2016年10月14日

早坂美玲「もう帰るッ!」

のんびりと書いていきます



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ちひろ「プロデューサーさん、プロデューサーさん宛に荷物が届きましたよ」





P「ありがとうございます、中身はなんですか?」



ちひろ「雑誌ですね、多分見本誌だと思いますよ」



P「おっ、やっと来たか」



ちひろ「確かこれ、美玲ちゃんが載ってるんでしたっけ?」



P「そうです、確かこの辺に...おっ、あったあった!」



ちひろ「あら、とっても素敵♪」





ガチャッ





つかさ「おーっす、お疲れ〜」



P「よぉつかさ、お疲れ様」



つかさ「お前もな、何読んでんだ?」



P「見本誌が届いたんだよ、ほらこの前美玲が...」



つかさ「ああ、あの時のか」



ちひろ「つかさちゃん、この時美玲ちゃんと一緒のお仕事だったんですか?」



つかさ「いいや、そういうわけじゃねえよ、まあ同じ場所にはいたけどな」



ちひろ「どういうことですか?」



P「あー、実はですね...」



−−−−−−







パシャッ!





「美玲ちゃん、笑顔お願いできる?」





美玲「え、笑顔ぉ?こ、こう...?」ニコッ





「ちょーっと固いかな?もっと自然に!」





美玲「し、自然にって言ったって...むぅぅ...」





「うーん、ちょっと引きつっちゃってるよ〜?もっとリラックスして!」





美玲「り、リラックス...リラックス...リラックス...」





「ん〜、少し休憩しよっか?」





美玲「...はい」





「じゃあ休憩、少ししたらまた撮影始めるよ?」





美玲「はーい...」

P「どうした美玲、調子悪いみた...」



美玲「プロデューサー!ウチ帰るッ!」



P「おいおい何言いだすんだよ、急に」



美玲「だ、だって...さ、撮影なんて...」



P「撮影なんて慣れてるだろ、何度もやってるし」



美玲「うぅぅぅ...うるさいッ!ウェディングドレスで撮影なんてできるかッ!」



P「そう言うなって、よく似合ってるぞ?」



美玲「う、うるさいうるさいッ!こんなの全然カッコよくないッ!」



P「そりゃドレスなんだからカッコいいのとはまた違うだろ」



美玲「そ、そうかもだけど...そうかもだけどぉ...」



P「とっても似合ってるぞ、すごく可愛い」



美玲「う、うるさいうるさいうるさーいッ!帰るったら帰るんだーッ!」ダッ!



P「あっ、おい!ドレスでそんなに走ると転び...」





ベシャッ!





美玲「あうっ!」



P「...って言おうとしたんだけどなぁ」



美玲「うぅぅ〜...」

美玲「......」ブスーッ



P「美玲、大丈夫か?」



美玲「フンッ!」プイッ



P「弱ったなぁ...機嫌直せよ」



美玲「......」



P「そんなに嫌だったのか?」



美玲「......」



P「はぁ...」



美玲「メロンソーダ...」



P「えっ?」



美玲「メロンソーダが飲みたいッ!」



P「ああ、なるほどな、わかった、今買ってきてやる」



美玲「うん...」



P「確か向こうの自販機にあったな...」テクテク

美玲「......」





P(とっても似合ってるぞ、すごく可愛い)





美玲「うぅぅ...ど、どこが可愛いんだよこんなの...」



美玲「ヒラヒラしてるし、やたら真っ白で落ち着かないし...」



美玲「だ、大体ウェディングドレスって結婚する人が着るものじゃないか...」



美玲「ウ、ウチはまだ早いだろッ!どう考えたってッ!」



美玲「こんなの着せようとするなんてヘンタイだッ!プロデューサーはヘンタイだーッ!」





P(可愛いぞ、可愛いぞ、可愛いぞ...)





美玲「むぅ〜...ヘンタイプロデューサーめ...」



美玲「なんであんなに嬉しそうに言うんだ...バカ...」



美玲「...はぁ」



美玲「...ちょっと歩いてこよう」

テクテク...





美玲「むぅ〜、そもそもなんでプロデューサーはウチにこの仕事を持ってきたんだ...?」



美玲「こういうのはウチには似合わないって言ってるのに...」



美玲「んっ?あれは...」







ゴーン ゴーン...





「おめでとうー!」



「お幸せにー!」







美玲「わぁ...本物の結婚式やってる...」



美玲「綺麗だなー...」





ドンッ!





美玲「あいたっ!」



「あっ、すいません!ついよそ見してて...大丈夫ですか?」



美玲「だ、大丈夫...」



「...あれ、お前美玲か?なんでここに...」



美玲「つ、つかさ?」



つかさ「ああ、そうだよ」



美玲「こ、ここでなにしてるんだッ?」



つかさ「そりゃこっちのセリフ...って、お前その格好だと撮影中ってとこか?」



美玲「う、うん...つかさは?今日は確かオフだったはずじゃ...」



つかさ「ああ、アイドル活動は休みだよ、でも他の仕事があるからな」



美玲「他の仕事?」



つかさ「アタシ会社やってるだろ?アイドル桐生つかさは休みでも社長の桐生つかさは24時間年中無休ってワケ」



美玲「あー、なるほど...」



つかさ「今は休憩中か?」



美玲「ま、まあなッ!うん、休憩中...かな...」



つかさ「なんだよ?歯切れ悪いな」



美玲「え、えーっと...」

つかさ「ふーん、それであんなとこをウロウロしてたのか」



美玲「う、うん...ちょっと気持ちの整理を...」



つかさ「気持ちの整理、ねぇ」



美玲「つかさはなにやってたんだ?」



つかさ「んっ?さっきも言ったろ、仕事だよ、まあ具体的に言うとブライダル関連の市場調査ってやつかな」



美玲「調査?」



つかさ「結婚式に着ていく服とか、ネイルにアクセ、そういったもんの流行りを調査してんの」



美玲「社長なのにわざわざ自分で調査するのか?」



つかさ「当たり前だろ、つか社長だからこそ自分で知っとかなきゃならないんだよ、じゃなきゃ指示出せねえし」



美玲「な、なるほど...」



つかさ「それにネットの情報で流行調べた気になるなんてどんだけペラペラな調査だよって話、実際に知りたかったらまず眼と脚を使う、これ基本な」



美玲「へぇー、大変だな...」



つかさ「まあな、大変じゃないって言ったらウソになる、最近はアイドルの方もどんどん忙しくなってきてるし」



つかさ「でも、どっちもアタシが自分で選んだ仕事だからな、手ぇ抜くとかありえねえっしょ?」



つかさ「つーか、本気でやってんなら大変だとか気にする暇もないんだよ、そんなのは余裕のあるやつがすることだから」



美玲「余裕...」



つかさ「そっ、アタシは余力残すなんてマネしないから、目の前の事を全力でやってるだけ、だから大変だとかは考えたこともねえよ」



美玲「おぉ...なんかカッコイイなッ!」



つかさ「だけど、美玲はずいぶんと余裕あんのな」



美玲「えっ?」



つかさ「ドレス着るのが恥ずかしいからって、こんなとこサボって散歩してるとか余裕ありまくりだろ」



美玲「さ、サボってないしッ!休憩中だからちょっと歩いてただけで...」



つかさ「じゃあ休憩終わったらビシっと撮影できんだな?」



美玲「そ、それは...うぅぅ〜...」



つかさ「ほれ見ろ、やっぱ余裕あんじゃねえか」



美玲「よ、余裕とかじゃない...ただ...」



つかさ「ただ?」



美玲「...恥ずかしいってのも、なくはないけど...」



美玲「こ、こういうのは...ウチには似合わないだろ...」



美玲「真っ白で綺麗で...普段のウチのイメージとまるで違うし...」



美玲「みんなきっと...変だなって思うから...」



美玲「なんでプロデューサー、ウチにこの仕事持ってきたのかな...」

つかさ「...お前、それ本気で言ってんの?」



美玲「あ、当たり前だろ...だって、こんなの...」



つかさ「へぇー知らなかったわ、お前ずいぶんと自己中なんだな」



美玲「なッ...ど、どういう意味だッ!」



つかさ「はっ?そのまんまだよ、そのま、ん、ま」



美玲「な、なんだとぉ?」



つかさ「はぁ...あのさ、一つ聞いときたいんだけど、なんで似合わないってとか変ってわかるの?」



美玲「だ、だって...普段のウチのイメージと違うし...」



つかさ「ふーん、じゃあそのイメージってのは誰が決めてるワケ?」



美玲「そ、それは...」



つかさ「いいか?ハッキリ言ってやるからよく聞いとけよ」



つかさ「アタシらのイメージを決めるのも、服が似合ってるかどうかを決めるのも、アタシらじゃない」



美玲「う、ウチじゃない...?じゃあ...」



つかさ「それを決めるのはファン、そしてお前を見てくれてるお客だろ」

美玲「ファン...」



つかさ「そう、演技者や生産者は消費者に求められてナンボ、だからそんなくだらないことで悩むなっての」



つかさ「自分で思ってるイメージとか自分の気持ちってのももちろんあるだろうけど、仕事でやってる以上そんなのは二の次三の次」



つかさ「アタシらは自分に似合ってるとかそういうの考える前に、目の前の仕事を全力でやるしかねえってこと」



美玲「......」



つかさ「あとさ、もう一つだけ」



美玲「な、なに?」



つかさ「今日の仕事、プロデューサーが持ってきた仕事なんだろ?お前のために」



美玲「う、うん...」



つかさ「ってことはさ、プロデューサーは美玲にならできると思ってるわけだろ、美玲なら応えてくれると思ったわけだろ」



美玲「...うん」



つかさ「そう思うならさ、ここでサボってるヒマとかねえんじゃねえのって話」



美玲「......」



つかさ「まっ、どうすっかはお前の勝手だからあとは好きにしろよ」



美玲「...な、なあ!」



つかさ「んっ?」



美玲「い、いっこだけ聞いても...いいか?」



つかさ「なんだよ」



美玲「その...つかさの目から見てでいいんだけど...」





美玲「このドレス...ウチに似合ってるか?変じゃないか?」





つかさ「ああ、よく似合ってる、可愛いと思うよ」



美玲「...そっか」



つかさ「ていうか、お前がそれ着るのを決めたのってプロデューサーだろ、自分のプロデューサーのことそんなに信用してないのかよ」



美玲「えっ?う〜ん、信用してない...わけじゃない...」



つかさ「ふーん」



美玲「あっ!でもすぐに撫でてくるところはキライだッ!ひっかくぞッて脅かしても笑ってるところもキライッ!それにいやだって言ってるのにつっついてくるのも...」



つかさ「あー、わかったわかった、んでそれ以外は?」



美玲「それ以外は...まあ...キライじゃ...ない」



つかさ「ったくもう...」





「おーい!美玲ーっ!」





美玲「あっ、プロデューサー」

P「はぁ...はぁ...こんなとこにいたのか...急にいなくなるから探したぞ」



美玲「ご、ゴメン...」



P「心配させるな...ほらメロンソーダ」



美玲「あ、ありがと...」



P「あれ?つかさもいたのか、こんなとこでどうしたんだ?」



つかさ「ちょっと用事があって来てたんだ、そしたらたまたま美玲とあったってワケ」



P「ならいいけど...それよりどうだ美玲、撮影いけそうか?」



美玲「あー...うん、大丈夫だ」



P「そうか、それならよかった...」



美玲「...ねえプロデューサー?」



P「んっ、なんだ?」



美玲「あのさ...なんでウチにこのお仕事持ってきたんだ?」



P「なんで?うーん、なんでって言われると...」



美玲「なんとなくか?」



P「いや、そういうわけじゃない」



P「ただ単純に...美玲に似合うと思ったし、きっと美玲の可愛さをみんなに知ってもらえると思ったからだよ」



P「いつものパンクな感じとはまた違う雰囲気を知ってもらって、美玲のいろんな面をファンの人たちにもアピールできるかなって...」



美玲「プロデューサー...」



P「でも、さっきめちゃめちゃ嫌がってたみたいだし、もうちょっと別の衣装案とか考えとけばよかったかも...」



美玲「...いや、ウチやるぞプロデューサーッ!これでやるッ!」



P「おっ、急にやる気になったな、どうかしたのか?」



美玲「なんでもない、ところでプロデューサー、もういっこ聞かせてよ」



P「なんだ?」





美玲「ウチ、変じゃない?可愛い?」





P「ああ、最高に可愛い」

パシャッ!





「オッケー!いいよその表情!すごく可愛い!」





美玲「へへっ♪」





「今度は笑顔でお願いできるかな?」





美玲「こう?」ニコッ





「いいね!すごくいい!最高!」









つかさ「ふーん、いい感じじゃねえか」



P「ああ、恥ずかしさも少し残ってるけど、その恥ずかしいって気持ちも含めて仕事を楽しんでる感じだ」



つかさ「まっ、それでいいんじゃね?仕事してて辛さしか感じないならむいてないってことだし」



P「だな、何事も楽しんでこそ、だ」







「オッケー!いいよこれ!きっとこの写真見たらみんな美玲ちゃんの可愛さに夢中だね!」



美玲「へ、へへへ...そうかな...」



「それじゃ今度はこっちを見つめる感じでいってみよう、好きな人を時みたいな見るイメージで!」



美玲「す、好きな人ッ!?そ、そんなのできるわけ...」



美玲「...じゃない、これはお仕事、お仕事だ...」



美玲「好きな人に...好きな人を見るみたいな...」





美玲「こ、こう...かな?」





「おっ、それ最高!」







パシャッ!





−−−−−−







P「で、これがその写真ってわけですよ」



ちひろ「いいですね、とっても可愛い♪」



P「カメラマンさんもすごく誉めてたんですよ、いい表情だって」



つかさ「まっ、確かにいい表情してんじゃね」



P「ありがとなつかさ、美玲にいろいろアドバイスしてくれて」



つかさ「別にいいよ、けど今度はアタシがいるとは限らないんだから何かあった時のプランを今から...」



P「あぁ、わかってるわかってる」





ガチャッ





美玲「はー、レッスン疲れた...」





ちひろ「あら、お疲れ様です美玲ちゃん」



美玲「お疲れ様、どうかしたのか?みんなして集まって」



P「見本誌が届いたんだよ、この前撮影したやつが載ってるぞ」



美玲「うっ、それってもしかして...」



P「ほらこれだ、どうだ?とっても可愛く写ってるだろ?」



美玲「う、うん...」



P「美玲が頑張ってくれたおかげだ、これできっと美玲のファンがまた増えるぞ、いやー発売が楽しみだなぁ...」





美玲「プロデューサー...」

つかさ「よう、お疲れさん」



美玲「あっ、つかさ...」



つかさ「写真、よく写ってるじゃん」



美玲「そ、そうだな...あ、あのさ...あの時は、その...」



つかさ「まっ、今度からはサボって逃げ出さないように気をつけろよ?」



美玲「なっ...」



つかさ「次の現場でアタシみたいにグチ聞いてくれるやつがいるとかかぎらねえんだからな、泣いても誰も助けちゃくれないぞ?」



美玲「な、泣くかーッ!なんだよッ!せっかくお礼を言おうと...」



P「んっ、どうした二人とも?」



つかさ「なんでもねえよ、ちょっと話をしてただけだ」



P「ならいいけど...ところで美玲」



美玲「なんだ?」



P「実はな、新しい仕事の話が来てるんだ」



美玲「新しい仕事?」



P「ああ、また衣装を着て撮影してもらうんだが...」



美玲「へぇー」



P「まだ企画段階なんだけどこれが資料だ...」



美玲「どれどれ...ふぇっ!?」



P「どうだ?」



美玲「な、なんでこういう仕事ばっかり持ってくるんだーッ!」



P「いや、絶対に似合うと思うんだよ、美玲の新しい魅力をだな...」



美玲「むぅぅぅ...またそれか...」



P「や、やっぱりイヤだよな...これは別の子に...」



美玲「...待ってよ」



P「えっ?」



美玲「誰もやらないなんて言ってないだろ」



P「い、いいのか?」



美玲「ウチとしては納得いかないけど、プロデューサーが持ってきてくれたお仕事だからなッ」



P「み、美玲...」



美玲「でも、いっこだけ聞かせてよ」



P「いっこだけ?」



美玲「...ウチにできるかな、この仕事」



P「ああ、もちろん!美玲ならバッチリだ!」



美玲「...へへ、そっか」









美玲「それで今度はどんな衣装なんだ、プロデューサー?」











おわり



22:30│早坂美玲 
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