



P「せめて、俺がジャケットを着てたら。くそう、クールビズめ」



瞳子「いいじゃない、暑がりな貴方には。シャツ姿も、似合ってるわ…」



P「え、あ、ありがとうございます」







瞳子「それに、暑い日続きなのに熱のこもる服なんか着て、貴方が倒れたりなんかしたら。 …それは、嫌よ」



P「大丈夫ですよ、大げさだなぁ」



瞳子「だって、最近はその…、熱中症? とか、怖いじゃない」



P「……!」



瞳子「?」



P「瞳子さん、今のもう一回言ってください」



瞳子「えっと…?」



P「あー、いや、なんでもないです」



瞳子「そう…?」







ーーー



P「足元、寒くないですか?」



瞳子「脚は、ストッキング履いてるからあんまり気にならないのよね…」



P「あー、素肌に直接冷風が当たらないだけでも、だいぶ違いますよね、なるほど。……なら、腕はアームカバー、とかどうですか」



瞳子「アームカバーって、その、おばさんぽくないかしら…?」



P「デザインによりますよ。レースのとか、シルクのやつでも良いかもしれないですね…… 

  瞳子さんには似合うと思うんですよ、ああいった手合のものが」



瞳子「そうね、貴方が似合うって言うのなら… 試してみようかしら」



P「今度探しに行きましょうか。あんまり詳しいわけじゃないんで、店員さんに聞きながらいいの見つけましょう」



瞳子「ええ、そうね」







ーーー



P「手の甲、赤くなってる」



瞳子「あんまり人には見せられないわね…」



P「汗疹ではないんですよね?」



瞳子「そうね… 湿疹とかではないのよ、手にブツブツができたりするわけではないし」



P「とにかく一度、どこかで診てもらった方がいいかもしれませんね」



瞳子「ええ、そうするわ… でもまず、根本の冷え性からどうにかしないと、って思うの」



P「元々の体質は、治し辛いんじゃないかなぁ」





瞳子「漢方とか、マッサージとか、色々試してみてるのだけど、あとは…」



P「湯治とか?」



瞳子「いいわね、温泉。…でも、ゆっくり湯治に行くほど、時間がとれるのかしら」



P「仕事にかこつけて温泉めぐりでもしましょうか、秋の行楽シーズンに合わせて。……今年こそ、温泉レポートの仕事とってきますから」



瞳子「それは… 期待しても、いい?」



P「もちろんです」









ーーー



P「それにしても遅いなぁ」



瞳子「そうね…」



 「……」



 「……」



カリカリカリ……







P「とーこさん」



瞳子「あっ…」



P「またやってる……」



瞳子「ごめんなさい…」







瞳子「私だって、手を擦ったり引っ掻いたりする癖、なくしたいのよ…」



P「無意識となると、なかなか難しそうですね」



瞳子「どうしたらいいのかしらね…」





P「あ、そうだ! 瞳子さん、手をだして下さい」



瞳子「えっ?」



P「いいから、ほら」



瞳子「ええと、はい」







 ぎゅっ



瞳子「あっ…」



P「こうやって握っていれば、この手は悪さをしませんよね?」



瞳子「それは、そう… だけれど」



 「……」



 「……」





瞳子「あの…」



P「はい」



瞳子「ずっとこうされていると、困るわ…」



P「?」



瞳子「だから、その」



P「あっ」



瞳子「ね?」





P「ごめんなさい、あの」



瞳子「ええと、別に、嫌ではないのよ… でも、びっくりして」



P「いや、その、考え無しで」



瞳子「…ところで、貴方のそれも、”無意識”、なのかしら?」



P「え、あ、ははは……」





瞳子「ふふっ」



P「?」



瞳子「…ごめんなさい、なんだか昔のことを思い出してしまって」



P「昔、ですか」



瞳子「少し前、かしら。あの時も、貴方ははこうやって、手を取ってくれたのよね」



P「そう、でしたっけ」



瞳子「そうよ?ちゃんと、覚えてるもの。…それに、あの、クリスマスの夜も…」



P「それは、……覚えて、ます」



 「……」



 「……」





ーーー



瞳子「ねえ」



P「はい」



瞳子「よかったら、また… こうやって、手を握ってくれないかしら」



P「えっ?」





瞳子「いつもじゃなくていいの。私が弱気になった時、悩んでいる時、怖くなった時に」



P「それぐらいなら、いつだって」



瞳子「そうしてくれたら、…私はまた、輝けるから」



P「……だったら、それは俺の仕事、ですね」



瞳子「ええ。 …貴方でないと、いやよ」



P「……はい」





<fin>





22:30│服部瞳子 
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