2016年09月27日

幸子「『通行人のストッキングを破き回る狼女』の役?」美玲「うん」

キャラ崩壊注意







幸子「今度のドラマでそういう役をするんですね?」





美玲「そうなんだ」



美玲「でもウチ、そんなことした経験ないから、どうしても役になりきれなくて……」



幸子「いや、ボクもありませんけどね?」



美玲「そっか、無いか……」



美玲「『哺乳瓶の中身に高尚なケチをつける見習い詐欺師』役で時の人になったオマエなら、何か知ってるかもと思ったんだけど……」



幸子「お役に立てなくて、ゴメンなさい」



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美玲「他に知ってそうなヤツ知らない?」



幸子「そうですね、それなら――」



















小梅「おはよう……」ガチャリ



幸子「あっ、来ましたよ!」

小梅「私に、何か用?」テクテク



美玲「実はウチ、今度『通行人のストッキングを破き回る狼女』の役をすることになったんだけど……」



幸子「何かご存じないですか?」



小梅「えっと……ちょっと分からない、かな?」



幸子「そうですか……」



幸子「『迫り来る総理大臣をちぎっては投げちぎっては投げてその存在を真っ向から否定する社会人ラガー』役で一世を風靡した小梅さんなら、何か分かるかと思ったんですが……」



小梅「力になれなくて、ごめんね?」

幸子「他に知っていそうな方を知りませんか?」



小梅「あ、それなら――」



















輝子「おはよう……」ガチャリ



小梅「あっ、来た……!」

輝子「私に、何か用か?」トコトコ



美玲「実はウチ、今度『通行人のストッキングを破き回る狼女』の役をすることになったんだけど……」



小梅「輝子ちゃん、何か知らない?」



輝子「え……すまん、分からないぞ……」



小梅「そっか……」



小梅「『バケツリレーでしか心を開けない銀髪隻眼のエレベーターガール』役でお茶の間の人気者になった輝子ちゃんなら、何か分かると思ったんだけど……」



輝子「力になれなくて、申し訳ない……フヒ」

小梅「他に知ってそうな子、知らない?」



輝子「いるとすれば――」



















乃々「辞表は書いてきました……」ガチャリ



輝子「き、来た……!」

乃々「あの、私に何かご用ですか……?」オドオド



美玲「実はウチ、今度『通行人のストッキングを破き回る狼女』の役をすることになったんだけど……」



輝子「ボノノさんは、何か知ってるか……?」



乃々「えっ……いえ、さっぱり……」



輝子「そうか……」



輝子「『オフの安部菜々』役で全米を涙させたボノノさんなら、何か分かると思ったんだが……」



乃々「侘びのしるしに辞めましょうか?」



美玲「辞めるなッ!」

乃々「でも、美玲さんならそのくらい、平気なハズですよね……?」



乃々「『通行人のスカートをめくって回る狼女』の役とか、していたじゃないですか」



美玲「うん……でも、あの頃はまだまだ半人前だったから……」



美玲「あれだけの演技が出来たのは、勢い半分というか……だから安定感がないというか……」



小梅「あるあるだね」ウンウン



幸子「確かにボクも、今『お腹周り以外の脂肪はまったく気にしないプロボクサー』役をやれと言われても、できるかどうか……」



輝子「『延々VRゲームを遊び続けて最後まで画面に映り続けるモブB』の役は……か、完全に奇跡だった」



小梅「私も『身長が高くてギネスに載ったけど今も記録を更新し続けるホビット族の末裔』の役は、もうできないかな?」



乃々「今更『ウサミン星出身の安部菜々』役とか……むーりぃー……」



美玲「そっか……みんな同じなんだな……」

幸子「あの……」



幸子「『スカートめくり』を『ストッキング破り』に置き換えて演技する……というのは、どうですか?」



4人「「……」」



















4人「「おぉー!!!!」」

美玲「スゴいぞ幸子ッ! そんな裏技、ウチは考えもしなかったぞッ!」



杏「さすがはユニット・カワイイボクと142'sのリーダーだ!」



乃々「 や め ろ 」



輝子「トップアイドルは、一味違うな……」



幸子「いえ、そんな……///」テレテレ



小梅「あれっ今誰か……」

美玲「やっぱり『777の民間資格を持つ無職』の役をやったヤツは言うことが違うなッ!」



幸子「そういう美玲さんだって『未来を見通しすぎて逆に役に立たない気象予報士』の役をやっていたじゃないですか」



輝子「『松茸の異名を持ち胞子を自在に操る高貴なる女性メタラー』の役をした私からすれば……2人とも、十分すごいぞ」



乃々「小梅さん……『DQNとオタクと熱血と淑女を足して4で割った怪人二十面相の孫』の役を演じきった者として、今度演技の練習に付き合って欲しいんですけど……」



小梅「えっと……『素の安部菜々』役をこなした乃々ちゃんに、教えることなんてあるかなぁ……?」







この『通行人のストッキングを破き回る狼女』の役でスマッシュヒットを飛ばした美玲は







後に『何度観てもモブにしか見えない助演女優』の役でアカデミー主演女優賞を受賞するのだが







それはまた別の話――











終わり

蛇足という名のおまけ







P「まゆ……」



まゆ「……」



P「俺が怒っている理由は、もう分かるよな?」



まゆ「はい……」



P「ドラマの監督……カンカンだったぞ?」



まゆ「はい……」

P「あの監督は、新しいまゆを表現したかったんだ」



P「それなのに……いつもと同じ演技をして……!」ギリッ



まゆ「……」



P「どうして……どうして出来ないんだ……!」



















P「どうして『一目見た時から担当プロデューサーを運命の人と信じてやまない元読者モデルのヤンデレストーカー少女』を演じられないんだ……!」ダンッ



まゆ「ゴメン……なさい……」グスッ

P「俺の見立てが、まるでなってなかったというのか……?!」



まゆ「いえ! Pさんは一生懸命頑張って――!」



P「それならどうして、普段のまゆそのものだったんだ!?」ドンッ!



まゆ「っ……!」ビクッ



P「あれだけ演技の練習もしてきたのに……どうして……!」



まゆ「ご、ゴメンなさい……」グス

P「今思えば、兆候は前からあったんだ……」



P「半年ほど前にも、違うドラマに出演したよな?」



まゆ「はい……」



P「あの時はまだデビューしたてだったから黙っていたが……」



P「実は、監督からクレームが出ていたんだ」



まゆ「うそ……?!」ジワ

P「あの時は『これからですので』と言ってごまかしたが……」



P「まるで成長が無かったことが、俺は悲しいよ」



まゆ「Pさん……ゴメンなさい……」グスグス



P「どうしていつも通りだったんだ……」



P「どうしてなんだ……そんなに難しい役じゃないだろ……」



















P「『一目惚れからすぐ始まった猛烈アタックで出会って2週間後には両実家に婚約の挨拶をしに行く16歳の美少女JK』役なんて……!」



まゆ「うぅ……」グスッ

P「……」



P「もう、潮時かもしれないな……」



まゆ「え……」



P「アイドル・佐久間まゆは、もう終わりということだ」



まゆ「そんな……っ!?」



まゆ「嫌です……まゆにはまだ、やりたいことがたくさんあるのに……!」グスッ



P「でもな……俺にはもう守れないんだよ……!」



















P「『まゆ、本当は心に決めた運命の人がいるのに、ファンの前で作り笑顔を作ってゴメンなさい』ライブも!」



P「『この唇の先にいるのはファン(あなた)じゃなくて秘密の恋人なの』グラビアも!」



P「『ヒマさえあれば運命の人を想って恍惚の笑みを浮かべているのはまゆだけの秘密です』インタビューも!」



P「全部普段どおりだったじゃないか……!!」



まゆ「あぁぁぁ……」ガクガク

P「まゆは正統派アイドルだ……読モ出身だから笑顔もバッチリだ……」



P「だからこそ俺たちは、意外性を前面におした企画を次々に立てていたというのに……!」



P「『NTR系正統派清純美少女アイドル』という斬新な裏テーマに辿り着いたっていうのに……!」



P「なのに一度として意外性を出せないまゆに、何を期待しろっていうんだ……!!」



まゆ「ゴメ、な゛さ……い……ゴメ゛ンなざい゛ぃぃ……」エグエグ



P「……」フゥー...



まゆ「ぐすっ……」スンスン

P「これからまゆに、2つの仕事を言い渡す」



P「これはもう決定事項だ、文句は一切受け付けない!」



P「1つは、今日でアイドルは終了だ!」



まゆ「Pさぁ゛ん……(絶望)」



P「もう1つは――」



















P「俺の扶養家族となって、死ぬまで笑顔を見せることだ」ギュ...



まゆ「Pさぁ゛ん……(感動)」

P「まったく……何でも出来るように見えて、意外とポンコツさんなんだから、まゆは……」



まゆ「はい゛……ゴメ゛ンなざい……ポンコヅでゴメンな゛さいぃ゛……」グスッ



まゆ「でもっ、でも笑顔は得意ですがらっ……ずっとずっと見ていでぐださい゛っ……!」ギュウウー



P「分かった、ずっとチェックするからな……」ギュウー



P「ああもう可愛いなあまゆは(ああもう可愛いなあまゆは)!」ギュー

P「その代わり、出来ていなかったらお仕置きだからな」



まゆ「え……その、お仕置きっていうのは……?」



P「な゛っ!? そ、そりゃ、その……」ドキッ



P「男と女のお仕置きなんて……アレだろ……///」



まゆ「……」



















まゆ「ぁっ、そ、そうですよねぇぇ……///」ドキドキ



まゆ「まゆ……Pさんのお嫁さんですもんねぇぇ……///」



まゆ「旦那様の言う事は、聞くものですよねぇぇ……///」



P「そ、そりゃ、そうだろ……///」



P「それに、い、一生かけての大仕事なんだから……///」



P「お、俺が、俺が全部、お世話しなきゃいけないんだからな……///」



まゆ「は、はいぃ……///」モジモジ



P「……///」



まゆ「……///」

P「よ、よし! 今日はもうあがりだ!!」



P「今すぐ、外出の準備をしに、寮に戻るんだ!!」



まゆ「え、ど、どこに……!?」



P「決まってるだろ!! ……俺とまゆの実家に、だ」



まゆ「……はい!!」



P「数泊分の着替えを用意しろよ!?」



まゆ「はい!!」



P「ハッキリ言って婚前旅行も兼ねてるんだからな!?」



まゆ「はい!!」



P「いつでも俺を受け入れられる準備を忘れるなよ!?」



まゆ「はい!!」



P「それじゃ『他の女の子と目をあわさない』という約束はもう破棄でいいな!?」



まゆ「は?」



P「あっ、それはいいです、はい……」

P「ではちひろさん、俺たちはもうあがりますから」ガチャリ



まゆ「ちひろさん、お疲れ様です」ペコリ



まゆ「あ、あの……」



まゆ「Pさんの持ってる……え、AVとか……勉強した方がいいですか……?」



P「……」



まゆ「///」



P「……追々な」



まゆ「……はい!」

バタンッ>



ちひろ「……」カタカタ



ちひろ「……」カタカタ



ちひろ「……」



















ちひろ「久しぶりの出番だと思ったらまたこの扱い!!」ガクッ...











終わり



20:30│早坂美玲 
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