2016年09月21日

神谷奈緒「あたしの青色」

立つかな。



SS初投稿。というか初めて書いた。



TPについての主観、私見、個人的解釈が結構入ってます。



ご注意ください。





書き終わってるのでまとめて投げます。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1473977300





「神谷さん、ちょっといいですか。」



ついに来た。鼓動が少し速くなったのが自分でもわかる。

顔がにやけそうになるのを我慢しながら、あたしは答える。



「なっ、なんの用だよ、プロデューサーさん…。」



表情はコントロールできても、声はそうはいかなくて、少し上擦った。

自分でもびっくりするくらいに白々しいセリフだ。



傍らで凛と加蓮がにやけている。あたしに生暖かい視線を向けてくる。



仕方ないだろ。だって、今日はその、そういう日なんだから…。





今日は9月16日。あたしの誕生日だ。



学校が終わった後、事務所に集まって、凛と加蓮に祝ってもらって。

2人だけじゃなくて、たくさんのおめでとうと、プレゼントをもらって。



それでもやっぱり期待はしちゃうし、嬉しいものは嬉しい。



「ここではアレなので、ついてきてください。」



「…わかった。」



顔が赤くなってる気がして、表情を見られたくなくて。

少しうつむきながら、あたしはプロデューサーさんの後ろを歩く。



プロデューサーさんの足音がカツン、カツン、と廊下に響いている。

あたしが履いているローファーは、それとは噛み合わないリズムでカツカツと鳴っている。

なんだかじれったくて、あたしは口を開く。



「…なぁ。どこまで行くんだよ。」



「ちょっとそこまで、です。」



いつもの、はぐらかす言い方。



「…そっか。」



言葉が途切れる。



プロデューサーさんが立ち止まった。エレベーターに乗るみたいだ。



「外に出るのか?」



「えぇ、といっても敷地内で済む用事です。」



多分、そういう流れだとは思うけど、この人がどんなプレゼントを用意してるかなんて、まるで予想できない。

それでもあたしはきっと、何を貰っても喜んじゃうんだろうな。

ドキドキとモヤモヤが混じった、不思議な気分だ。



エレベーターが1階に着く。そのままエントランスを出ると、昼過ぎから降っていた雨は上がっていた。

湿った街の匂いと、夏と秋の間のちょうどいい空気を感じる。



そうして連れて来られたのは、事務所の駐車場だ。



「さて、到着です。」



「こんなところで何の用事だよ。」



あくまであたしは気付いていない振りをする。



「もうお察しだとは思いますけど、少々お待ちを。」



そんなあたしの気持ちを見透かして軽く笑いながら、

プロデューサーさんは自分の車の後部座席のドアを開けて、何かを取り出した。



「お誕生日おめでとうございます。ささやかながら、僕からの贈り物です。」



街灯に照らされて顔を覗かせたのは、鉢植えだった。



吸い込まれそうな、深くて鮮やかな、可愛らしい青い花の鉢植え。



「これを、あたしに…?」



「もちろん、神谷さんに、です。」



正直、嬉しいという気持ちより、信じられないという気持ちが強かった。



自分で言うのもなんだけど、あたしに女らしいものは似合わないと思う。

漫画やドラマなんかでヒロインが花をプレゼントされるストーリーはよく見るけど、



あたしはヒロインなんて柄じゃないから。



うまく気持ちが表せない。そんなあたしを見かねてプロデューサーさんは続ける。



「誤解の無いように言っておくと、これに関して渋谷さんと北条さんはノータッチです。

完全に僕個人の好みで選びました。」



プロデューサーさんこそ何か誤解してるけど、その言葉で余計にわからなくなった。





「なんであたしに花…? 似合わないだろ…。」





「そんなことはありませんよ。」





呆れたように笑いながら、あたしの言葉を否定するプロデューサーさん。



「僕、この花を見つけたとき、花の色に一目惚れしたんです。これは神谷さんの色だ、って思って。」



「あたしの…色…?」



花の色があたしの色で、その色に一目惚れ…?

なんかよくわかんないけど恥ずかしいことを言われてる気がする。



「完全に僕個人のイメージですけど、トライアドプリムスの3人の色はそれぞれ違う青なんです。

例えば渋谷さんなら空のようにどこまでも続きそうな蒼。

北条さんなら水のような透き通った青。といった感じです。」



2人のイメージカラーはなんとなく納得できる。けれど。



「あたしの青は、この花の青なのか…?」



「はい。見る人を惹きつける、魅力的な青です。」



魅力的、という言葉にドキリとした。

落ち着けあたし。これはイメージカラーの話だ。



「貴女達の青が混ざり合って出来上がるのがトライアドプリムスの色です。

誰かが優れていても、誰かが欠けても出せない色です。

皆さんが同じくらい素敵で可愛らしいアイドルなんですよ。」



「……っ…あ、あたしなんかがその、か、かわいいのかよ…。」

「もちろんかわいいです。」



断言された。食い気味に。



「この敏腕プロデューサーとファンの方々の気持ちが信じられませんか。」



そう言われたら敵わない。



「なぁ、プロデューサーさん、恥ずかしいこと言ってる自覚あるか…?」



かわいいって言われるのが気恥ずかしくて、照れるのを誤魔化すように言い返すけど。



「事実を述べることを恥ずかしいとは思いませんが。」



堂々と言い放つプロデューサーさん。

この人、口調こそ丁寧だけどあたしをからかって楽しむからな…。



「あぁ、もう!やめやめ!いつもみたいにはいかないからな!」



「おや、それは残念です。」



こんな日までからかうモードだったのかよ…。



「それで、贈り物はお気に召しましたか。」



花なんて似合わないとは思うけどやっぱり嬉しい。けど、素直には伝えられなくて。



「ま、まぁな…。その、かわいいし、それに、あたしの花…なんだろ。だから、その……ありがと…。」



消え入りそうな感謝の言葉。それでもプロデューサーさんは満足げな顔だ。





手の中の花を改めて見つめる。



きれいな青。これが、あたしの色。





「なぁ、プロデューサーさん。あたし、もっと大きくなれるかな。」



「身長の話ですか?成長期ですからまだ伸びると思いますが、不安なら及川さんから牛乳でも」



「ち、ちがっ…アイドルとして!アイドルとしての話!」



真面目な話をしようとするとすぐこれだよ…。



「そんなことは疑う余地もありません。貴女は未来のトップアイドルですよ。」



と思ったら急に真面目になるし。忙しい人だな、まったく…。





「…そっか。じゃあ、もっとがんばんないとな!」





ファンのために、仲間のために、あたしを支えてくれる全ての人のために。





見ててよ、プロデューサーさん。あたしらしい花を咲かせるから。





20:30│神谷奈緒 
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