2016年10月20日

高森藍子「ワルい子の気分……」

――事務所――



高森藍子「じー……」



北条加蓮「いや、悪い子の気分を知りたいからってなんで私をじっと見てるのよ」









※単発作品です。この作品の設定はこの作品のみのものです。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1472659868



安部菜々「加蓮ちゃんの次は藍子ちゃんの番ですか! ……ナナの大仕事はまだですかね〜」



加蓮「そのうち来るんじゃない? 具体的に来月の月末辺りに」



菜々「むむ……。ナナ、待ちきれませんよ! ウサミン星人は1日1秒を大切にするんです!」



加蓮「今日も菜々ちゃんは楽しそうだね」



菜々「……いやこれでも割とマジで焦ったりするんですよ?」



菜々「アイドルとして順調です。ええ順調ですとも。昨日だって定例LIVEがあって明後日にはレギュラー番組の収録があって……」



加蓮「ふんふん」



菜々「ですが!」クワッ



加蓮「わっ」



菜々「この歳になるとこう……どうしても色々考えてしまう訳で……」



菜々「見捨てられてないかなぁやっぱり若い子の方がいいのかなぁ、とか――」



加蓮「……………………まぁ、(バキュン)歳だって若い子のうちに入るんじゃない? たぶん」



菜々「ハッ!? で……ですよねぇ! ナナだってまだ17歳ですから大丈夫ですよねぇ!?」



加蓮「ちょ、肩掴んで揺さぶってこないでっ」グイ



菜々「おっとめんぼくない。つい」



加蓮「もー。そんなに不安なの? いつも大きな仕事があったら話題ぜんぶ掻っ攫っていく癖に。菜々ちゃんはワガママだなぁ」



菜々「キャハッ☆」



藍子「かっさらう……」ブツブツ



加蓮「そういえばお母さん言ってたなぁ。女の子ってむしろ二十歳を超えてからの方がワガママになるって」



菜々「あー、分かります分かります。なんだか色々と望んじゃうんですよねぇ」



加蓮「話は聞いてみたんだけどよく分かんなくてさ。なんでなんだろ?」



菜々「むむむ……。こう、やれることが増えたとかじゃないですか? 加蓮ちゃんだってほらっ、アイドルになってからワガママになったクチでしょう」



加蓮「あ、そっか、そーいう……。ちょっと疑問が解決したかも。ありがと、菜々ちゃん」



菜々「いえいえ! お悩みごとがあったらメイドのナナに相談ですよっ☆」ヨコピース



加蓮「あはは、悩みはないんだけどね。菜々ちゃんじゃないけど色々と順調だし」



菜々「まあまあそんなこと言わずに! 日頃のアレやコレや色々とぶっちゃけてみるのもいいですよぉ!」



菜々「ストレスを溜め込んでもいいことなんてなーんにもありませんからね。お酒で鬱憤ばらしにも限界があるでしょうし」



菜々「アレって我に返った時にしんどいんですよねぇ。独りで何やってんだろ、って……」



菜々「でもほら! ナナには加蓮ちゃんと藍子ちゃんがいて、加蓮ちゃんにはナナと藍子ちゃんがいるんです!」



菜々「悩みがなくても吐き出しちゃいましょう! キャハッ☆」



加蓮「ふふっ。キツくなったら頼っちゃおうかな?」





菜々「いやー、加蓮ちゃんのそういうところを見ると色々とややこしい子がようやく懐いてくれた時みたいな――」



加蓮「じゃ早速悩み事。自称17歳が(バキュン)歳であることを取り繕おうともしません。助けてください」



菜々「…………あっ」



菜々「…………」



菜々「あー…………」



加蓮「反応がテキトーだ……」



菜々「……」



菜々「…………」



菜々「……そっ……そういえば藍子ちゃんはさっきから何を唸っているんです!? っていうか藍子ちゃんって何のお仕事をもらったんですか!?」



加蓮「逃げた」



藍子「あ、はいっ! ……えっと……?」



加蓮「何の仕事もらったのー? ってさ。ウサミン星人が」



菜々「ナナを差し置いて藍子ちゃんはモバP(以下「P」)さんから何のお仕事をもらったんですかね!?」



藍子「ひゃっ。菜々さん、目が怖いです……!」



菜々「なぜナナには未だに次の大仕事が来ないんだー!」



加蓮「あーあー……」



藍子「わ、私に言われても分かりませんっ! かた、肩痛いですっ加蓮ちゃん助け――」



加蓮「えい」ベシ



菜々「ふぎゅ!?」



藍子「ほっ……」



加蓮「はいはい、気持ちは分かるけど興奮しすぎ。……ごめんね藍子。なんか菜々ちゃん、お昼から酔っ払ってるみたいで」



藍子「ううん、大丈夫です。……え? 酔っぱら……?」



菜々「どっせーい! 飲んどらんわー!」ガバッ



加蓮「でもでもー?」



菜々「さすがにお昼から飲む訳ないでしょうが!」



加蓮「次に飲むのはー?」



菜々「明後日のロケが終わってからお風呂あがりに一杯クイッと……何言わせるんですかねぇ!?」ガシッ



加蓮「たはは」



藍子「…………」ジー



加蓮「……? 藍子、どうかした?」



藍子「あ、いえ……」



菜々「で、藍子ちゃんは結局何のお仕事――」ズイ



藍子「ひゃっ」ニゲル



加蓮「こら、私を盾にするなっ」



菜々「……ナナしょぼーん」



加蓮「菜々ちゃんは興奮しすぎ! 悔しいのは分かるけどさぁ……。ほら藍子、大丈夫だから。ウサミン星人はいきなり襲いかかってこないって。ね?」



藍子「……本当ですか?」オソルオソル



加蓮「ホントホント」



藍子「なら――」



菜々「なんでこういう時の加蓮ちゃんって妙に胡散臭いんでしょうねぇ……」



藍子「!」サッ



加蓮「な〜な〜ちゃぁ〜ん?」



菜々「き、キャハッ☆」

(なんとなく落ち着いてから……)



加蓮・菜々「「ファンタジー?」」



藍子「はいっ。ファンタジーをテーマに、皆さんと色々な役を演じるんです!」



加蓮「へー。グランブルーとかバハムートとか色んなウワサが出てたけど、実際にお仕事でやるんだね、ファンタジー」



藍子「街や魔法はもちろん作り物ですよっ」



加蓮「分かってるってー」



菜々「魔法の世界……!」



加蓮「菜々ちゃんってそういうの得意そうだよね」



菜々「分かってくれますか!?」ガシ



加蓮「わっ」



菜々「童話にお伽話、漫画にゲーム! これでもナナ、メイドカフェではマジカル☆ナナって呼ばれてた頃もあったんですよ!」



菜々「なんかちょっと在りし日のアナログゲームに似てて複雑だったりしましたけど! でもマジカルって響きは結構好きなんです!」



菜々「それなのに……ううっ、ナナ、やっぱり今からPさんと交渉してくる! ナナも混ぜろ〜!」



加蓮「ストップストップ。Pさんを困らせない!」グイ



菜々「ぐぇ」



藍子「菜々さん、今日はいつもよりすごい……」



菜々「ゲホッゲホッ……ひ、ひどいじゃないですか加蓮ちゃん」



加蓮「だって菜々ちゃんが急にPさんのところにって言うんだもん。これはもうPさんのパートナーたる私が止めなきゃね」



菜々「いつの間に加蓮ちゃんはパートナーになってたんですかね?」



藍子「でも、加蓮ちゃんなら似合いそう……」



加蓮「ありがと。いつか胸を張って堂々と言えるようになりたいな……って、今は藍子の話!」



菜々「おおっとそうでした。それで藍子ちゃんは何の役を? やっぱり……白魔法使いとかですかね!?」



加蓮「いーや、藍子は前に黒魔女をやってるからね。これはもう悪い魔法使いしかないよ」



藍子「ふふ。どっちも外れですっ」



加蓮「えー?」



菜々「じゃあ何の役なんですか? 焦らされるとナナ気になっちゃいますよぉ!」



藍子「それが、実は――」



加蓮・菜々「「実は?」」





藍子「ワルい盗賊さんの役、もらっちゃいました!」





加蓮「……へ?」



菜々「……とうぞく?」



加蓮「……とうぞく……って、盗賊? 盗っ人?」



菜々「……藍子ちゃんが?」



加蓮「……悪役?」



菜々「……悪い盗賊??」



加蓮「…………」



菜々「…………」



藍子「え? あの……加蓮ちゃん? 菜々さん?」



加蓮「……………………」



菜々「……………………」



加蓮「……夏……残暑、頭……」ヒソヒソ



菜々「熱中症……判断力が……」ヒソヒソ



加蓮「やられて……おかしく……」ヒソヒソ



菜々「……Pさんの……頭が……」ヒソヒソ



藍子「べ、別にPさんがおかしくなっちゃったとかじゃないです! あのっ、最初は私も何か違うって思いましたけど……」



加蓮「ああ、じゃああれだ。時間泥棒」



藍子「言われちゃうって思ってましたけど違います〜〜〜〜!」



藍子「今回は新しい役柄を演じてみるのもいいってPさんが言ってくれたんですっ!」



加蓮「まぁ、その辺はなんとなく」



菜々「分かるんですよねぇ」



加蓮「にしたって藍子が……」ジー



菜々「盗賊、ですか……」ジー



加蓮「……どうしよう菜々ちゃん。ぜんぜん想像できないんだけど」



菜々「平気ですよ。ナナもですから……」



藍子「だから私、おふたりに……ううん、加蓮ちゃんに教えて欲しいんです」



藍子「ワルい子の気分ってどんな感じなのかな? って」



菜々「!?」



加蓮「悪い子の気分、ねー」



藍子「じー……」



加蓮「いや、悪い子の気分を知りたいからってなんで私をじっと見てるのよ」



菜々「…………」



菜々「藍子ちゃん」ガシ



藍子「ふぇ?」



菜々「藍子ちゃんは台本通りにやってください。台本通り"だけ"にしてください。気持ちなんて分からなくていいんです」



藍子「え? え?」



加蓮「うわ、マジトーンだ……」



菜々「こんなひねくれものの悪戯っ子なんて参考にしなくていいんです。したら駄目です」



加蓮「ちょっとー? なんかひどいこと言ってない?」



藍子「あの、菜々さ――」



菜々「加蓮ちゃんは1人いれば十分なんですよおおおおおおおおぉぉぉお!!!!」



加蓮「それどういう意味!?」



菜々「会う度会う度ナナをからかって! してやったりってにやけ顔になるのは!! 加蓮ちゃん1人で十分なんです!!!」



菜々「藍子ちゃんまでそうなったらナナ絶望してウサミン星に帰ってやりますからね!?!?」



藍子「か、帰っちゃ駄目です! そうしたら加蓮ちゃんも私も寂しくなっちゃいますから!」



藍子「それに私、加蓮ちゃんみたいになりたいのではなくて」



藍子「ただ、せっかくPさんから頂いたお仕事で……やってみないかって言ってもらえたことなんです。だから、できることはぜんぶやってみたいなって……」



藍子「加蓮ちゃんっ」



藍子「私にワルい子の気持ち、教えてください!」



加蓮「う、うん。そんな頭を下げなくても教えるけど……」



菜々「」アアアァァ...



加蓮「……いや、あのね菜々ちゃん。別に多少何かしたところで藍子は藍子のままで……いーやもう。放っとこ」



藍子「菜々さんを放っておくことが、ワルい子の気持ちなんですねっ」



加蓮「いやそれは何か違うんじゃない……?」



□ ■ □ ■ □





加蓮「でも改めて言われると、悪い子の気持ちって……何なんだろうね?」



藍子「うーん……」



加蓮「悪い子。悪い子……いい子にしなさい、って言う大人とかいるけどさ。具体的にいい子って何なんだろ?」



加蓮「大人の言うことをはいはいって聞くのがいい子……って言いたそうな感じなんだよね。でもそれって違うと思うの」



藍子「それは……私も少し、違うと思います」



藍子「それなら……大人の言うことを聞かないのが、悪い子?」



加蓮「Pさんの指示を無視するとか、スタッフさんの言うことを聞かないとか?」



藍子「む、無理です! いつもお世話になっている方にそんなこと……!」



加蓮「藍子だもんね」



藍子「やっぱり私、盗賊役には向いていないんでしょうか……?」



加蓮「うん、向いてない」



藍子「そんなあっさり!?」



加蓮「向いてないけどやるのが藍子でしょ? とりあえず……こう、困らせてみるっていうのはどうだろ?」



藍子「困らせてみる……」



菜々「それですよ!!」ガバッ



藍子「あ、菜々さんっ」



加蓮「復活したんだね。おかえりー」



藍子「お帰りなさい、菜々さん♪」



菜々「ただいま戻りました! キャハッ……ってそれナナのセリフ!」



菜々「っと、それはともかく。なんか話を聞いてるうちに加蓮ちゃんの言うことが正しいって思えてきちゃいまして。藍子ちゃんは藍子ちゃん、いつまで経ってもナナの心のオアシスなんだって!」



藍子「お、おあしす? ええと……ありがとう、ございます?」



菜々「それに比べて加蓮ちゃんは!」



加蓮「泥水?」



菜々「あ、いやそこまでは言いませんケド……」



菜々「でもですね! 加蓮ちゃんはいつもいつも、ナナのことを困らせてばっかりなんですよぉ!」



加蓮「えー?」



藍子「困らせる……」ウーン



菜々「ナナがちょおっと油断してるとすぐに会話を誘導してくるし!」



加蓮「いや誘導される菜々ちゃんが悪いんだからね?」



藍子「油断……」



菜々「へへへって感じで不敵な笑みを浮かべてる時なんて、いつも逃げなかったことを後悔するくらいで!」



加蓮「逃げればいーじゃん」



藍子「不敵な笑み……」



菜々「……じゃあナナが逃げたら加蓮ちゃんはどうしますか?」



加蓮「え? それは……うーん……凹む?」



菜々「だったら逃げられる訳ないじゃないですか。……はー。ホント、加蓮ちゃんは困った子ですよ」



加蓮「何そのやれやれって顔ー。菜々ちゃんだっていろんな人を困らせてる癖に」



菜々「う゛ぐっ。それはそのぉ……い、色々と、この歳になったら気合だけじゃどうにもならないことがあって――」



菜々「ってナナのことはいいんですぅ!」



菜々「とにかく藍子ちゃん。ポイントは、困らせてみること! ですよっ♪」



藍子「は、はいっ」スワリナオシ



菜々「藍子ちゃんのいいところはみんな知っていますから! だからこそ、ほんのちょっとだけ! 困らせてみるのはどうでしょうか?」



加蓮「藍子は色々と言わなさすぎ。そんなんじゃ、それこそ色々と盗まれちゃうよ?」



菜々「盗まれる……心をですか!」



加蓮「はい?」



菜々「あれ?」



加蓮「……?」



菜々「いや、盗むって言ったらあなたの心ですって鉄板ネタ……」



加蓮「……??」



藍子「あ、あのっ」



藍子「まだ私、よく分からなくて……でも、困らせてみたらいいんです、よね?」



菜々「おっとと。つい脱線しちゃいますねぇ。そうそう、そういうことですよ!」



加蓮「そうと決まったらちょっと練習してみよっか」



藍子「練習?」



加蓮「練習。そうだね……じゃあ藍子! 私や菜々ちゃんにやってほしいことを何か言ってみて?」



藍子「やってほしいことですか?」



菜々「キャハッ☆ いつも藍子ちゃんには色々とさせてしまってますからね! これはいい機会かもしれません!」



加蓮「疲れてる時に飲み物を差し入れてくれるのって、いつも藍子だよね」



菜々「ナナもメイドらしくご奉仕したいんですが……うぅ、レッスン後はやっぱりクタクタに……!」



加蓮「考えてみたらさ、藍子だって疲れてるのにいつも損な役回りって感じじゃない?」



加蓮「…………」



菜々「な、なんですか加蓮ちゃん?」



加蓮「べっつにー。私も人のこと言えないし」



藍子「……でも私、別に喉は乾いていませんよ?」



加蓮「もっと別のことでもいいんだよ。例えば……◯◯県の名産品が欲しいから今から現地まで行って買ってきなさーい! みたいなのとか」



菜々「さり気なくエグいこと提案しますねぇ。できないことじゃないのが逆にキツイですよそれ」



加蓮「でしょ? お金もあるし、今日は時間もあるもんね」



菜々「落花生で許してくれませんかねぇ?」



加蓮「ウサミン星のクッキーなら許してあげる」



菜々「ふっふっふー、それはトップシークレット! いくら加蓮ちゃんでも渡す訳にはいきませんね!」



加蓮「えー。菜々ちゃんは私をいつになったらウサミン星に連れてってくれるの?」



菜々「それはもちろん! 加蓮ちゃんがトップアイドルになって、シンデレラガールになった時ですよ! キャハッ☆」



加蓮「よし分かった。今の言葉、覚えておくからね」



菜々「へっ? ……え、え? あ、いえ、今のはナナなりの加蓮ちゃんへの激励というか応援というかそんな感じで」



加蓮「私、嘘をつく大人って嫌いなんだ〜」



菜々「あ、いや」



加蓮「嘘をつく同年代も嫌いなんだよね〜?」



菜々「……い、いいですとも! ええ! 加蓮ちゃんがシンデレラガールになった暁には! ウサミン星に招待します、マジで!」



加蓮「やった♪」



菜々「(やっちゃった……!)」



藍子「…………」ジー



菜々「はっ。加蓮ちゃん加蓮ちゃん。藍子ちゃんが寂しそうにこっちを見てますよ?」



加蓮「あ。……あ、あはは、ごめんね? 私達だけで盛り上がっちゃって」



藍子「ううんっ。加蓮ちゃんと菜々さんは、いつ見ても楽しいなって……♪」



加蓮「私達が?」



菜々「楽しい……ですか?」



藍子「だって、おふたりともいつも仲良さそうで……喧嘩している時があっても、でもやっぱり仲良しで」



藍子「見ているだけで、私まで楽しくなっちゃいますっ」



藍子「あ……そうだ! それなら私、おふたりにやってほしいこと、これにしちゃいますね」



藍子「こうしてずっと、楽しい時間を過ごしたいです……それが、私の"やってほしいこと"ですっ」



加蓮「……」ミアワセ



菜々「……」ミアワセ



菜々「……はー。藍子ちゃんに頼まれちゃったのならしょうがありませんね。それならもう少し、困った子の面倒を見ることにしましょうか」



加蓮「えー? そんな言い方する? っていうかそれこっちのセリフだよ。菜々ちゃん、ほっとくとすぐ無理に周りに合わせようとしてへとへとになったり顔が真っ白になってたり―― 」



菜々「ナナにもナナのプライドってものがあるんですよ!」



加蓮「だから私が面倒を見なきゃって話だよ」



菜々「ぐぬぬ……!」



加蓮「ふふん」



藍子「……あはっ」



□ ■ □ ■ □





加蓮「ってなんかいい話っぽくなっるけど、これじゃ盗賊役をやってもいつも通りに終わっちゃいそうだよね」



藍子「そういえば……私、結局どう困らせたらいいか教えてもらってませんっ」



加蓮「新しい藍子、見せるんでしょ? ならもっと考えなきゃっ」



菜々「加蓮ちゃんを参考にしてみるといいんですよ。加蓮ちゃんが普段、ナナに何をしているかとか」



加蓮「……あのさー、そろそろ私=悪役みたいなのやめない?」



菜々「ほぼ事実じゃないですか」



加蓮「むぅ」

藍子「加蓮ちゃんが菜々さんにやっていること……」



藍子「……盗賊役……」





加蓮「ま、いいけどね。いい子ちゃんってだけよりは」



菜々「ナナとしては加蓮ちゃんがやり過ぎやしないか心配ですよ。誤解されたりしちゃいません?」



加蓮「んー、まぁたまに。Pさんは今のままで大丈夫って言ってるから……程々にしてるって感じかな」



菜々「まーた不安になるようなことを。これはやっぱりナナが面倒を見るべきですかね?」



加蓮「17歳の癖に生意気ー。ホントの歳を名乗ってからにしてよ、そーゆーの」



菜々「ナナは17歳! じぇーけー!」



藍子「(あ、そうだ……! ええと、確か今日は……うん、Pさんがもう少しで帰って来る筈)」



藍子「(でも……)」



藍子「(……ううんっ。私は盗賊、ワルい盗賊役……! 今だけは、ワルい子だから!)」





藍子「あのっ」



加蓮「んー?」



藍子「さっきの、おふたりにやって欲しいことのお話……まだ、有効ですか?」



菜々「ぜんぜんオッケーですとも! 藍子ちゃんのお願いなら、ナナ、いつでも聞いちゃいますよ! キャハッ☆」



加蓮「私のお願いはー?」



菜々「で、ナナは何をやればいいんですか? 飲み物? お土産?」



加蓮「ちょっとー、こらー? 無視すんなーっ」



藍子「それなら……今日は一緒に、晩ごはんを食べたいなって」



菜々「……へ? 晩ごはん?」



加蓮「……それだけでいいの?」



藍子「はいっ。それで、もうちょっとしたらPさんが帰ってくるので……ぷちパーティーをしましょう!」



加蓮「パーティー。何の?」



藍子「菜々さんの定例LIVEお疲れさまパーティーですっ」



加蓮「あー」



菜々「ナナのです? いや、パーティーって言われても……ホントにいつもの定例LIVEですよ? そんな大げさにすることじゃ――」



藍子「いつものことでも、菜々さんは頑張ったんですから。みんなでパーティーして、菜々さんにお疲れさまって言いたいんですよ」



菜々「はぁ」



加蓮「だって。どうする?」



菜々「……そういうことなら、目一杯祝われちゃいますか!」



藍子「ありがとうございます! そうだっ。Pさんも呼んで、事務所でご飯にしましょう! 私、簡単な物なら作りますからっ」



菜々「それならナナも手伝いますよ! メイドカフェでも、メイドの誰かがいいことがあったらみんなでケーキを作る! その方が楽しめちゃいますからね!」



加蓮「じゃ、料理ができない私は休憩室でゆっくり、」



菜々「新人もベテランも関係なくみんなで作るんです」グイ



加蓮「私はメイドじゃないー! 料理なんてできる訳ないでしょー!?」



藍子「ふふっ。じゃあ、私が教えますから。一緒に作りましょ?」



加蓮「…………」



加蓮「……ホントに役に立たないからね」



菜々「これを機に、加蓮ちゃんにはメイドのイロハを叩き込んでやりますとも!」



加蓮「メイドアイドルとか目指してないんだけどー!?」



それから数時間後。

事務所の食堂には、色とりどりな……中にはちょっぴり不揃いになってしまったものもあるけれど、たくさんの料理が並びました。

営業から戻ってきたPも、3人のお願いをすぐに聞いてくれて。

"ぷちパーティー"は、無事開催されました。



ささやかなパーティーだけれど。

場が盛り上がって、みんな、遅くまで騒いで……騒ぎ疲れて、眠ってしまって。

――事務所の食堂(深夜)――



加蓮「すぅ……すぅ……」zzz



菜々「……うさみんは、じゅーななさい……」zzz



P「ぐおぉ……ぐおぉ……」zzz





――ぱしゃっ





「ふふっ――じゃなかった。……へへっ♪」



「みんな、隙だらけです――じゃなくて。ええと……」



「アンタ達、隙だらけだよっ。……なんて♪」





撮った写真に何が映っていたのかは、"盗った"彼女だけが知ることです。





23:30│高森藍子 
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