2016年10月14日

佐久間まゆ「縫い止めるより、射止めたい」

今日はありがとうございます。



 まゆのお願いを、わがままを聞いてくれて。



 朝からのレッスンをずっと、一日付きっきりになって見ていてくれて。





 忙しい中時間を割いて、作って、用意してくれて。



 まゆの傍へ、離れず添っていてくれて。



 ありがとうございます。



 嬉しかったです。



 一日、プロデューサーさんと一緒にいられて。



 まゆがレッスンで汗を流す姿を――貴方のアイドルとして、貴方のまゆとして、階段を昇る姿を見ていてくれて。



 とっても嬉しかったです。



 それに、こうして。



 それだけでも――レッスン中のまゆと一緒にいてほしい、っていうそのお願いを聞いてもらえただけでも嬉しいのに。



 こうして、送ってまでくれて。



 プロデューサーさんの隣。プロデューサーの傍。プロデューサーの横へ。



 プロデューサーさんの運転する車の中、まゆをその助手席へ座らせてくれて。



 こんなふうに二人きりで隣へ添いながら、プロデューサーさんと同じ空間の中を許されながら、寮まで送ってもらえるなんて。



 まゆ、嬉しいです。



 とても、とっても、嬉しいです。



 手を伸ばせば触れられる。



 静かな吐息が聞こえてくる。



 恋しくて愛おしい貴方が感じられる。



 プロデューサーさんと一緒にいられて、こうして見つめて語りかけながら隣にいられて、嬉しい。



 嬉しくて、そしてとっても、幸せです。



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 温かくなる。



 心地よく火照って、気持ちよく濡れて、身体と心が奥の奥から温かくなる。



 プロデューサーさんの、プロデューサーさんとの、プロデューサーさんがくれる幸せに染まっていく。



 染まって、塗られて、塗り染められて。



 そうして、幸せに――幸せに昇って、堕ちて、まゆはまた、貴方のことを好きになる。



 これまで何度も、



 これから幾度も、



 これまでも、これからも、きっと数えきれないほどしてきて、していくように。



 またまゆは、浮気する。



 一度や二度じゃない。十度、百度、千度――それよりももっと、きっと万や億でも足りないくらい、それくらい繰り返した。浮気性なまゆの、数えることもできないほど多く重ねてきた何回目かの浮気。



 それをまた、まゆはしてしまいます。



 繰り返す。改めて、再び、好きになってしまう。



 貴方のことを好きだったまゆの上へ、もっと貴方のことを好きなまゆが覆い被さる。



 貴方のことを大好きだったまゆの外へ、ずっと貴方のことを大好きなまゆが塗り重なる。



 貴方のことを愛していたまゆを侵して、もっとずっと貴方のことを愛するまゆがまゆのすべてを染めていく。



 貴方への恋に落ちる。



 貴方への愛を抱く。



 貴方のことを――プロデューサーさんのことを、好いて、恋慕って、愛してしまう。



 まゆはまた貴方から、貴方へと、浮気をしてしまう。

 ……うふ、浮気性でごめんなさい。



 でも、プロデューサーさんがイケないんですよぉ?



 こんなに素敵で、ここまで輝いていて、これほど魅力的でいるんですから。



 まゆをこんな。



 軽くて、簡単で、易しい、浮気性なまゆにしてしまうのは。



 まゆがこんなふうになってしまうのは、そんなプロデューサーさんがイケないんです。



 ぜんぶ、ぜーんぶ、プロデューサーさんのせいなんですよぉ?



 ……。



 ……うふふ、なーんて。



 ごめんなさい。変なこと、言っちゃいましたね。



 変なこと。――どれも嘘じゃない。本当の、本心ですけど。



 まゆが浮気性なのも。



 プロデューサーさんが、まゆにとって素敵すぎるのも。



 ぜんぶぜんぶ。



 ――そしてそれに。



 まゆが今、どうしようもないほど幸せなんだってことも。



 素敵な貴方に魅せられて、何度目なのかもわからない貴方への浮気に心を焦がして、そうして幸せを感じていることも。



 プロデューサーさんと一緒にいられて幸せ。



 幸せに幸せで幸せなこと。



 それも、ぜんぶぜんぶ。



 うふ、ぜーんぶ本当なんですけどね。

 ――ええ、幸せです。



 今こうしていられて。



 プロデューサーさんがまゆのお願いを叶えてくれて。



 幸せ。



 まゆは、本当に幸せです。



 ……。



 …………それはもちろん、思わなかったわけじゃありません。



 プロデューサーさんとのいろいろ。



 まゆが『プロデューサーさんに見てもらいながら、一日レッスンを』って、それをお願いに決めてプロデューサーさんへ告げたとき、それを聞いて言ってくれたようなこと。



 ショッピングをして。お洋服やアクセサリーを見たりしながら、二人で並んでどこか外出をして。



 手を取り合って。映画を見たり遊園地へ行ったり、二人手を取り合いながらそんな、デートみたいな一時を堪能して。



 一緒に寄り添い合って。なんでもない日常を――起きて、出掛けて、ご飯を食べて、何をするでもなく過ごして、そして眠って。……そんな特別でもなんでもない、けれど特別な日常を一人でなく二人で過ごして。



 そんな、いろいろ。



 プロデューサーさんとの、いろいろ。



 それはもちろん、考えなかったわけじゃありません。

 まゆにとってそれは憧れで、それらは理想で、そんないろいろは夢見る未来の姿そのものですから。



 欲しい。焦がれる。求めて望むものたち。



 ……でも。



 でも、違うんです。



 そんないろいろは、今、まゆがプロデューサーさんへお願いするべきものじゃないんです。



 ……昔なら、昔のまゆなら、お願いしていたかもしれません。



 プロデューサーさんを求めて、プロデューサーさんとの繋がりを願って、プロデューサーと結ばれる幸せを望んでいたまゆなら。



 でも、今は違います。



 今のまゆは、その時のまゆとは違うんです。



 まゆは今、幸せがほしい。



 プロデューサーさんとの距離、繋がり、結ばれること、それよりも。



 幸せがほしい。



 ……ううん、幸せをあげたいんです。

 貴方へ、幸せを。



 プロデューサーさんへ、温かで心地良い何よりの幸せを。



 それが、今のまゆの想い。



 嘘のない、偽りのない、誤魔化しのない本心ですから。



 だからまゆは今、昔のように貴方を求めることはしません。



 あの頃よりも求めていて、でも、求めません。



 貴方と結ばれるのは、もっと先。



 今じゃないもっと先。



 まゆが、もっとふさわしくなってから。



 もっと綺麗に、もっと素敵に、もっと高くに――シンデレラになってから。



 それから、それからなんです。



 あの頃は――昔は、ただ貴方と結ばれたかった。



 貴方が欲しかった。まゆをあげたかった。貴方と、まゆで、ただ結ばれたかった。



 でも、今は少し違うんです。

 貴方と結ばれたい。それは変わりません。



 まゆをあげたい。それも変わりません。



 貴方とまゆで結ばれて、そうして二人の世界を創りたい。それは、今も変わりません。



 でも、少し違う。



 貴方と結ばれるため、貴方へまゆを贈りたい……。その、贈りたいまゆが、今は違う。



 今、まゆは、最高のまゆを貴方へ贈りたい。



 最高の、最上の、最愛の。一番の、何よりの、そんなまゆを贈りたい。



 ただあげて、ただ届けて、ただ贈るだけでは嫌。貴方に贈るまゆは、最高のまゆにしたい。



 今はそう思うんです。



 偽りなく、心から、本当に。

 ――だって、まゆは愛していますから。



 貴方のことを。プロデューサーさんのことを。まゆの、運命の人を。



 愛しているんです。



 好きで、好きで、好きで。



 大好きで、大好きで、大好きで。



 どうしようもなく好きで、どうにもならないほど大好きで。



 愛して、いるんですから。



 ……うふ。ええ、そうです。



 貴方を、まゆは、愛しているんです。



 誰よりも。何よりも。他のどんなすべてよりも。



 貴方を。



 プロデューサーさんを。



 うふ、だから。



 だから、まゆは今はまだ貴方へまゆをあげられないんです。



 愛しているから。



 大好きで恋しくて愛おしい、そんな貴方だから。



 そんな貴方へ贈るまゆは……最高の貴方へ贈るまゆは、最高のまゆにしたい。

 だから、今はこうなんです。



 結ばれるだけを願うのではなく、こうして、二人一緒に最高へと歩んでいくことを望むんです。



 貴方の夢見た、貴方と夢見た、貴方とまゆの二人で目指すシンデレラという最高へ。



 だから、いいんです。



 これで。貴方へのお願いは、これで。



 今はいいんです。



 うふ。……だから、どうか、プロデューサーさん。



 いつか、いつかの先、必ずまゆは至ります。



 そこへ、シンデレラへ、最高のまゆへ。



 だから、その時は――うふ、覚悟、しておいてくださいねぇ?



 まゆが、最高のまゆになれたとき。その時、まゆは貴方へまゆを贈ります。



 心を込めて、想いを注いで、愛を尽くして。



 贈ります。



 そして、その時きっと、プロデューサーさんにはまゆのこと、受け取ってもらいますから。



 きっと。きっと、きっと。

 ――ええ、今は応えてもらえなくても構いません。



 今はまだ応えてもらう時じゃありませんから。



 だから構いません。



 今はまだ。――うふ、その時に、応えてさえもらえれば。



 それは、ええ、その時応えてもらえるかどうかは分かりません。



 貴方が、まゆを受け取ってくれるかどうか。



 でも、大丈夫。



 きっと受け取ってもらいます。受け入れて、抱き締めてもらいますから。



 まゆは、貴方を――プロデューサーさんを、射止めてみせますから。



 うふ。ええ、きっと。



 最高のまゆで、最高のまゆを以て、最高のまゆを贈って。そうしてきっと、射止めてみせます。



 幸せに。



 貴方の幸せと、まゆの幸せと。貴方のまゆの幸せと。そのどれもに包まれながら、そのどれもを叶えながら、温かな幸せの祝福の中、貴方と結ばれてみせますから。

 ええ、そう。射止めて、みせます。



 縫い止めるのではなく、射止めてみせます。



 ……きっと、縫い止めるのは簡単です。



 貴方をまゆへ縫い止める。



 それにはきっと、まゆがダメになればいい。



 貴方が居なければ生きられない。結ばれてくれないのなら、死んでしまう。だから、だからどうか見捨てないで。



 まゆを救って。まゆを助けて。まゆと結ばれて。



 そんなふうに言えば、そんなふうにしてしまえば、優しい貴方はきっとまゆを選んでくれる。



 分かってますから。



 そう迫られて、その時まゆを拒めないくらい、貴方がまゆのことを想ってくれていることは。



 そうして迫られて、堕ちたまゆに引っ張られて、その時まゆを見捨てて堕ちずにいることを選べない。それくらい、まゆのことを好きでいて、愛していてくれていることは。



 分かってるんです。



 まだ最高じゃない。唯一の、無二の、最愛じゃない。



 でも、愛してくれている。



 大切に感じて、好きだと想って、愛を抱いてくれている。



 それは、はっきりと。

 ……うふ、ええ、だって。



 愛していますから。



 貴方のこと、プロデューサーさんのことを。



 好きで、大好きで、愛してる。



 いつも、いつも、いつも、貴方のことを見てきました。



 ずっと、ずっと、ずっと、貴方のことを聞いていました。



 いつも、ずっと、いつもずっと、まゆは貴方のことを想ってきたんです。



 だから、分かります。



 貴方のこと。貴方が、まゆを、どう想ってくれているのか、ということ。



 分かるんです。



 恥ずかしがって誤魔化しても、答えられず口にはしなくても、まゆの為を思って否定しても、



 分かるんです。



 まゆには、貴方を想うまゆには、貴方のことが分かるんです。



 だから、



 だから、それも、分かります。



 射止めるのではなく、縫い止めようとしたとき。



 貴方へ幸せを贈るのではなく、重たい不幸の枷を嵌めて、まゆのもとへ縫い止めたいと願ったとき。



 貴方がどうするのか。どう応えて、どうまゆを扱うのか。

 分かるんです。



 きっと、それは叶う。



 貴方をまゆへと縫い止めることは、きっと、簡単なんだと。



 そう、分かるんです。



 でも。



 でも、まゆの願いはそこにはないから。



 まゆの願いは、プロデューサーさんへ、最高のまゆを贈ること。



 そしてそれを、プロデューサーさんの意思で受け取ってもらうこと。



 貴方を――プロデューサーさんを、射止めること。



 だから、まゆはもう、貴方を縫い止めようとすることはしません。



 そんな妥協は絶対に。



 うふ、愛する人のことで妥協なんて、したくありませんから。



 最高の、最上の、最愛の未来しか、まゆは認めません。



 貴方と紡ぐ、幸せな未来しか。

 ――ええ、叶えてみせます。



 まゆは、貴方と出逢えなければ今このここまでには至れなかった弱い子ですけど。



 まゆは、貴方との幸せの為ならどこへでも何にだって至れる強い子ですから。



 運命の貴方と、きっと、そうして結ばれてみせます。



 うふ。――ええ、運命の貴方と。



 他の誰でも、他の何でも、他のどんなものでもない貴方と。



 運命の貴方と。



 ええそうです。貴方は、まゆの運命の人なんですから。



 もちろん壁はたくさんあります。



 歳や、立場や、いろいろ。



 難しくて、大変で、避けることのできないものたちは。



 でも、それでもプロデューサーさんなんです。



 まゆの運命の人。一生に一度の、自分の何もを尽くすのにふさわしい、唯一無二の愛おしい人。



 それはまゆにとってプロデューサーさん。どうしようもなく、それは、貴方なんです。



 誰に決められた訳じゃありません。



 誰にも、何にも、もしかしたらきっと運命の女神様にだって。



 決められた訳じゃない。応援された訳じゃない。祝福された訳じゃない。



 でも、それでも。



 貴方はまゆの運命の人なんです。



 今このここにいる、まゆと出逢ってまゆと歩んでくれた、この、ここの、貴方。



 貴方なんです。

 ……だって。



 だって、まゆがそう、決めましたから。



 貴方だって。貴方が、まゆの運命の人なんだって。



 そう、決めましたから。



 たとえ他の何かから――運命それそのものにさえ、そのことを否定されてしまったとしても。



 変わりません。変わらず、変えません。



 貴方がまゆの運命の人。



 決めました。



 まゆはそう決めて、定めて、誓いましたから。

 だから――うふ、プロデューサーさん。



 改めて言います。……覚悟、しておいてくださいねぇ?



 まゆは運命の貴方との幸せな運命を叶えるため、絶対に諦めません。



 必ずそこへ至ります。届いて、辿り着いてみせます。



 貴方へ、最高のまゆを贈ってみせます。



 だから。



 だから、プロデューサーさん。



 その時にはまゆのこと、きっと、受け取ってもらいますから。



 まゆは、貴方のまゆへ。



 貴方は、まゆの貴方へ。



 ――きっと。きっときっと、射止めてみせますから。





「愛しています。――うふふ、大好きですよ。プロデューサーさん」



23:30│佐久間まゆ 
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