2014年05月15日

高森藍子「私がゾンビ役…ですか?」

・デレマスSS

・初SSの為色々おかしい

・キャラちゃんと把握しきれてない子が出るのでキャラ崩壊してるかも

・アイプロ終わっちゃった上にアイプロ本編と齟齬あるかも

・非常に残念ながらゆるふわゾンビではない



そこら辺をご了承頂けると幸いです。あとスレ立てたのも初めてなのでコレ自体に問題あるなら指摘お願いします



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399987902





真昼間だというのに全く日の光が射さない室内。



ただ一つの灯りであるテレビからは、ザリザリという不快な音と共に砂嵐が流れ



テレビ前、ぼんやりと照らされたソファーには、生気を感じさせぬ程の透き通った白い肌の少女が蹲りながら座っている





何かに怯える様に顔を伏せる少女は、ただ一つの灯りであるテレビ前から移動しようとはしない。



ただ一人、いつからそうしてるのか、いつまでそうしてるのか、自分ですら分からなくなる程憔悴しきった少女は、いよいよ全



ての現実から逃げる様に、耳を塞ごうとし





―――カタン



遅かった。いや、間一髪だったのだろうか。背後からの物音は、少女が塞ぐより早く彼女の耳に届いた





「この部屋には少女しかいない」筈である。しかし音は聞こえた。不可解な事に、物音の後「するする」と何かが移動している様な音が続いた。







あまりにも疲れ切った為に幻聴が聞こえたのであろう。そうとしか考えられない。「そうとしか考えたくない」



…皮肉な事に、彼女が耳を塞ぐより早く、彼女の心は折れていた。







正気を保っていたならば、彼女とて違った行動を取っただろう。しかし、長時間のストレスに憔悴し切った彼女の心は目の前の現実に砕け、そこにはただ瞳孔が開ききった眼で必死にテレビの灯りに縋る、哀れな少女のみが取り残された





する、する、する



「脚を引きずる様な」幻聴は未だ続く。





「あ…ああ…あぁぁ…」



少女は笑った、笑ったつもりだった。やがて音は止まり、背後から「何か」の存在を感じた







「あぁ…あぁぁ…あ…」



瞳孔は完全に開ききり、口角だけが奇妙に上がった笑顔が、彼女の最期の表情だった。







そして、背後から











「わ、わーっ!」







パッ

カーテンの閉まった事務所の照明が着くと、そこにはがっかり顔の白坂小梅、そして小梅の後ろから手を回し抱き付く格好で、いつもよりちょっとだけ大きく口を開いた高森藍子の姿があった。



小梅「藍子さん…もうちょっと、その、頑張って…」



藍子「う、うぅー…ダメ、かなぁ…」







小梅「まず…脚が引き摺ってるんじゃなくて、ただのすり足になってる…それと…わーっ…じゃ、さすがに迫力無い…」



藍子「はい…」



小梅「ゾンビもいろいろあるけれど…今回のゾンビは、全体的にゆっくり動くタイプだから…襲う瞬間だけ動きが速くなるのは、不自然…」



藍子「難しいんですね…」





小梅「でっ、でも…ゾンビ役が分からないからって、私に聞いてくれたし、すごい真剣だから…絶対、いいゾンビになれると…思う…私も役作りあるけど…その間で良ければ、また一緒にやりたい…な」



藍子「えっ!?そんな、私はほとんどモブみたいな役なのに、主演の小梅ちゃんに迷惑を掛けちゃうのは…」



小梅「そんな事、無い…!」ガバッ





小梅「私は、藍子さんは…正直…ホラー向きじゃないかなって、思ってた…でも、役に対して、凄い熱心に取り組もうとしてて…私は、ホラー映画の主演になれちゃった位に、ホラーがずっと好きで、今回もいつも以上に頑張るけど…」



小梅「だからこそ…役者さんとして、藍子さんのやる気から、ちゃんと学ばなきゃって…だから、これは、私の為でもあって…」





藍子「…ありがとうございます、小梅ちゃん。私、今までライブや撮影のお仕事が中心で…この仕事を貰った時、どうすればいいのか分からなかったけど。でも、だからこそやり遂げて、成長したいんです。どうか、よろしくお願いしますねっ」



小梅「藍子さん…いっしょに、頑張ろうね。…それに…そういう所、パッション、だよね…ふふっ」





---------------





「無理に、大きく口を開いて噛もうとしなくても…かじるような感じでも、感じは出る…」「こう、ですか…?」







「目は…相手を、視界に入れながら…焦点を合わせずに、ぼんやり見る…と、いいかも…」「なるほど…」





ガラッ

「特訓してるって!聞いたんですが!!私も一緒に特訓しても!いいでしょうかッ!!」「…ホラーの…だよ…?」





----------------





ハイホンバンハイリマース

小梅「…藍子さん、凄く、上手くなった、ね…これなら、何も心配ない…」



藍子「長い間ありがとうございました、小梅ちゃん。特訓の成果、頑張って発揮してきます…今いきます!」





監督「はい、じゃあシーン19。最初にゾンビ化した女子生徒が友人に襲い掛かるシーン。最初はまぁ、自由にやってみて。それじゃヨーイ…アクション!」





―――薄暗い夜の校舎、その廊下を歩く女子生徒が一人。



「うぅ…暗い…」



全寮制のこの学校においても、夜の校舎への立ち入りは当然禁止である。よっぽどの素行不良か、はたまた生徒間の罰ゲームの類か。しかしながら廊下を歩く少女は、そのどちらでも無かった



『藍子ちゃん…藍子ちゃーん!…何処にいるのー!?…』



親友の名前を叫びながら、少女は廊下をひた歩く。





同室の親友、ほんの少し部屋を離れただけの彼女は、そのまま数時間、現在に至るまで戻ってくる事は無かった



親友はわざわざ規律違反を犯すような性格では無く、校舎にいる可能性は極めて低い。だが、他のすべての場所を探しても居なかったという事実と、数週間前から生徒の間で広まっていた「噂」が、彼女をこの様な無謀に駆り立てた





『夜の校舎には怪物がいて、うっかり立ち入った生徒は二度と帰って来ない―――』



子供じみた噂だ。だが数名の生徒から始まったこの噂は、立ち消えるどころか、今や学年を超え生徒の殆どが知る「七不思議」



の一つとなっていた



『藍子ちゃーん!…何処ー!?…うぅぅ…』



モノローグ((見つかったら、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ怒ろう、それで七不思議の話でもしながら一緒に帰って、いつも通りにベ



ッドでぐっすりと寝よう…))





…やがて、階段を上がり3階の廊下が視界に入った時、月明かりに薄らと照らされた人影が、向こうから、ゆっくりと、歩いて



くるのが見えた



『!藍子…ちゃん…?』





ふらふらと歩く人影は、彼女の良く知る親友の「それ」の様であって、しかし何かが違っていた。



特徴的な花の髪飾り、ふんわりとした髪型、凹凸の少ない体。そこまでは良い





だが、しかし―――大胆なまでに破けた制服、肌には傷が走り、その白さと対照的なまでに赤く流れる血、ふらふらと焦点が合わず、まるで夢遊病の様な足取り



それらは、致命的なまでに、彼女の身に起こった異常を示していた





『どっ、どうしたの!?何処で怪我したの!?大丈夫!!?』



親友の元へ駆け寄ろうとする、しかしその足は、顔を上げ、こちらを見た「親友」の目を見た瞬間に止まった







自分の事を見ていたと思っていたその眼は、何も無い空間を見つめるかの様に何処にも焦点が合っておらず

ただ景色の一部として、光を失った深い闇の中、少女の顔が映るのみであった。





「ひっ!?あっ…藍子、ちゃん!?どうし―――」



ガバッ

「きゃッ…!?」



突然、腕を掴まれる。早い動作では無かったが、突然の事に驚いた少女は重心を崩し、そのまま壁を背にして仰向けに倒れる。





「なっ、何っ!?」



覆い被さる様に「親友」が顔を近づける。

少女は抵抗しようとするも、破れた制服から伸びる白く少女らしい細腕からはおよそ想像もつかない強さで『親友』に押さえつけられた。





「痛っ!?…藍子ちゃん!?藍子ちゃん!!ねぇ、あ―――」



彼女のぼんやりと虚ろな目が突如、一点を見る。それは少女の柔肌に覆われた首筋であった。





「やっ…やだ、うそ、冗談、だよね…藍子ちゃん…あ…ア…」





目の前のそれが 優しく、おだやかで、春の日の様な雰囲気だった親友とは、もう既に違う「何か」だという事を、その瞬間になってようやく彼女は理解した。





抵抗すら許さない強い力で押さえつけたまま、ゆっくりと「何か」は口を開き、ひたすら涙を流す事しかできない少女の首元に、その歯を近づけ―――









監督「ッはいカットォーーーー!!!」



藍子「っ、ふぅ…流石に緊張しました…歌鈴ちゃん、大丈夫で…」



歌鈴「あっ…ああ…うぅぅ…藍子、ちゃん…」



藍子「歌鈴ちゃん!?つ、強く押しすぎちゃいました!?それとも強く掴みすぎちゃいました!?」



歌鈴「ふぇっ!?だ、大丈夫、大丈夫だよっ!ただすごい演技上手だったから、途中からホントにびっくりしちゃって…」





藍子「ごっ、ごめんね?びっくりさせちゃって…あのね、あれは…」





監督「ちょっとちょっと凄いじゃない高森さん!名演技だよ!名演技!」



藍子「あ、ありがとうございます。実は、主演の白坂さんに練習を手伝って貰って…」



監督「なるほどー…あー…あのね、高森さん。非常に心苦しいし伝え辛いんだけど…もう一回、今度は普通に演じてみてくれないかな?」





藍子「…えっ?」





監督「高森さん今回はあくまで脇役レベルのゾンビだから、盛り上がりの流れとして、ちょっと抑え目な感じの方が良いのよ…



あっでも、どれ使うかは後できっちり検討させて貰うから!凄いいい演技だったし!」



藍子「ありがとう、ございます…じゃあ、もう一回やらせていただきます…」





---------------------



P「で、結局採用されたのは後の演技か」



藍子「はい、ちょっと残念でしたけど、でもいい経験が積めました」



P「そか、前向きなのは良い事だが…でもちょっと傷心の藍子に、丁度良いニュースがあるぞ」



藍子「?」





P「あの監督さん、お前の事気に入ったみたいでな。同業者に噂を広めてくれたのか、演技の仕事が前よりかなり来てるぞ」



藍子「! 本当ですか!よかった…!今度監督さんに、直接お礼を言いたいですっ」



P「おう、分かった。頑張った甲斐はあったな、あんだけ特訓して…制服も、衣装さんに頼んで破けてる所を深くしてもらってなー…あそこまで大胆にやるなら、あの場にいたんだからせめて一言ぐらい事前に俺に言ってくれても良かったと思ったけどなー」



藍子「あっ!あれは…直前の思いつきで…ごめんなさい…」





P「いやぁー?俺は別に気にしてないよ?ただ藍子って時々妙に大胆だなァーと」



藍子「ぷ、プロデューサーさん、イジワルです……それはそうと、小梅ちゃんにも今度改めてお礼しないと…」



P「小梅、新しいホラーBDを一緒に見てくれる相手探してたぞ?涼は予定が合わなかったとかで」



藍子「…で、でも今回の撮影で、ちょっとぐらいなら大丈夫に…」



P「それが、相当恐い奴らしくてな。余りに怖すぎてCMが放送禁止になったとかなんとかそんなレベルの、それで他に誘える奴がいないんだろうなー…まぁ大変だけど頑張れ、藍子」



藍子「……」





P「ってハハハ、すまんすまんちょっとからかい過ぎた。何なら俺も付き合うよ、人数いれば少しは―――藍子?」





藍子「」



   「」





P「藍子?おいどうしたいきなり俯いて…」



   

藍子「」





カクンッ



  

   「」ニタァ…





P「のわぁっ!?」







藍子「…ふふ…うふふっ。特訓の成果、ですよっ」



P「…お、おう?あっ、お前っ!」



藍子「ちょっとは、びっくりしましたか?…いじわるなプロデューサーさんに、お返しですっ」ニコッ



P「…お前、小梅の驚かし癖伝染ってないか…?」



おわり



23:30│高森藍子 
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