2016年10月24日

佐久間まゆ「君が思い出になる前に」


佐久間まゆ「おはようございます、Pさん。まゆ、あなたのためにお弁当を作ってきましたよぉ…」



P「いや、折角で悪いが今日は昼から出るんだ。外で食べてくるよ」





まゆ「そう、ですか…残念です。ところで今日はいつ頃お帰りですか?」



P「時間が読めないんで何とも…それよりまゆは早く帰らないとだろ?親御さんが心配するぞ」



まゆ「でも…」



P「お願いだから待たずに帰ってくれ。待たれると仕事もやりづらくなるんだよ」



まゆ「ご、ごめんなさい…私、そこまで考えてなくて…」



P「わかってくれ」



まゆ「はい…」

















ちひろ「今日は一段とまゆちゃんに厳しいですね」



P「いや…もう流石に放置できない段階ですし…」



ちひろ「そうですね…第三者の私から見ても、こう…まゆちゃんの気持ちが伝わってきますからね」



P「クソッ、こんなつもりじゃなかったのに…」



ちひろ「人の気持ちばっかりはコントロールできるものじゃありませんから」



P「ええ…それでちひろさん、例の話はまとまりそうですか?」



ちひろ「おそらく、社内的にも認められるかと」



P「そうですか…喜んでいいのか、悲しむべきなのか」



ちひろ「『悲しい』って目が語ってますよ」



P「ハハ…俺も感情隠すの苦手なんですよねえ」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1467026662



まゆ「プロデューサー交代、ですか?」



P「ああ…急な話ですまないな」



まゆ「何でっ…!いやですよぉ、まゆ、Pさんじゃないと、まゆは…」



P「わかってくれ、上の意向もあるんだ」



まゆ「だって、そんな、まゆは…Pさんと離れるなら、アイドルやってる意味が…」



P「俺だって離れたくないんだよ!!」



まゆ「…!Pさん…」



P「なんで離れなきゃいけないか、わかるだろ?」



まゆ「はい…わかり、ますよぉ…まゆは、Pさんのことなら、何でも、わかりますから」



P「そう、俺だってまゆのことはわかってるつもりだ。他の誰より」



まゆ「だからこそ、なんですよね」



P「ああ…せっかく軌道に乗ってきたアイドルが、寄り道なんてしちゃいけない」



まゆ「どうしても、ダメなんですかねぇ…」



P「どうしてもダメだ」



まゆ「そう、ですよね…」



P「すまん…」



まゆ「ご、ごめんな、さい…涙が、止まらなくてっ…」



P「そうだよなぁ…そうなるよな」



まゆ「ご、ごめんなさ、もう、出ますね…」



P「待ってくれまゆ!最後に一つだけ我儘を聞いてほしいんだ」



まゆ「何、でしょうか…」



P「無理なお願いだとは思うんだが、その、もう一度だけ笑ってほしい」



まゆ「…ふふ、Pさんは、やっぱり少し変わってますねぇ…また、会いましょうね」



P「ああ、また、いつか、きっとな」



まゆ「ふふ…」



ちひろ「今日でまゆちゃんがいなくなって半年ですね」



P「…そうですね」



ちひろ「私たちの判断は、いえ…あなたたちの判断は、正しかったのでしょうか」



P「どうなんでしょうね…何にせよ終わったことです」



ちひろ「…終わってなんかないですよね」



P「どういう意味ですか」



ちひろ「知ってますよ、プロデューサーさん。空き時間になるといつもそのPCでまゆちゃんの情報調べてるの」



P「…放っておいてくださいよ」



ちひろ「そろそろ前に進まないと、プロデューサーさんの気持ちも、まゆちゃんの気持ちも、報われませんよ」



P「わかってます…わかってるつもりです」



ちひろ「簡単に折り合いがつく問題ではないですが…」



コンコン



ちひろ「どなたか訪問の予定ありましたっけ?」



P「いえ…今日はお客さんが来ることはないかと」



ちひろ「誰でしょう…入ってもらわないとわかりませんね」



P「どうぞ!」



まゆ「失礼します…」



ちひろ「まゆちゃん!?どうしたんですか!?」



まゆ「実はその…色々と事情がありまして…」

ちひろ「何かあったんですか?」



まゆ「別のプロデューサーさんの下で色んな仕事をさせていただいたのですが、以前あった『覇気』というか『凄み』がなくなったと言われてしまって…」



ちひろ「あら…そうなんですね」



まゆ「それから、ついさっき、『元のプロデューサーの所に戻らないか?』と打診されまして…」



ちひろ「それで居ても立ってもいられず駆け出してきた、ということでしょうか…」



まゆ「はい…何というか…出戻りみたいで恥ずかしいのですが」



P「まゆ」



まゆ「…! はい」



P「お帰り」



まゆ「Pさん…!」



ちひろ「ふふ…私は少し外の空気でも吸ってきた方が良さそうですね。と、その前に」



P「ちひろさん、何ですかこれ」



ちひろ「見ての通り、今朝のスポーツ新聞ですよ」



P「何でまた急に」



ちひろ「いいから芸能面を読んでみてください」



P「なになに…元アイドル歌手が結婚?知り合いの男性と?」



ちひろ「まゆちゃんも、ずっとアイドルができるわけではないですからね。そうですね…トップアイドルになってから華々しく引退、なんてどうでしょう」



P「はぁ…何年先になるかわからないですねそれは」



まゆ「まゆは!まゆは何年でも待てますよぉ…!」



P「そうか、まゆ。実はな」



まゆ「はい…」



P「俺もだ」



まゆ「Pさん…!」



P「あーあー、こりゃ明日から忙しくなりそうだな!」



まゆ「そうですねぇ。でも、無理はしちゃいけませんよぉ…?」



P「わかってる、もう無理はしないさ。色々とな」



まゆ「ふふ、それでこそまゆのPさんです」



P「うん、そうだな…うん。これからも頑張ろうな、ずっと」



まゆ「ええ、ずっと。ずっとですよ?」

おわり



22:30│佐久間まゆ 
相互RSS
Twitter
更新情報をつぶやきます。
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: